

食べたシシリアンルージュの実から採った種をそのまままいても、親と同じ味のトマトはほぼ育ちません。
シシリアンルージュは、イタリアの育種家マウロ氏が育成し、2005年に日本でも販売が始まった中玉トマトです。果重20〜30g、糖度7〜8度、楕円形の真っ赤な実が特徴で、調理用トマトとして料理好きの主婦層から絶大な人気を誇っています。
ところが、現在の種の入手状況は例年とはまったく異なります。ToBRFウイルス(トマト茶色果実病)対策に伴う植物検疫の強化により、原産国イタリアからの輸入が困難になっています。販売元であるジャパンバイオファーム・サナテックシードのお知らせによれば、2025年12月01日時点で「シシリアンルージュ」「シシリアンルージュCF」「シシリアンルージュTY」を含む複数品種が販売中止になっています。次回入荷のめども立っていない状況です。
つまり、2026年現在は正規品の種を新たに購入するのは非常に難しい状態です。
それでも種を入手したい場合、まず確認したいのが以下の3つの方法です。
- オンライン種苗ショップの在庫確認:楽天・Yahoo!ショッピング・Amazon内の種苗店に少量の在庫が残っているケースがあります。「シシリアンルージュ 種 8粒」などで検索すると見つかることがあります
- 地元の種苗店に問い合わせる:全国規模の大手より、地元の専門店に旧在庫が残っている場合があります
- 代替品種を選ぶ:販売元が推薦している「ルージュジャポネーゼ(単為結果性・多収性の赤色ミニトマト)」や、2026年1月より販売再開された「ロッソナポリタン」が現実的な選択肢です
入手できるかどうかをまず確認するのが基本です。
「マウロの地中海トマト」シリーズの種子販売中止に関する公式お知らせ(ジャパンバイオファーム)
無事に種を手に入れたら、次は種まきの準備です。時期を間違えると発芽率が大きく下がるので注意してください。
種まきの適期は2月〜3月です。この時期に室内で育苗を始めることで、5月中旬以降の定植に間に合わせることができます。早すぎると定植前に苗が育ちすぎ、遅すぎると収穫量が減るため、時期の見極めが重要です。
発芽に必要な温度が条件です。トマトの発芽適温は25〜30℃で、この温度帯を保てないと発芽率が大きく落ちます。3月初旬の室内は日中でも20℃を下回ることが多いため、次の方法で温度を確保しましょう。
- ビニール袋で覆う:種をまいたトレーをジップロックや透明のビニール袋で覆うだけで温度が保たれます
- 温かい場所に置く:冷蔵庫の上・テレビの裏・浴室乾燥機の近くなど、家の中で比較的暖かい場所を活用します
- 簡易ヒーターを使う:ホームセンターで1,000〜2,000円程度で購入できる育苗用ヒーターマットが最も安定しています
適温を保てれば、種まきから4〜7日で発芽します。発芽後は日中20〜25℃、夜間8〜13℃の環境に移して育苗します。発芽後に同じ高温で管理し続けると「徒長(ひょろひょろした苗)」になりやすいので、発芽確認後は温度を少し下げるのがポイントです。
発芽後の育苗期間は約2か月が目安です。本葉が7〜8枚になり、高さ15cm前後になったら定植の準備ができたサインです。
トマトの発芽適温・育苗管理の詳細解説(minorasu by BASF)
シシリアンルージュといえば「ソバージュ栽培」という言葉をセットで聞いたことがある方も多いでしょう。ソバージュ(仏語で「野生」の意)栽培とは、芽かき・葉かきをほぼ行わず、脇芽を放任して野性的に育てる露地栽培方法です。サナテックシードの商標登録でもあります。
この栽培方法の最大のメリットは収穫量にあります。通常の1本仕立て栽培と比べ、ソバージュ栽培では1株あたり約10kgの収穫が期待できます。重さにするとレンガ約8個分、個数にすれば20gサイズで約500個相当です。
ただし、プランターでのソバージュ栽培には注意が必要です。畑向けのソバージュ栽培は株間80〜100cm・畝間2mという広大なスペースが前提なのに対し、プランター栽培では株間30〜40cmを確保できれば対応できます。プランターは容量30L以上の大型のものを選ぶことが条件です。土の量が少ないと根が張れず、樹勢が落ちて収穫量が大幅に減ります。
🌿 ソバージュ栽培の基本手順
