

きのこなのに、加熱するとレバーそっくりの色・食感に変わってしまいます。
アミタケとは、松林(マツ林やツガ林)の地面に生えるイグチ科ヌメリイグチ属の天然きのこです。独特のぬめりと弾力ある歯ごたえが特徴で、昔から東北・北陸などの地域で食用として親しまれてきました。
驚くべき点は、加熱したときの変化にあります。生の状態では黄土色をしているアミタケが、さっと湯がくと赤紫色へと変化します。この色がまさに牛レバーそのものであり、さらにプルンとした食感がレバーと瓜二つなのです。
2012年7月に食品衛生法の改正によって、飲食店での牛レバーの生食提供が禁止されました。それ以来、岩手県の老舗きのこ加工店「長根商店」が「きのこ屋として何かできないか」という思いから、アミタケを使った「森のレバ刺し」という商品を開発・販売しています。これが話題となりテレビや読売新聞でも取り上げられ、全国区で注目を集めるようになりました。
アミタケのレバ刺し風の最大の魅力は、味の再現性の高さです。あるフードライターが「居酒屋のレバ刺しの美味しさの8割はごま油と塩の美味しさだった」と表現したように、ごま油と塩という組み合わせにアミタケの食感が加わることで、驚くほどのレバ刺し体験が生まれます。つまり食感と風味が揃って初めて成立するということですね。
| 比較項目 | 牛レバー(加熱前・生食) | アミタケ(湯がき後) |
|---|---|---|
| 色 | 赤紫色 | 赤紫色 |
| 食感 | プルン・とろり | プルン・とろり |
| クセ・臭み | 独特の臭みあり | ほぼ無臭・クセなし |
| カロリー(100g) | 約132kcal | 約7kcal |
| 生食の安全性 | 法律で禁止(2012年〜) | 水煮加工済みなら問題なし |
カロリーの差には驚かされます。牛レバーが100gで約132kcalなのに対し、アミタケは約7kcalと圧倒的に低い数字です。これは同じ重さのレタスより低いカロリーで、ダイエット中の方にも嬉しい食材といえます。
参考:牛レバーの生食禁止に関する厚生労働省の公式情報はこちら
牛レバーを生食するのは、やめましょう(厚生労働省)
アミタケのレバ刺し風作りで一番大切なのは、下処理の段階です。ここをていねいにやるかどうかで、仕上がりの食感がまるで違ってきます。
まず生のアミタケを使う場合は、土やゴミをさっと水洗いしてから、沸騰したお湯でさっと湯がきます。加熱時間は1〜2分程度が目安で、長く茹ですぎると食感が崩れるので注意が必要です。湯がいた後は冷水に取り、素早く冷ますことでプリッとした歯ごたえが生まれます。冷やすのが条件です。
通販の「森のレバ刺し」などの水煮加工品を使う場合は、下茹で不要で手順がさらにシンプルになります。
食べる直前に水分をしっかり切るのが重要なポイントです。水分が残っているとごま油がうまく絡まず、せっかくの食感と風味が半減してしまいます。水分を切ることが基本です。
味つけのバリエーションも楽しめます。定番のごま油×塩に加え、刻みねぎやすりおろし生姜をトッピングすると風味が増し、より本格的な雰囲気になります。また、ごま油にほんの少しのキムチの素を加えて一晩馴染ませると、ピリ辛のアレンジにもなりおすすめです。これは使えそうです。
| 味つけアレンジ | 使う材料 | 特徴 |
|---|---|---|
| 定番スタイル | ごま油・塩 | 一番シンプルでレバ刺し感が高い |
| にんにく風味 | ごま油・塩・すりおろしにんにく | コクが増しビールに合う |
| 生姜風味 | ごま油・塩・すりおろし生姜 | さっぱり感があり女性向き |
| ピリ辛スタイル | ごま油・塩・キムチの素 | 大人のつまみとして最高 |
参考:アミタケの基本的な食べ方・下処理についての詳細はこちら
「アミタケ」はどんなきのこ?みそ汁の作り方&下処理や保存方法・食べ方も(macaroni)
アミタケのレバ刺し風は「美味しいだけ」ではありません。健康面でも、普通のレバ刺しより優れている点が複数あります。
まずカロリーの低さは先ほど触れた通りです。100gあたり約7kcalという数字はもはや気にしなくていいレベルで、ごはん茶碗1杯(約235kcal)と比べると、その差は歴然です。ダイエット中や体重管理をしている方にとって、罪悪感なく食べられる嬉しい食材といえます。
