

スーパーで売っている「しめじ」のうち、国産ハタケシメジの約98%は京都府京丹波町の1か所だけで作られています。
ハタケシメジは、正式にはシメジ科シメジ属に分類されるきのこで、分類学的には「香り松茸、味しめじ」の「しめじ」ことホンシメジに最も近い種類です。その名の通り、畑や庭先、道端など身近な場所に自生することからこの名がつきました。
普段スーパーで手軽に買える「ぶなしめじ」とは別物です。ぶなしめじに比べて1本1本がずっと大きく、傘の直径が4〜9cm(だいたいコーヒーカップの底ほどの大きさ)にもなります。食感はシャキシャキとして、風味はホンシメジに近いとされ、苦みもほとんどありません。
天然のハタケシメジは秋から晩秋にしか採れません。栽培物は年間を通じて流通していますが、それでも取り扱いが多いわけではなく、一般的な食品スーパーでは見かけることが少ない希少なきのこです。知る人ぞ知る存在、ということですね。
「丹波しめじ」や「大粒丹波しめじ」という名前で販売されているものも、ほぼ同じきのこです。農林水産省のデータによると、国産ハタケシメジの生産量のうち約98%が京都府産(主に京丹波町)で、令和4年の全国生産量は583.7トンと回復傾向にあります。とはいえ、ぶなしめじの年間生産量が数万トン規模なのと比べると、ハタケシメジはまだまだ希少な存在といえます。
なお、アメリカではハタケシメジのことを"Fried Chicken Mushroom(フライドチキン・マッシュルーム)"と呼ぶこともあるそうです。これはフライドチキンの味がするというわけではなく、油っぽいきのこという意味合いからきているのだとか。意外ですね。
ハタケシメジの概要・産地・旬についての詳細情報(foodslink.jp)
ハタケシメジを買いたいと思っても、近所のスーパーにはなかなか並んでいません。これはハタケシメジが産地・生産量ともに限られているためです。では、どこで手に入るのでしょうか?
まず最も確実なのが通販・お取り寄せです。楽天市場やAmazonなどの大手ECサイトでは「大粒丹波しめじ(ハタケシメジ)」として検索すると出てきます。1パック約100g前後で販売されることが多く、価格は1パック300〜600円程度(送料別)が目安。箱買いの場合は20パック入りなどまとめ買いができてお得になることもあります。
次に、産直・農産物直売所です。ポケットマルシェなどの産直サービスや、道の駅・農産物直売所でも取り扱いがあることがあります。ただし生産量が限られているため、取り扱い時期が限定的だったり、売り切れになることも。これが条件です。
また、天然ものを求める場合は、「天然きのこ山菜.com」などの専門通販サイトで、9月中旬〜末頃に不定期販売されることがあります。300gで1,500円前後という価格感で、旬の季節にのみ手に入る貴重な品です。
まとめると、ハタケシメジを入手するなら通販が最も安定しています。高価格スーパーや百貨店の鮮魚コーナーに近い食材売り場でも取り扱いがあることがあるので、近くにそういったお店がある方はチェックしてみるとよいでしょう。
ハタケシメジが健康志向の方に注目される最大の理由は、その栄養成分の豊かさにあります。なかでも特筆すべきはβ-グルカンの含有量です。
β-グルカンとは、きのこ類の細胞壁に含まれる食物繊維の一種で、免疫細胞を活性化させる働きがあることで知られています。ハタケシメジには「β-1,3グルカン」と「β-1,6グルカン」を中心に、11種類以上の水溶性β-グルカン類がバランスよく含まれているとされています。これは使えそうです。
動物実験のレベルではありますが、ハタケシメジから抽出されたβ-グルカンがマウスの腫瘍抑制に高い効果を示したという研究報告もあります。また、ハタケシメジの子実体抽出物には血圧の上昇を防ぐ働き(ACE阻害作用)が確認されているほか、善玉コレステロールを増やしつつ悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす効果も報告されています。
ビタミン・ミネラル面では、ビタミンB1・B2、ナイアシン、カリウム、リン、鉄などを含んでいます。100gあたりのエネルギーはわずか25kcalと低カロリー。食物繊維は生の状態で2.7g、ゆでると4.6gと増えるのも特徴です。日常的に食卓に取り入れやすい食材といえます。
つまり、「低カロリーで栄養が豊富」なきのこです。日々の食事に意識して取り入れることで、家族の健康管理にも役立てられます。もちろん食品ですので「治療」や「治癒」を期待するのではなく、日常的な健康維持の一助として考えるのが正しい付き合い方です。
