

ミニトマトは生で食べるより加熱した方がリコピンの吸収率が約3倍も上がります。
スーパーに並ぶ小さなトマトを見て、「チェリートマト」と「ミニトマト」のどちらと呼べばいいか迷ったことはないでしょうか。実はこの2つ、どちらが正しくてどちらが間違い、というわけではありません。
農林水産省の分類によると、重さが10〜30g程度の小粒なトマトを総称して「ミニトマト」と呼び、チェリートマトはその別称として位置づけられています。つまり基本的には同じものを指す言葉です。
ではなぜ「チェリートマト」という呼び方があるのかというと、英語の「cherry(さくらんぼ)」に由来しています。さくらんぼのように丸くて小粒な見た目から、海外ではcherry tomatoと呼ばれており、日本でもそのまま「チェリートマト」という言葉が使われるようになりました。
もう一つ「プチトマト」という呼び名も耳にしたことがあるかもしれません。これが少し複雑で、実は「プチトマト」はもともと種メーカーのタキイ種苗が1975年に発売した品種名でした。ベランダ菜園向けに開発されたこの品種が爆発的に普及したため、小さいトマト全般を「プチトマト」と呼ぶ習慣が広まりました。しかし「プチ」という品種そのものは2007年に種の販売が終了しており、今スーパーで売られているものを「プチトマト」と呼ぶのは厳密には正確ではありません。
つまり、ミニトマトが一番広い意味での総称です。チェリートマトはその別称で、プチトマトはかつて存在した品種名が一般名詞のように使われているものといえます。
農林水産省の公式情報によると、さらにひと回り小さい直径1cm程度のものは「マイクロトマト」という分類もあります。小さいトマトにも意外と細かい区分があるものですね。
参考:農林水産省によるトマトの種類と分類について(公式情報)
農林水産省|トマトまるごとまるわかり!トマトの種類と分類
同じミニトマトのくくりの中でも、チェリートマトという呼び方をする場合には、ある特定のイメージがあります。形が真丸でさくらんぼそっくりな品種群のことを特にチェリートマトと呼ぶ傾向があります。
形とサイズで整理すると以下のようになります。
| 項目 | チェリートマト(イメージ) | ミニトマト(総称) |
|---|---|---|
| 形 | 真丸(さくらんぼ型) | 丸・楕円・洋ナシ型など多様 |
| サイズ | 直径1.5〜2.5cm程度 | 重さ10〜30g程度と幅広い |
| 味 | 甘みが強くジューシー | 甘みから酸味強めまで品種による |
| 皮の厚さ | 比較的薄め | 品種によって異なる |
スーパーでよく見かける代表的な品種では、「千果(ちか)」が丸くて赤く糖度8〜10度の甘みが強いタイプで、チェリートマトのイメージに近い品種です。一方「アイコ」は縦長の楕円形で果肉が厚く、ゼリー部分が少ない加熱料理向きの品種で、ミニトマトと表記されることが多いです。
味の面でいうと、甘みの強さには糖度が関わってきます。通常の大玉トマトは糖度3〜5度ですが、スーパーで一般的に売られているミニトマトは糖度5〜8度のものが多く、フルーツトマト系のブランド品になると糖度8〜9度以上に達するものもあります。つまり甘さで選ぶならミニトマト(チェリートマト)が断然有利です。
また酸味のバランスも重要で、甘みと酸味が両立しているものほどうまみが豊かに感じられます。そのままサラダやお弁当の彩りに使いたいなら、丸くてツヤのある甘みタイプを、煮込み料理やパスタソースに使うなら、楕円形で酸味が残るタイプを選ぶのがコツです。
使い分けが基本です。
実はミニトマト(チェリートマト)は、大玉トマトと見た目のサイズ差以上に栄養価の差があります。100gあたりの含有量を比較すると、リコピンは大玉トマト約3.0mgに対してミニトマトは約8.0mg、ビタミンCは大玉トマト約15mgに対してミニトマトは約32mg、β-カロテンは大玉トマト約540μgに対してミニトマトは約950μgと、いずれも1.5〜3倍の差があります。
リコピンが3倍というのは驚きです。
リコピンは赤い色素成分で、強い抗酸化作用を持ちます。活性酸素を除去し、がん予防や生活習慣病の予防、美肌への効果が期待されている成分です。このリコピン、実は生で食べるよりも加熱するほうが吸収率がぐっと高まります。ミニトマトの細胞壁は丈夫な膜に覆われており、リコピンはその中に閉じ込められています。加熱することで細胞壁が柔らかくなり、リコピンの吸収率が約2〜3倍に上がります。
さらにリコピンは脂溶性です。つまり油と一緒にとることでさらに吸収率が上がります。加熱+油の組み合わせで吸収率は生食時の3〜4倍になるとも言われています。
