

豚肉を1時間マリネするだけで、家族の健康リスクを大幅に下げられます。
スブラキ(Souvlaki)という名前は、ギリシャ語で「串」を意味する「スブラ(souvla)」に由来し、「小さな串」を指す言葉です。古代ギリシャ時代から肉を串に刺して火にかける文化があったとされており、その歴史は約3,000年以上にわたります。現代のギリシャでは、スブラキは街角の屋台やファストフード店「スブラキアディコ」で気軽に食べられる国民食として定着しており、日本でいう焼き鳥や牛丼に近い感覚の食べものです。
スブラキは、主に豚肉・鶏肉・羊肉・牛肉の小さな角切りを串に刺して焼いたものを指します。シンプルな塩・こしょう・オレガノ・にんにく・オリーブオイルの組み合わせが基本の味付けで、余計なものを加えない「素材を活かす」スタイルが特徴です。
ギリシャにはスブラキによく似た「ギロス(Gyros)」という料理もあります。ギロスは棒に刺したうす切り肉を縦に回転させながら焼くもので、削ぎ落として野菜とともにピタパンに包んで食べます。スブラキとギロスは別料理ですが、ギリシャ南部など地域によっては「スブラキ」がピタパンに包んだものまで含めて呼ばれることもあり、観光客が混乱しやすい点のひとつです。
スブラキは単品でも食べますが、定番の食べ方はザジキソース(ヨーグルト・きゅうり・にんにくのディップ)とレモン、そしてピタパンを添えてプレートに盛りつけるスタイルです。これが「スブラキ・ミックス」または「スブラキプレート」とも呼ばれ、ギリシャのレストランやタベルナ(大衆食堂)でひとつの定番メニューになっています。
スブラキが属する「地中海食」は、2010年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。この認定はイタリア・ギリシャ・スペイン・モロッコなどの共同提案によるもので、食材の豊かさだけでなく、家族や地域の人々が食卓を囲んで語らい、食を通じて文化を継承するという"食の場づくり"もあわせて評価されています。つまり地中海食とは料理そのものだけでなく、食文化全体のことを指すのです。
健康長寿ネット:地中海食の特徴と健康効果(公益財団法人長寿科学振興財団)
スブラキを家庭で作るうえで最大のポイントは「マリネ」です。これが基本です。豚もも肉(または鶏もも肉)500gを3cm角に切り、以下の調味料をよく揉み込みます。
| 材料 | 分量(6本分) |
|---|---|
| 豚もも肉(ブロック) | 500g |
| 塩 | 小さじ2/3 |
| こしょう | 少々 |
| 乾燥オレガノ | 小さじ1 |
| おろしにんにく | 小さじ1 |
| エクストラバージンオリーブオイル | 大さじ1と1/2 |
| レモン汁 | 大さじ1 |
漬け込み時間は最低1時間、できれば一晩(約8時間)が理想です。マリネの時間が長いほど、肉の繊維にオイルとハーブの香りがしっかり入り、焼いたときの風味が格段に深まります。朝に仕込んで夕方に焼けばOKです。
焼き方は、自宅のキッチンであればフライパン・魚焼きグリル・オーブンのいずれでも作れます。オーブンを使う場合は230℃に予熱してから10分焼き、一度返してさらに5〜7分が目安です。フライパンの場合は中火でこんがり焼き色をつけてから、ふたをして弱火で5〜7分蒸し焼きにすれば中まで火が通ります。仕上げにオリーブオイルをひと回し追いがけすると、香りがふわっと立ち上がって本場感が増します。
竹串を使う場合は、焦げを防ぐために焼く前に30分〜1時間ほど水に浸しておくことが必須です。また、豚肉と一緒にパプリカ・玉ねぎ・ズッキーニなど季節の野菜を交互に刺すと、彩りがよくなるうえ野菜のうまみも染み出して一層おいしくなります。これは使えそうです。
DELISH KITCHEN:ギリシャ風串焼き「スブラキ」の動画レシピ(栄養成分表示あり)
スブラキを本場ギリシャ風に楽しむなら、ザジキソース(Tzatziki)は絶対に外せません。ザジキは、ヨーグルト・きゅうり・にんにく・オリーブオイル・レモン汁・塩を合わせたディップソースで、焼いた肉の油っこさをさっぱりと中和してくれます。肉料理との相性が抜群です。