| 成分(生・可食部100gあたり) | 含有量 |
|---|---|
| エネルギー | 25kcal |
| たんぱく質 | 2.6g |
| 食物繊維 | 2.7g |
| カリウム | 260mg |
| ビタミンB2 | 0.44mg |
| ナイアシン | 5.3mg |
(出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂))
ハタケシメジの栄養成分・健康効果の詳細(foodslink.jp)
せっかく手に入れたハタケシメジを、おいしいまま使い切るために選び方と保存方法を押さえておきましょう。
選び方については、傘に張りと丸みがあり、開きすぎていないものを選ぶのが基本です。柄が適度に太くしっかりとしていて、株元に弾力があり、ひとかたまりにまとまっているものが新鮮な証拠です。古くなると全体的に柔らかくなり、傘が割れやすくなります。パックの中が蒸れて内側に水滴がついているものは、すでに傷みが進んでいる可能性があるので避けましょう。
保存方法は、きのこ全般と同じで「水気を嫌う」のがポイントです。買ってきたパックのまま冷蔵庫に入れると、急な温度変化で結露しやすくなり、品質が落ちる原因になります。パックから取り出し、キッチンペーパーで包んでから袋に入れて野菜室で保存しましょう。冷蔵保存の目安は3〜4日です。
さらに一手間かけるなら、ざるに広げて1日ほど天日干ししてから冷蔵保存する方法があります。旨みが増して日持ちもよくなるので、余裕があるときに試してみる価値があります。
冷凍保存も可能です。石づきを切り落として使いやすい大きさにほぐし、保存袋に入れて冷凍します。冷凍したものは解凍せず凍ったまま調理するのがコツで、炒め物や鍋・汁物に直接加えれば風味が逃げにくいです。冷凍すると細胞が壊れてうま味成分が出やすくなるという嬉しい効果もあります。冷凍なら1か月が目安です。
ハタケシメジの最大の魅力は、その「シャキシャキとした食感」と「風味の豊かさ」です。ブナシメジにあるような独特の苦みがほとんどなく、子どもから大人まで食べやすいのが嬉しいポイントです。
特に相性がよいとされているのが油やクリームとの組み合わせです。天ぷら、野菜炒め、バター醤油炒め、カレー、グラタン、シチューなど、幅広い料理に使えます。炒め物にするときは「フライパンをしっかり温めてから加え、触りすぎない」ことが肝心です。触りすぎると温度が下がってきのこから水分が出てしまい、べちゃっとした仕上がりになりがちです。中火でフライパンに接した面がきつね色になるまで我慢するのが、カリッと仕上げるコツです。
汁物や鍋物にも向いています。加熱しても食感が残りやすく、長時間煮込む料理でも見栄えが崩れにくい点も特徴です。炊き込みご飯との相性も抜群で、だしの風味が米にしみ込んで格別なおいしさになります。
また、柄が太くてしっかりしているので、素焼きにしてそのまま食べる方法もおすすめです。醤油や塩でシンプルに味付けするだけで、きのこ本来の旨みが存分に楽しめます。おひたしやあえ物にする場合は、さっとゆでて水にさらしすぎず素早く使うと、風味が残りやすいです。
食卓への取り入れ方はたくさんあります。まずは1パックをバター醤油炒めにして、その豊かな食感と風味を確かめてみてください。
「通販で買うのもいいけど、自分で育てられたら面白そう」と感じた方に朗報があります。実はハタケシメジは、菌床栽培キットを使ってご家庭のベランダや庭先でも育てることができます。
株式会社キノックスが販売している家庭向けはたけしめじ菌床は、約2kgのブロック菌床をプランターに埋め込んで管理するタイプです。菌床のサイズは200×120×150mm(文庫本をひと回り大きくしたくらい)で、プランターに赤玉土と鹿沼土を用意して埋め込むだけで準備完了です。
家庭栽培では自然の温度条件に合わせる必要があるため、きのこが発生するのは基本的に秋の年1回ですが、管理が良ければ翌年の春にも収穫できることがあります。8月下旬ごろから毎夕散水を続けると、秋に株ごとドッサリと収穫できる喜びを味わえます。
スーパーではなかなか手に入らないハタケシメジを、毎年収穫して食べられるというのは家族にとっても特別な体験になります。お子さんの食育や自由研究にも活用できるので、きのこ栽培に挑戦したい方にはぜひ検討してみてほしいです。
詳細な栽培手順や菌床の注文については、キノックスのホームページから確認してみてください。菌床の価格については直接問い合わせが必要ですが、「ハタケシメジ 菌床 家庭栽培」で検索すると最新の情報が得られます。
ハタケシメジのプランター栽培の詳しい手順(株式会社キノックス)