

ロティサイマイをお土産にしても、賞味期限が2日しかないので友人に渡す前に腐ります。
ロティサイマイ(โรตีสายไหม)は、タイの世界遺産都市アユタヤが発祥の伝統的なスイーツです。「ロティ」はタイ語でクレープ状の薄い小麦粉生地を、「サイマイ」は絹の糸を意味します。名前の通り、糸のように細く引き延ばした砂糖菓子(飴)を、薄く焼いたクレープ生地に乗せてくるくると巻いて食べる、シンプルで奥深い一品です。
見た目のインパクトが大きく、カラフルなサイマイが華やかに並ぶ光景は旅行者を惹きつけてやみません。サイマイはピンク、白、緑など複数の色があり、食紅や天然色素で着色されています。一箱に8〜15本分が入って現地では約30〜50バーツ(日本円で120〜200円前後)と、驚くほどリーズナブルです。
この菓子が生まれたのは16世紀初頭とされています。当時のアユタヤは東南アジア最大の交易都市の一つで、ペルシャ(現在のイラン)の商人が多く行き来していました。そのペルシャに「パシュマック」と呼ばれる細い糸状の砂糖菓子があり、それがアユタヤの食文化と融合して現在のロティサイマイが誕生したとされています。つまり、日本の綿あめとも、フランスのクレープとも異なる、シルクロードを経由してアジアに伝わった菓子文化の結晶とも言えます。意外ですね。
現在、アユタヤでは市内の国道沿いや旧市街一帯に数多くの専門店が並んでいます。なかでも「ローティ・サーイマイ・アビーディン(Roti Saimai Abeedeen)」は2021年12月にミシュランガイド2022年版のビブグルマンに登録されたことで世界的に有名になりました。1袋30バーツという庶民的な価格でミシュラン認定のクオリティが味わえる、まさにアユタヤの宝とも言える存在です。
タイ国政府観光庁による公式情報もあり、アユタヤ観光の定番として国際的に認知されています。
タイ国政府観光庁によるアビーディンの公式紹介ページ(歴史・アクセス・基本情報を掲載)。
ローティ・サーイマイ・アビーディン|タイ国政府観光庁
ロティサイマイをアユタヤで購入した場合、賞味期限はわずか1〜2日です。これが非常に重要なポイントです。生地部分(ロティ)は手作りで保存料を使わないため、傷むのが早く、3日目にはクレープ生地にカビが生える場合もあります。また砂糖菓子(サイマイ)の部分は湿気に弱く、時間が経つと水分を吸って硬くなり、針のように固い状態になることもあります。
保存方法については、現地店舗では「冷蔵庫には入れないでください」と説明されるケースが多く、常温での翌日中の消費が基本です。冷蔵庫に入れるとロティの生地が固くなり食感が損なわれます。購入したその日のうち、遅くとも翌日中に食べきるのが原則です。
では、日本へのお土産として持ち帰ることはできるのでしょうか?食品としての持ち込み自体は原則として問題ありませんが、賞味期限が2日しかないため、フライトの時間と現地滞在日数によっては、日本に帰国した時点でほぼ期限切れになっている計算になります。バンコク(スワンナプーム空港)から日本(成田空港など)までのフライトは約6〜7時間。アユタヤで購入した翌日に帰国するスケジュールなら、飛行機を降りてすぐ食べれば間に合う計算ですが、現実的には余裕がありません。
日本にいる友人や家族へのお土産にするのは、日持ちの点からほぼ不可能と考えておきましょう。これが「現地でしか味わえない」特別感にもつながっています。
アユタヤ名物ロティサイマイを実際に購入した体験レポート(日持ち・価格・アクセス情報あり)
ロティサイマイは日本国内では非常に珍しいお菓子で、固定の専門店はほとんど存在しません。しかし「食べてみたい!」という方には、いくつか選択肢があります。
まず最も確実な方法が、東京・日暮里を中心に不定期出店している「raanpumpuy(ラーンプンプイ)」です。インスタグラム(@_raanpumpuy_)では「タイのアユタヤ名物・ロティサイマイを作って不定期で間借り販売をしています。日本唯一です。」と明記されており、現在のところ日本で本格的なロティサイマイを提供している唯一の存在として知られています。実店舗は持たず、都内カフェなどへの間借り販売スタイルで出店しています。
出店情報はInstagramで随時発信されており、過去には「ロティサイマイ&ドリンクセット1,650円」という形で提供されていた記録があります。タイ現地価格(約130〜200円)と比べると割高に感じるかもしれませんが、本場さながらのクオリティを日本で体験できることを考えると、納得感のある価格です。これは使えそうです。