ギリシャではザジキは家庭の冷蔵庫に常備されているほど日常的な食べ物で、パンにつけて食べたり、前菜として野菜スティックに添えたりと、万能に使えます。日本でも知名度が上がってきており、スーパーによってはギリシャヨーグルト(水切りヨーグルト)も手に入るようになっています。
ザジキの基本的な作り方は次の通りです。まずプレーンヨーグルト200gをキッチンペーパーを敷いたざるに入れ、一晩(8時間程度)水切りします。ヨーグルトの重量が約半分(100g程度)になったら完成の目安です。水切りギリシャヨーグルト100gを使えばこの工程を省略できます。
次に、きゅうり1/2本(50g)を細かく角切りにして塩ひとつまみでもみ、5分置いてから水気をよく絞ります。これを水切りヨーグルトに加え、おろしにんにく小さじ1/3・オリーブオイル小さじ2・塩小さじ1/3を入れてよく混ぜれば完成です。好みでレモン汁少々や乾燥ディルを加えるとより本格的な味わいになります。
ザジキはスブラキにかけるだけでなく、ピタパンやバゲットに塗って食べるのもおすすめです。また翌日以降もおいしく食べられるので、多めに作っておくと便利です。ひとつ注意点として、きゅうりの水気が不十分だとソース全体がシャバシャバになってしまうので、しっかり絞ることが肝心です。水気の切り具合が条件です。
日清製粉グループ:ザジキ(ギリシャ風ヨーグルトときゅうりのディップ)レシピと栄養情報
スブラキが属する地中海食は、心疾患・がん・糖尿病・認知症などのリスク低減に関係するとして、世界中の栄養学・医学の分野で注目されています。意外ですね。ギリシャは世界有数の長寿国のひとつとして知られており、その食生活との関連が多くの研究で指摘されています。
スブラキの栄養面でのポイントは次の3つに整理できます。
ザジキに使うプレーンヨーグルト(ギリシャヨーグルト)は、一般的なヨーグルトより水分が少なく、たんぱく質が濃縮されているのが特徴です。同量のヨーグルトと比べると、たんぱく質が約2倍含まれていることもあり、腸内環境を整える乳酸菌と合わせて、ダイエット中の方にも注目されています。
地中海食の大きな特徴のひとつとして、「赤身の肉は週1〜2回程度」という考え方があります。スブラキは豚肉や鶏肉を少量ずつ串に刺して食べる形式なので、自然と1食あたりの肉量が抑えられ、野菜やソースと一緒に食べることでバランスが整いやすいのです。つまり量のコントロールがしやすい料理形式ということです。
スブラキは「おもてなしには難しそう」「特別な日の料理」というイメージを持たれがちですが、実際は逆です。前日にマリネしておけば当日は「串に刺して焼くだけ」という段取りで済むため、むしろ忙しい平日の夕食に向いています。工程のシンプルさが最大の強みです。
平日の夕食であれば、ごはん・スブラキ・具だくさんのスープという組み合わせで十分成立します。レモン香る「洋風焼き鳥」感覚で食べられるので、子どもにも受け入れてもらいやすい味付けです。週末はワインや炭酸水と合わせて「おうちバル」風にアレンジするのもおすすめです。
アレンジの幅も広いのがスブラキの特徴です。以下のような応用が考えられます。
スブラキを定番化するうえで便利なのが、マリネを冷凍保存する方法です。生の肉をマリネ液ごとジッパー付き保存袋に入れて冷凍しておけば、食べたいときに解凍して焼くだけで完成します。1か月程度の保存が可能なので、まとめて下準備しておくと時短になります。
また、スブラキを作るついでに大量のオレガノを使うと、そのまま余らせてしまいがちです。オレガノはトマトソースのパスタ・ピザ・チキンのグリルなどイタリアン・洋食全般に使えるハーブなので、少し多めに買っておいても損することはありません。乾燥オレガノであれば常温で保存でき、コスパよく使えます。これだけ覚えておけばOKです。
KireINotes:【ギリシャ】世界が注目する長寿国!無形文化遺産「地中海食」とは