

シャウルスの白カビの皮を捨てると、チーズの旨みの約3割を失います。
シャウルス(Chaource)は、フランスのシャンパーニュ地方にある「シャウルス村」を名前の由来とする、歴史ある白カビタイプのチーズです。12世紀ごろにブルゴーニュの修道士たちが造りはじめたとされ、14世紀にはフランス王の食卓にも並んだという記録が残っています。現在は1970年にAOP(EU原産地名称保護)に認定されており、決められた製法・原料・産地でのみ「シャウルス」と名乗ることができます。つまり、シャウルスと書いてある商品は必ずAOP認証済みです。
見た目はカマンベールによく似ていますが、大きな違いが2つあります。ひとつは形。シャウルスはカマンベールより背が高く、円柱型の存在感があります。もうひとつは固め方の製法。カマンベールがレンネット(凝乳酵素)主体で固めるのに対し、シャウルスは「酸凝固」という方法で12時間以上かけてじっくり固めます。この製法の違いが、むっちり食感のカマンベールとは異なる、シャウルス特有の「きめ細かくほろほろと口の中で溶けていく食感」を生み出しているのです。
固形分中の乳脂肪は最低50%と、カマンベール・ド・ノルマンディー(最低45%)やブリ・ド・モーよりもやや高め。コクは十分ありながらも、後味がさっぱりしているのが魅力です。なめらか・トロトロ・さっぱりの三拍子が揃っています。
フランス語で「シャ」は猫、「ウルス」は熊を意味します。パッケージに猫と熊が描かれているデザインもあるので、見かけたらすぐわかりますよ。
| 項目 | シャウルス | カマンベール |
|---|---|---|
| 産地 | フランス・シャンパーニュ〜ブルゴーニュ地方 | フランス・ノルマンディー地方 |
| 製法 | 酸凝固主体(12時間以上) | レンネット凝固主体 |
| 食感 | ほろほろ・トロトロ | むっちり・クリーミー |
| 乳脂肪 | 最低50% | 最低45% |
| 形 | 円柱型・背が高い | 円盤型・平たい |
チーズ初心者でも、食べ比べをするとその違いがよくわかります。ぜひセットで試してみてください。
参考:シャウルスの基本情報・製法・産地について詳しく解説しています。
シャウルス | チーズ辞典 | チーズクラブ | 雪印メグミルク株式会社
シャウルスを美味しく食べるには、食べる前の準備と切り方にコツがあります。まず覚えておきたいのは、「冷蔵庫から出してすぐは食べないこと」です。
チーズは冷たい状態だと脂肪分が固まり、本来の柔らかさや香りが十分に感じられません。室温20℃の環境なら、食べる約30分〜2時間前に冷蔵庫から取り出しておきましょう。これだけで、味わいがぐっと豊かになります。これが基本です。
次に切り方ですが、シャウルスは背が高い円柱型のため、そのまま上から切り込むと型崩れしやすくなります。正しい順番は次の通りです。
このようにすると、外皮(白カビ)と中身のなめらかな部分が均等に行き渡るため、どの一切れも同じように楽しめます。
ナイフはできればチーズ専用の「クロタンナイフ」や「オメガナイフ」を使うと、チーズがナイフにくっつかず断面が綺麗に仕上がります。専用ナイフがなければ、普通の包丁でも代用可能ですが、刃をぬらしてから切るとくっつきにくいです。意外ですね。
切った後は、外皮(白カビの皮)はそのまま食べてください。シャウルスを含む白カビチーズの外皮は食べることが推奨されています。キノコのような香りと軽い歯ごたえが、中身のなめらかさと合わさって複雑な風味を作り出してくれます。外皮を取り除いてしまうと、旨みの一部を捨てることになってしまいます。
もし外皮の風味が強すぎると感じるなら、取り除いても問題はありません。白カビが分厚くなりすぎていたり、アンモニア臭が気になる場合は、熟成が進みすぎているサインです。無理に全部食べる必要はありません。
参考:チーズの皮(外皮)は食べてよいか、食べないべきかを種類別に解説しています。
チーズの皮を食べるか、食べないか | オーダーチーズ チーズ塾
シャウルス最大の魅力は、熟成の進み具合によって全く異なる顔を見せてくれることです。1つのチーズで2つの楽しみ方ができるという点は、他の白カビチーズにはなかなかない特長です。
