

クリームチーズを使うたびに「高いな…」と感じているなら、実は大損しています。
「ラバネ」という言葉を初めて聞いた方も多いかもしれませんが、実は数千年の歴史を持つ由緒ある発酵食品です。ラバネ(Labneh/Labane)とは、レバノンやパレスチナをはじめとする中東・地中海地域で昔から親しまれてきた「水切りヨーグルトチーズ」のこと。プレーンヨーグルトをチーズクロス(さらし布)やキッチンペーパーで一晩包み、乳清(ホエイ)を抜いて仕上げるシンプルな食品です。
仕上がりはクリームチーズのようななめらかさと、ヨーグルト特有の爽やかな酸味が合わさった独特の風味です。つまり、チーズとヨーグルトの中間にあるような食べ物といえます。中東では朝食の定番として、オリーブオイル・ザアタル(スパイスミックス)・焼きたてパンとともにテーブルに並ぶことが多く、毎日のように食べられています。
日本ではまだマイナーな存在ですが、近年の発酵食品ブームや「腸活」への関心の高まりから、料理家やシェフの間で注目度が急上昇しています。料理コンサルタントの丸山智博さんも「ラブネ(ラバネ)の爽やかな酸味は料理の幅を広げてくれる」と語っており(出典:丸山智博さんコメント、丸コメ発酵特集記事)、プロの間での評価も非常に高い食品です。
水きりヨーグルト・ラブネでサラダを格上げ!「cherche」丸山智博さんのコメントと活用レシピ(丸コメ公式)
発音については「ラバネ」「ラブネ」どちらも同じ食品を指します。地域や言語によって呼び方が異なるだけなので、同じものとして覚えておけば問題ありません。
「ヨーグルトから作るチーズ」と聞くと、どうしても栄養が薄くなりそうなイメージを持つ人も多いはずです。でもそれは大きな誤解です。
水切りをすることで、ヨーグルトに含まれる栄養素が一気に凝縮されます。明治の研究データによると、水切りヨーグルト100g中のタンパク質は約6.5gで、普通のプレーンヨーグルト(3.4g)の約2倍に達します。ラバネはさらに長時間・しっかり水切りをするため、100gあたり10〜15gものタンパク質が含まれています。
一方でカロリーはどうでしょうか。クリームチーズは100gあたり約346kcalで、脂質も30g超と非常に高め。対してラバネは100gあたり約75〜150kcal程度(使うヨーグルトの種類や水切り度合いによって変わります)に収まります。つまり、カロリーはクリームチーズの半分以下になることも多いのです。
| 食品(100gあたり) | カロリー | タンパク質 | 脂質 |
|---|---|---|---|
| クリームチーズ | 約346 kcal | 約8 g | 約30 g |
| ラバネ(水切りヨーグルト) | 約75〜150 kcal | 約10〜15 g | 約5 g |
| 普通のプレーンヨーグルト | 約62 kcal | 約3.4 g | 約3 g |
これは使えそうです。
さらに、ラバネはプロバイオティクス(乳酸菌)を豊富に含む発酵食品。腸内環境を整える善玉菌を生きたまま摂取できる点も大きな魅力です。カルシウムとカリウムも豊富なため、骨の健康や血圧の安定にも役立つとされています。
水切りするとタンパク質が約2倍に。明治ヨーグルトライブラリーによる栄養成分比較データ
加えて、通常のヨーグルトに比べてラバネは乳糖が少ない点も見逃せません。水切りの過程で乳清と一緒に乳糖も排出されるため、乳糖不耐症気味の方でも比較的消化しやすいとされています。ヨーグルトを食べると「お腹がゆるくなりやすい」と感じている場合は、ラバネにすることで改善できることもあります。
「チーズを手作り」と聞くと難しそうに感じるかもしれません。でも安心してください。
ラバネの基本材料は「プレーンヨーグルト」と「塩」だけ。特別な道具も、特別な技術も必要ありません。
【基本の材料】(作りやすい分量)
- プレーンヨーグルト:400〜500g(無糖タイプ)
- 塩:小さじ1/2〜1(約2〜3g)
【必要な道具】
- ザル(または茶こし)
- キッチンペーパー(3重にする)またはさらし布・ガーゼ
- 大きめのボウル(ホエイを受けるため)
- ラップまたはふた
【作り方】
1. ボウルの上にザルをのせ、キッチンペーパーを3重に敷く
2. ヨーグルトに塩をよく混ぜてから、キッチンペーパーの上に乗せる
3. ラップをして、冷蔵庫に入れる
4. 12〜24時間後にキッチンペーパーから取り出す
これで完成です。
水切り時間の目安は次の通りです。
- 12時間:ソフトタイプ(スプレッドやディップに最適)
- 24時間:クリームチーズに近い固さ(ケーキや塗り物に最適)
- 48時間以上:ボール状に丸められるほどしっかりした固さ(オリーブオイル漬けに最適)
400gのヨーグルトから作ると、完成量はおよそ130〜150g程度になります。水切りで全体の1/3ほどに減りますが、その分栄養が凝縮されているということです。
また、水切り中に出てくる液体(ホエイ)は「乳清」と呼ばれる栄養満点のエキスです。捨てずにスープやパン生地、スムージーに加えると、タンパク質やビタミンB群をしっかり摂れます。ホエイは冷蔵庫で3〜4日ほど保存できます。
水切りヨーグルトでラバネ(ヨーグルトチーズ)作り|楽天レシピ掲載の基本レシピ
「手作りは面倒」と思っている方も、この節約効果を知れば考えが変わるかもしれません。
