

ブルーデコースをラップで密封保存すると、青カビが死んで風味が最大40%落ちます。
ブルーデコース(Bleu des Causses)は、フランス南部アヴェロン県、コース高原と呼ばれる石灰岩台地の一帯で生産される、牛乳製のブルーチーズです。「コース」とはまさにこの地方の石灰質高原(グランド・コース)の名前に由来しており、チーズの名前そのものが産地を表しています。
このチーズがよく「ロックフォールの牛乳版」と称されるのには明確な理由があります。原料こそ羊乳(ロックフォール)と牛乳(ブルーデコース)で異なりますが、青カビの菌種は同じ「ペニシリウム・ロックフォルテ」を使用し、熟成に使う石灰岩の天然洞窟も同じ地域のものです。洞窟の中には常に冷たく湿った風が吹き抜け、この自然環境がブルーデコース独特の風味を生み出す決め手となっています。
製造工程も興味深い点があります。温めた牛乳にレンネット(凝乳酵素)と青カビを加えてカードを作り、型に詰めて水分を排出した後、塩を擦り込みます。そして「多数の金串で刺して空気孔を空ける」という作業が行われます。これにより、チーズ内部に酸素が届き、青カビが内部から均一に育つ仕組みです。金串で刺すという工程はブルーチーズ全般に共通しており、あの美しいブルーの模様はこうした職人の手仕事によって生まれます。
1979年にAOP(原産地呼称保護)を取得しており、EU認定の品質基準を守った生産者のチーズのみが「ブルー・デ・コース」の名を名乗ることができます。熟成期間は最低70日間と定められており、固形分中の乳脂肪は最低45%以上です。ロックフォールが1925年にAOCを取得した際、同じ地域で牛乳製のチーズを作っていた生産者たちは独自の道を歩み始め、それがこのブルーデコースとして確立されていきました。つまり、兄弟分とも言えるチーズです。
熟成が進むほど風味が変化するのもこのチーズの特徴です。若い段階では口溶けが滑らかでミルクの甘みが際立ちますが、熟成が深まると「力強くも上品な味わい」に変化していきます。ロックフォールでは羊乳由来の濃厚な香りが特徴的ですが、ブルーデコースは牛乳由来のクリーミーなコクと、青カビのシャープな刺激がバランスよく共存しています。
| 項目 | ブルーデコース | ロックフォール |
|---|---|---|
| 原料乳 | 牛乳 | 羊乳 |
| 青カビ菌種 | ペニシリウム・ロックフォルテ | ペニシリウム・ロックフォルテ |
| 産地 | フランス南部 アヴェロン県 | フランス南部 ロックフォール=シュル=スールゾン |
| 熟成期間 | 最低70日間 | 最低90日間 |
| AOP取得 | 1979年 | 1925年 |
| 味わい | クリーミーでマイルドな甘み+青カビの刺激 | 羊乳由来の濃厚な旨みと強い塩味 |
つまり、「ほぼ同じ製法・産地・カビを使いながら、原料乳の違いで異なる個性を持つチーズ」ということですね。
雪印メグミルクのチーズ辞典では、ブルーデコースの基本情報や食べ方が詳しく紹介されています。
ブルーデコースを購入する際、どこを見て選べばいいか迷う方は少なくありません。スーパーやチーズ専門店で実際に手に取るとき、確認すべきポイントは「色」と「水分の状態」の2つです。これだけ覚えておけばOKです。
まず色について。生地のきめが細かく、色ムラのないアイボリー(薄クリーム色)で、青カビの発色が濃くはっきりしているものを選びましょう。逆に、生地や青カビが茶色がかっているものは保存状態が悪いサインです。
次に水分の状態について。パック詰めされた商品でパック内に水分がびちゃびちゃと溜まっているものは避けたほうが良いでしょう。なるべくパック詰めから日が浅い新鮮なものを選ぶのが基本です。また、チーズ専門店では量り売りが可能で、試食で確認できるケースもあります。初めて購入するなら専門店で少量から試すのが一番確実です。
次に保存方法ですが、ここが「やってしまいがち」なポイントです。多くの方がブルーデコースを購入後にラップで密封して冷蔵庫に入れていますが、これは風味を損なう大きな原因になります。ラップは通気性がないため、青カビの元気が失われ、色も悪くなってしまいます。さらにチーズ自体から出てきた水分で蒸れた状態になり、不快な臭いが発生したり、味が落ちたりすることがあります。
正しい保存方法は以下の手順で行いましょう。
少し手間に感じるかもしれませんが、この日々のケアがチーズを美味しい状態で長持ちさせるコツです。いいことですね。
最近はチーズ専用の「チーズペーパー」という保存紙も市販されています。水分調整と通気性の両方を高いレベルでコントロールする素材で作られており、オーブンペーパーよりさらに管理が楽になります。チーズ好きな方なら一度試してみる価値があるアイテムです。
なお、購入後の賞味期限は一般的に約2週間程度です。購入したらなるべく早めに食べきることを心がけましょう。
ブルーデコースを含むブルーチーズが、実は健康面でも注目されているのをご存じでしょうか。青カビのチーズというと「クセが強い食品」というイメージを持ちがちですが、栄養の面では優れた特性を持っています。
