

赤いワックスを剥がさずに食べると、消化できない石油由来成分を口にしていることになります。
エダムチーズはオランダ北ホラント州にある「エダム」という小さな港町を発祥とする、歴史あるセミハードタイプのチーズです。日本では赤いワックスに包まれた丸い外見から「赤玉チーズ」という愛称で親しまれてきました。
その歴史は中世にまでさかのぼり、特に14〜18世紀の大航海時代に世界中へと広まりました。長期保存が可能なエダムチーズは樽に詰められて船に積み込まれ、船員の食料としてヨーロッパから遠く離れた各地へと届けられていたのです。オランダが鎖国中の日本と唯一交易を続けていた時代にも、エダムチーズは長崎の出島へと運ばれたとされています。
中身は薄い黄色でしっとりした弾力があり、食べてみるとマイルドで後味にかすかな酸味を感じるのが特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原産国 | オランダ |
| タイプ | セミハード〜ハード |
| 原料乳 | 牛乳(脱脂乳) |
| 熟成期間 | 120日〜1年以上(最大2年) |
| 見た目 | 上下が平らな球形、輸出用は赤いワックスコーティング |
| 味の特徴 | マイルドでほのかな酸味、ナッツのような風味 |
| 固形分中乳脂肪 | 40% |
赤いワックスはあくまでも輸出用の保護コーティングです。食べられないということが意外と知られていないポイントで、このワックスを知らずに食べてしまった、というエピソードをSNSなどでたびたび見かけます。
また、オランダ国内で売られているエダムは赤ではなく黄色のワックスがかかっているため、赤いワックス=エダムという見た目は、主に輸出向けのマーケティングの産物でもあります。意外ですね。
参考:雪印メグミルク「チーズクラブ」エダム辞典ページ。基本的な特徴・製法・産地がまとまっています。
エダム | チーズ辞典 | チーズクラブ | 雪印メグミルク株式会社
エダムチーズを手に取ったとき、誰もが気になるのがあの真っ赤な外側の部分です。これはパラフィンワックス(石油由来の蝋)でできたコーティングで、チーズを湿気・乾燥・衝撃から守るために施されています。
食べてはいけません。
パラフィンワックスは人体に強い毒性があるわけではありませんが、消化器官では分解できないため、食べても体に吸収されずそのまま排出されます。ただし消化に大きな負担をかけるため、意図的に食べるものではありません。チーズの外皮問題は他のチーズ(ゴーダ、ベビーベルなど)でもよく起きますが、エダムの赤いワックスは特に「おいしそう」「見た目が食欲をそそる」という声が多く、誤って食べてしまうケースが目立ちます。
正しい食べ方はシンプルです。まず赤いワックス全体を手で剥がすか、ナイフで切り込みを入れて取り除きます。そのあと、切り口を常温で10〜15分ほど空気に触れさせると香りが引き立ちます。チーズは冷たいまま食べるより、少し室温に戻すほうが風味を感じやすくなります。
食べ方の基本ステップをまとめると以下のとおりです。
切り方も用途によって変えると料理の仕上がりが変わります。
| 切り方 | おすすめシーン |
|---|---|
| スライス(薄切り) | サンドイッチ・トースト・おつまみ |
| 角切り | サラダ・チーズプレート・ピック盛り |
| 細切り(シュレッド) | グラタン・炒め物・ピザ |
| すりおろし | パスタ・スープ・粉チーズ代わり |
これが基本です。加熱してもモッツァレラのように糸を引くほどは溶けませんが、すりおろして使うと料理全体になじみやすくなります。
参考:エダムチーズのワックスと皮に関する詳しい解説。食べられるチーズの皮・食べられない皮の見分け方も確認できます。
エダムチーズが「ダイエットチーズ」とも呼ばれる理由は、製法にあります。エダムは伝統的に脱脂乳を原料とするため、同じオランダ産のゴーダチーズ(全乳使用)に比べて脂肪分が控えめです。
100gあたりの主要な栄養素は以下のとおりです。
| 栄養素 | 100gあたりの目安 |
|---|---|
| エネルギー | 約356kcal |
| タンパク質 | 約28.9g |
| 脂質 | 約25g |
| 炭水化物 | ほぼ0g |
| カルシウム | 良好な供給源(製品により差あり) |
タンパク質が約28.9gというのは、鶏むね肉(100gあたり約23g)を上回る数値です。つまり少量でもタンパク質がしっかり摂れるということですね。
骨の健康が気になりはじめる30〜40代の主婦にとって、カルシウム補給源としても優秀です。チーズのカルシウムは牛乳と比べて吸収されやすい形で含まれており、日常的に少量ずつ取り入れやすい点もメリットです。
一方で注意したいのが、糖質はほぼゼロである反面、カロリーは決して低くないという点です。100gで約356kcalありますので、食べ過ぎると余剰脂質として蓄積されます。1回の目安量は20〜30g程度(角切り2〜3切れ、スライス1〜2枚分)に収めるのが現実的です。
ダイエット中に取り入れる場合は、おやつや間食を「エダムチーズ20g+クラッカー数枚」などに置き換えると、空腹感を抑えながらタンパク質とカルシウムを同時に補給できます。これは使えそうです。
参考:農林水産省のGI(地理的表示)制度における「Edam Holland(エダム ホラント)」の指定公示。製法・原産地に関する公的定義を確認できます。
