

冷凍のまま水で洗うと、サルエビの旨みが約3割失われます。
サルエビは体長10cmほどのやや小ぶりなエビで、クルマエビ科サルエビ属に分類されます。別名を「ブトエビ」「トビエビ」とも呼び、地域によっては「川津エビ」と呼ばれることもあります。一般的なエビのイメージより小さく、はがきの横幅(10cm)と同じくらいのサイズ感です。
主な産地は瀬戸内海周辺と九州で、干しエビの原料やエビせんべいの材料としても重宝されています。産卵期は5〜9月とされており、旬は春から夏にかけてが中心です。ただし、現地で水揚げされてすぐに冷凍処理されたものが年間を通じて流通しているため、旬以外の季節でも十分に楽しめます。
サルエビ最大の特徴は、その旨みの濃さにあります。他のエビと比べて脂を感じる旨みが強く、特に頭の中に詰まったミソには凝縮した旨みがたっぷり入っています。これが主です。殻も比較的柔らかいため、素揚げやかき揚げにして殻ごと食べられるのも魅力の一つです。
鮮度の見分け方はシンプルです。頭の部分が黒ずんでいるものは鮮度が落ちているサインで、黒いドリップが出ているものは避けましょう。全体的に色合いがきれいなものが新鮮な証拠です。鮮度が良ければ刺身でも食べられますが、入手した際にすぐ使い切れない場合は冷凍保存が最善策になります。
また、サルエビには健康によい栄養素が豊富に含まれています。低脂質・高たんぱくなのはもちろん、肝機能を高めるタウリン、アンチエイジング効果が期待されるアスタキサンチン(エビ殻の赤い色素)、カルシウムなども含まれています。特にアスタキサンチンはビタミンEの約25倍・ビタミンCの約90倍ともいわれる強い抗酸化力を持つ成分です。殻ごと食べられるサルエビは、これらの栄養素を効率よく摂れる食材といえます。
参考:エビ栄養の成分と効果効能について
一般社団法人日本海老協会「海老の豆知識」
冷凍前の下処理をしっかり行うかどうかで、解凍後の味と食感に大きな差が出ます。下処理が原則です。
まず最初の手順は背ワタ取りです。背ワタはエビの消化器官にあたる部分で、取らずに冷凍・調理すると臭みの原因になり、口当たりも悪くなります。殻付きのままのサルエビは、エビの背が丸まるように持ち、頭から数えて3節目と4節目の間に竹串を刺して貫通させます。そのまま背側に引っ張るようにすると、背ワタがすっと引き出せます。途中で切れてしまった場合は、別の節と節の間に再度竹串を刺して同じ動作を繰り返してください。
次に臭み抜きを行います。殻付きの場合は、エビ8尾に対して塩小さじ1/2・酒大さじ1を目安に使います。ボウルにエビを入れ、塩と酒を振りかけてやさしく揉み込んだあと、ザルに移して流水で洗い流します。この塩と酒は味付けではなく、純粋に臭みを抜くためのものです。殻をむいた場合(むきエビにする場合)は、塩小さじ1/2・片栗粉大さじ1を使います。片栗粉がエビのぬめりや汚れを吸い着してくれます。
最後は水気をしっかり拭き取ることが必須です。キッチンペーパーで全体を優しく押さえるように水気を取ります。脚や尾の間に水分が残りやすいので、念入りに拭き取ってください。水気が残ったまま冷凍すると、解凍時に余分な水分が出て食感を損ないます。
| 下処理の工程 | ポイント |
|---|---|
| ①背ワタを取る | 竹串を3〜4節目の間に刺して引き出す |
| ②塩・酒で揉む(殻付き) 塩・片栗粉で揉む(むきエビ) |
臭み抜きが目的。味付けではない |
| ③流水で洗い流す | 塩・酒・片栗粉をしっかり落とす |
| ④水気を拭き取る | 脚や尾の間も念入りに |
参考:エビの下処理と冷凍方法について詳しく解説されています
ニチレイフーズ「エビの冷凍保存・下処理・解凍方法」(料理研究家 吉田瑞子先生監修)
下処理を終えたサルエビは、できるだけ空気に触れないよう密閉して冷凍することが重要です。冷凍保存が基本です。
殻付き・むきエビの場合は、エビが重ならないように並べてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて空気をしっかり抜いてから口を閉じます。さらに、金属製のバット(なければアルミホイルを敷いたトレー)の上に置いて冷凍するのがおすすめです。金属は熱の伝導率が高いため、より速く凍らせることができ、食感のダメージを最小限に抑えられます。冷凍庫に入れる前に一手間かけるだけで、解凍後の食感が明らかに変わります。これは使えそうです。
保存期間の目安は以下の通りです。
ただし、家庭用冷凍庫は開け閉めによる温度変動があるため、業務用より保存性が落ちます。上記の期間内でも、できるだけ早めに食べきることが理想です。