最大の注目成分は「LTP(ラクトトリペプチド)」です。LTPには血管を柔らかく保つ働きや、血流を改善する効果が期待されています。血管が硬くなると高血圧や心臓病などのリスクが高まりますが、LTPはその予防に役立つ可能性があるとされています。女性の肌や髪の健康にもつながるとして、チーズ好き女性から注目されてきた成分です。
青カビが持つ「リパーゼ」という酵素も見逃せません。熟成の過程でリパーゼがチーズ内の乳脂肪を分解するため、他の動物性脂肪と比べて消化されやすく、体内に蓄積されにくい性質に変化するとされています。「チーズの脂肪は太りやすい」と思っている方も多いですが、この点は意外ですね。
また、チーズ全般に共通する栄養素として、カルシウム、リン、ビタミンA、ビタミンB12、タンパク質なども豊富に含まれています。骨や歯の健康を支えるカルシウムについては、ブルーチーズ100gあたりおよそ349mgが含まれているとされており、日常的な食事で不足しがちなカルシウムを補う食品として活用できます。
ただし、摂取量については守るべき目安があります。1日あたり約30gが適量とされており、塩分と脂肪分の摂りすぎになるため食べすぎは禁物です。30gというのはスライスチーズ1〜2枚分に相当する量なので、少しずつ毎日の食事に取り入れるイメージが最適です。
健康効果を活かすためには毎日少量を継続的に食べるのが基本です。一度にたくさん食べるよりも、1日30g・毎日が条件です。
オーダーチーズのコラムにはブルーチーズのLTPなど健康に良いポイントが詳しく解説されています。
美味しくてヘルシーな「ブルーチーズ」の健康に良いポイント | オーダーチーズ
ブルーデコースは塩味が強く、独特のクリーミーなコクを持つチーズです。そのクセを「欠点」ではなく「個性」として最大限に活かすための合わせ方を知っておくと、食卓での楽しみ方が格段に広がります。
王道の食べ方は「甘みと合わせる」ことです。ブルーデコースの塩気と旨みは、甘い素材と組み合わせることで互いを引き立て、驚くほど上品な味わいになります。はちみつをひとたらしするのが最もシンプルな食べ方で、チーズにかけるだけで即席のデザート感覚になります。市販の「ナッツの蜂蜜漬け」もおすすめで、食感と甘みの両方が加わり豪華なおつまみになります。これは使えそうです。
ワインとの相性については、タンニンが効いた重めの赤ワインが定番です。ロックフォールのような刺激が強すぎず、牛乳由来のまろやかなコクがあるため、重厚な赤ワインとも、あるいは甘口の貴腐ワインとも合わせられます。チーズの塩気と甘口ワインの甘みを合わせる「甘塩マリアージュ」は特においしいと言われています。
また、日本酒との組み合わせも近年注目されています。米の旨みを感じさせる熟成タイプの日本酒や、澱入りのおりがらみなど、まろやかさを持つ日本酒はブルーデコースの青カビのコクを包み込むように合わさります。日本酒の甘みと塩味が実は相性がいいということですね。
食べる際はチーズを冷蔵庫から出してすぐではなく、室温に20〜30分ほど置いてから食べるのが基本です。冷えた状態では風味が閉じていますが、少し温まると香りが開き、口溶けも良くなります。
「ロックフォールの牛乳版」と呼ばれるブルーデコースですが、単に「安いロックフォールの代替品」ではありません。ここを誤解したまま選ぶと、食卓での楽しみ方も半減してしまいます。それぞれの個性を正しく理解した上で使い分けることが、チーズ選びの楽しさです。
ロックフォールは1441年にフランスのシャルル6世が保護協定に署名したほど歴史が長く、世界三大ブルーチーズ(ゴルゴンゾーラ・スティルトン・ロックフォール)のひとつに数えられる「ブルーチーズの最高峰」です。羊乳由来の濃厚な旨みと強い塩味、そして独特の羊臭さが特徴的で、風味の強さはブルーデコースを大きく上回ります。100g当たりの価格もロックフォールのほうが高い傾向にあります。
一方のブルーデコースは、同じ製法・同じ菌・同じ地域でありながら、牛乳を使うことで「羊乳特有の強烈な香り」がなく、クリーミーで飲み込みやすい風味になっています。ブルーチーズが初めての方や「クセは欲しいけどそこまで強くなくていい」という方には、ブルーデコースのほうが圧倒的に入門として適しています。
具体的な違いを整理すると次のようになります。
また、世界三大ブルーチーズ以外の選択肢としてブルーデコースを知っておくことは、チーズ選びの視野を広げてくれます。フランスのミディ・ピレネー地方はフランス最大のブルーチーズ名産地であり、ブルーデコース以外にもさまざまな個性を持つチーズが生産されています。食べ比べをしてみると、同じ地域・同じカビでも乳の違いがこれほど大きな差を生み出すのかという発見があり、チーズの奥深さを体感できます。
ブルーデコースが日本で購入できる専門店としては、フルミエ(fermier)やオーダーチーズ、ル・コントワールなどのオンラインショップが充実しています。100gカットから購入できる店も多いので、まずは少量から試してみるのがおすすめです。チーズ専門店で購入することで、「熟成士(アフィネール)が手掛けた」特別なブルーデコースに出会える可能性もあります。
AllAboutのチーズ記事では、ブルーデコースの選び方・保存・食べ方が具体的に解説されています。
ロックフォールと同ルーツ!ブルー・デ・コース - AllAbout

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