

臭いが強いチーズほど、加熱すると香りが飛んで味は逆に7割増しで濃くなります。
マンステールチーズは、フランス北東部のアルザス地方ヴォージュ山脈の谷に位置するマンステールの地が原産です。その歴史は深く、7世紀ごろにアイルランドからやってきた修道士たちが作り始めたとされています。チーズの名前も、フランス語で「修道院」を意味する「モナステール」という町の名前に由来しており、まさに修道院が生んだチーズです。
ウォッシュタイプとは、熟成中に塩水で表面を繰り返し洗って育てるチーズのことを指します。この洗浄によって表面にリネンス菌が育ち、あのオレンジ色の外皮と強烈な香りが生まれます。実はこのリネンス菌、納豆菌と同じ仲間。だから匂いも独特なのです。
外観は直径13〜19cm(大型の場合)、高さ2.4〜8cm程度。スーパーの丸いカマンベールよりひと回り大きいイメージです。外皮はしっとりとオレンジ色に色づいており、中身は光沢のあるクリーム色をしています。固形分中の乳脂肪は最低45%と豊かで、口に入れると滑らかな口溶けが広がります。
1969年にはA.O.P(EU統一の原産地名称保護)を取得しており、品質が国際的に保証された本格チーズです。これが条件です。
| 項目 | 内容 |
|------|------|
| 🇫🇷 原産国 | フランス(アルザス地方) |
| 🐄 原料乳 | 牛乳 |
| 🧫 タイプ | ウォッシュ |
| ⏱️ 熟成期間 | 大型:最低21日間、小型:最低14日間 |
| 🧈 乳脂肪 | 固形分中最低45% |
| 🔥 カロリー | 100gあたり約365kcal |
マンステールの最大の魅力は、香りと味わいのギャップです。外皮の発酵臭はかなり強く、初めて嗅いだときは「本当に食べられる?」と思うほど。ところが実際に食べると、ミルクのコクと甘みがじんわり広がり、塩気も穏やかで非常に食べやすい。意外ですね。このギャップを知ると、むしろ「クセが強いチーズが苦手」という方にも挑戦してほしくなります。
チーズの表面に白い粒が出てくることがありますが、これはカルシウムが結晶化したものなので食べても問題ありません。安心して召し上がってください。
雪印メグミルク チーズクラブ「マンステール」辞典:基本情報・産地・製法を詳しく解説
初めてマンステールを手に入れたとき、多くの方が迷うのが「この匂い、そのまま食べていいの?」という点です。大丈夫です。この強烈な香りはウォッシュチーズとして正常な状態であり、むしろ食べ頃のサインでもあります。
そのまま食べる場合の最もシンプルかつ効果的な方法が、クミンシードをひとつまみかけることです。クミンシードの個性的な芳香と清涼感ある後味が、外皮の発酵臭を見事に抑えながらチーズの旨みを引き立ててくれます。フランスのアルザス地方では、マンステールとクミンの組み合わせはあまりに王道で、最初からクミン入りで販売されているほどです。
外皮の香りがどうしても気になる場合は、ナイフで外皮だけを薄く削ぎ取ってから食べる方法もあります。中身は驚くほどマイルドですので、臭いが苦手な方でもこの方法なら楽しみやすいはずです。
食べるときの温度も重要なポイントです。冷蔵庫から出したてではなく、食べる30分前から室温に戻すことで、チーズの風味が最大限に引き出されます。冷たい状態ではコクと旨みが閉じてしまい、本来の美味しさが半減してしまいます。これが原則です。
| 合わせ方 | おすすめ | 特徴 |
|---|---|---|
| 🌿 スパイス | クミンシード | 発酵臭を中和し旨みを引き立てる |
| 🍞 パン | ライ麦パン・バゲット | チーズの風味をしっかり受け止める |
| 🍷 お酒 | アルザス産白ワイン・赤ワイン | 同郷合わせで味わいが深まる |
| 🍯 甘み | アカシアはちみつ・フランボワーズジャム | 塩気とのコントラストが絶品 |
| 🍵 飲み物 | アールグレイ | ベルガモットの香りが旨みを広げる |
はちみつとの組み合わせも見逃せません。チーズのコクのある塩味と、はちみつの上品な甘みが口の中で溶け合い、デザート感覚でいただけます。アカシアはちみつのように穏やかな味のものや、甘酸っぱいフランボワーズジャムも絶好の相性です。これは使えそうです。