また、サルエビのかき揚げなどを作り置きして冷凍するのも便利な方法です。揚げたかき揚げは粗熱を取り、余分な油をキッチンペーパーで拭き取ってから冷凍保存袋に入れて空気を抜いて密閉します。油を拭き取ることで冷凍中の酸化を軽減できます。食べるときはトースターやオーブンで温め直すとサクッとした食感が戻りやすくなります。
さらに、サルエビの頭や殻などの残った部分も捨てずに冷凍保存しておくのがおすすめです。出汁の取り材料として、または次回のかき揚げの具材として再利用できます。殻に含まれるアスタキサンチンや旨み成分が出汁に溶け出すため、味噌汁やパスタソースが格段に旨くなります。捨てずに冷凍が正解です。
冷凍したサルエビをおいしく食べるには、解凍方法が命です。間違った解凍をすると食感が台無しになります。
最もおすすめの解凍方法は「塩水解凍」です。海水に近い塩分濃度3%の塩水(水200mlに対して塩小さじ1が目安)に冷凍エビを入れ、常温で10〜15分おくだけです。塩水に浸けることで、エビから余分な水分や旨みが流れ出るのを防げます。解凍後はザルに上げて水気を切り、臭みが溶け込んだ塩水は捨ててから流水でさっと洗いましょう。
重曹を使う「重曹水解凍」という方法もあります。水500mlに重曹大さじ2を溶かした液にエビを浸けて同様に解凍すると、重曹のアルカリ成分がエビのタンパク質に作用し、塩水解凍以上にプリプリとした食感に仕上がります。重曹は食用のものを使ってください。スーパーのベーキングソーダコーナーで100円前後から購入できます。
一方、やってはいけない解凍方法があります。電子レンジでの加熱解凍と、常温の水道水への直接浸けはNGです。電子レンジは熱が入りすぎて身が固くなり、水道水への浸けは旨みと栄養素が流れ出てしまいます。急いでいるときでも、塩水解凍なら10〜15分という短時間で済むので、ぜひこの方法を選んでください。
なお、解凍後のサルエビに生臭みが気になる場合は、片栗粉を揉み込んで洗い流す工程を追加すると解決します。片栗粉がぬめりと臭みを吸い着してくれるため、すっきりした仕上がりになります。もみ込む際の量はエビ8尾に対して大さじ1程度が目安です。
冷凍から解凍したサルエビは、幅広い料理に活用できます。特に小ぶりなサルエビならではの強みを活かしたレシピを3つ紹介します。
① かき揚げ(殻ごと丸ごと使えるのが最大の魅力)
天ぷらにすると頭が小さすぎて扱いにくいサルエビも、かき揚げなら頭ごと揚げられます。解凍・下処理後のサルエビ(頭を取る場合は触覚と背ワタだけ取ればOK)の水気をしっかり拭き取り、小麦粉と片栗粉を同量混ぜた衣でまとめます。人参やタマネギなど冷蔵庫の残り野菜を細切りにして加えると、ボリュームも増して経済的です。170〜180℃の油に入れ、触らずに片面が色づいたら裏返してカラッと揚げれば完成です。殻ごと食べると香ばしさと甘みが増し、カルシウムとアスタキサンチンも一緒に摂れます。
② 塩ゆで(シンプルが一番旨みを感じられる食べ方)
1Lのお湯に塩小さじ2を溶かして沸騰させ、解凍・下処理済みのサルエビを入れます。再沸騰したら火を止め、ザルに上げてそのまま余熱で蒸らすのがコツです。茹ですぎると身が縮んで固くなるため、再沸騰直後に火を止める点が重要です。シンプルな塩味の中にサルエビ特有の旨みが際立ちます。そのままでもおいしいですし、マヨネーズを添えても相性抜群です。茹でたサルエビはそのまま冷凍しておくと、チャーハンやグラタン、パスタの具材としてすぐに使えて便利です。
③ 素揚げ(頭から殻まで丸ごと食べられる栄養まるごとレシピ)
解凍・下処理後のサルエビの触覚と背ワタを取り、キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。低温(150〜160℃)の油でじっくり5分以上揚げたあと、最後に高温(180℃)に上げてカラッと仕上げるのがコツです。低温からじっくり揚げることで、頭や殻まで食べられる仕上がりになります。味付けなしでも殻の香ばしさと身の甘みが楽しめます。小腹が空いたときのおやつやビールのおつまみとしても最適です。
塩ゆでしたサルエビを大量に作り置きして冷凍保存しておくと、毎日の料理の時短につながります。チャーハンに加えるだけで一気に贅沢感が出ます。冷凍ストックとして活用しましょう。
参考:サルエビの産地・特徴・おすすめの食べ方について
高松市中央卸売市場「旬の魚介 サルエビ」
参考:サルエビを使ったレシピ6選の詳細はこちら
漁師さん直送市場「サルエビの通販とおすすめレシピ6選」