放射能汚染食品一覧と検出されやすい食材を知る

放射能汚染食品一覧と検出されやすい食材を知る

放射能汚染食品一覧と主な検出状況

🔍 放射能汚染が検出されやすい食品の特徴
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野生キノコ・山菜類

森林土壌に残る放射性セシウムを吸収しやすく、数十〜数百Bq/kgの高い汚染が現在も検出されています

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野生鳥獣肉(ジビエ)

イノシシ、シカ、クマなどは汚染された野生植物を食べるため、体内に放射性物質が蓄積されやすい状態です

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淡水魚・沼育ちの野菜

淡水魚はミネラルを保持する性質からセシウムを蓄積しやすく、レンコンなどの沼育ちの作物も注意が必要です

2011年の福島第一原子力発電所事故から10年以上が経過した現在、多くの食品は安全性が確保されています。しかし、特定の食品では今も放射性物質の検出が続いています。
参考)https://minnanods.net/analyze/food-data/foodtendency.html

現在の食品中の放射性セシウムの基準値は、一般食品で100Bq/kg、牛乳と乳児用食品で50Bq/kg、飲料水で10Bq/kgと定められています。この基準値を超えた食品は出荷制限の対象となり、市場には流通しない仕組みが徹底されているんです。​
厚生労働省の検査結果を見ると、2017年から2019年の市販食品調査では、検出率は年々低下してり、2019年度では0.7%まで減少しています。流通している一般的な食品については、かなり安心できる状況になってきたといえるでしょう。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9008878/

ただし例外的に、野生のキノコ、山菜、ジビエ、淡水魚などの特定食品では、東北から関東地方の広範囲で数十から数百Bq/kgという高い汚染が検出されることがあります。これらの食品は今後も継続的な注意と測定が必要な状態が続いているんです。
参考)https://www.naturalcoop.jp/committee/%E9%A3%9F%E5%93%81%E3%81%AE%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E6%B1%9A%E6%9F%93%E3%80%81%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%82%8B%EF%BC%9F%E3%80%80%E6%9C%80%E6%96%B0%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%83/

放射能汚染が高い食品の種類と検出理由

野生キノコ類は最も注意が必要な食品の一つです。福島県内の野生キノコからは、事故後5年経過しても100Bq/kgを超える検体が81.2%で検出されたという報告があります。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4662580/

キノコの汚染が長期化する理由は、森林に降った放射性セシウムが流出せず土壌に残り続けていること、森林土壌の養分量が農地より少なくセシウムを吸いやすい環境にあること、キノコ自体がミネラルを豊富に含む性質でセシウムも吸収しやすいことが挙げられます。
参考)https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/kinoko/attach/pdf/sansai-2.pdf

山菜類も同様に注意が必要な食品です。タケノコ、ゼンマイ、タラの芽、コシアブラ、フキノトウなどの山菜は、根が浅く表層土壌から放射性物質を吸収しやすい特徴があります。特にタケノコは未熟な有機物腐植層で育つため、カリウムと構造が似たセシウムを取り込みやすいんです。​
横浜市内で2020年4月に採取されたタケノコからは、Cs134が1Bq/kg、Cs137が19.1Bq/kg、合計20.1Bq/kgが検出されており、産地の汚染状況によって大きく数値が異なることがわかっています。​
野生鳥獣肉(ジビエ)では、イノシシ、シカ、クマなどから高濃度の放射性物質が検出されることがあります。非流通品では500Bq/kgを超える高濃度のケースも報告されており、福島県だけでなく千葉県、埼玉県、山梨県、長野県など広範囲で出荷制限がかかっています。
参考)https://news.whitefood.co.jp/news/foodmap/8138/

これらの動物が汚染された野生植物やキノコを食べることで、体内に放射性物質が蓄積されるため、食物連鎖を通じた濃縮が起こるんです。​

放射能汚染が検出される淡水魚と海産魚の違い

淡水魚は海産魚と比較して、放射性セシウムの濃度が高い状態が続いています。海産魚では放射性セシウム濃度が時間とともに低下し、現在ではほぼ全ての種で検出限界以下になっている一方、淡水魚では依然として出荷基準値の100Bq/kgを超える高い数値が検出されることが多い状況です。
参考)https://www.nies.go.jp/fukushima/magazine/research/202303.html

