

ラップで包んだチーズは、実は風味が落ちて損をしています。
ラスケーラ(Raschera)は、イタリア北部・ピエモンテ州クーネオ県で作られる伝統的なセミハードチーズです。EU の原産地名称保護制度「DOP(Denominazione di Origine Protetta)」を取得しており、指定された産地・製法でしか作れない本物の証が与えられています。
名前の由来は、チーズが生まれた山小屋「ラスケーラ」。2,000m 級の山々に囲まれた土地柄で農耕が難しかったため、住民は山間の平地で牛を飼い、チーズ作りで生計を立てていました。それがラスケーラの原点です。
ラスケーラが他のチーズと一線を画すのは、その「形」にあります。
| 形状 | サイズの目安 | 重さ |
|---|---|---|
| 丸形(円形) | 直径 30〜40cm、高さ 6〜9cm | 5〜9kg |
| 角形(四角) | 一辺 28〜40cm、高さ 7〜15cm | 6〜10kg |
ヨーロッパのチーズはほぼ丸形ですが、ラスケーラの角形ホールは「座布団」のような平たい四角い形です。これは山から麓の村へ運ぶ際、荷物を背負うラバ(家畜)の背に積みやすくするための工夫。つまり、あの独特な形は「運搬の知恵」から生まれたものなのです。
つまり、形に意味があるということですね。
チーズの外皮は薄く灰みがかった赤色〜黄色で、内側は乳白色〜象牙色の弾力ある生地。製造には、夕方と翌朝の搾乳を合わせて使う伝統的な工程が今も守られています。熟成期間は最低 30 日と、ハードチーズの中では比較的短いのも特徴です。
ラスケーラの基本情報(形状・産地・歴史)はWikipediaの解説ページも参考になります
ラスケーラの味は、熟成の進み具合によって大きく変わります。これがわかると、どの熟成のものを選べばいいかが一目瞭然です。
香りについては、専門家のテイスティングでは「酒粕に近い」と表現されることもあります。意外な表現ですが、口に含むとミルキー感が広がり、和食とも相性が良いと言われるほどクセが少ないのがラスケーラの魅力です。
これは使えそうです。
また、ラスケーラの中でも「ラスケーラ・ダルペッジョ(Raschera d'alpeggio)」と呼ばれる別格品があります。クーネオ県内の標高 900m 以上の特定 9 つの村で、夏場のみ作られるもので、高地の牧草で育った牛のミルクから作られます。同じ乳牛でも放牧環境が違えば乳質が変わり、チーズの味も一定ではありません。夏の山のミルクは特に香りが豊かで、ダルペッジョはその恵みをそのまま閉じ込めた一品です。
ラスケーラのDOP規定・スペック詳細はチーズプロフェッショナル向け解説ページが詳しいです
ラスケーラはイタリアでは「テーブルチーズ」として、普段の食事にそのまま食べるのが一般的です。クセが少なく食べやすいため、パンと合わせるだけでも十分おいしい。でも、ちょっとアレンジするともっと楽しめます。
ワインと合わせるなら、同じピエモンテ産の「ドルチェット・ダルバ」や「バルベーラ・ダルバ」がおすすめです。果実味のある赤ワインは、ラスケーラのミルクの甘みと程よい酸味を引き立てます。赤ワインが苦手な方には、ハーブのニュアンスを持つ「ロエロ・アルネイズ」のような白ワインもよく合います。
ワインなしでカジュアルに楽しむなら、ラガータイプのビールとの相性も良いので覚えておくと便利です。
チーズをラップでそのまま包んでいる方は多いのですが、実はこれが大きな落とし穴です。ラップで直接包むと、①ラップの石油臭さがチーズに移る、②発酵中の呼吸・水分調節が妨げられる、という 2 つのダメージが起きます。ナチュラルチーズは生きた発酵食品なので、適切に「呼吸」させながら保存することが必須です。
正しい保存手順は、以下の通りです。
賞味期限の目安は、購入後 2〜3 週間程度が一般的です。表面にカビが生えても、セミハードタイプであればそこだけ削れば食べられます。ただし、組織がもろくなったりえぐみが出てきたら劣化のサインなので注意しましょう。
食べる前のひと手間が大事です。
冷蔵庫から出したら、食べる 30 分ほど前に室温に戻すことで、本来の風味と食感が引き出されます。冷たいまま食べると味のポテンシャルが半分以下になってしまうので、ここは必ず実践したいところです。
なお、もし食べきれない場合は薄くスライスして 1 枚ずつラップに包んでから冷凍保存する方法もあります。解凍後は食感がやや変わりますが、加熱調理(グラタンやパスタソース)に使う目的なら冷凍でも問題ありません。
ナチュラルチーズ全般の正しい保存方法は伊勢丹の専門家解説(FOODIE)が参考になります
スーパーの乳製品コーナーではほとんど見かけない、というのがラスケーラの現状です。生産量・流通量ともに少ないチーズなので、一般スーパーでの取り扱いはほぼありません。とはいえ、手に入れる方法はいくつかあります。
100g から購入できる通販が主婦にとって使いやすい手段です。
はじめてラスケーラを試すなら、100g カットで注文するのがおすすめです。一人または二人でワインのおつまみにするなら、100g でもボリュームとしては十分。まずは「熟成 1 ヶ月前後の若いタイプ」を選ぶと、初めてでもクセなく食べやすく、失敗が少ないです。
価格帯としては、100g で 1,300〜1,700 円程度と少し高めですが、少量でも風味が豊かなため、コストパフォーマンスは悪くありません。毎日食べるというよりは、週末の食卓や特別な日のチーズプレートに一品加えるだけで、食卓が一気に豊かになります。
ラスケーラの購入・詳細情報はチーズとワイン専門店「Le Comptoir」の商品ページで確認できます

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