

ハリギリはウコギ科ハリギリ属の落葉高木で、春に伸びる若芽と葉っぱが山菜として利用される植物です。
葉っぱは天狗の羽団扇にも例えられるほど大きく、カエデのような掌状で切れ込みがあり、薄くて光沢が少ないのが特徴です。
タラの芽は基部から先端まで太くがっしりしていますが、ハリギリは芽の基部の鞘が太く、その先が細い葉柄とふわふわした葉に一気に変わるという違いがあります。
タラノキやコシアブラも同じウコギ科で、いずれも春の山菜として人気ですが、香りと苦みのバランスが違います。
参考)ハリギリ
タラの芽はコクがありつつクセが穏やかで、コシアブラは強い香りとシャープな苦み、ハリギリの葉っぱはそれらを足して割ったような香りに、独特の苦みと甘みが調和した味わいです。
この個性を理解しておくと、同じレシピでも「ここはタラの芽」「ここはハリギリの葉っぱ」と使い分けがしやすくなります。
参考)ハリギリはタラの芽と何が違う?おすすめの食べ方と葉や芽の雰囲…
地方名も多く、中部地方ではオオバラ、テングノハウチワ、テングッパなどの名で呼ばれ、地域によってはタラの一種と誤解されていることもあります。
アイヌ語では「アユㇱニ」と呼ばれ、「とげが多い木」という意味を持ち、鋭いトゲを持つ若い幹の特徴をよく表しています。
こうした名前の由来を知ると、山で見かけたときに「これはハリギリの葉っぱだ」と記憶に残りやすくなります。
参考)雑想庵の破れた障子 タラの芽よりも美味いハリギリのてんぷら
| 項目 | ハリギリ | タラノキ | コシアブラ |
|---|---|---|---|
| 科 | ウコギ科 | ウコギ科 | ウコギ科 |
| 葉っぱの形 | 大きい掌状で薄い | 小葉がまとまる | 小葉が輪生状 |
| 味の特徴 | 強めの苦みと香り | コクがあり食べやすい | 香り強く上品な苦み |
| 主な調理 | 天ぷら・お浸し・和え物 | 天ぷら・お浸し | 天ぷら・和え物 |
ハリギリの葉っぱは、芽が大きく開きすぎる前の、まだ柔らかい状態のものが料理に向きます。
葉が全開に近いものでも食べられますが、えぐみが強くなるため、特にお浸しや和え物で使う場合は若い葉を選ぶとバランスがよくなります。
採取の際は鋭いトゲを避けるために厚手の手袋を使い、先端の柔らかい部分をポキッと折り取るように収穫するのが安全です。
下処理では、まず砂やほこりを落とすために流水で丁寧に洗い、葉の付け根に残った小さなトゲや汚れを指でこすり取ります。
参考)https://ameblo.jp/szato/entry-12737900366.html
天ぷら以外の調理法では、苦みとえぐみを和らげるためにさっと下茹でし、水にさらすアク抜きがポイントです。
参考)https://naturalism-2003.com/saisyu/sansai/sansai_kaisetsu/harigiri.htm
とくに酢味噌和えやマヨネーズ和えに使う場合は、沸騰したお湯で短時間ゆでたあと、冷水に取り、軽く絞ってから調理すると食べやすくなります。
参考)三浦アルプスでハリギリ採り: 三浦半島なんでも探偵団 ~B面…
アク抜きの目安としては、葉っぱが小さく柔らかい場合は30秒〜1分程度、やや育った葉の場合は1〜2分程度が一つの基準です。
長くゆですぎると香りが抜けてしまうので、苦みを活かしたいときは短め、えぐみを抑えたいときはやや長めに調整するとよいでしょう。
下茹で後にしっかり水気を切ると、天ぷら衣や和え衣が水っぽくならず、料理全体の仕上がりが締まります。
ハリギリは「天ぷら一択」と言われることもあるほど、葉っぱも芽も揚げ物との相性が良い山菜です。
衣を薄めにつけて揚げると、葉っぱのふわっとした食感と、でんぷん由来の甘み、香り高い苦みが一体になり、ブロッコリーの芯のような噛み応えとともに楽しめます。
タラの芽よりも香りと苦みが立つため、塩だけでシンプルに食べると、ハリギリならではの個性がよくわかります。
天ぷらの作り方は、よく洗ったハリギリの葉っぱや若芽を、冷やした衣にくぐらせてカラッと揚げるのが基本です。
衣は小麦粉・水・卵を同量程度で合わせ、氷を加えてよく冷やすと、温度差でサクッと揚がりやすくなります。