2013年の福島県および隣接県の魚類調査では、淡水魚の事故後1年目の20Bq/kg超の検出率は51.4%で、4年目でも17.4%と高い水準を保っていました。これに対し海産魚は事故後1年目で17.5%、4年目には1.2%まで低下しているんです。
参考)https://www.kaiseiken.or.jp/publish/reports/lib/2015_21_04.pdf

淡水魚で汚染が長期化する理由は、淡水環境では溶存態の放射性セシウムを取り込んだプランクトンを介した食物網を通じて、魚に放射性物質が蓄積するためです。特に淡水魚はミネラルを保持する生理的特性から、セシウムを保持しやすい性質を持っています。​
福島県では現在もヤマメ、イワナ、ウグイ、アユ、フナなどの淡水魚に出荷制限がかかっており、継続的な検査が行われています。養殖により生産されたものは除外されるケースもありますが、天然の淡水魚については引き続き注意が必要な状態が続いているんです。
参考)https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/syukkaseigenn.html

放射能汚染食品の地域別出荷制限状況

原子力災害対策特別措置法に基づき、放射性物質が基準値を超えた食品には地域と品目を指定した出荷制限が設定されています。出荷制限は広域的な広がりをもって基準値超過が確認された場合に、国から指示されるものです。
参考)https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/radio_nuclide/240813_siryo.pdf

2025年9月時点での福島県の出荷制限品目を見ると、野生キノコ(菌根菌類・腐生菌類)は県内の広範囲で出荷制限、原木シイタケの露地栽培も複数の市町村で制限がかかっています。山菜類ではタケノコ、ゼンマイ、ワラビ、コシアブラなど多くの品目が対象になっているんです。​
野生鳥獣肉については、イノシシの肉が福島県内のほぼ全域で出荷制限、クマの肉やシカの肉も複数地域で制限対象となっています。淡水魚ではヤマメ、イワナ、ウグイ、アユなどが出荷制限品目に指定されており、水域ごとに詳細な管理が行われている状況です。​
出荷制限の解除には、直近1か月以内の検査結果が1市町村当たり3か所以上ですべて基準値以下であることなどの条件が設定されています。自治体からの申請に基づき、段階的に解除が進められているものの、野生食品については慎重な管理が継続されています。​
栃木県や茨城県などの隣接県でも、野生キノコや山菜、淡水魚などに出荷制限が設定されており、広域的な管理体制が敷かれているんです。
参考)https://www.pref.tochigi.lg.jp/kinkyu/y00/shukkahikae.html

放射能汚染を減らす調理方法と下処理のコツ

家庭での調理方法を工夫することで、食品に含まれる放射性物質の量を大幅に減らすことができます。放射性セシウムは水に溶けやすい性質があるため、適切な下処理と調理法が効果的なんです。
参考)https://www.c-scskyousai.or.jp/member/07_dayori/703/pdf/colum_1112_2.pdf

野菜類の処理では、まず土や大気に触れた部分を取り除きます。キャベツなら外葉を3〜4枚捨てる、カブや大根の葉は捨てる、ネギの青い部分も除去するといった対応が基本です。根菜類は皮をむく前にきれいに洗い、皮をむいた後も再度洗うことで、表面に付着した放射性物質を大きく減らせます。​
魚類の場合、頭、内臓、骨、えら、皮をしっかり取り除くことが重要です。これらの部位には放射性物質がたまりやすいため、身だけを流水で洗って使用します。調理法としては煮魚や照り焼きがおすすめで、から揚げや南蛮漬けなど丸ごと食べる調理法は避けた方が良いでしょう。
参考)https://jcf.ne.jp/wp/pregnancy02

