

減塩醤油を使っているから安心、と大さじ2も3もかけていると塩分は普通醤油と変わらない。
減塩醤油の大さじ1(18ml)に含まれる塩分量は、メーカーや製品によって多少の差はありますが、おおむね1.5〜1.8g程度です。一方、普通の濃口醤油の大さじ1はおよそ2.6gの塩分を含んでいます。数字だけ見ると「かなり減っている」と感じるかもしれませんが、その差は1回あたり約0.8〜1.1gです。
これが1日に意味を持つかを考えてみましょう。厚生労働省が定める成人女性の1日あたりの塩分摂取目標量は6.5g未満(2020年版日本人の食事摂取基準)です。大さじ1の差が毎食3回あれば、その差は約2.4〜3.3g。ただし、普通醤油と比べて減塩醤油を「同量使っている場合」の話です。
問題は「量」です。大さじ1という単位は、計量スプーンできちんと測ったときの話です。料理中に目分量でどばっとかけると、大さじ2〜3相当になることも珍しくありません。つまり減塩醤油です。
よく使われる比較をまとめると、以下のようになります。
| 醤油の種類 | 大さじ1(18ml)の塩分 | 小さじ1(6ml)の塩分 |
|---|---|---|
| 濃口醤油(普通) | 約2.6g | 約0.9g |
| 減塩醤油(40〜50%カット) | 約1.5〜1.8g | 約0.5〜0.6g |
| 薄口醤油 | 約2.9g | 約1.0g |
| 白醤油 | 約2.5g | 約0.8g |
薄口醤油は色が薄いため「体にやさしそう」と思われがちですが、実は濃口より塩分が高い。これは意外なポイントです。
減塩醤油を選ぶことは確かに有効な方法ですが、「減塩醤油を使っているから大丈夫」という安心感が、使用量の増加につながりやすいという研究もあります。塩分量の把握が第一歩です。
参考:文部科学省「食品成分データベース」では各種醤油の成分を詳細に確認できます。
文部科学省 食品成分データベース(醤油類の栄養成分を確認できます)
減塩醤油に切り替えたのに、なかなか血圧が下がらない。そう感じたことはないでしょうか。その原因の多くは「使う量が増えている」ことです。
これは「代償行動」とも呼ばれ、味が薄いと感じた分だけ量を足してしまう心理的な反応です。減塩醤油はもともと塩分が少ないぶん、味が物足りなく感じる場合があります。そのため、普通醤油では大さじ1で済んでいたところを、大さじ1.5〜2に増やしてしまうことがあります。
計算してみましょう。
量が2倍になると、減塩醤油のほうが塩分が多くなってしまいます。これは本末転倒ですね。
この落とし穴を避けるためには、切り替えと同時に「計量する習慣」をセットで始めることが大切です。計量スプーンを調理台の目立つ場所に置くだけで、無意識に手が伸びるようになります。行動を変える工夫が必要です。
また、減塩醤油に慣れていくうちに「薄い味に慣れる」という味覚の再教育も自然に進んでいきます。最初の2〜3週間が勝負で、多くの栄養士が「習慣化に21日必要」と言うのはこのためです。
減塩を始めたばかりの方には、醤油の代わりに使える「ポン酢(塩分控えめタイプ)」や「だし醤油」も補助的に取り入れると、満足感を保ちながら塩分を下げやすくなります。だし醤油の旨味でカバーする方法は、試す価値があります。
高血圧や腎臓病の方にとって、1日の塩分制限は非常に重要な管理項目です。日本高血圧学会は高血圧の方に対して「1日6g未満」の食塩摂取を推奨しています。腎臓病の方はさらに厳しく、「1日3〜6g」を指示されるケースが多くあります。
醤油の大さじ1が2.6gだとすると、高血圧の方が1食でそれだけ使えば、その1食だけで1日摂取目標の約40%を醤油だけで使い切ることになります。これは思ったより多い量です。
減塩醤油(大さじ1で約1.5〜1.8g)に切り替えることで、同じ量を使ったとき、1日で節約できる塩分は約0.8〜1.1g。積み重なれば1週間で5〜7gの削減にもなります。
