わさびの主要な生産地は静岡県と長野県です。特に、静岡県はわさび栽培の発祥地とされ、水わさびの根茎生産量が日本一を誇ります。一方、長野県は根茎と葉柄の生産量の合計が日本一です。
静岡県のわさびと長野県のわさび、これら二つのわさびは何が違うのでしょうか。その違いは微量成分にあります。ほとんど同じ種類のわさびですが、栽培環境が異なるため微量成分に差が出ます。
静岡のわさびとは?
静岡のわさびは、清流につくられた“わさび田”で育てられます。肥料を極力使わず、湧水に含まれる養分だけでわさびを育てる伝統的な方法が受け継がれています。
長野のわさびとは?
一方、長野のわさびは畑で栽培されます。これを『畑(はた)わさび』または『陸(おか)わさび』といいます。長野県のわさびは、根茎と葉柄の生産量が日本一となっています。
価格の違い
価格については、一般に「わさび」と言われると、水わさび(静岡のわさび)を指します。品質は畑わさび(長野のわさび)と比べて同程度ですが、価格は水わさびの方が高いです。
生産量の違い
静岡県の沢わさびの生産量は約498トンで、畑わさびは約156トンです。一方、長野県の沢わさびの生産量は約676トン、畑わさびは約428トンとなっています。これらの数字から、わさびの生産量は長野県が上回っていることがわかります。
静岡県は全国一のわさび生産地です。その産出額は他の地域を圧倒しています。しかし、その成功の裏には何があるのでしょうか。それは、静岡県独自のわさび栽培法と自然環境にあります。
静岡県のわさびの特色
静岡県のわさびは、辛さだけでなく、甘さや香りにも優れています。これは、豊富な湧水で育つことによるものです。特に、天城山や南アルプスからの湧水は最高の環境を提供します。
静岡県のわさび栽培法
静岡県のわさび栽培法は、400年以上の歴史を持つ伝統的なものです。この農法は、「畳石式」と呼ばれ、大中小の石を積み上げ、その上に砂礫を引いた複層構造を特徴とします。この構造により、用水は表面を流れるとともに内部に浸透し、不純物がろ過されるだけでなく、わさび栽培に適した8~18℃の水温が保たれます。
静岡県のわさびの健康効果
静岡県のわさびは、抗酸化作用や血流改善、美肌効果、さらにはがんの抑制効果など、健康に対する多様な効果が科学的に証明されています。これらの効果は、生のわさびをすりおろしたときに得られる健康成分によるものです。
これらの特性から、静岡県のわさびは、ただの料理の味付けだけでなく、健康維持にも寄与する食材として世界に誇られています。
長野産わさびの特性
長野県安曇野市はわさびの名産地として知られています。豊富な雪解け水が湧き出る地で育つ「安曇野わさび」は、特有の「辛味と風味」が特徴です。栽培期間は長く、なんと15~24カ月もの時間をかけて育てられます。
安曇野わさび田湧水群の名誉
この地域の湧水は、環境省から「名水百選『安曇野わさび田湧水群』」に認定されています。2018年に行われた「名水百選」選抜総選挙でも最多得票を獲得し、日本一に輝きました。
安曇野わさびの品質と味
わさびは厳しい気候環境で栽培されるため、成長速度が遅く、栄養成分が高密度に蓄積します。すり下ろしたときの美しい緑色と「辛味」の強さ、「香り」の広がり、そして後から感じる「甘み」が特徴です。
安曇野わさびの食卓への活用
安曇野わさびは、シンプルにご飯やお肉に添えるだけでなく、さまざまな料理に活用できます。わさび漬けやわさびのり、わさびふりかけなど、加工品も人気です。春の風物詩として地元で親しまれている「わさびの花のおひたし」もお試しください。