
お酒と食材のペアリングを理解するには、まず基本的な法則を知ることが重要です。ペアリングの最大のコツは、「外観(色)」「香り」「味わい」の3つの要素をしっかりと捉えることです。
参考)https://style.iichiko.co.jp/howto-drink/20240730/0338/
色合いでの組み合わせは最もシンプルな方法で、薄い色のお酒には淡い色の料理を、濃い色のお酒には深い色の料理を合わせると自然な調和が生まれます。香りについても同様で、柑橘系のフレーバーがするお酒には柑橘系の香りを持つ食材を合わせることで、より豊かな風味を楽しめます。
参考)https://www.bansha9.com/1860/
味わいの調和では、甘味の強さや酸味の種類、全体のボリューム感を考慮することが大切です。これらの要素が似ているもの同士を合わせることで、グラデーションのような味の複雑性と立体感が生まれ、単体で味わう以上の美味しさが楽しめます。
お酒の種類によってペアリングの特徴が大きく異なります。ビールには香ばしい麦の香りとホップの苦み、炭酸の喉ごしがあるため、チーズや燻製など濃い味付けの珍味がよく合います。脂っこいソーセージやサラミと合わせると、ビールの苦みと炭酸が口の中の脂っこさをリセットしてくれます。
参考)https://hikaku.kurashiru.com/articles/01J3HT2BX2SZB9BDYEFV56NS3H
日本酒には「調和」「中和」「相乗」という3つのペアリング効果があります。調和は風味や味わいの濃淡が似たもの同士のペアリングで、さっぱりとした前菜系の料理に辛口の冷酒を合わせるのが典型例です。中和は強い風味や味わいをやわらげるもので、イカの塩辛に辛口の日本酒を合わせて塩味をやわらげるなどがあります。
参考)https://www.shiawasewine-c.com/apps/note/63753
ワインの場合は、赤ワインは肉類との相性がよく、ジャーキーやサラミ、生ハムなどと合わせるのがおすすめです。一方白ワインは魚介類との相性がよいとされており、魚介類を使った珍味をチョイスすると失敗しません。
珍味とお酒の組み合わせには、歴史的背景と科学的根拠があります。珍味は「主として水産物を原料とし、特殊加工により独特の風味を生かし、貯蔵性を与えた食品」として定義されており、冷蔵技術がない時代から長期保存が可能な製法で作られてきました。
参考)https://magazine.asahi-shuzo.co.jp/know/692
日本三大珍味である「うに」「このわた」「からすみ」は江戸時代から続く伝統的な珍味です。塩うには生うにに塩を混ぜ合わせてペースト状にしたもの、このわたはナマコの腸を塩漬けして熟成させたもの、からすみはボラの卵巣を塩漬けして乾燥させたものです。これらはいずれも日本酒との相性が抜群で、その理由は発酵や熟成による複雑な旨味成分にあります。
興味深いことに、珍味は味わいによって合う日本酒のタイプが異なります。イカの塩辛には意外にも香り華やかな純米大吟醸酒が合い、ホタルイカの燻製には普通酒や本醸造酒などキリっと辛口のタイプがぴったりです。これは味わいの強さと香りの特徴が互いを引き立て合うからです。
お酒は飲み物としてだけでなく、料理食材として幅広く活用できます。日本酒を料理に使うと、食材の旨味を引き出し、煮くずれを防ぐ効果があります。豚汁の隠し味として日本酒を入れることで、これらの効果が得られ、いつもの豚汁がワンランクアップします。
参考)https://www.sawanotsuru.co.jp/site/nihonshu-columm/enjoy/consumption-sake/
魚の煮付けでは、下茹でと味付け両方に日本酒を使うのがポイントです。水と日本酒1:1の割合で下茹でをして魚の臭みを取り、味付けにも日本酒を加えることで魚の旨味を引き出し、味がしみ込みやすくなります。カレーの場合は、水の代わりに日本酒を入れて煮込むと、肉が柔らかくなりコクと旨味がアップします。
焼酎も料理食材として優秀で、肉や魚を焼く前に焼酎で洗うと、アルコールの殺菌効果で血などの汚れを取り除き、きれいに焼き上がります。天ぷらやフライの衣に焼酎を混ぜると衣がサクサクになり、これは揮発しやすく沸点が低いというアルコールの特性により、油で揚げるときに衣の水分が抜けやすくなるからです。
参考)https://tanoshiiosake.jp/7958
お酒を食材として活用する際の意外な方法として、調味料作りがあります。沖縄の調味料「コーレーグース」を参考に、唐辛子を詰めた小瓶に焼酎を注いで一週間ほど寝かせておけば、パスタやうどん、ラーメンに使える辛味調味料が完成します。
漬け物作りにも焼酎が活躍します。一口サイズにカットしたキュウリを、焼酎や塩、砂糖などと一緒にファスナー付きの袋に入れて軽くもみ、冷蔵庫に半日ほど置いておけば、おつまみに最適な焼酎漬けが楽しめます。
さらに驚くべき活用法として、渋柿の渋抜きにも焼酎が使えます。渋柿に焼酎を塗って1週間から3週間ほど寝かせておけば、渋味の原因であるタンニンに作用して渋抜きになります。これは家庭菜園で防虫剤として使ったり、冷蔵庫などのカビ防止剤として使ったりと、食材以外の用途も幅広くあります。
季節の食材とお酒の組み合わせには、日本の四季を活かした美しいマリアージュがあります。春の季節には、おひたしや天ぷらで提供される山菜が定番の肴となります。ワラビ、ふきのとう、タラの芽、行者ニンニクなど様々な山菜の独特な香りと少し苦みのある味わいは、日本酒との相性が抜群です。
参考)https://amanecu.com/?mode=f8
夏の定番食材として枝豆があります。軽く塩茹でするだけで簡単にお酒のお供になる枝豆は、調味料を加えて燻製やガーリック炒めにアレンジすれば、塩茹で枝豆とはまた違った風味や旨味を堪能できます。枝豆は収穫した直後が一番美味しく、鮮度が重要な食材です。
秋から冬にかけては、さっぱりとした味わいのきゅうりが重宝されます。酢の物や和え物、漬物など様々な料理にアレンジできる万能食材で、居酒屋や一般家庭の晩酌での箸休めの料理に最適です。箸休めとは食事の途中で口の中をさっぱりさせるために食べる小品料理のことで、お酒を楽しむ際の重要な役割を果たします。
地域特有の季節食材も見逃せません。富山県のスルメイカの身を細かく切り、イカスミと肝臓を混ぜ合わせ熟成させた「イカの黒作り」、石川県の塩漬けにしたいわしを米糠や麹、唐辛子で1年以上漬け込んだ「こんかいわし」、佐賀県の有明海にしか生息しない希少価値の高い魚「ワラスボ」の干物など、それぞれの土地の気候と文化が生み出した独特の組み合わせがあります。