

「プルラン」と書かれた原材料表示を見て、危険な化学物質だと思って商品を棚に戻したことがあるなら、実は健康面で損をしているかもしれません。
プルランとは、黒酵母(学名:*Aureobasidium pullulans*)という微生物が、タピオカやトウモロコシ、ジャガイモなどのデンプンを発酵させることで作り出す水溶性の多糖類です。白色の無味無臭の粉末で、見た目も成分も非常に地味な物質ですが、実は私たちの日常の食卓に深く入り込んでいます。
日本では1976年に岡山県の企業「林原(現・ナガセヴィータ)」が世界で初めて工業化に成功した、いわば「メイド・イン・ジャパン」発祥の添加物でもあります。これは意外な事実ですね。
食品の原材料表示では、「増粘剤(プルラン)」「糊料(プルラン)」「増粘安定剤(プルラン)」などと記載されています。食品衛生法のルールで、増粘剤・安定剤・ゲル化剤・糊料に分類される添加物は、用途名と一緒に表示することが義務付けられているからです。これが基本です。
プルランが使われている食品は非常に幅広く、以下のようなものがあります。
- ソース・ドレッシング・タレ:とろみをつける増粘剤として
- グミ・ゼリー・和菓子:保水や食感調整のために
- 口中清涼フィルム・ブレスケア:水に溶けるフィルム素材として
- サプリメントのカプセル:植物性カプセルの原料として
- 冷凍食品・菓子類:結着剤・コーティング剤として
- 化粧品・フェイスマスク:保湿・保膜成分として
特にサプリメントのカプセルへの利用は見落とされがちです。毎日飲んでいる健康食品のカプセルが実はプルランでできている、というケースも多くあります。
危険な食品添加物一覧「プルランとは」ページ(用途・製造方法の詳細)
「プルラン 危険」と検索する方が多いのは、添加物という言葉への不安が大きいからでしょう。では、実際のところはどうなのでしょうか?
学術的な見地から見ると、プルランの毒性評価は一貫して「低リスク」という結論が出ています。ラットを用いた慢性毒性試験では、体重1kgあたり1日4,450mg(雄)以上という非常に大量の摂取でも、毒性病変は認められませんでした。この量を体重50kgの人間に換算すると、1日に約222gものプルランを摂取し続けないと毒性は出ない計算になります。食事から摂れるプルランは通常1日に数mg〜数十mgのレベルですから、まったく別次元の量です。
発がん性については、サルモネラ菌を使ったin vitro変異原性試験でも、プルランには変異原性・発がん性は認められないという結果が複数の研究で確認されています。これは問題ありません。
2025年3月、欧州食品安全機関(EFSA)の食品添加物・香料に関するパネル(FAFパネル)が最新の科学的意見書を公表しました。その結論は「プルランには遺伝毒性の懸念はなく、現行の使用用途・使用レベルにおいて安全性上の懸念はない」というものでした。さらにADI(許容一日摂取量)の設定も不要とされています。つまり上限設定さえ必要ないほど安全性が高いということです。
ただし1点だけ注意があります。1日10g以上の大量摂取では、異常な満腹感・鼓腸・腹部膨満感・軽度の腹部けいれんといった消化器症状が現れる可能性があるとEFSAは指摘しています。これは食物繊維を一度に大量に取りすぎた場合と同様の反応です。普通の食事で10gを超えることはほぼありませんが、複数のサプリメントを大量に服用している場合は注意が必要です。
食品安全委員会「EFSAのプルラン再評価に関する科学的意見書(2025年)」(EFSAの最新公式見解)
「うちはあまり加工食品を食べないから大丈夫」と思っている方も、実は毎日プルランを口にしている可能性が高いです。
特に見落とされやすいのがサプリメントです。植物性カプセル(ベジカプセル)を採用しているサプリメントの多くは、原料にプルランを使っています。ゼラチンカプセルは豚や牛の皮や骨から作られる動物性素材のため、ベジタリアンやヴィーガン、あるいは宗教上の制限がある人向けに、プルランカプセルが広く使われるようになっています。毎朝飲んでいるビタミン剤のカプセル、そのものがプルランという方は珍しくありません。