市販のクリームチーズ(200g入り)の価格は、スーパーで500円前後するものが一般的です。一方、プレーンヨーグルト(400〜500g)は特売で100〜150円台で手に入ることも珍しくありません。自家製ラバネを作ると材料費は100〜200円程度で済み、毎回の出費を300〜350円以上節約できる計算になります。
実際にあるブログ著者がヨーグルトでクリームチーズの代用品を作ったところ、「特売のヨーグルトで代用したら350円くらい節約できた」と紹介しています(出典:bistromayumi公式ブログ)。
チーズケーキや料理にクリームチーズを月に2〜3回使う家庭なら、月600〜1,000円以上の節約も十分ありえます。年間で換算すると7,200〜12,000円。知っているのと知らないのでは、大きな差になります。
ただし、節約だけが目的ではありません。ラバネは添加物なしのナチュラルな発酵チーズである点も大きなメリットです。市販のクリームチーズには安定剤・乳化剤・酸化防止剤などが含まれていることが多い一方で、自家製ラバネは原材料がヨーグルトと塩だけ。「子どもに添加物を極力食べさせたくない」という方にも安心して使えます。
市販のラバネ(ラブネチーズ)も存在します。Oisixなどの通販サイトではトルコ産のラブネチーズが販売されており、手軽に本格的な味を楽しめます。忙しいときはこういった既製品を活用し、余裕があるときに手作りするのが上手な使い分け方です。
一度作ってしまえば、使い道は本当に幅広いです。
クリームチーズと同じ感覚で使えるので、すでに持っているレシピをそのままラバネに置き換えるだけでも十分です。以下に代表的な活用法を4つ紹介します。
🥖 ①パンへのスプレッドとして
トーストしたパンにラバネをたっぷり塗り、上からオリーブオイルをひとかけ。お好みでハーブ(ミント、ディル、パセリ)や黒こしょうを振ると、一気に地中海風の朝食に変わります。シンプルですが、これだけで十分においしい一品になります。
🥗 ②ディップとして野菜やクラッカーと
ラバネにおろしニンニク少量・オリーブオイル・塩を混ぜたガーリックハーブ風ディップは、野菜スティックやクラッカーとの相性が抜群です。料理家・丸山智博さんいわく「ラブネとにんにくの相性は抜群で、食欲をそそる香りが加わって、シンプルなサラダをごちそうにしてくれる」とのことです。
🎂 ③チーズケーキの代用材料として
ベイクドチーズケーキやノーベイクのレアチーズケーキのレシピで、クリームチーズをラバネに置き換えることができます。若干の酸味があるため、むしろ本格的なチーズケーキらしい風味に仕上がると好評の声も多いです。ヨーグルト特有のさっぱり感が加わるため、重たくなりすぎず、食べやすいのも魅力です。
🫙 ④オリーブオイル漬けで保存食として
48時間以上しっかり水切りしたラバネを小さなボール状に丸め、清潔な瓶にオリーブオイル・ハーブ・赤唐辛子と一緒に漬け込むと、中東の伝統的な保存食が完成します。冷蔵庫で2〜3週間の保存が可能です。見た目もおしゃれなので、手土産やパーティーの前菜プレートにも活用できます。
残ったラバネは密閉容器に入れ、冷蔵庫で3〜4日を目安に使い切るのが基本です。普通に冷蔵保存する場合はこの期間内に食べきることを意識してください。
「腸活のためにヨーグルトは食べているけれど、続かない」という悩みを持つ方は少なくありません。そんな方にこそ、ラバネはおすすめです。
ラバネが腸活に有効な理由は大きく3つあります。
1. 生きたプロバイオティクスを豊富に含む
ラバネはヨーグルトを加熱せずに水切りして作るため、乳酸菌が生きたまま残っています。市販のプロセスチーズや加熱処理されたチーズには乳酸菌が含まれないことが多いのと対照的です。腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の繁殖を抑える働きが期待できます。
2. 乳糖が少なく消化しやすい
水切りの過程でホエイ(乳清)が除去されます。乳糖は主にホエイに含まれているため、ラバネは通常のヨーグルトよりも乳糖が少ない状態になっています。お腹がゆるくなりやすい体質の方でも、比較的取り入れやすい乳製品です。
3. タンパク質が腸壁の修復を助ける
腸内環境を整えるには、腸壁の健康を保つことが大切です。タンパク質は腸の粘膜細胞の原料となるため、高タンパクなラバネは腸活においても理にかなった食品といえます。
毎日続けやすい食べ方として、朝食のトーストにラバネを塗ったり、サラダのドレッシング代わりにラバネ+オリーブオイル+塩を混ぜて使うのが手軽でおすすめです。腸活のためにヨーグルトを毎日食べていたのと変わらない手間で、よりバリエーション豊かな活用ができます。
腸活を本格的に始めたい方には、プロバイオティクスが豊富なヨーグルトを選ぶことも重要なポイントです。LG21や BB536などの菌株が入ったヨーグルトを原料にすると、さらに腸活効果が高まるとされています。ラバネを作る際のヨーグルト選びの際に参考にしてみてください。
ラブネ(ラバネ)の栄養・プロバイオティクスの詳細情報|Loyal Machines 発酵乳製品ガイド
腸活の観点からいえば、ラバネは食べるだけで「高タンパク・低乳糖・プロバイオティクス豊富」という三拍子が揃う非常に効率的な食品です。継続しやすい形で食生活に取り入れるのが、腸活を長続きさせるコツです。