
日本では食物アレルギーの予防と安全対策として、現在27品目のアレルゲン食材が指定されています。これらは食品衛生法に基づき、消費者の健康と安全を守る重要な制度として機能しています。
参考)https://www.jhnfa.org/tokuhou204.pdf
アレルゲン食材27品目は、厚生労働省が即時型食物アレルギーモニタリング調査の結果をもとに選定されており、特に重篤なアナフィラキシーショック症例を対象とすると、7品目で約83%、27品目で約95%をカバーする高い実効性を持っています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10905100-Kenkoukyoku-Ganshippeitaisakuka/0000121257.pdf
この制度は1999年にコーデックス委員会(国際食品規格委員会)が確立したガイドラインに基づいており、国際的な食物アレルギー対策の標準に準拠しています。近年では世界的に食物アレルギー患者が増加傾向にあり、より精密な検査技術や管理体制の構築が求められています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11231652/
27品目の内訳構成
この分類により、アレルギー症状の重篤度と発症頻度に応じた段階的な表示制度が確立されています。
特定原材料として法律で表示が義務付けられている7品目は、日本国内でのアレルギー発症者数と症状の重篤度が特に高い食材です。
参考)https://www.inshokuten.com/supplier/knowledge/detail/103
表示義務7品目の詳細
これら7品目だけで、日本国内の食物アレルギー症例全体の約80%をカバーしています。特に卵と乳だけで全体の56.4%を占めており、食品製造業者にとって最も注意すべき原材料となっています。
醤油のような発酵調味料でも、原材料に大豆と小麦が含まれているため、これらを使用した加工食品には表示義務が発生します。また、コンタミネーション(意図しない混入)のリスクも考慮し、製造ライン全体での管理が求められています。
重要なポイント
特定原材料に準ずるものとして表示が推奨される20品目は、アレルギー症状は引き起こすものの、発症頻度や重篤度が特定原材料7品目と比較して低い食材群です。
推奨表示20品目の一覧
これらの推奨品目は、法律上の表示義務はありませんが、消費者の選択権と安全性確保の観点から表示することが強く推奨されています。特にいくらは全症例の3.3%を占め、推奨品目の中では最も発症率の高い食材です。
意外なアレルゲン食材の特徴
海外ではゴマ(セサミ)が主要アレルゲンとして扱われており、国際的な食品取引においても重要な管理対象となっています。
食品中のアレルゲン検出には、高精度な分析技術が必要です。近年の技術進歩により、LC-MS/MS(液体クロマトグラフィー質量分析法)を用いた同時多項目検査が可能になっています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9868337/
最新の検査技術特徴
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5082697/
この技術により、小麦、そば、乳、卵、甲殻類、落花生、くるみなどの主要アレルゲンを効率的に検出できるようになりました。特にクルミとアーモンドについては、2S アルブミン、7S グロブリン、11S グロブリンなどの特定ペプチドを標的とした検査法が確立されています。
検査の課題と対策
食品製造現場では、これらの検査技術を活用し、製品の安全性確保と適切な表示を実現することが求められています。
食品製造における最大の課題の一つが、意図しないアレルゲンの混入(コンタミネーション)対策です。製造ラインの共有や器具の使い回しにより、微量のアレルゲンが混入するリスクは常に存在します。
コンタミネーション発生の主要原因
製造現場での対策として、HACCP(危害分析重要管理点)システムに基づいた管理が不可欠です。特に重要なのは、アレルゲン含有製品の製造前後における設備洗浄の徹底と、洗浄効果の検証です。
効果的な対策手順
飲食店においては、「細心の注意を払って意図せぬ混入の防止管理をしておりますが、調理などにおいてそれらを完全に防ぐことは困難です」という旨を顧客に伝えることが推奨されています。
27品目以外にも、アレルギー反応を引き起こす可能性のある食材が多数存在します。パイナップル、メロン、アーモンドなどは、特定原材料等には含まれていませんが、実際にアレルギー症状を引き起こすケースが報告されています。
27品目外の主要アレルゲン食材
これらの食材は、口腔アレルギー症候群(OAS)の原因となることが多く、特に花粉症患者で交差反応を示すケースが増加しています。リンゴ、ナシ、モモ、プラム、オレンジ、ライム、チェリー、ストロベリー、ラズベリー、ブルーベリー、ブドウ、メロン、バナナ、キウイ、アボカド、栗などの果物類は要注意です。
交差反応の具体例
野菜類でも、トマト、レタス、アスパラガス、キャベツ、セロリ、フェンネル、ニンジン、アーティチョークなどにアレルゲンが含まれることが確認されており、食品製造業者や飲食店経営者は、これらの情報も把握しておく必要があります。
店舗での対応策
食材に興味を持つ消費者や食品関係者にとって、27品目を超えた包括的なアレルゲン知識の習得が、より安全な食環境の実現につながります。