また口臭ケア製品との関係も見逃せません。ブレスケアなどの口中清涼フィルムや、飲み込んで使うタイプの息リフレッシュ製品にも、フィルム素材としてプルランが使われています。プルランは水にとてもよく溶ける性質を持っているため、口の中でスッと溶けるフィルムを作るのに最適な素材なのです。これは使えそうです。
もう1つ意外なのが化粧品です。フェイスマスクや乳液・クリームなどの化粧品にも、保湿・成膜成分としてプルランが配合されているものがあります。食品から化粧品まで幅広く使われているということですね。
主婦の方が特に気をつけたいのは、子どもが好きなグミやゼリー菓子です。これらにも増粘剤・保水剤としてプルランが使われているものが多くあります。原材料表示をチェックする際、「糊料(プルラン)」「増粘剤(プルラン)」という表記を探してみてください。
プルランは天然由来で毒性も低い、という点では安心できます。ただ、健康意識の高い主婦の方ならもう一歩踏み込んで確認しておきたいポイントがあります。それが原料となるデンプンの素性です。
プルランを製造する際は、黒酵母のエサとしてトウモロコシ・タピオカ・ジャガイモなどのデンプンを使います。日本に輸入されるトウモロコシのほとんどはアメリカ産で、その多くが遺伝子組み換え品種です。国内外の研究ではGMO(遺伝子組み換え作物)と非GMOの食品で健康リスクに差がないとされていますが、なんとなく気になるという方は多いでしょう。
ここで一つ知っておきたいのは、プルランは発酵・精製の過程を経た多糖類であり、最終的な製品の中に遺伝子組み換えのDNAやタンパク質が残存しているわけではないということです。つまり「GMO由来の原料から作られていても、製品自体はGMOではない」という状態になります。
とはいえ、心配な方はメーカーに直接問い合わせることをおすすめします。「非遺伝子組み換えデンプンを使用している」と明示している製品も中にはあります。消費者からの問い合わせが増えることで、メーカー側も原料の見直しや情報公開を進めていく傾向があるため、問い合わせ自体に意味があります。問い合わせ先は商品パッケージの「お客様相談窓口」から確認できます。
NAGASEグループ(プルラン開発元)「プルラン製品情報」ページ(製造方法・特性の公式情報)
ここまで読んで、プルランが想定より安全な物質だとわかった方も多いと思います。ただ「安全とわかったから意識しなくていい」というわけではなく、上手に情報を活用することが大切です。
現代の主婦は食品添加物に関する情報にさらされすぎている面があります。SNSや動画では「〇〇は危険!」という情報が拡散しやすく、結果として本当に危険な添加物と比較的安全な添加物が混同されてしまいがちです。プルランのように科学的安全性が高いものまで一律に恐れると、食材選びのストレスが増えるだけでなく、栄養バランスが崩れたり、必要なサプリを避けてしまったりといった健康上のデメリットが生じる可能性があります。
実際に主婦が日常的に意識すべき添加物の優先順位を考えると、プルランよりも亜硝酸ナトリウム(ハム・ソーセージの発色剤)やタール系色素(菓子・飲料の合成着色料)のほうが、研究による懸念の声が多いのが実状です。
プルランとの正しい付き合い方として、以下の3点を基準にしてみてください。
- 通常の食事でプルランを気にする必要はほぼない。1食あたりの摂取量は微量であり、EFSAもADI設定が不要と結論しています。
- 複数のサプリを大量に飲んでいる場合のみ、カプセル由来のプルランを確認する価値がある。1日10gを超えるような過剰摂取は腹部症状のリスクがあります。
- 「プルラン入り=危険」ではなく「添加物の種類と量を総合的に見る」習慣を持つ。食品表示を確認する際は、プルランよりも発色剤・保存料・合成着色料に注目するとより効果的です。
食品添加物全般の正確な情報を得たい方には、消費者庁の「食品添加物」ページや、日本食品化学研究振興財団の情報が参考になります。根拠のある情報を選ぶことが一番の対策です。
厚生労働省「食品添加物について」(既存添加物や安全性確保の公式情報)

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