

実は、アジアーゴチーズは「そのまま食べるより料理に使う方が、コスパよく栄養を丸ごと摂れる」チーズです。
アジアーゴチーズは、イタリア北部のヴェネト州、標高1,000m以上の高原地帯「アジアーゴ村」を発祥とする牛乳製のセミハードタイプのチーズです。その歴史は10世紀にまでさかのぼり、当初は羊乳で作られていましたが、16世紀ごろから牛が飼われるようになり、現在は牛乳製が主流となっています。
イタリアにはDOP(原産地名称保護制度)と呼ばれる厳しい品質認証制度があり、アジアーゴはこの制度に登録されています。DOP認定を受けたチーズは、指定された地域・製法・原料でなければ「アジアーゴ」と名乗ることができません。つまり、本物のアジアーゴはヴェネト州とトレンティーノ=アルト・アディジェ州でのみ生産された正真正銘のイタリアチーズということです。
世界のイタリア産チーズの中でも人気が高く、販売数量でトップクラスに入るほど広く親しまれています。クセが強くないため、チーズ初心者の主婦にも取り入れやすい点が大きな魅力です。これが基本です。
チーズ好きの方は、DOP認定の詳細について農林水産省の公式情報も参考になります。
農林水産省|指定の公示について(指定番号第31号)アジアーゴ・チーズについての公式解説
アジアーゴチーズを手に入れたとき、まず確認してほしいのが「どちらのタイプか」という点です。アジアーゴには「プレッサート」と「ダッレーヴォ」という2種類があり、見た目も味もまるで別物のチーズです。
アジアーゴ・プレッサート(フレスコ)は、熟成期間が20〜40日と短く、全乳を使って作られるフレッシュタイプです。色は白〜淡いクリーム色で、やわらかく弾力のある食感が特徴。ほのかな酸味とミルクの甘みが前面に出ており、食べやすさでいえばこちらが断然おすすめです。脂肪分は最低44%と高めで、濃厚なミルクの風味がダイレクトに楽しめます。スライスしてそのまま食べたり、トーストに乗せたりするのに向いています。
アジアーゴ・ダッレーヴォは、脱脂乳を使い3ヶ月〜2年以上かけて熟成させた伝統的なタイプです。熟成期間によってさらに細かく分類され、3〜8ヶ月熟成のものを「メッザーノ」、1年前後を「ヴェッキオ」、2年以上を「ストラヴェッキオ」と呼びます。熟成が進むほど味は凝縮され、ピリっとした刺激とコクが増していきます。表皮は茶色でつやつやとしており、断面にはアミノ酸の旨味結晶が見られます。すりおろしてパスタにかける使い方に最適です。
| タイプ | 熟成期間 | 味の特徴 | おすすめの使い方 |
|------|--------|--------|-------------|
| プレッサート | 20〜40日 | ミルキー・まろやか | そのまま・トースト・サラダ |
| ダッレーヴォ(メッザーノ) | 3〜8ヶ月 | 穏やかなコク | グラタン・パスタ・おつまみ |
| ダッレーヴォ(ヴェッキオ) | 1年前後 | 旨味が濃い | すりおろし・ニョッキ |
| ダッレーヴォ(ストラヴェッキオ) | 2年以上 | 刺激・深いコク | 削りかけ・チーズプレート |
つまり、用途に合わせてタイプを選ぶのが正解です。日本のスーパーや輸入食品店で見かける「チーズチップスアジアーゴ」は主にダッレーヴォ系のものが多く、しっかりとした旨味があります。プレッサート(フレスコ)はネット通販や専門店での入手が中心になります。
アジアーゴチーズの食べ方は、思った以上に幅広く、日常の食卓に自然になじみます。クセが少ないという特性を活かして、さまざまな食材との組み合わせを楽しめるのが最大のメリットです。
① そのままチーズプレートで
プレッサートを薄くスライスし、クラッカーやバゲットと一緒に並べるだけで立派なおつまみになります。フルーティで軽めの赤ワインやロゼワインとの相性がよく、休日のランチやホームパーティーにも映えます。
② はちみつをかけて
アジアーゴの塩気に、はちみつの甘みが加わることで「甘じょっぱさ」が生まれ、ワンランク上の味わいに変わります。これは「味の抑制効果」と呼ばれる現象で、塩味と甘味が互いを引き立て合うものです。アカシアはちみつのように香りが穏やかなものが合わせやすいです。これは使えそうです。
③ トーストやパンにのせて
プレッサートは溶けやすいので、トーストに1〜2枚のせてトースターで1〜2分焼くだけで、とろりとした食感になります。上からオリーブオイルを数滴たらすと、より香り豊かに仕上がります。
④ サラダのトッピングとして
ダッレーヴォ系をスライサーや包丁で薄削りにして、グリーンサラダにのせると風味のアクセントになります。くるみやドライクランベリーと合わせると食感のコントラストが楽しめます。
⑤ ズッキーニ巻き(イタリア人シェフのレシピ)
ズッキーニを縦に4〜5mm厚にスライスし、フライパンで軽く焼いてから、アジアーゴフレスコをスティック状に切ってベーコンと一緒に巻き、爪楊枝で留めます。パン粉をまぶして180℃のオーブンで5分焼けば完成です。シンプルながらチーズのとろけ具合が絶品で、ワインにも合う一皿になります。
⑥ 紅茶と一緒に
意外に思えるかもしれませんが、アジアーゴはワインだけでなく紅茶との相性も良いとされています。タンニンの少ないアールグレイやアッサムと合わせると、チーズのミルキーさが引き立ちます。午後のおやつタイムに試してみる価値があります。