ハリギリの葉は薄いので、高温で短時間、衣が色づきはじめたらすぐに引き上げると、焦げずに香りを閉じ込められます。
天ぷら以外の定番レシピとしては、お浸しや味噌和え、マヨネーズ和えなどがあります。
さっと湯がいた葉っぱをホタルイカと辛子酢味噌で和えると、山菜の苦みと海の旨みが重なり、春らしい一皿になります。
山ウドの皮のきんぴらにハリギリの葉っぱを混ぜると、香気の強い素材同士が油と甘辛い醤油味でまとめられ、上品な香りの一品になります。
また、山ウドとハリギリの葉っぱを合わせたマヨネーズ和えは、油分がえぐみを包み、ほろ苦さを残しつつ食べやすくしてくれます。
若芽を輪切りにしてカレーに加えるアレンジや、オムレツの具として卵と合わせる使い方もあり、強い香りが料理のアクセントになります。
こうした料理を「タラの芽」で作ったものと食べ比べると、ハリギリの葉っぱのほうが記憶に残る香りを持っていることに気付く人も少なくありません。
ハリギリの葉っぱは和風の山菜料理だけでなく、洋風アレンジにもよく合います。
シイタケのボルドー風のような赤ワインを使う料理で、エシャロットの代わりにハリギリの芽や葉っぱを使うと、にんにくオリーブオイルの風味とワインの酸味、ハリギリの苦みが調和し、印象的な一皿になります。
オリーブオイルと相性がよいので、天ぷらもあえてオリーブオイルで揚げると香りが引き立ち、白ワインとも合わせやすくなります。
パスタに応用するなら、下茹でしたハリギリの葉っぱをオリーブオイルとにんにく、アンチョビで軽く炒め、茹でたパスタと和えるだけで、山菜ペペロンチーノ風の一皿にできます。
バターと生クリームを使う濃厚なソースよりも、オイルベースのシンプルなソースのほうが苦みと香りが生きるため、具材は少なめにするのがポイントです。
また、薄く刻んだハリギリの葉っぱをピザのトッピングとして、焼き上がり直前に散らすと、ほろ苦さがチーズのコクを引き締めてくれます。
サラダに使う場合は、生ではなく必ず下茹でしてから冷水にとり、水気を切ってから使用します。
オリーブオイルとレモン汁、少量の醤油や塩でドレッシングを作り、ベーコンやゆで卵と一緒にサラダに加えると、春らしいアクセントになります。
ハリギリの葉っぱを、ベビーリーフやレタスなど癖の少ない葉野菜と組み合わせると、苦みがちょうどよく中和されます。
ハリギリの葉っぱは生のままだと日持ちしないため、採取後はできるだけ早く下処理しておくと安心です。
軽く下茹でしたあと冷水で冷まし、水気を絞ってから小分けにして冷凍すると、香りをある程度保ったまま保存できます。
解凍後は天ぷらよりも和え物や炒め物に向くため、用途をイメージして量を分けておくと無駄がありません。
下処理をした葉っぱは、刻んで味噌に混ぜ込み「山菜味噌」として保存するのも一つの方法です。
ハリギリの香りが移った味噌をきゅうりや大根につけて食べたり、焼きおにぎりに塗ったりすると、日常の食卓でも山菜の風味を楽しめます。
こうした保存食は、ハリギリの採取時期が限られているからこそ、季節外れの時期にも葉っぱの香りを思い出させてくれる存在になります。
意外な活用法として、ハリギリの葉っぱを「香りのベッド」として使う方法があります。
例えば、下処理した葉っぱを皿に敷き、その上に焼き魚や蒸し鶏をのせると、温かさでほのかな香りが立ち上り、見た目にも山里らしい一品に仕上がります。
直接大量に食べるのではなく、香りを移す役割として使うことで、えぐみが気になる人でもハリギリ葉っぱの魅力に触れやすくなります。
ハリギリの葉っぱを料理に取り入れるときは、「香りと苦みをどこまで前に出したいか」を意識するとレシピ選びがしやすくなります。
天ぷらのように主役として味わうのか、きんぴらや和え物、ソースの一部として脇役に回すのかで、下処理の強さや合わせる調味料も変わってきます。
春の短い時期だけ楽しめるハリギリの葉っぱだからこそ、自分なりの定番レシピと保存方法を持っておくと、毎年の山菜シーズンがぐっと豊かになります。
権威性のあるハリギリの分類・名称の確認に役立つ参考情報(学名や地方名の裏付けとして)
ハリギリ - Wikipedia
山菜としてのハリギリの特徴や調理法の基本を確認したいときに役立つ解説
はりぎり・・・山菜 - ナチュラリズム