ワインとのマリアージュを楽しむなら、同郷のアルザス産白ワインが鉄板です。ゲヴュルツトラミネールのような果実味豊かなタイプとの相性は特に評判が高く、赤ワインならカベルネ・ソーヴィニヨンなど中重口のものが旨みを一層引き立てます。チーズとお酒は同郷合わせが基本です。
東京デーリー チーズマガジン「ウォッシュタイプ マンステールの紹介」:クミン・じゃがいも・チーズソースなど食べ方を詳しく解説
香りが気になる方に特におすすめしたいのが、加熱して使うアレンジです。火を入れることで外皮の強い発酵臭が穏やかに飛び、代わりにチーズの濃厚な旨みとコクだけが料理に溶け込んでいきます。まさに「香りは弱く、うまさは強く」なる調理法です。
マンステールとじゃがいものグラタンはフランスの定番料理のひとつで、材料はとてもシンプルです。
🥔 材料(2人分)
- マンステール…1/2個
- じゃがいも(皮をむく)…250g(中サイズ2個弱程度)
- ベーコン(短冊切り)…30g
- 牛乳…100ml
- 生クリーム…100ml
- 塩・白こしょう・ナツメグ…各少々
🍳 作り方のポイント
- じゃがいもは5mm厚さにスライスし、水にさらさずそのまま牛乳と生クリームで煮ること。水にさらすと自然なとろみが出なくなります。
- マンステールは皮を上にしてのせることで、焼いたときに皮の香りがグラタン全体に適度に広がります。
- 220℃のオーブンで焼き色がつくまで焼けば完成です。
ホワイトソースが不要なのでとても手軽です。じゃがいものでんぷんが牛乳と生クリームと煮詰まり、自然にとろみのあるソースになります。手間が省けるということですね。
もっとお手軽な一品として、じゃがいものマンステールのせがあります。ゆでたじゃがいも(中サイズ1個・約150g)の上にマンステールを15g程度のせてオーブントースターで2〜3分焼くだけです。上からクミンシードをひとつまみかければ、本場アルザスの味わいが自宅で再現できます。
マンステールのチーズソースも覚えておくと重宝します。マンステールを生クリームやブランデーと一緒に弱火で溶かし、温野菜・パスタ・お肉のソースとして使う方法です。ただし加熱中は臭いがかなり強く出ますので、必ず換気扇を強にして作ることを忘れずに。
東京デーリー「マンステールとじゃがいものグラタン」レシピ:材料と手順を詳しく掲載
料理研究家・平野由希子さんが紹介したことでも話題になった「はちみつクミンのチーズトースト」は、マンステールのアレンジの中でも特に手軽で、初めての方にも作りやすいレシピです。
🍞 はちみつクミンのチーズトースト(2人分)
- バゲット(薄切り)…6枚
- マンステール…50g
- クミンシード…適量
- はちみつ…適量
バゲットにスライスしたマンステールをのせてクミンをふり、はちみつをかけてオーブントースターで焼き色がつくまで焼くだけです。甘じょっぱさとスパイスの香りが合わさり、チーズが溶けてとろけた状態でいただきます。白ワインはもちろん、アールグレイとの組み合わせも好評です。
意外な使い方としておすすめなのが、マンステールのプリン(サヴォリー・プディング)です。マンステール50gに生クリーム50ml・牛乳50ml・卵1個を混ぜ合わせ、ロースターで150℃・30分湯煎焼きにします。仕上げにキャラウェイシードをのせればアペリティフ(食前の一品)に、ベリージャムをのせればデザートにもなります。チーズをデザートに使うという発想は、まさに「香りは強くても味はマイルド」なマンステールならではです。
また、雪印メグミルクのフロマジェ(チーズのプロ)が紹介するアレンジでは、ライ麦パン+くるみ+アカシアはちみつ+フランボワーズジャムの組み合わせが提案されています。どっしりとしたライ麦パンの噛みごたえとナッツの香ばしさが、マンステールの旨みを最大限に引き出してくれます。
🧀 マンステールのアレンジまとめ
| アレンジ | 難易度 | 時間目安 | ポイント |
|------|------|------|------|
| クミンかけてそのまま | ★☆☆ | 1分 | 室温に戻すのが大切 |
| はちみつクミントースト | ★☆☆ | 5分 | 焼き色がつくまでしっかり焼く |
| じゃがいもチーズ焼き | ★★☆ | 15分 | クミンをのせるのが本場流 |
