
イタリア料理を楽しむ際によく目にする「ロッソ」と「ビアンコ」という言葉。これらはイタリア語でそれぞれ「赤い(rosso)」と「白い(bianco)」を意味する色を表す単語です。料理名に付けられる場合、その見た目や使用される主な食材の特徴を示しています。
ロッソは赤色を意味し、イタリア料理では主にトマトやトマトソースを使用した料理を指します。トマトの鮮やかな赤色が料理に反映されるため、見た目も赤みを帯びています。トマトはイタリア料理の代表的な食材ですが、実は16世紀半ばになってからイタリアで食べられるようになり、18世紀に品種改良を経て現在のような美味しいトマトが誕生したという歴史があります。
一方、ビアンコは白色を意味し、トマトソースを使わない料理に用いられます。オリーブオイルや塩、チーズなどでシンプルに味付けされることが多く、素材本来の色や風味を活かした料理となります。フランス語の「blanc(ブラン)」と同じ語源を持ち、「mont blanc(モンブラン)」の「blanc」も「白い」という意味です。
イタリア料理において、この色による区別は単なる見た目だけでなく、味わいや調理法の違いも表しており、イタリア料理の多様性を理解する上で重要な概念となっています。
ピザ ロッソ(Pizza Rosso)は、トマトソースをベースにしたイタリアの伝統的なピザスタイルです。ローマでは「ピッツァ ロッサ」とも呼ばれ、薄くてパリッとした生地にトマトソースを塗った、シンプルながらも奥深い味わいが特徴です。
ピザ ロッソの最大の特徴は、トマトソースの存在感です。イタリアでは「パッサータ」と呼ばれる種を取り除いたトマトピューレを使用することが多く、オーブンの高温で焼くことでトマトの甘みと酸味が凝縮されます。生地は薄く伸ばされ、トマトソースの重みと水分によって、焼き上がりはカリカリとした食感になります。
基本的なピザ ロッソのレシピは以下の通りです。
材料(2人分)
作り方
本場ローマでは、ピザ ロッソは朝食からおやつ、夕食まで一日中楽しまれています。屋台やフォルノ(パン屋)では、ピザを半分に折りたたみ、トマトソース面を内側にして紙に包み、歩きながら食べられるようにして提供されることも多いです。
ピザ ビアンコ(Pizza Bianco)は、トマトソースを使わない「白いピザ」です。イタリア語で「白い」を意味する「ビアンコ」という名前の通り、見た目も白っぽく、素材本来の風味を楽しめる上品な味わいが特徴です。
ピザ ビアンコの魅力は、そのシンプルさにあります。基本的なピザ ビアンコは、薄く伸ばした生地にオリーブオイルと塩のみを塗って焼き上げます。ローマでは「ピッツァ ビアンカ」と呼ばれ、生地の発酵によって生まれる複雑な風味と、高温で焼くことで得られる独特の食感が楽しめます。生地は外はカリッと、中はもっちりとした食感になるよう、長時間発酵させるのが特徴です。
本格的なピザ ビアンコの作り方は以下の通りです。
材料(基本のピザ ビアンコ)
作り方
ピザ ビアンコのバリエーションとして、モッツァレラチーズやパルミジャーノレッジャーノを加えた「マルゲリータ ビアンカ」や、薄切りの赤玉ねぎ、パルミジャーノ、ローズマリー、ピスタチオを組み合わせたクリス・ビアンコの「ピザ ローザ」など、様々なアレンジがあります。
ピザ ビアンコは、その繊細な味わいを楽しむために、使用する材料の質にこだわることが重要です。特にオリーブオイルは風味の要となるため、フルーティーで香り高い上質なものを選ぶことをおすすめします。
パスタ料理においても「ロッソ」と「ビアンコ」の区別は重要です。この色分けはソースの種類や調理法の違いを示し、それぞれ異なる味わいを楽しむことができます。
**パスタ ロッソ(赤いパスタ)**の特徴は、トマトベースのソースを使用することです。代表的な料理には以下のようなものがあります。
一方、**パスタ ビアンコ(白いパスタ)**は、トマトを使わずにオリーブオイルや生クリーム、チーズなどをベースにしたソースを使います。
イタリアの家庭では、子供たちが好むのは主に「パスタ ビアンコ」と言われています。特にオリーブオイルとパルメザンチーズだけのシンプルな味付けは、子供から大人まで幅広く愛されています。
パスタ料理におけるロッソとビアンコの違いは、単に色の違いだけでなく、味わいの方向性の違いも表しています。ロッソは酸味や甘みを含むトマトの風味が主役となり、ビアンコは素材そのものの旨味や塩味、オリーブオイルの香りが際立つ傾向があります。
イタリアの各地域によって、ピザ ロッソとビアンコの特徴や食べ方には興味深い違いがあります。これらの違いは、地域の歴史や食文化、利用可能な食材によって形作られてきました。
ローマのピザ文化では、ピッツァ ロッサとピッツァ ビアンカは日常的なスナックとして親しまれています。ローマのピザは非常に薄く伸ばされ、カリッとした食感が特徴です。地元のフォルノ(パン屋)では、一日中これらのピザが焼き上げられ、切り売りされています。ローマ人は朝食からおやつ、時には夕食の一部としてもこれらのピザを楽しみます。ローマのピッツァ ビアンカは、生地を何度も優しく引き伸ばし、凹凸をつけることで特徴的な「ロープ状」の食感を生み出します。
ナポリのピザは、ローマのものとは対照的に、縁が厚くふっくらとしており、中心部は薄いのが特徴です。ナポリでは伝統的にピザ ロッソが主流で、シンプルなマリナーラ(トマトソース、オレガノ、ニンニク)やマルゲリータ(トマトソース、モッツァレラ、バジル)が有名です。ナポリのピザは、90秒程度の短時間で高温(約485℃)で焼き上げられます。
北イタリアでは、ビアンコスタイルのピザが比較的多く見られます。特にリグーリア州のフォカッチャに近いスタイルのピザは、オリーブオイルをたっぷり使い、時にはローズマリーやオニオン、チーズなどをトッピングします。
興味深いのは、イタリアの食文化においてピザの食べ方にも地域差があることです。ローマでは歩きながらピザを食べることが一般的ですが、ナポリではピザは座って、ナイフとフォークで食べるのが伝統的です。
また、イタリアの食文化では「赤と白」の区別は、ピザやパスタだけでなく、ワイン(ヴィーノ・ロッソとヴィーノ・ビアンコ)やその他の料理にも及びます。この色分けは、イタリア国旗の色(緑、白、赤)とも関連しており、イタリアのアイデンティティを象徴する要素となっています。
日本では、イタリアンレストランのメニューでビアンコとロッソの表記を見かけることが増えていますが、その本来の意味や文化的背景を理解することで、イタリア料理をより深く楽しむことができるでしょう。
イタリアの伝統的なビアンコとロッソの概念を取り入れた、家庭で手軽に作れるアレンジレシピをご紹介します。日本の食材や調理器具を使って、本格的な味わいを楽しみましょう。
簡単ピザ ビアンコのアレンジ
市販のピザ生地やパン生地を使って、手軽にピザ ビアンコを作ることができます。
和風ピザ ビアンコ
チーズたっぷりピザ ビアンコ
簡単パスタ ロッソとビアンコ
パスタ料理も、ロッソとビアンコの概念を使って様々なバリエーションが楽しめます。
冷蔵庫の残り物で作るパスタ ロッソ