出店スケジュールは不定期のため、SNSをフォローして情報を見逃さないようにするのが最善策です。出かける前に必ずInstagramをチェックするのが条件です。
また、関西圏や大阪ではほぼ入手困難な状況です。国内で購入できる機会はまだ非常に限られているのが現状であり、日本でロティサイマイを味わえること自体がかなり希少な体験と言えます。
日本国内での入手が難しいなら、自分で作るという選択肢があります。実は市販の材料で本格的なロティサイマイを再現することが可能です。自宅で作る魅力は、好きなだけ食べられることと、家族や子どもと一緒に楽しめる点にあります。
材料は以下の通りです(ロティ7枚前後 + サイマイ カツラ1.5枚分程度の分量)。
| パーツ | 材料 | 分量 |
|---|---|---|
| ロティ(生地) | 中力粉(薄力粉と強力粉を1:1でも可) | 130g |
| タピオカ粉(または片栗粉) | 7.5g | |
| 塩 | ひとつまみ(約1g) | |
| サラダ油 | 5cc | |
| 水 | 180cc(様子を見ながら調整) | |
| サイマイ(糸飴) | グラニュー糖 | 90g |
| 水あめ | 25g | |
| 水 | 75cc | |
| 薄力粉 | 15g | |
| サラダ油 | 20cc |
材料はすべてスーパーで揃えられます。タピオカ粉だけは業務スーパーやネット通販での購入が確実です。
工程の中で最も難しいのがサイマイ(糸飴)の製造です。煮詰めた飴生地を折り畳んで伸ばすことを繰り返し、徐々に細い糸状にしていきます。最終的には髪の毛ほどの細さになるまで引き伸ばすのが理想で、これには腕力と根気が必要です。子どもと一緒に作る場合は、飴が熱くなるため火傷に十分注意してください。
ロティの生地は5〜8分こねてから15分寝かせ、その後フライパンに直接こすりつけるように薄く広げて焼きます。日本のクレープとは生地の伸ばし方が違うので、最初はうまくいかなくても2〜3枚焼くうちにコツをつかめます。
食べ方は、焼いたロティ1枚にサイマイをのせてくるくると巻いてそのまま口に入れるだけです。シンプルさが大事なんです。
自宅で作ったロティサイマイは、ロティとサイマイをそれぞれの状態で一晩寝かせると、翌日がより現地の味に近づくという経験則もあります。時間に余裕があれば試してみてください。
日本語で読める詳しい自作レシピ(タイ語レシピを日本向けにアレンジした情報)。
ロティサイマイの作り方(note:猫山田ジェイコブ)
ロティサイマイはタイの伝統菓子でありながら、実は日本の家庭に親しみやすい要素をたくさん持っています。これはあまり語られないポイントです。
まず材料コストが驚くほど安い。グラニュー糖・水あめ・薄力粉・中力粉という、どこのスーパーにもある食材だけで完結します。材料費の合計は、1回分でおそらく200〜300円以内に収まります。市販のクレープキットやスイーツの材料セットを買うよりもずっとリーズナブルです。
次に、見た目のインパクトが大きい点も魅力です。カラフルに着色したサイマイを作れば、SNSに投稿しても映える仕上がりになります。食紅は少量の赤・青・黄があれば、ピンク・緑・紫なども作れます。子どものバレンタインや誕生日に「タイのお菓子を手作りした」というだけで特別な記憶になります。
また、糸飴を伸ばす工程は子どもにとって「科学の実験」のような体験であり、理科的な好奇心を刺激します。「砂糖がこんな形になるの!?」という驚きの瞬間は、市販のお菓子では絶対に味わえません。
もう一つ注目したいのが、グルテンフリー対応の余地です。ロティの生地を米粉に置き換えることで、小麦アレルギーのあるお子さんでも楽しめるバリエーションを作れる可能性があります。タイ国政府観光庁の説明でも「米粉で作ったクレープ生地」という記述があり、米粉バージョンは本来の作り方に近い形とも言えます。
食べた人が「えっ、これ本当に家で作れるの?」と驚くような一品が、意外と身近な材料で作れる。これがロティサイマイの最大の魅力かもしれません。
日本コナモン協会によるロティサイマイの現地体験レポート(伝統的な食感・製造過程を解説)。
タイの伝統菓子ロティ・サイマイ|日本コナモン協会