

黒皮かぼちゃは、追熟させると逆にまずくなります。
「かぼちゃの旬は秋」というイメージを持っている方は多いでしょう。しかし黒皮かぼちゃ(日向かぼちゃ)に関しては、この常識がそのまま当てはまりません。
宮崎県産のハウス栽培黒皮かぼちゃは、10月に苗を定植してじっくり育て、12月の冬至頃に一番果を収穫するのが始まりです。その後、翌年の6月頃の六番果まで収穫が続きます。つまり、旬の時期は12月〜翌年6月という、冬から初夏にかけての長いシーズンです。
露地栽培のものは10月〜11月に収穫されることもありますが、現在の主流であるハウス促成栽培では、真冬から春にかけてが最盛期になります。一つの苗から1シーズンに穫れるかぼちゃは6個ほど。それだけ手間がかかる野菜です。
| 種類 | 旬・食べ頃 |
|---|---|
| 黒皮かぼちゃ(ハウス) | 12月〜翌年6月 |
| 黒皮かぼちゃ(露地) | 10月〜11月 |
| 西洋かぼちゃ(国産) | 秋〜冬(追熟後) |
つまり旬は「冬〜春」が基本です。
宮崎は日照時間が全国トップクラスで、冬でも温暖な気候が促成栽培に最適。この恵まれた環境が、冬至の頃に美しく実る黒皮かぼちゃを支えています。「冬至にかぼちゃを食べる習慣」とも、じつはぴったり合っているのです。
参考:宮崎産黒皮かぼちゃの出荷時期・旬のカレンダーはこちら
みやざき黒皮かぼちゃ - みやざきブランド推進本部
黒皮かぼちゃは、一般のスーパーではほとんど見かけない希少品種です。なぜここまで希少なのか、産地と特徴から整理してみましょう。
主な産地は宮崎県です。宮崎市生目(いきめ)地区と川南町を中心に、わずか数十名の農家が受け継いでいます。栽培農家の数は2017年時点で25名ほど。それほど生産量が少ないため、市場に出回りにくいのが現状です。
別名は「日向かぼちゃ」。宮崎の民謡にも「日向かぼちゃのよか嫁女」と登場するほど、地域に根づいた伝統野菜です。1542年にポルトガル人が持ち込んだのが始まりとされ、400年以上の歴史があります。意外ですね。
ホクホクした西洋かぼちゃとは全くの別物です。京都・大阪など京阪神の市場では、競りで最初にかけられるほどの高級食材として流通しています。日本料理の料亭で重宝されているのも、この煮崩れしない粘質な食感があってこそです。
岡山県には「備前黒皮かぼちゃ」という別品種も存在し、2024年1月に国の地理的表示(GI)保護制度に登録されました。旬は7月中旬〜8月と宮崎産とは異なるため、産地によって食べ頃の時期が変わる点も覚えておくと便利です。
参考:備前黒皮かぼちゃの歴史・特徴・GI登録の詳細
時代を超えて蘇った味!岡山県瀬戸内市が誇る備前黒皮かぼちゃ - 全国農協観光協会
黒皮かぼちゃは追熟しません。これが選び方で最も重要な前提知識です。
西洋かぼちゃは収穫後に2〜3ヶ月置くことでデンプンが糖分に変わり甘くなりますが、黒皮かぼちゃ(日本かぼちゃ)は収穫後に追熟するという特性がありません。つまり、収穫の瞬間にすでに完熟していることが求められます。生産農家がブルーム(白い粉)や果梗の色を丁寧に確認してから収穫するのは、このためです。
店頭で選ぶ際は、以下の3点を確認しましょう。
カットしてある場合も確認ポイントがあります。果肉の色が濃いオレンジ色で、種の周りのワタがしっかり詰まっているものが良いです。皮がツルッとなめらかな触感のものも完熟のサインの一つとされています。
もし採れたてで熟成が足りなそうな場合は、自宅の涼しい冷暗所で数日置いてから食べるのが良いでしょう。これが原則です。
参考:黒皮かぼちゃの選び方と旬のカレンダー(宮崎県青果市場連合会)
黒皮かぼちゃ|みやざきの農作物事典 - 宮崎県青果市場連合会
保存方法は、西洋かぼちゃとほぼ同じ基本を押さえれば問題ありません。丸ごとの場合は冷暗所で10〜13℃程度の環境で保存します。ただし西洋かぼちゃが1〜2ヶ月持つのに対し、日本かぼちゃである黒皮かぼちゃは保存性がやや劣ります。3〜4週間を目安に食べ切るのがおすすめです。
カットしたものは種とワタをきれいに取り除き、ラップでぴったり包んで冷蔵庫の野菜室へ。3〜4日以内に使い切りましょう。これだけ覚えておけばOKです。
栄養面では、黒皮かぼちゃは西洋かぼちゃに比べてカロリーと糖質がやや低い傾向があります。水分が多くみずみずしいのが特徴です。一方、共通する主な栄養成分は以下のとおりです。
β-カロテンは脂溶性なので、油と一緒に調理すると吸収率が高まります。炒め物やオリーブオイル焼きにするだけで、栄養の吸収効率が格段にアップするのです。これは使えそうです。
皮の部分にも栄養が集中しているため、黒皮かぼちゃの皮は捨てずに調理するのがおすすめです。煮崩れしにくいので皮ごと煮物にしても食感がしっかり残ります。
参考:かぼちゃの栄養素と効果的な食べ方の解説(管理栄養士監修)
かぼちゃの栄養と美味しさ徹底解説|旬・保存・レシピまで紹介 - やまくら農園
黒皮かぼちゃといえば「煮物」というイメージが強いかもしれません。確かに煮物は最もその味わいを引き立てる調理法ではあります。しかし粘質で煮崩れしない特性を活かした使い方は、実はもっと幅広いのです。
旬の時期(12月〜6月)に手に入ったとき、ぜひ試してほしい調理法を紹介します。
調理のコツは「切りすぎないこと」が基本です。皮が厚く見えますが実際には普通の包丁で難なく切れます。生産農家の奥さんが教えてくれた食べ方として、「タケノコと一緒に煮付ける」「冬はおでんに入れる」というアイデアも、旬の時期ならではの楽しみ方です。
市場に出回る量が少なく、産直サイトや道の駅、百貨店の野菜売り場などで見かけた際はぜひ手に取ってみてください。京阪神のスーパーや料亭で愛される味わいを、ご自宅の食卓で楽しめます。
参考:黒皮かぼちゃの生産者・産地の詳細ストーリー
南国の太陽を浴びて育つ伝統野菜「黒皮かぼちゃ」 - SHUN GATE