
フランボワーズとラズベリーの違いを理解するには、まずその名前の由来を知ることが重要です。「フランボワーズ(framboise)」はフランス語で、「ラズベリー(raspberry)」は英語表記です。どちらも同じ果実を指していますが、言語による呼び名の違いがあるのです。
日本では長らく、特に洋菓子の世界では「フランボワーズ」という呼び名が一般的でした。これはフランス菓子文化の影響が強かったためです。フランス語の「framboise」は「香りの良い」という意味の古いゲルマン語「brambezie」に由来しているとされています。一方、英語の「raspberry」は「粗い表面」を意味する「rasp」と「berry(果実)」を組み合わせた言葉です。
歴史的には、ヨーロッパでは古代ローマ時代から栽培されていたとされ、中世ヨーロッパでは薬用植物として重宝されていました。18世紀頃からは食用としての栽培が本格化し、フランスでは高級デザートの材料として珍重されるようになりました。
日本に入ってきたのは明治時代以降で、当初は「フランボワーズ」という呼び名が主流でした。しかし、グローバル化の進展とともに「ラズベリー」という呼び名も広く使われるようになっています。
フランボワーズ/ラズベリーは、バラ科キイチゴ属(Rubus)に分類される落葉性の低木です。学術的には「Rubus idaeus(セイヨウキイチゴ)」と呼ばれています。この植物は2〜3メートルほどの高さに成長し、枝には小さなトゲがあります。
葉は複葉で、表面は濃い緑色、裏面は白っぽい色をしています。花は小さく白色で、春から初夏にかけて咲きます。果実は複合果と呼ばれる構造で、多数の小さな果実(小果)が集まってひとつの果実を形成しています。これが特徴的な形状の理由です。
栽培方法については、日当たりと水はけの良い場所を好みます。酸性〜弱酸性の土壌が適しており、pH6.0〜6.5が理想的です。栽培の際の特徴として、2年目の枝に実をつけるという点があります。そのため、収穫後は結実した古い枝を剪定し、新しい枝を育てるサイクルが必要です。
日本での栽培は限られていますが、北海道や長野県などの冷涼な気候の地域で栽培されています。国内生産量は全体の1%程度で、ほとんどが輸入に頼っているのが現状です。
フランボワーズとラズベリーは同じ果実を指す言葉ですが、実際の商品や品種によって味わいや香りに違いがあることがあります。一般的に、フランボワーズと呼ばれる果実は、より芳醇で濃厚な香りと甘酸っぱい味わいが特徴とされています。特にフランス産のものは香りが強く、デザートに使われる際はその香りを活かした使い方がされることが多いです。
一方、ラズベリーと呼ばれることの多い英米系の品種は、比較的さっぱりとした酸味が特徴で、生食やジャムなどに向いているとされています。ただし、これは品種による違いであり、呼び名による本質的な違いではありません。
味わいの特徴としては、以下のような点が挙げられます。
また、収穫時期や保存状態によっても味わいは大きく変わります。完熟したものは甘みが増し、香りも豊かになりますが、日持ちが短くなるという特徴があります。
フランボワーズ/ラズベリーは見た目の美しさだけでなく、栄養価も非常に高い果実です。100gあたりのカロリーは約52kcalと低カロリーながら、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。
特筆すべき栄養素としては、ビタミンCが豊富で、100gあたり約26mgも含まれています。これは1日の推奨摂取量の約25%に相当します。また、マンガンやビタミンK、葉酸なども含まれており、総合的な栄養バランスに優れています。
さらに、フランボワーズ/ラズベリーには以下のような健康効果が期待できます。
これらの健康効果から、近年ではスーパーフードとしても注目されています。特に女性に嬉しい栄養素が豊富なため、美容や健康維持を目的としたスムージーやデザートの材料としても人気があります。
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フランボワーズとラズベリーは同じ果実ですが、料理やデザートの世界では使い分けられることがあります。特に、フランス料理や高級パティスリーでは「フランボワーズ」と呼ばれることが多く、英米系のレシピでは「ラズベリー」と表記されることが一般的です。
【フランス菓子でのフランボワーズの使用例】
【英米系のラズベリーレシピ】
家庭でも簡単に楽しめるフランボワーズ/ラズベリーのレシピをご紹介します。
【簡単フランボワーズヨーグルト】
材料。
作り方。
【ラズベリーのスムージー】
材料。
作り方。
このように、フランボワーズとラズベリーは料理の系統によって使い分けられることがありますが、実際の調理法や味わいに大きな違いはありません。どちらの名称を使うかは、料理のスタイルや好みによって選ぶとよいでしょう。
デリッシュキッチン:フランボワーズを使った簡単レシピが多数紹介されています
フランボワーズ/ラズベリーは非常にデリケートな果実で、鮮度が味わいに大きく影響します。最高の状態で楽しむための選び方と保存方法について解説します。
【選び方のポイント】
【保存方法】
フランボワーズ/ラズベリーは非常に傷みやすいため、適切な保存が重要です。
【解凍方法】
冷凍したフランボワーズ/ラズベリーを使う際は、用途によって解凍方法を変えると良いでしょう。
フランボワーズ/ラズベリーは鮮度が命の果実です。できるだけ新鮮なうちに消費するのがベストですが、適切な保存方法を知っておくことで、長く楽しむことができます。
マイナビ農業:フランボワーズの保存方法と活用法について詳しく解説されています
フランボワーズとラズベリーは世界各国で異なる文化的背景を持ち、それぞれの国や地域で独自の位置づけがあります。この果実がどのように世界中で愛されてきたのかを見ていきましょう。
【フランスでの文化】
フランスでは「フランボワーズ」は高級デザートの代表的な材料として扱われてきました。特に「タルト・オ・フランボワーズ」は伝統的なフランス菓子の一つです。また、「クレーム・ド・フランボワーズ」というリキュールも有名で、カクテルやデザートに使われています。フランスの農村部では、自家製のフランボワーズジャム(コンフィチュール・ド・フランボワーズ)を作る文化も根付いています。
【イギリスでの伝統】
イギリスでは「ラズベリー」はアフタヌーンティーの定番として、スコーンにクロテッドクリームとラズベリージャムを添えて楽しむ習慣があります。また、「サマープディング」と呼ばれる夏の伝統的なデザートにもラズベリーが使われます。イギリスの田園地帯では、夏になると野生のラズベリー摘みを楽しむ文化もあります。
【北欧の食文化】
北欧諸国、特にフィンランドやスウェーデンでは、野生のラズベリーが豊富に自生しており、夏の終わりには森でベリー摘みを楽しむ習慣があります。これらの