

冷蔵庫から出してすぐ食べると、ラングルの本当の美味しさが半減します。
ラングルは、フランス北東部・シャンパーニュ地方(オート=マルヌ県)のラングル高原で生まれた、ウォッシュタイプのナチュラルチーズです。最大の特徴は、チーズの上部にある「フォンテーヌ(fontaine=泉)」と呼ばれるくぼみ。これは製造中にチーズを反転させる作業を忘れてしまったことが起源とされており、重力で中心部が自然に凹んでできた形なのです。いわば「うっかりミス」から生まれた個性ということですね。
見た目はオレンジ色のシワシワした外皮が印象的で、少々ぶっきらぼうな外観ですが、中身はクリーミーでミルクのコクと乳酸の爽やかな酸味が絶妙に絡み合った繊細な味わいです。ウォッシュチーズの中では比較的クセが穏やかで、エポワスほど強烈な臭いはありません。ウォッシュチーズ初心者にも比較的入りやすい一品です。
1991年にAOC(現在はAOP)認証を取得しており、シャンパーニュ地方の特定の地域でしか造れないという厳しい基準を守って生産されています。小型のもので約180〜250gほど、価格は専門店や通販で1,000〜3,000円程度が相場です。
| チーズの種類 | ウォッシュタイプ |
|---|---|
| 産地 | フランス・シャンパーニュ地方 |
| 原料乳 | 牛乳(生乳または低温殺菌) |
| 熟成期間 | 約4〜6週間(小型は最低15日) |
| 形状・重さ | 円筒形・上部にくぼみあり/約180〜250g |
| 味わいの目安 | クリーミー・乳酸の酸味・ほんのりした塩味 |
ラングルの詳しい基礎知識はこちらも参考になります。
ラングル | チーズ辞典 | チーズクラブ | 雪印メグミルク株式会社(産地・熟成期間・特徴を確認できます)
ラングルを美味しく食べるうえで、最初にして最大のポイントが「室温に戻すこと」です。冷蔵庫から出したばかりの状態では、チーズ内部の乳脂肪が固まっており、本来のとろみやクリーミーさがまったく出ません。食べる30〜60分前には必ず冷蔵庫から取り出し、常温(約20〜22℃程度)に戻してから食べましょう。
これが基本です。
室温に戻ったラングルは、外皮の近くから徐々に柔らかくなってきます。熟成が適度に進んだものなら、外皮のすぐ内側がとろりとしてきて、まるで熱くないチーズフォンデュのような質感になります。この状態がまさに食べごろです。
冷たいまま食べると乳酸の酸味だけが突出して感じられ、せっかくのミルクのコクや甘みがわかりにくくなります。時間があれば60分、忙しくても最低30分は待つことが条件です。
また、取り出す際はラップをはずして包装紙ごと置いておくか、チーズペーパーに包んだまま置いておくと、チーズが乾燥しすぎず風味が自然に戻ってきます。これは使えそうです。
ラングルのオレンジ色の外皮について「食べてもいいの?」と疑問に感じる方は多いです。結論から言うと、外皮は食べても害はありません。ウォッシュチーズの外皮には、熟成を促すリネンス菌が繁殖していますが、この菌は納豆菌と同じ「枯草菌」の仲間で、食べても体に悪影響はないとされています。
ただし注意点があります。ウォッシュチーズ独特の強い香りのもとはまさにこの外皮で、外皮をそのまま食べると臭みや塩味が強く感じられることがあります。香りのクセが好きな方はそのまま食べるのが玄人流。クセが苦手な方は外皮を薄く削って中身だけ食べると、マイルドで食べやすくなります。
外皮が苦手なら中身だけで問題ありません。
切り方のコツも覚えておきましょう。熟成が進んだラングルは生地が柔らかくなっているため、切るときに崩れやすいです。鋭い刃のナイフを使い、ケーキのように放射状にカットするのが基本です。チーズ専門店でよく使われる「クロタンナイフ」という刃の細いナイフが特に扱いやすいですが、自宅では切れ味の良い薄刃の包丁でも十分代用できます。断面から酸化が進みやすいため、食べる分だけカットして残りは保存するのが原則です。
ラングルの切り方・保存方法(チーズプロフェッショナル資格保持者による詳細解説)
ラングルならではの楽しみ方といえば、上部のくぼみ「フォンテーヌ」にシャンパンやブランデーを注ぐ伝統的な食べ方です。フランスでは家庭でも行われるおもてなしの演出で、見た目にも華やかでゲストを驚かせる効果があります。
やり方はシンプルです。
シャンパンを注ぐことで、アルコールの香りとチーズのクリーミーさが融合し、まろやかさが増します。泡が静まるころにはチーズの表面にシャンパンがじんわりと染み込んでおり、一口食べるとほのかなシャンパンの香りとミルクのコクが同時に広がります。