アジアーゴチーズは「料理に使うチーズ」としても非常に優秀です。特に加熱することで風味が増し、パルミジャーノ・レッジャーノと似た使い方ができるため、普段の料理に取り入れると食事の満足度がぐっと上がります。
🍝 パスタ・スープにすりおろして
ダッレーヴォ(ヴェッキオ以上)を細かくすりおろし、茹でたてのパスタに混ぜ込むだけで、プロっぽい仕上がりになります。バターやオリーブオイルと合わせると、チーズが乳化してソースのような滑らかさになります。パルメザンチーズの代わりに使えるので、コストコやスーパーでパルメザンが切れているときにも代用できます。つまり、パルメザン代替として使えるのが条件です。
🥘 グラタン・ラザニアにシュレッドで
アジアーゴのシュレッド(細かく刻んだもの)はグラタンやラザニアに使うと本格的なイタリアンの味に近づきます。市販のピザ用チーズと少量ブレンドするだけでも風味が変わります。グラタン1皿に対して50〜80g(手のひら1杯分が目安)加えると、ちょうどよいチーズの主張になります。
🥔 ニョッキにフレーク状で
イタリア人シェフが実演したレシピとして知られているのが「じゃがいものニョッキ×アジアーゴヴェッキオフレーク」です。バターと少量のゆで汁で乳化させたソースを絡め、アジアーゴヴェッキオを削りかけるだけで、レストランの味が自宅で再現できます。
🫑 野菜グラタン(ビエトラやほうれん草と合わせて)
アジアーゴは「独特の乳臭い香りがキノコ料理や緑野菜と妙に合う」という評価があります。ほうれん草やビエトラ(西洋ほうれん草)と合わせたグラタンはイタリアのネット上でも「アジアーゴグラタンが最高」とレビューが多いほど定番の組み合わせです。冷蔵庫に余っている野菜を活かせるのも主婦にとって嬉しい点です。
イタリア料理研究家が監修したアジアーゴを使ったニョッキレシピは以下のサイトが参考になります。
beauty-foodie.com|イタリア人シェフが教えるアジアーゴを使ったニョッキとズッキーニ巻きの実践レシピ
アジアーゴチーズを購入した後に多くの方がやってしまいがちなのが、「なんとなくラップに包んで冷蔵庫へ」という雑な保存です。これでは風味の劣化が早まり、せっかくのチーズが損なわれてしまいます。保存方法は少し意識するだけで、美味しさが大きく変わります。
冷蔵保存の基本
開封後は空気と触れる面積をできるだけ少なくすることが最大のポイントです。チーズ専用のラップ(通気性のあるもの)か、食品用ラップでチーズの表面にぴったりと密着させて包み、さらにジップ付き保存袋に入れましょう。冷蔵庫のチルド室(0〜5℃)が理想的な保存場所です。プレッサートは開封後1〜3日を目安に使い切ることを心がけてください。
冷凍保存のコツ
「使い切れないかも」と思ったら、冷凍保存が正解です。冷凍の場合は最大2〜4週間保存できます。1回分ずつ小分けにしてラップで包み、さらにジップ付き冷凍保存袋に入れて二重包装にします。解凍は冷蔵庫でゆっくりと行い、電子レンジの急速解凍は食感が崩れるため避けてください。再冷凍は厳禁です。
臭い移りに注意
チーズは冷蔵庫内の他の食材の臭いを吸収しやすい性質があります。キムチや漬物など強い臭いのものと同じスペースに置くと、風味が大きく損なわれます。密閉が不十分だと1〜2日で香りが変わることもあるので、注意が必要です。
腐敗のサインを見逃さない
以下のような変化が見られたら、速やかに廃棄してください。
熟成タイプのダッレーヴォは比較的日持ちしますが、フレッシュなプレッサートは特に鮮度が落ちやすいため注意が必要です。購入後はすぐに冷蔵庫へ入れるのが原則です。
保存方法に関する詳細情報はこちらも参考にしてください。
Wikibooks 料理本|アジアーゴの保存方法・使い方に関する基礎情報
アジアーゴチーズは国内でも入手できますが、タイプによって購入できる場所に差があります。知らずに「どこにも売っていない」と諦めてしまうのは損です。
スーパー・業務スーパーで手に入るもの
日常的に目にするのは「チーズチップスアジアーゴ」と呼ばれる加工品タイプや、スライスされたパッケージ品です。成城石井やカルディ、業務スーパーの輸入チーズコーナーで見かけることがあります。価格は100g換算で300〜600円前後が多いです。
ネット通販で入手できるもの
プレッサート(フレスコ)など鮮度が重要なタイプは、専門通販サイトが確実です。「Fior di Maso(フィオール・ディ・マーゾ)」や「Le Comptoir(ル・コントワール)」などイタリア食品専門のオンラインショップで、プレッサート・メッザーノ・ヴェッキオと熟成違いを取り揃えていることが多いです。はじめての方はプレッサートかメッザーノを選ぶと食べやすいです。
選ぶときのポイント
パッケージに「DOP」の表記があるものが本来のアジアーゴです。DOPマークのないものはアジアーゴの名を借りた類似品である可能性があります。また、熟成期間(フレスコ/メッザーノ/ヴェッキオ)が記載されているものほど品質の透明性が高いため、選ぶ際の参考にしてください。
ネット通販でのアジアーゴの品揃えについては以下のサイトが参考になります。
Fior di Maso|アジアーゴ特集・フレスコからヴェッキオまでのラインナップ解説