これは使えそうです。
具体的には、ミニトマトをオリーブオイルで軽く炒めるだけでも十分です。パスタやスープにミニトマトを入れるのは、おいしさだけでなく栄養面でも理にかなった食べ方です。「生のままサラダで食べるのが一番からだにいい」と思っていた方は多いかもしれませんが、実は加熱調理の方がリコピンをより効率よく摂れるということになります。
また、免疫対策に注目されるトマトサポニンという成分は、ミニトマトに大玉トマトの3〜5倍含まれているという報告もあります。ビタミンCは熱で壊れやすいので、生食と加熱を組み合わせるのが理想的です。毎日5〜10個(約50〜100g)を目安に食べ続けることで、栄養を無理なく取り入れることができます。
参考:ミニトマトのリコピン含有量や加熱による吸収率向上について
Yahoo!スポーツ|「普通のトマト」と「ミニトマト」、どっちが栄養ある?管理栄養士の解説
スーパーでおいしいミニトマトを選ぶとき、何となくパックを手に取っていませんか。実は3つのポイントを確認するだけで、ハズレを引く確率がぐっと下がります。
まずヘタの色と状態を見ます。ヘタが濃い緑色でピンと立っているものは収穫してから日が浅く鮮度が高い証拠です。ヘタが黄色っぽくなっていたり、しおれていたりするものは鮮度が落ちています。スーパーで見るとよくわかりますが、同じパックでもヘタの状態は大きく異なることがあります。
次に表面のツヤとハリを確認します。新鮮なミニトマトは表面がぷりっと弾力があり、宝石のようにツヤツヤと光っています。触れるなら軽く押してみて、しっかりとした弾力を感じるものがおすすめです。
3つ目は色の均一さです。色むらがなく、全体が均一に赤く染まっているものは成熟が均一で甘みも安定しています。部分的に緑や白っぽい箇所が多いものは味がばらつきやすいです。
また、豊洲市場の青果のプロによると、品種よりも旬の産地を重視することが大事なポイントだとのこと。産地は桜前線のように南から北へ移動していき、冬春は熊本県・愛知県・栃木県産が旬、夏秋は北海道・茨城県産が旬の目安です。出荷時期の始めから中頃のものが特においしいとされています。
産地と時期が条件です。
保存方法も押さえておきましょう。ミニトマトは基本的に常温保存が向いています。すぐ食べるなら常温でザルや籠に並べておけばOKです。冷蔵庫に入れると低温障害で味が落ちる場合があるため、冷たいままより常温に戻してから食べるとよりおいしく感じられます。長期保存したい場合はヘタを取って洗ってから冷凍すれば約1か月保存できます。冷凍トマトは解凍後に皮がつるっとむけるのでスープや煮込みに便利です。
同じミニトマトでも、形や品種によって料理への向き不向きがあります。これを知っているだけで、日々の献立の仕上がりが変わります。
丸型でツヤツヤのチェリートマト(千果タイプ)は、そのまま生で食べるのに向いています。糖度が高くジューシーなので、サラダの彩りやお弁当の一品として最適です。子どもが食べやすいサイズと甘さなので、おやつ感覚でそのままテーブルに出しても喜ばれます。
一方、アイコのような縦長・楕円形のミニトマトは果肉が厚くゼリー部分が少ないため、加熱しても崩れにくいのが特長です。パスタソースや煮込み料理に使うと、旨みが凝縮されてとてもおいしくなります。加熱すると甘みと旨みが両立するため、イタリアン料理との相性が抜群です。
🍅 料理別の使い分けまとめ
- 生食・サラダ・お弁当:丸型・甘みが強い千果タイプ(チェリートマトのイメージ)
- パスタ・炒め物・スープ:楕円形・果肉厚のアイコタイプ
- ピクルス・マリネ:丸型でも楕円型でもどちらでも可、皮がしっかりしているものが向く
- 煮込み・トマトソース:酸味が残っているもの、加熱向き品種
「甘くておいしいから生で食べるのが一番」と思いがちですが、加熱することでリコピン吸収率が上がることを考えると、積極的に火を通す料理にも使っていくのが賢い選択です。
また、カラフルなミニトマトも近年よく見かけるようになりました。黄色やオレンジ色のミニトマトはβ-カロテンの仲間であるβ-クリプトキサンチンやゼアキサンチンを含み、赤いものとは異なる色素成分の健康効果が期待できます。同じように見えても色が違えば含まれる栄養成分も変わってきます。これは意外ですね。
旬のミニトマトを上手に使い分けることで、毎日の食卓がより豊かになります。「チェリートマトかミニトマトか」と迷わず、形と用途で選ぶ習慣をつけると買い物がスムーズになります。形で選ぶだけでOKです。
参考:農林水産省のトマト産地情報と専門家によるトマト最新トレンド解説
農林水産省|トマトまるごとまるわかり!品種・産地・食べ方の最新情報