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 定植時期 | 遅霜の心配がない5月中旬以降 |
| 株元の芽かき | 2段目の果房まではわき芽を摘除(それ以降は放任) |
| 誘引 | U字支柱+キュウリ誘引ネットに枝を絡ませる |
| 追肥 | 定植後50日〜、3段開花のころから2週間に1回 |
| 収穫期 | 7〜10月(旬は7〜8月) |
芽かきが不要というのが条件です。通常のトマト栽培では「わき芽は必ず摘む」が常識ですが、ソバージュ栽培は逆に放任することで根の張りが強まり、乾燥や高温にも強い株に育ちます。これは明治大学の研究でも実証されており、ソバージュ栽培の株では面積あたりの収量が慣行栽培と同程度か上回ることが確認されています。
苦労して種から育てたシシリアンルージュ、せっかくなら最大限に栄養を活かしたいところです。
シシリアンルージュが「美肌トマト」と呼ばれる理由は、その栄養成分にあります。一般的な大玉ピンク系トマトと比較すると、以下のような特徴があります。
- リコピン:大玉トマト比 約8倍、輸入缶詰トマト比 約4倍
- グルタミン酸(うまみ成分):大玉トマト比 約3倍
- GABA(γ-アミノ酪酸):通常トマト比 約2倍
- プロリン(コラーゲンの主成分):豊富に含む
- 水分量:少なめ → 加熱調理に向いている
リコピンの生成には温度が関係します。適温は12〜32℃(最適は20〜25℃)で、真夏の直射日光を当て続けると逆にリコピンの生成が阻害されます。これがソバージュ栽培で「葉かき不要」とされている理由のひとつで、葉の陰(リーフカバー)が適温を保つ役割を果たすのです。意外ですね。
また、リコピンはオリーブオイルと一緒に加熱することで吸収率が約4倍に高まります。塩とオリーブオイルだけで炒めるシンプルな調理法が、栄養面でも理にかなっています。おすすめの食べ方を3つ挙げると、トマトソース(パスタ・ピザ)、ソテー(オリーブオイル+塩)、セミドライトマト(低温オーブンで水分を飛ばす)が定番です。
加熱すると栄養が逃げると思っている方も多いかもしれませんが、リコピンに関しては加熱するだけで1.3倍、オイルと合わせると4倍に吸収率が上がります。これは使えそうです。
2026年現在、シシリアンルージュの種は正規ルートでは入手困難な状態が続いています。それでも「ソバージュ栽培でイタリアントマトを育てたい」という方のために、現在入手可能な代替品種を整理します。
① ルージュジャポネーゼ
サナテックシードが開発した単為結果性(受粉なしでも実がなる)・多収性の新品種です。受粉作業が不要なぶん、家庭菜園初心者でも安定して実を付けやすい特徴があります。各地で良好な評価が報告されており、現時点では入手しやすい選択肢です。
② ロッソナポリタン
こちらもマウロの地中海トマトシリーズのひとつで、2026年1月より販売を再開しました。シシリアンルージュ65%+ロッソナポリタン35%の「黄金比」がうまみのベストバランスとされており、ソース作りに特に向いています。味の素社との共同研究では、アミノ酸含量がシリーズ内でトップという結果も出ています。
③ シシリアンルージュCF(シシリアンルージュハイギャバ)
ゲノム編集により通常の約5倍のGABAを含むよう開発されたトマトです。GABAはコレステロール値や血圧の調整に関わるアミノ酸で、健康意識の高い方に注目されています。苗の配布は過去に行われており、引き続き流通状況を確認する価値があります。
現在の種の流通状況は月単位で変化しています。購入を検討している場合は、サナテックシードや青空トマト学園(オンラインショップ)など、専門の種苗会社のウェブサイトを定期的にチェックするのが確実です。
🍅 代替品種の比較
| 品種名 | 特徴 | 入手状況(2026年3月時点) |
|---|---|---|
| ルージュジャポネーゼ | 単為結果性・多収性、初心者向け | 入手しやすい |
| ロッソナポリタン | うまみ豊富、ソース向き | 2026年1月販売再開 |
| シシリアンルージュCF | GABA約5倍、健康志向向け | 要確認 |
シシリアンルージュCFの詳細・購入情報(青空トマト学園オンラインショップ)