| グラタン | ★★☆ | 30分 | 水にさらさずそのまま煮る |
| チーズソース | ★★☆ | 10分 | 換気必須 |
| プリン(プディング) | ★★★ | 50分 | 甘みトッピングでデザートに |
マンステールを買ったはいいものの、「冷蔵庫に入れたら他の食品に臭いが移ってしまった」という声は少なくありません。これは保存方法を知らないと起こりやすいトラブルです。保存方法が条件です。
マンステールの保存でやってはいけないのが、ラップで密着して包むことです。ウォッシュチーズは生きており、外から呼吸しながら熟成を続けています。ピッタリとラップで覆うと蒸れてチーズが傷みやすくなり、うまみも損なわれます。
正しい保存手順は次のとおりです。
- 📄 チーズ専用紙またはクッキングシートで包む(密閉しすぎず、軽く包む程度)
- 🥡 その上からジッパー付き保存袋や密封容器に入れる(ここでしっかり密封して臭い漏れを防ぐ)
- 🥬 冷蔵庫の野菜室で保存(温度が安定しており、チーズに適した湿度を保てる)
- 📅 開封後は1週間を目安に食べきる
外皮のベタつきが気になるときは、キッチンペーパーで軽く押さえてから保存すると扱いやすくなります。これだけ覚えておけばOKです。
なお、冷凍保存は厳禁です。冷凍するとチーズの組織が壊れ、解凍後に食感がボソボソになり風味も大きく損なわれます。チーズ全般に共通のルールとして覚えておきましょう。
マンステールが購入できる場所としては、成城石井(アトレ目黒2店など各店舗)や輸入食品専門店、チーズ専門店が挙げられます。オンラインでは「チアーズ(Cheers77)」などのチーズ専門通販で1個約200gのマンステール・ジェロメが購入できます。価格はお店によって異なりますが、100gあたり800〜1,500円程度が目安です。
冷蔵保存中にアンモニア臭(ツーンとした刺激臭)が出てきたり、異様に水っぽくなったりした場合は劣化のサインです。その場合は食べるのを控えてください。通常のマンステール特有の発酵臭とアンモニア臭は異なりますので、購入時の状態と比較して判断してください。
マンステールチーズは、単においしいだけでなく栄養面でも優秀な食材です。100gあたりのエネルギーは約365kcalで、たんぱく質は21gと豊富です。日常の食事に取り入れるなら、1回20〜30g程度(スライス1〜2枚分ほど)が目安量として適切です。
チーズに含まれるカルシウムは吸収率が高いことで知られています。牛乳のカルシウム吸収率が約40%であるのに対し、チーズなどの乳製品は同等かそれ以上の吸収率を持ちます。育ち盛りの子どもや、骨密度が気になる世代の女性にとっては積極的に取り入れたい栄養素です。
また、ウォッシュチーズ特有のリネンス菌には腸内環境へのアプローチが注目されており、発酵食品として腸活の観点からも関心が高まっています。チーズが発酵食品であるという点は、味噌や納豆と同じように「毎日の食卓に取り入れやすい発酵食品」として考えると、使い方の幅が広がります。いいことですね。
🔍 マンステール100gあたりの主な栄養成分(推定値)
| 栄養素 | 量 |
|------|------|
| エネルギー | 約365kcal |
| たんぱく質 | 約21g |
| 脂質 | 固形分中45%以上 |
| カルシウム | チーズ全般:100gで約600〜800mg(種類による) |
チーズは脂質が多いから太るというイメージを持つ方が多いのですが、実は雪印メグミルクの情報によると、チーズの脂肪は燃焼しやすい性質を持っており、適量であれば過度に太る食品ではないとされています。スライスチーズ2〜3枚、または1回20〜40g程度を目安に、主食や料理に取り入れるのがおすすめの使い方です。
1日に食べる適量の目安としては、一般的に40〜60g程度とされています。スライスチーズなら約2〜3枚分です。マンステールのように濃厚なチーズは少量でも満足感が高いため、食べすぎを防ぎやすいという点も家計的にはメリットです。結論はこれです。
マンステールのようなナチュラルチーズは、熟成の過程でたんぱく質がアミノ酸に分解されており、消化・吸収もスムーズです。子どもから大人まで取り入れやすいチーズですが、乳製品のアレルギーがある場合は注意が必要です。