次に食物繊維の豊富さが挙げられます。きのこ類全般は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方を含んでおり、腸内環境を整える働きがあります。腸内環境が整うと免疫力の維持にもつながるとされており、家族の健康を気にする主婦の方に注目してほしいポイントです。
さらに注目したいのがβ-グルカンです。きのこ類に豊富に含まれるβ-グルカンは、血糖値の上昇を緩やかにしたり、血中コレステロールの排出を助けたりする効果が期待されています。毎日の食卓に取り入れることで、生活習慣病の予防につながる可能性があります。
一方、牛レバーにはビタミンAや鉄分が豊富に含まれており、アミタケはそれらの点では及びません。完全な代替食品というより「食感の似た低カロリーなきのこ料理」として位置付けるのが正確です。鉄分や動物性タンパク質を補いたい場合は、豚レバーや鶏レバーを加熱調理して組み合わせるのが良いでしょう。
アミタケは低カロリーかつ食物繊維が豊富というのが結論です。
参考:きのこと食物繊維・免疫力の関係については、こちらもご覧ください
免疫力を高めて身体の不調を改善!きのこの食物繊維の働き(ホクト)
アミタケは基本的に天然ものしか存在しないため、入手できる時期が限られています。旬は夏の終わりから秋にかけてです。地域によって異なりますが、温暖な地域では7月中旬〜11月上旬ごろ、東北や北海道のような寒冷地では8月下旬〜10月ごろが目安になります。
旬の時期には、産地周辺のスーパーや道の駅などで生のアミタケが販売されることがあります。ただし、流通量が少なく価格も変動しやすいため、見つけたらラッキーというくらいの感覚で探すのが現実的です。
最も手軽に入手できるのは通販です。岩手県洋野町の「株式会社長根商店」が製造・販売する「森のレバ刺し」は、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングなどの主要なECサイトで購入できます。水煮加工済みの80g入りが1袋あたり約750円〜で販売されており、複数袋セットでまとめ買いするとお得です。常温で90日間保存できるため、ストックしておくのにも向いています。
ふるさと納税の返礼品としても登場しており、岩手県洋野町への寄附で「森のレバ刺し」5袋セットが受け取れます。普段使いの食材をふるさと納税で賢く揃えるなら、こちらも選択肢に入れてみてください。
自分で採取するという方法もゼロではありませんが、後のセクションで述べるように、似た見た目の毒きのこが存在するためリスクが伴います。食べることを目的とするなら、信頼できる販売元から購入するのが原則です。
参考:長根商店「森のレバ刺し」の製品詳細・製造工程はこちら
森のレバ刺し|株式会社長根商店(公式)
アミタケと外見が非常によく似たきのこに「チチアワタケ」があります。どちらもイグチ科のきのこで、松林に生え、傘に粘性があるという共通点を持ちます。チチアワタケ自体は広く食用とされていますが、体質によっては食後に腹痛や下痢を引き起こすことが知られています。厳しいところですね。
両者を見分ける最大のポイントは、傘の裏側の「管孔(くだこう)」の形状にあります。
また、チチアワタケは傘の裏を傷つけると白い乳液(乳汁)が滲み出てくるのが特徴です。アミタケにはこの性質がありません。さらに加熱したときの変色の違いも判断基準になります。アミタケは湯がくとレバーのような赤紫色に変わりますが、チチアワタケは加熱しても茹でても大きく変色しません。茹でても変色しないならチチアワタケの可能性があるということですね。
初めてきのこ採取に挑戦する方や、判断に自信がない場合は、現地の農業普及センターや自治体の窓口で確認を取ることを強くおすすめします。「なんとなく似ているから大丈夫だろう」という判断は禁物です。農林水産省も「よくわからないきのこは食べない」ことを基本方針として推奨しています。
食べることが目的なら、加工済みの通販商品を選ぶのが最も安全で確実です。
参考:農林水産省による毒きのこの注意喚起ページ
本当に安全?STOP毒きのこ(農林水産省)