エダムチーズをせっかく買っても、保存方法を間違えるとすぐに乾燥してパサパサになったり、表面に白いカビが出たりと残念な結果になりがちです。保存は乾燥を防ぐことが原則です。
まず冷蔵保存について整理します。
冷凍保存は可能ですが、解凍後に食感がポロポロと崩れやすくなります。生食には向かなくなりますが、すりおろしてパスタやスープに使う分には問題ありません。冷凍する場合は1回分ずつ(20〜30g程度)に小分けしてラップで包み、フリーザーバッグに入れておくと使い勝手がよいです。冷凍保存した場合は6か月以内を目安に使い切りましょう。
また、エダムチーズは表面がワックスでコーティングされているうちは乾燥しにくいですが、ワックスを剥がした後は保存性が一気に下がります。ワックスを全て取り除いた後は特に密封管理を徹底してください。
カビが生えた場合、表面に白い斑点が出ることがあります。チーズの場合、カビの生えた部分から2〜3cm大きく切り落とせば残りは食べられることもありますが、判断に迷うときは無理せず廃棄するのが安全です。
冷蔵保存のちょっとしたコツとして、ラップの代わりに「チーズペーパー(ワックスペーパー)」を使うとよりよく風味が保てます。チーズ専門店などで購入でき、繰り返し使えて経済的です。
エダムチーズはクセが少なくマイルドな風味のため、和食以外のあらゆる料理に合わせやすい万能チーズです。特に以下のシーンで日常使いの幅が広がります。
朝食・ブランチに使えるアレンジ 🍞
サンドイッチやトーストとの相性は抜群です。スライスしたエダムチーズをハムや野菜と一緒に挟むだけで、ボリューム感のある一品になります。オランダの朝食では、エダムチーズをチョコレートスプレッドや卵と一緒にパンにのせて食べる習慣があります。見た目は驚きですが、チーズの塩気と甘みのバランスが意外とよく合うと現地では好まれています。
夕食の一品にグラタンへ応用する 🫕
エダムチーズを細切りにしてグラタンに加えると、ゴーダほど濃厚になりすぎず、あっさりとしたコクが出ます。市販のホワイトソースと冷蔵庫にある野菜(じゃがいも・ブロッコリー・玉ねぎなど)を組み合わせて耐熱皿に入れ、エダムチーズをのせて200℃のオーブンで15〜20分焼くだけです。簡単です。
パスタのトッピングに粉チーズとして使う 🍝
熟成が進んで硬くなったエダムチーズは、チーズグレーター(おろし器)でそのまますりおろせば粉チーズとして活用できます。パルメザンほど塩味が強くないため、料理の味を邪魔せずマイルドなコクをプラスしたいときに最適です。パスタやスープの仕上げにさっとかけるだけで、いつもの一皿がワンランクアップします。
チーズプレートとしておつまみに並べる 🍷
薄くスライスしたエダムチーズをリンゴや梨、ぶどうなどと一緒に並べるだけで、見栄えのするチーズプレートができます。エダムのほのかな酸味と果物の甘みは相性がよく、夕食後のデザート感覚でも楽しめます。白ワインとの組み合わせもおすすめです。
エダムチーズのカップケーキ(製菓への活用)🧁
少し意外な使い方として、製菓への活用があります。すりおろしたエダムチーズをマフィンやカップケーキの生地に混ぜ込むと、甘さの中にほのかな塩気が生まれ、おやつとして大人にも喜ばれます。本場オランダでも、エダムチーズを焼き菓子に使う文化が根付いています。
参考:楽天レシピのエダムチーズを使ったレシピ集。家庭向けのアレンジが68品掲載されています。
スーパーのチーズコーナーで「エダムとゴーダ、何が違うの?」と迷った経験はないでしょうか。これは多くの主婦が感じる疑問です。実は製法・使用する乳・風味の点でしっかりとした違いがあります。
| チーズ名 | 原産国 | 原料乳 | 風味の特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| エダムチーズ | オランダ | 脱脂乳 | マイルド・軽い酸味 | 生食・粉チーズ・グラタン |
| ゴーダチーズ | オランダ | 全乳 | 濃厚・バターのようなコク | サンドイッチ・チーズフォンデュ |
| パルメザンチーズ | イタリア | 牛乳(部分脱脂) | 塩味が強く旨みが凝縮 | 粉チーズ・パスタトッピング |
エダムとゴーダの最大の違いは使用する乳です。エダムが脱脂乳を使うのに対し、ゴーダは全乳を使います。そのためゴーダのほうがクリーミーでリッチな味わいになります。エダムはあっさり目が条件です。
パルメザン(パルミジャーノ・レッジャーノ)は長期熟成によって旨みと塩味が凝縮されており、エダムより風味が数段強くなります。少量でも料理にパンチが出るため、量のコントロールが必要です。一方でエダムはパルメザンより味がマイルドなので、料理に溶け込む形で使いやすいという利点があります。
料理別のチーズ選び方早見表 🧀
エダムチーズは「濃厚すぎず、でも物足りなくない」という絶妙なポジションのチーズです。初めてナチュラルチーズを試す方にも向いており、料理の幅を広げる最初の一歩として取り入れやすいのがポイントです。
エダムチーズはカルディや輸入食材店、大型スーパーのチーズコーナーで購入できます。カットされた真空パックタイプのほか、球形のホールタイプも取り扱っている店舗があります。ホールタイプは一見割高に感じますが、ワックスで密封されているため開封前は長期保存が可能で、コスパがよい場合もあります。まずはカットタイプを試してみるのがおすすめです。