🧀 若いシャウルス(フレッシュ)の食べ方
購入直後や熟成が浅い状態のシャウルスは、中心部にホクホクした白い芯が残っています。この状態では、ヨーグルトのような爽やかな酸味が前に出て、さっぱりとした味わいが特徴です。
そのままバゲットやクラッカーにのせるのがもっとも手軽な食べ方です。はちみつをひとたらしすると、シャウルスの酸味がまろやかになってデザート感覚でいただけます。ブドウやリンゴ、洋ナシなどフルーツとの相性も抜群で、甘じょっぱい組み合わせがクセになります。チーズ専門店・フェルミエのチーズプロフェッショナルは、「完熟メロンをくり抜いて添えると、生ハムメロンのような甘じょっぱさになる」と紹介しています。
副食材の選び方は「酸味を和らげるもの」「甘みを足すもの」を意識するとよいでしょう。
🧀 熟成が進んだシャウルスの食べ方
購入後、冷蔵庫で数日おくと熟成が進みます。外皮が少し茶色くなり、触ってみてぷよぷよとしている感触があれば、熟成が進んでいる証拠です。この段階では中身がトロトロになり、キノコのような風味と塩気が増してきます。
熟成してきたシャウルスはソースに使うのがおすすめです。生クリームとシャウルスの中身を弱火でゆっくり溶かし、最後に皮を刻んで入れると、濃厚なチーズソースになります。このソースをカリッと焼いた鶏肉や白身魚のグリルにかけると、レストランのような一皿が自宅で完成します。
塩コショウで追い調味は不要なくらい塩気があります。これが条件です。もし塩気が強すぎると感じたら、生クリームを少し多めに加えて調節してください。
参考:チーズプロフェッショナルによる熟成度別のシャウルスアレンジレシピを紹介しています。
シャウルスが生まれたのはシャンパーニュ地方。同じ土地で生まれたシャンパンとは、合わないはずがありません。これはマリアージュの鉄則である「同郷の食材同士は相性がよい」を体現しています。
🥂 シャンパン・スパークリングワイン
シャウルスのクリーミーさと軽い酸味は、シャンパンの細かい泡や果実味と見事に調和します。辛口タイプ(ブリュット)のシャンパンと合わせると、チーズの塩気とのコントラストが際立ち、一口ごとに味の変化を楽しめます。高価なシャンパンでなくても、手頃なカヴァやプロセッコでも十分に楽しめます。これは使えそうです。
🍷 白ワイン(シャブリがベスト)
シャウルスの産地・ヨンヌ県はシャブリの産地とほぼ重なります。そのため、シャブリとの相性は理想的といわれています。シャブリ特有のミネラル感とシャープな酸味が、シャウルスの塩味と酸味を引き立て合います。シャブリが手に入らない場合は、同じくミネラル感のある辛口白ワイン全般が合います。
🍷 赤ワイン(ブルゴーニュの軽めのもの)
食後のチーズとして楽しむなら、ブルゴーニュ産のピノ・ノワールなど軽〜中程度のフルボディ赤ワインも合います。ただし、タンニンが強いフルボディの赤はシャウルスの繊細な風味を消してしまうことがあるため、軽めを選ぶのがポイントです。
🍵 ノンアルコールの場合
お酒を飲まない方や子どもと一緒に楽しみたい場合は、白ぶどうジュース(ストレート100%)や、ほんのり甘みのあるリンゴジュースがよく合います。紅茶(ダージリン)やハーブティーも、シャウルスのフルーティーな風味と相性がよいため試してみてください。
| 合わせるもの | おすすめポイント | 熟成度 |
|---|---|---|
| シャンパン(辛口) | 産地同士の相性抜群、泡がクリーミーさを引き立てる | 若め〜熟成 |
| シャブリ(白ワイン) | ミネラル感と酸味がシャウルスと調和 | 若め |
| ブルゴーニュ赤(軽め) | 食後チーズとして楽しむのに最適 | 熟成 |
| 白ぶどうジュース | ノンアルでも十分なマリアージュ | 若め |
シャウルスはナチュラルチーズのため、保存方法を間違えると風味が急速に落ちてしまいます。正しい保存方法を知っておくことで、美味しさを長く保てます。
📦 保存の基本:冷蔵庫の野菜室が最適
