

トマトを入れないミートソースは、むしろ赤いミートソースより栄養バランスが良く、子どもの胃にもやさしいと言われています。
「ラグービアンコ」という名前を初めて聞いた方も、意味を知ればすぐに納得できます。イタリア語で「ラグー(ragù)」は煮込み、「ビアンコ(bianco)」は白という意味です。つまり「白い煮込みソース」のこと。一般的なボロネーゼ(赤いミートソース)はトマトをたっぷり使いますが、ラグービアンコはトマトを一切使いません。その代わりに白ワインと香味野菜、そして肉の旨みだけでソースを仕上げます。
日本ではトマトのミートソースが「定番」という認識が強いため、「トマトなし=物足りない」と思いがちです。ところが実際は逆で、素材の旨みがダイレクトに感じられる分、むしろ上品でコクのある味わいになります。素材の味が引き立つということですね。
赤いミートソース(ボロネーゼ)との主な違いをまとめると、次のようになります。
| 比較項目 | ラグービアンコ | ボロネーゼ |
|---|---|---|
| トマト | 使わない | 大量に使う |
| 色合い | 白〜ベージュ | 赤みがかった茶色 |
| 白ワイン | 必須 | 赤ワインを使う場合が多い |
| 味の特徴 | 素材の旨みが前面に | トマトの酸味とコクが特徴 |
| 代表的なハーブ | ローズマリー、セージ | バジル、オレガノ |
| 調理時間 | 約15〜20分(簡易版)| 1時間以上の本格版が多い |
実はイタリア国内では、ラグービアンコはトスカーナ州をはじめ北部・中部の複数の地域で昔から食べられている伝統的な家庭料理です。日本の「ミートソース=赤」という常識は、イタリア全体では当てはまらないというわけです。意外ですね。
トマトが苦手な子どもや、胃にやさしいものを食べたいときにも向いています。牛肉の代わりに鶏むね肉を使えば消化負担がさらに軽くなり、体調を崩しがちな季節にも取り入れやすい一皿です。
キユーピー3分クッキング公式レシピ(ワタナベマキ先生監修):ローズマリーを使ったラグービアンコの材料・作り方の詳細はこちら
まず材料から確認しましょう。基本の1人分(約80gのパスタを使用)は次のとおりです。
- パスタ:80g
- 合挽き肉(または豚ひき肉):80〜100g
- 玉ねぎ(みじん切り):1/8個
- にんにく(みじん切り):1かけ
- オリーブオイル:大さじ1
- 白ワイン:大さじ1〜2
- パスタの茹で汁:お玉1/2〜1杯程度
- ローズマリーまたはイタリアンパセリ:適量
- 塩・ブラックペッパー:適量
これが基本の材料です。シンプルな構成が基本です。
ひき肉の選び方に少しこだわると、仕上がりが大きく変わります。牛と豚を1:1で混ぜた合挽き肉は、コクと旨みのバランスが良いため最も扱いやすい選択肢です。豚ひき肉だけで作る場合は甘みが前面に出て、玉ねぎの旨みとよく合います。一方、鶏ひき肉(特に鶏むね肉のミンチ)はあっさりしていて高タンパク低脂質なので、ヘルシーに仕上げたいときに向いています。
白ワインは「料理用で十分」と思いがちですが、少量ながらも風味に直結します。飲んでも美味しいと感じる白ワインを100〜200円ほどプラスするだけで、仕上がりの香りが格段に変わります。これは試してみる価値ありです。もし白ワインが手元にない場合は、料理酒+レモン汁(大さじ1に対してレモン汁小さじ1程度)で代用できます。
作り方の手順は以下のとおりです。
1. フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、弱火で香りを出す
2. 玉ねぎと塩ひとつまみを加えて透明になるまで炒める
3. ひき肉を加えてほぐしながら炒め、色が変わったら白ワインを回し入れる
4. アルコールが飛んだら茹で汁(お玉1/2〜1杯)とハーブを加えてなじませる
5. 茹で上がったパスタとオリーブオイルを加えて素早く絡め合わせる
6. 塩・ブラックペッパーで味を調えて盛り付け、仕上げにハーブをトッピング
調理時間は約15分程度です。パスタを茹でている間にソースが完成するのが、このレシピの最大の魅力です。手順3の白ワインを加えるタイミングで、しっかりアルコールを飛ばすのが風味を引き出す条件です。
BINANPASTA公式レシピ:合挽き肉を使った詳細な手順と動画つきのラグービアンコ作り方はこちら
ラグービアンコの味の決め手は、ハーブと白ワインの扱い方にあります。この2点を押さえておけばOKです。
まずハーブについてです。最もよく使われるのがローズマリーで、肉の臭みを消しながら松のような清涼感のある香りを加えます。セージは少量でもバターのようなコクが生まれ、ローズマリーと組み合わせると奥行きのある香りになります。イタリアンパセリはフレッシュな青みを加えるために仕上げに使われることが多く、3種を使いこなすことが本場イタリアのラグービアンコに近づく一歩です。
ただし、ローズマリーは使いすぎると苦みが出ます。目安は1〜2本程度(枝ごと入れる場合は最後に取り出す)。セージは葉を2〜3枚程度に抑えると、風味が突出せずまとまりが出ます。ハーブは量よりタイミングが大切です。