シャンパンがない場合は、マール・ド・シャンパーニュ(シャンパーニュ産の蒸留酒)を少量注ぐ方法も伝統的です。さらに上級者向けとして、蒸留酒に火をつけて青い炎を楽しんだ後にバゲットと一緒に頬張る方法もあります。
シャンパンを注ぐ作法は必須ではありませんが、試してみる価値は十分あります。
なお、合わせるシャンパンは「黒ブドウ(ピノ・ノワールやピノ・ムニエ)主体」のものが相性抜群です。シャルドネ100%のスパークリングワインはラングルとは意外と合いにくく、チーズの臭みが際立つ組み合わせになることがあります。同郷のシャンパーニュ地方産ということで「何でもシャンパンならOK」と思いがちですが、品種の選択が大切です。
ラングルの魅力と食べ方(フォンテーヌへの注ぎ方・シャンパンとの組み合わせ詳細)
シャンパンや蒸留酒を使わなくても、自宅でも手軽にラングルの美味しさを引き出せる食べ合わせがあります。特に主婦目線でおすすめしたいのは、はちみつとの組み合わせです。
ラングルのクリーミーな乳酸の酸味と、はちみつの自然な甘みは非常に相性がよく、一緒に口に入れると酸味が柔らかくなり、ミルクのコクが際立ちます。可能であればシャンパーニュ産のはちみつを合わせると「同郷ペアリング」が楽しめます。アカシアはちみつのように淡い味わいのものや、百花蜜のような複雑な風味のものもよく合います。
フルーツとの組み合わせも試してほしいです。特に相性がよいのは以下のフルーツです。
クラッカーやバゲットにのせてひと口で食べるのが最も手軽な楽しみ方です。ラングルをスプーンで少量すくい、クラッカーの上にのせ、さらにはちみつをひとたらしするだけで、立派なおもてなしの一品になります。
バゲットはやや薄めにスライスしてトーストしたものが特におすすめです。外側がパリッとしているとチーズのとろみ感とのコントラストが楽しめます。これは使えそうです。
市販のラングルを購入後、すぐに食べきれないことはよくあります。また、買ったばかりでまだ若い(熟成が足りない)と感じた場合に、自宅で少し追熟させるという方法もあります。これはほとんどの市販チーズ解説では触れられていない視点です。
まず保存の基本から説明します。カットした断面をアルミ箔で押さえるように蓋をして、さらにラップで全体を包み、ジッパー付き保存袋に入れて冷蔵保存しましょう。これが保存の原則です。ラングルは柔らかく形崩れしやすいため、他のチーズや食材と密着しないよう注意してください。
追熟のコツとして、数時間室温(20℃前後)に置いてから冷蔵庫に戻すことを繰り返すと、熟成が徐々に進みます。熟成が進むにつれてチーズの内部はよりトロトロになり、ウォッシュチーズらしい芳醇なコクと香りが増していきます。
追熟が進むと形が崩れやすくなります。
ただし、追熟はあくまで自己管理のもとで行うものです。チーズ専門店で購入した場合は、購入時に「食べごろ」を店員に確認するのが最も確実な方法です。購入したその日が最もフレッシュであることが多く、「購入後すぐ食べるのがベスト」というのが基本的な考え方です。
雪印メグミルクのチーズ保存Q&Aも参考にどうぞ。
チーズの保存に関するQ&A | チーズクラブ | 雪印メグミルク(冷蔵温度・保存のポイントなど)
ラングルには農家製(フェルミエ)と工場製(リュストリエル)の2種類があります。どちらを選ぶかによって、味わいのレベルが変わります。
工場製のラングルは比較的流通量が多く、チーズ専門店や高級スーパー、通販で手に入りやすいです。熟成管理がされており安定した味わいで、初めて食べる方にはこちらがおすすめです。価格は1,000〜1,500円程度のものが多いです。
農家製のラングルは生産量が少なく、ミルクの甘みや旨味がより豊かで、余韻が長いのが特徴です。専門店やオンラインのチーズ専門通販で取り扱われることがあります。価格は2,000〜3,000円以上になることもありますが、その分だけ風味の複雑さが際立ちます。
工場製でも十分に美味しいのが正直なところです。
最後に、ラングルの食べ方を5つのポイントにまとめます。
ラングルは決して難しいチーズではありません。コツをひとつ掴めば、あとは自分好みの熟成具合や食べ合わせを見つける楽しみに変わります。チーズ専門店に行ったときにはぜひ手に取ってみてください。

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