チーズの保存に適した温度は5〜10℃です。冷蔵庫の冷蔵室は0〜3℃程度と低すぎる場合があるため、野菜室(5〜8℃程度)への保存がベストです。チルド室は低温すぎるため避けてください。冷蔵室での保存が条件ならば、扉付近など温度が比較的高い場所を選びましょう。
また、冷凍保存はNGです。冷凍すると組織が壊れ、解凍後にボソボソとした食感になり、あの「ほろほろ・トロトロ感」が失われてしまいます。
📦 包み方:ラップよりもチーズペーパーが理想
白カビチーズは呼吸をしながら熟成を続けます。密閉ラップで包んでしまうと、チーズが「窒息」してしまい、風味が落ちたり異臭が出たりすることがあります。理想は「チーズペーパー」や「ワックスペーパー」で緩やかに包むことです。ない場合は、ラップをピタッと貼り付けずに、空気が少し通る程度に軽く包む方法でも代用できます。その上でポリ袋や保存容器に入れて野菜室へ入れてください。
📦 開封後の保存期間の目安
開封後は5日以内に食べ切るのが理想です。食べる前に外皮の状態を確認し、アンモニア臭が強い・外皮に不自然な色のカビが生えている場合は食べるのを避けてください。シャウルスの白い外皮の白カビは食べられますが、後から生えたピンクや黒などのカビは食べるべきではありません。
🛒 購入できる場所と価格の目安
シャウルスは近所のスーパーではなかなか見かけませんが、百貨店の食品売り場やチーズ専門店、またはオンライン通販(楽天市場・Amazon)で購入できます。価格は小型(約250g)で1,000〜2,000円程度、大型(約450〜700g)では2,500〜4,000円程度が目安です。
送料込みで買えるオンライン専門店(フェルミエや楽天のチーズ専門店など)を利用すると、鮮度よく届けてもらえます。購入時は熟成具合の説明があるお店を選ぶと失敗が少ないです。
参考:チーズの保存温度・包み方・保存期間についての専門的な解説が読めます。
要チェックです!「チーズの上手な保存の仕方」| オーダーチーズ チーズ塾
シャウルスはおしゃれなパーティーや特別な日のチーズというイメージを持つ方も多いですが、実は普段の家庭料理にも使いやすいチーズです。知らないと損する視点です。
🍳 卵料理との相性が意外にも抜群
シャウルスはスクランブルエッグやオムレツに混ぜると、クリームチーズとは一味違う軽やかなコクと酸味が加わり、格段においしくなります。熟成してきたシャウルスを1〜2切れ(約30g)卵液に崩し入れて炒めるだけです。子どもも食べやすいマイルドな仕上がりになるため、朝食の一品としておすすめです。
🥗 サラダへのトッピングで手軽に本格感
若いシャウルスをひと口大にちぎり、ルッコラや水菜のサラダにのせ、オリーブオイルと塩コショウ、レモン汁でドレッシングをかけると、カフェ風の本格サラダが5分で完成します。白カビの外皮ごと崩すと、香りが一層引き立ちます。ランチに試してみると、いつものサラダが別物に変わります。
🍝 パスタのソースに溶かし込む
熟成が進んで少し塩気が強くなったシャウルスは、パスタソースとして活用するのが最適解です。ゆで上がったパスタのゆで汁(大さじ2〜3杯)にシャウルスの中身を溶かし、軽くあえるだけでシンプルなクリームソースパスタが完成します。別途、塩や調味料はほぼ不要です。これは使えそうです。
🫕 スープやグラタンのアクセントにも
きのこのスープや玉ねぎのポタージュにシャウルスをひとかけら溶かし込むと、コクが増して深みのある一杯になります。グラタンのトッピングとして使うのもよく、焼いたときに香ばしい白カビの香りが漂い、食卓の雰囲気がぐっとレストランらしくなります。
チーズを「お酒と一緒に食べるだけ」と考えていた方には、ぜひ料理素材として使う視点を取り入れてほしいです。日常の料理にシャウルスを加えることで、いつものメニューがワンランク上の一品に変わります。1個(250g)を2回に分けて使えば、1回あたり500〜1,000円程度のコストで特別感のある食事が楽しめます。チーズを料理食材として見直すと、お得な買い物になります。
参考:シャウルスの詳細情報と歴史・食べ方についての信頼性の高いまとめ記事です。
シャウルスチーズ(Chaource cheese)とは?特徴・歴史・食べ方 | 楽する暮らし