もちろん醤油だけが塩分の出所ではありません。味噌、ソース、めんつゆ、加工食品、外食など、日常の食事には多くの塩分源があります。醤油の塩分を管理することは、全体の食塩摂取量を下げる「入り口」として捉えるのが現実的です。
腎臓病や高血圧で医師から塩分制限を指示されている場合は、醤油の種類を変えるだけでなく、管理栄養士に相談して1食ごとの塩分量を把握することが強く推奨されます。減塩醤油はあくまでもツールの一つです。
参考:日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインには食塩制限の根拠が詳しく記載されています。
日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン(食塩摂取目標の根拠が確認できます)
減塩醤油の効果を最大限に引き出すには、料理の種類によって使い方を変えることが重要です。一律に「普通醤油の代替」として同量使うのでは、もったいない使い方になってしまいます。
煮物・炒め物に使う場合、醤油を加熱することで塩味が飛びやすくなります。そのため「減塩なのにもっと入れたくなる」という感覚が出やすい料理でもあります。こういった場合は、醤油を加える前にだしや酒・みりんで十分に旨味を補ってから、最後に少量の減塩醤油で香りと塩味を整える方法が効果的です。
かけ醤油(刺身・卵かけご飯など)の場合、味を直接感じるため少量でも満足感が得られやすい使い方です。小皿に出してから少しだけつける「つけ醤油スタイル」にするだけで、同じ満足感で塩分を30〜40%削減できるとされています。これは使えそうです。
旨味(グルタミン酸・イノシン酸)が充実していると、人は塩味が少なくても「おいしい」と感じやすくなります。これは味覚の仕組みによるものです。昆布だしや鰹だしをうまく活用することが、減塩成功の大きなカギになります。
だしを取るのが面倒な場合、無塩または低塩の顆粒だし(塩分ゼロタイプ)や、だしパックを活用するのも現実的な選択肢です。塩分ゼロのだしを先に探しておくと便利です。
減塩を「一時的なダイエット」と同じ感覚で始めると、多くの場合は長続きしません。高血圧・塩分制限が必要な方にとって、減塩は生涯続ける生活習慣の変更です。無理なく続けるための工夫が何より大切です。
まず取り組みやすい習慣のひとつが、「醤油の使用量を毎食記録する」ことです。スマートフォンのメモ帳や、簡単な手書きのメモでも構いません。記録することで、意識が向くようになり自然と使用量が減ります。続けやすい方法を選べばOKです。
次に有効なのが、「醤油差しの容量を小さくする」という物理的な工夫です。大きな醤油差しを食卓に置いておくと、無意識にたくさん使ってしまいます。100ml以下の小さな醤油差しに変えるだけで、1回あたりの使用量が平均15〜20%減ったというデータもあります。
また、「塩分計(ソルトチェッカー)」という調理器具を使うことで、汁物や煮物の塩分濃度を数値で確認できます。0.6〜0.8%程度が「おいしく感じる塩分濃度」とされており、それを目安に調味することで感覚ではなく数字で管理できるようになります。数字で管理するのが基本です。
塩分管理アプリも便利なツールのひとつです。「あすけん」「カロミル」など食事記録アプリでは、醤油をはじめとする調味料の塩分量も記録できます。毎食を完璧に記録しなくても、週に2〜3日の記録を続けるだけで自分の傾向をつかめます。
習慣は最初の3週間が山場です。減塩醤油に切り替えるタイミングで、上記の工夫を1〜2個だけ同時に始めてみてください。全部一気にやろうとしないことが、長続きの秘訣です。
参考:農林水産省の「食事バランスガイド」関連ページでは、塩分を含む調味料の適切な使い方についても解説されています。
農林水産省 食事バランスガイド(調味料の適切な使い方と塩分管理のヒントが確認できます)

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