肉類は何度もゆでこぼす方法が効果的です。煮る場合は煮汁を捨て、焼く時も事前に少し煮てからフライパンで焼くと、放射性物質を減らせます。肉を煮ることで、含まれる放射性物質の80%がブイヨンに移行するため、煮汁は必ず捨てることが大切なんです。​
キノコ類は特に念入りな処理が必要です。水でよく洗った後、水を何度か取り替えながらゆでることで、表面に蓄積されやすい放射性物質を煮汁に染み出させます。干しキノコの場合は、煮る前に長時間水に浸しておくとより効果的です。​
これらの調理加工により、魚では87〜99%、牛乳製品では85〜90%、キノコ類では82〜93%の放射性セシウムを減らすことができると報告されています。
参考)https://www.nies.go.jp/fukushima/magazine/oshiete/202108.html

放射能汚染食品から家族を守る独自の対策

市場に流通している食品は厳格な基準値管理が行われていますが、家庭菜園の野菜や自分で採取した山菜、釣った魚などについては自己責任での判断が必要になります。そのため、独自の対策を講じることで、より安心して食生活を送ることができるんです。
参考)https://www.nyukyou.jp/effort/council/20121129_3.html

まず重要なのは、体内に放射性物質を取り込まないための栄養戦略です。放射性セシウムはカリウムと、放射性ストロンチウムはカルシウムと似た構造を持っているため、これらのミネラルを十分に摂取することで、放射性物質の体内吸収を抑制できます。​
カリウムを多く含む食品には、ほうれん草、ジャガイモ、昆布、ワカメ、ひじきなどがあります。カルシウムは牛乳、チーズ、ヨーグルト、昆布、いんげん豆に豊富に含まれているんです。​
ビタミンCも注目の栄養素です。放射線が体内の水分に当たると生じるフリーラジカル(活性酸素)は、がんなどの病気の原因になりますが、抗酸化物質であるビタミンCを摂ることで、その働きを抑えることができるとされています。​
さらにユニークな対策として、りんごに含まれる食物繊維「アップルペクチン」には、体に取り込んでしまった放射性セシウムの排出を促す効果があるといわれています。日常的にりんごを食べることも、簡単にできる対策の一つなんです。​
食材の選択では、産地だけでなく生育環境や管理状況を確認することが大切です。福島県産の野菜であっても、検出限界1Bq/kgでも検出されていないデータが多いものもあり、一律に避けるのではなく個別の検査結果を参考にすることが賢明でしょう。​
放射性物質の検査結果は、厚生労働省の公式データベースや全国の市民放射能測定室「みんなのデータサイト」などで公開されています。定期的にこれらの情報をチェックすることで、最新の汚染状況を把握できます。​
自家栽培の野菜や自己採取した食材については、心配な場合は各地の市民測定室で検査を依頼することも可能です。測定することで具体的な数値がわかり、より安心して食べられるようになるんです。

 

食品カテゴリ 汚染されやすい主な品目 検出レベルの目安 注意すべき地域
野生キノコ 全般(菌根菌類・腐生菌類) 数十〜数百Bq/kg 東北〜関東の広範囲
山菜類 タケノコ、ゼンマイ、コシアブラ、ワラビ 数ベクレル〜数十Bq/kg 福島県および隣接県
野生鳥獣肉 イノシシ、シカ、クマ 数十〜500Bq/kg超 福島・千葉・埼玉・山梨・長野
淡水魚 ヤマメ、イワナ、ウグイ、アユ 数ベクレル〜100Bq/kg超 福島県内の河川・湖沼
沼育ち野菜 レンコン 数ベクレル程度 茨城県など

家族の健康を守るためには、これらの高リスク食品を避けるか、食べる場合は産地と検査結果を十分に確認することが大切です。特に妊娠中の方や小さいお子さんがいる家庭では、より慎重な判断が求められます。
参考)https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h29kisoshiryo/h29qa-08-13.html

現在の基準値は、乳幼児や妊婦(胎児)をはじめ全ての世代に配慮して決められており、基準値以下の食品は安全性が確保されています。正しい知識を持ち、過度に恐れることなく、必要な対策を講じることが、安心な食生活につながるんです。​
参考:厚生労働省「食品中の放射性物質の検査結果
参考:農林水産省「食品中の放射性物質の検査結果
参考:みんなのデータサイト「放射性セシウムが検出されやすい食物の分類表
参考:環境省「食品中の放射性物質に関するQ&A