

市販の土佐醤油より自家製のほうが塩分が約30%少なくなることをご存じですか?
土佐醤油とは、醤油にかつお節とみりんを合わせて加熱し、うま味を凝縮させた「合わせ醤油」の一種です。名前の由来は高知県(土佐地方)の漁師文化にあり、新鮮なカツオを豪快に食べる文化の中で生まれたとされています。
通常の醤油とは何が違うのでしょうか? 普通の醤油は大豆・小麦・塩を発酵・熟成させたもの。一方、土佐醤油はそこにかつお節のイノシン酸が加わることで、うま味が約1.5〜2倍に増幅されます。うま味が強いということですね。
この「うま味の相乗効果」はグルタミン酸(醤油・みりん由来)とイノシン酸(かつお節由来)が組み合わさることで生まれます。料理のプロが「だし醤油より土佐醤油のほうがコクが深い」と評価する理由がここにあります。
家庭では刺身のたれ、冷奴、卵かけご飯などに幅広く使われます。これは使えそうです。
市販品の土佐醤油は、製造工程で食品添加物(増粘多糖類やアミノ酸等)が加えられることが多く、自家製と比べて味の複雑さに差が出ることがあります。自家製なら素材だけで作れるのが大きな魅力です。
基本の材料はたった3つです。シンプルが基本です。
| 材料 | 分量(作りやすい量) | 目安 |
|------|------|------|
| 醤油 | 200ml | 計量カップ1杯 |
| みりん | 50ml | 大さじ3強 |
| かつお節(花かつお) | 10g | 小袋1袋分 |
醤油は濃口醤油が標準ですが、薄口醤油にするとカラーが明るく仕上がり、白身魚の刺身に合わせやすくなります。塩分が気になる方は「減塩醤油」に切り替えるだけで、塩分量を通常比で約40%カットできます。
みりんは「本みりん」を使うことが重要です。「みりん風調味料」はアルコール分が少なく、加熱しても十分にアルコールが飛びません。本みりんを使うことでコクと自然な甘みが生まれます。
かつお節は「花かつお(薄削り)」が溶け込みやすくおすすめです。厚削りを使う場合は分量を8gに減らし、加熱時間を2分ほど長くすると良いでしょう。
作り方はとてもシンプルです。以下の手順で進めてください。
沸騰させないことが条件です。かつお節を高温で長く加熱すると、えぐみや雑味が出てせっかくのうま味が損なわれます。温度計がない場合は、液体の表面にごく小さな気泡がじわじわと出てきたタイミングが目安です。
冷ました後は清潔なガラス瓶に移し、冷蔵庫で保管します。保存期間は約2週間が目安です。使い始めると酸化が進むため、できれば10日以内に使い切るのが理想的です。
残ったかつお節はすてないでください。醤油とみりんが染み込んでいるので、刻んでご飯のお供(かつお節の佃煮風)にリメイクできます。食材を無駄なく使えますね。
土佐醤油は刺身のたれとして有名ですが、活用できる場面は実はかなり多いです。意外ですね。
最も手軽な使い方の一つが「卵かけご飯(TKG)」への活用です。通常の醤油より少量(小さじ1/2程度)でも十分に風味が出るため、塩分の取り過ぎを抑えながら満足感のある味わいになります。
冷奴にかける場合、市販のポン酢と比べて土佐醤油はすっきりとしたうま味が際立ちます。薬味はしょうがよりもすりごまとの相性が良く、ごまのコクが土佐醤油のだし感を引き立てます。
アレンジとして人気があるのが以下のような使い方です。
このように使い道は豊富です。一本作っておけば料理の幅が広がります。
自家製土佐醤油は添加物がないぶん、保存の管理が市販品より大切になります。保存がポイントです。
保存の基本は「冷蔵・密閉・遮光」の3つです。ガラス製の保存瓶(100均でも購入可能)に入れ、冷蔵庫の扉ポケットではなく庫内の奥側(温度変化が少ない場所)に置くと品質が保ちやすくなります。色が濃くなってきたり、香りが落ちてきたら使い切りのタイミングのサインです。
市販の土佐醤油(例:ヤマサ「昆布だし醤油」やキッコーマン「わが家は」シリーズなど)は、一般的に未開封で12〜18ヶ月の賞味期限が設定されています。自家製の2週間と比べると圧倒的に長持ちします。
ただし、市販品にはグルタミン酸ナトリウム(化学調味料)や保存料が含まれている場合も多く、素材の風味という点では自家製に分があります。用途によって使い分けるのが賢い方法です。
自家製をまとめて作りたい場合は、小分けにして冷凍保存する方法もあります。製氷皿で凍らせ、1キューブ=大さじ1程度の分量にしておくと、使う分だけ取り出せて便利です。冷凍での保存期間は約1ヶ月が目安です。
参考:食品保存に関する基礎知識(農林水産省・食品安全に関する公式情報)
農林水産省 食品安全・食品表示に関する情報一覧
土佐醤油は「だしが効いているから薄味に感じる」という特性があります。これは非常に重要な点です。
うま味が強いと、人は塩味を少なく感じる傾向があります。これは「うま味による塩味増強効果」として知られており、同じ塩分量でも土佐醤油のほうが満足感が高くなります。つまり少量で満足できるということですね。
一般的な濃口醤油(大さじ1)の塩分は約2.6gです。同量の自家製土佐醤油は醤油の割合がみりんで希釈されているため、塩分量は約2.0〜2.2gに抑えられます。毎食使うものだけに、この差は積み重なります。
さらに減塩を意識するなら、以下の方法が有効です。
健康診断で塩分制限を指摘された方にとって、土佐醤油への切り替えは日常の食卓でできる最も手軽な対策の一つです。難しいことは不要です。
減塩に取り組む際は、日本高血圧学会が推奨する「1日6g未満」を一つの目安にしておくと管理しやすくなります。調味料を見直すだけで、その目標に近づく第一歩になります。
参考:日本高血圧学会の減塩指針に関する情報
日本高血圧学会(JSH)公式サイト