白ワインを加えるタイミングもポイントです。ひき肉の色が変わった直後に加えるのが正解で、このとき火を少し強めてアルコールを飛ばします。アルコールが残ると料理全体に雑味が出るため、湯気が落ち着くまでしっかり待ちます。市販の料理用白ワインでも十分ですが、カテゴリ的にはソーヴィニヨン・ブランやピノ・グリジオなど、酸味が穏やかで飲みやすい辛口のものがラグービアンコには向いています。
白ワインの香りと肉の旨みが合わさったとき、ソースが一気に深みを帯びます。厳しいところですね、慣れるまでは少量から試すのが安心です。失敗したと感じたら少量の塩とブラックペッパーで整えれば問題ありません。
また、仕上げにパルミジャーノレッジャーノ(粉チーズ)をひとふりするとコクと塩気が補われて、レストランのような完成度になります。粉チーズは市販の容器入りで十分で、少量加えるだけで味の輪郭がくっきりします。これは使えそうです。
ラグービアンコのソースは、パスタの形との相性が仕上がりに直結します。形ひとつで全然違います。
まず「フジッリ」はらせん状の形で、くぼみにソースが入り込みやすいため、ひき肉の細かい粒ともよく絡みます。キユーピー3分クッキングでもワタナベマキ先生がフジッリを推奨しています。「タリアテッレ」は幅5mm前後の平打ちパスタで、ラグーソースとの相性が非常に良く、本場トスカーナでも定番の組み合わせです。また「ペンネ」はソースがチューブの中に入り込むため、食べごたえと風味の濃さが増します。
一方、細いスパゲッティ(1.4mm以下)はラグービアンコのような肉入りの濃いソースとは相性がやや悪く、ソースを支えきれずに滑り落ちやすいです。スパゲッティを使う場合は1.7〜2.0mm以上の太めを選ぶのが原則です。
次に「茹で汁の乳化」についてです。ラグービアンコを含む多くのイタリアンパスタでは、茹で汁がソースのつなぎとして非常に重要です。パスタを茹でるお湯には、茹でている間にパスタからデンプンが溶け出しており、このデンプンがオリーブオイルと水を乳化させてくれます。乳化が成功するとソースが白くとろりとなじみ、まさにお店の味になります。
乳化を成功させるための注意点は次の3つです。
- 茹で汁は一気に入れない。少量ずつ加えてその都度混ぜる
- 茹で汁はパスタを茹で始めてすぐではなく、茹で上がる直前のものを使う(デンプンが濃い)
- フライパンの温度が高すぎると飛び跳ねるため、茹で汁を入れる前に火を一度弱めるか止める
失敗の原因は「一気に入れること」と「デンプンが薄い初期の茹で汁を使うこと」の2点が大半です。乳化に注意すれば大丈夫です。
パスタ100gに対して茹でるお湯は1リットル以上が目安で、水の量が少ないと茹で上がりがべちゃっとなりやすく、乳化用の茹で汁のデンプン濃度も下がります。大きめの鍋を使うことが条件です。
ラグービアンコのソースは、実はまとめて作っておくほど本領を発揮する料理です。これが独自視点のポイントです。
ひき肉や香味野菜を煮込んだラグーソースは、冷蔵で4〜5日、冷凍なら約3週間の保存が可能です。冷凍保存の場合はジップロックなどに1回分(80〜100g程度)ずつ小分けにして平らに冷凍しておくと、使いたいときに必要な分だけ取り出せます。日持ちの点では優れた作り置きメニューです。
冷凍したソースを使うときは、前日夜に冷蔵庫へ移して自然解凍するか、電子レンジの解凍機能を使います。解凍後はフライパンで軽く温め直し、茹でたてのパスタと茹で汁を加えて絡めるだけで、5分以内に本格パスタが完成します。平日の夕食にこれほど頼れる作り置きはありません。
週末に仕込む際のコツは、分量を4〜6人前でまとめて作ることです。玉ねぎをじっくり炒める工程が最も時間がかかりますが、量が増えても手間はほとんど変わりません。むしろ多めに作ったほうが香味野菜の旨みが出やすく、ソース自体の完成度が上がります。つまり「多めに作るほど美味しい」のがラグーの特性です。
さらに、ラグービアンコのソースはパスタ以外にも使い道があります。トーストに乗せてオープンサンドにしたり、ラザニアの具材にしたり、ご飯に乗せてドリア風にアレンジしたりと、バリエーションは豊富です。冷凍ストックがあると献立の幅が格段に広がります。
ソースを冷凍する際はなるべく完全に冷ましてから容器に入れ、空気をしっかり抜くと風味が保たれます。1か月以上経過すると冷凍焼けで品質が落ちるため、3週間以内に使い切るのが目安です。期限は3週間が原則です。
週末のパスタ仕込みが習慣になると、平日の「何作ろう」というストレスが大幅に減ります。料理が好きな方はもちろん、忙しい平日に手を抜きたい方にこそ、ラグービアンコの作り置きはおすすめです。
Nadia公式レシピ:豚ラグーの冷蔵4〜5日・冷凍3週間保存の詳細レシピはこちら

ルスティケーラダブルッツォ トンナレッリ・アル・ペペロンチーノ 500g Rustichella d’Abruzzo Pasta Tonnarelli al peperoncino 高級パスタ イタリア産 唐辛子 [並行輸入品]