
アメリカへの食材持ち込みは、農業と生態系保護を目的とした厳格な規制により管理されています。米国農務省(USDA)と税関・国境警備局(CBP)が連携し、外来害虫や動物性疾病の侵入を防ぐため、特定の食品カテゴリーに対して厳しい制限を設けています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1150328/
基本的な規制原則として、動物由来食品と農産物が主要な制限対象となります。これらの規制は狂牛病、口蹄疫、鳥インフルエンザ、豚コレラなど深刻な動物性疾病の拡散防止を主目的としており、原産国の疾病発生状況により制限内容が決定されます。
参考)https://www.amnet-jpn.com/bringing-food-into-us/
重要なポイントとして、原材料表記のない食品は一切持ち込み不可という規則があります。手作りの食品や、パッケージから取り出した食品は、成分が確認できないため自動的に没収対象となります。
肉類関連の完全禁止項目
牛肉、豚肉、鶏肉などあらゆる動物の肉類は、生肉・加工肉を問わず持ち込み禁止です。特に注意が必要なのは、原材料に少しでも肉エキスが含まれる食品も同様に禁止されることです。
参考)https://travelerhelper.muragon.com/entry/41.html
具体的な禁止食品には以下があります。
乳製品・卵製品の制限
生乳、生卵、生に近いチーズ、バター、ヨーグルトなど新鮮な乳製品は基本的に持ち込み禁止です。ただし、粉ミルクは例外的に持ち込み可能とされています。
参考)https://www.esta-online.jp/bringing-food-to-the-usa/
農産物の厳格な管理
生の野菜や果物は病害虫付着の可能性から持ち込み禁止ですが、加工品(ジャムなど)は持ち込み可能です。土付きの農産物は特に厳しく規制されており、植物の根についた土も含めて完全に禁止されています。
持ち込み可能な基本食材
以下の食材は適切に包装されていれば持ち込み可能です:
参考)https://americanfood-info.com/bring-food/
推奨持ち込み食材
アメリカでの入手が困難または高価な日本特有の食材。
グレーゾーン食品の判断基準
一部の食品では判断が微妙なケースがあります。例えば、メキシコ産豚肉製品は原則禁止ですが、個人使用目的で少量(よく加熱したサンドイッチ程度)であれば許可される場合があります。このような判断は入国時の税関職員の裁量に委ねられるため、不確実な食品の持ち込みは避けることが賢明です。
申告義務と罰金制度
食品を持ち込む際は、税関申告書への正確な記載が義務付けられています。申告を怠った場合、300ドル以上の罰金が科せられる可能性があります。疑わしい食品については、没収を恐れずに必ず申告することが重要です。
検査プロセスの実態
入国時の荷物検査は抜き打ち的に実施されますが、検査員は疑わしい物品を容赦なく廃棄します。2024年の事例では、ラーメン数十個が肉エキス含有を理由に全て没収されたケースも報告されています。
アルコール類の特別規定
アルコール類は1リットル(約2本)まで申告すれば無課税で持ち込み可能です。それを超過する場合は課税対象となり、21歳未満の所持は没収および罰金対象となる場合があります。
事前確認の重要性
持ち込み予定の食品については、以下の公式情報源で事前確認することを強く推奨します。
これらの情報は定期的に更新されるため、渡航直前の確認が不可欠です。
カップラーメンの隠れた危険性
多くの日本人旅行者が見落としがちなのが、カップラーメンの肉エキス含有問題です。一見問題なさそうな商品でも、ビーフエキス、ポークエキス、チキンエキスが微量でも含まれていれば没収対象となります。安全に持ち込めるのは、そばやうどんなど和風の商品で、成分表に肉エキスの記載がないもののみです。
参考)https://www.tokutenryoko.com/qa/2/16
ふりかけの成分チェック必須
日本人の食卓に欠かせないふりかけも要注意食品の一つです。多くの商品に肉エキスが使用されているため、購入前の成分表確認が必須となります。特にかつお風味や肉系の旨み成分を謳っている商品は、動物性エキスが含まれている可能性が高いです。
調味料の意外な制限
コンソメやブイヨンはもちろん、コンソメ味のスナック菓子も持ち込み禁止です。さらに、一部のチョコレートやゼリーにも動物性脂肪や肉エキスが含まれている場合があり、甘いお菓子だからといって安心はできません。
現地調達という現実的選択肢
実際のところ、ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市では日系スーパーマーケットが充実しており、多くの日本食材を現地で購入可能です。ただし、価格は日本の3-5倍程度と高額で、例えば乾燥わかめ35gが17.5ドル(約2,600円)で販売されているケースもあります。
参考)https://bibababiblog.com/nyc_japanese-foods/
短期旅行であれば現地調達、長期滞在や移住の場合は事前の慎重な食材選定と持ち込みが経済的に有利といえるでしょう。特にお気に入りのブランドや、アメリカでは入手困難な特殊食材については、規制をクリアした範囲で持ち込むことをおすすめします。
検疫探知犬による発見リスク
アメリカの空港では訓練された検疫探知犬が巡回しており、禁止食品の発見率は年々向上しています。荷物に少しでも動物性食品の痕跡があれば、犬が反応して詳細検査の対象となる可能性があります。このため、「運よく見つからなければ」という期待は非現実的であり、規則に従った持ち込みが唯一の安全策です。