

蒸らし時間は長いほどおいしくなると思っていたら、実は4分以上浸けると雑味が一気に増して飲めなくなります。
クレバードリッパーは、台湾のメーカー「CLEVER」が開発したコーヒー抽出器具です。見た目は一般的なドリッパーに似ていますが、底部にシリコン製のバルブ(弁)がついており、カップや受け皿に置いたときだけコーヒーが流れ出る仕組みになっています。
一般的なペーパードリップは、お湯を注ぎながら抽出速度をコントロールしなければならず、慣れるまでに時間がかかります。一方でフレンチプレスは、コーヒーオイルや微粉がそのままカップに入ってしまうため、飲み口がざらつく場合があります。クレバードリッパーはこの2つのデメリットを同時に解決した器具です。
つまり「浸漬+ペーパーフィルター」の組み合わせです。
お湯とコーヒー粉をドリッパー内に一定時間浸けて置き(浸漬抽出)、カップの上に乗せるとバルブが開いてコーヒーが流れ落ちます。ペーパーフィルターを使うため、コーヒーオイルの一部は除去され、クリアでクセのない味わいに仕上がります。抽出中に手を離せるので、家事の合間にコーヒーを淹れたい主婦の方にも非常に使いやすい器具です。
サイズはSとLの2種類が展開されており、Sサイズで1〜2杯分(約300ml)、Lサイズで2〜4杯分(約500ml)を一度に抽出できます。価格はおよそ2,500〜3,500円前後で、コーヒー器具のなかでは比較的リーズナブルです。
これは使えそうです。
必要なものはクレバードリッパー本体・専用またはメリタ1×4サイズのペーパーフィルター・コーヒー粉・電気ケトルまたはポットの4点だけです。特別なスキルは不要です。
基本の手順は非常にシンプルで、以下の5ステップで完結します。初めて使う方でも迷わずに進められます。
| ステップ | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| ① | ペーパーフィルターをセットしてリンス(湯通し)する | お湯50ml程度 |
| ② | コーヒー粉を投入する | 15〜18g(Lサイズ) |
| ③ | お湯を全量注ぐ | お湯240〜250ml(93℃前後) |
| ④ | 蓋をして浸漬する | 3分〜3分30秒 |
| ⑤ | カップの上に置いてドリップ(落とし切り)する | 約1〜2分 |
ステップ①のリンスは省略しがちですが、これをやるかやらないかでペーパー臭さが大きく変わります。リンスしたお湯はカップから捨てるか、カップを温めるために使いましょう。
コーヒー粉の量は、Lサイズで1杯あたり15gが標準的な目安です。スーパーで販売されている一般的なドリップ用コーヒー粉(中挽き〜中細挽き)でも十分に使えます。挽き具合はペーパードリップと同じ中挽きが基本です。
湯温は90〜95℃が適切な範囲です。沸騰したてのお湯(100℃)は過抽出になりやすく、苦みが強くなる傾向があります。電気ケトルで沸かしたら30秒ほど待つか、温度設定機能付きのケトルを使うと安定します。
お湯の量とコーヒー粉の比率(コーヒー比)は、粉1gに対してお湯15〜16mlが目安です。つまり15gの粉なら225〜240mlのお湯が適量ということになります。
濃さを調整したいときは、浸漬時間を変えるのが最も簡単な方法です。薄くしたいなら2分30秒、濃くしたいなら4分(ただし後述の雑味に注意)と変化させてみてください。
クレバードリッパーを使いはじめた方が最も失敗しやすいポイントが、この浸漬時間の管理です。
「長く浸けるほど濃くなっておいしくなるはず」と考えてしまうのは自然なことです。ところが、4分を超えて浸漬すると過抽出が起き、雑味・渋味・えぐみが急激に増してしまいます。コーヒーの中の不要な成分(主にタンニンや低分子の苦味成分)が溶け出すためです。
4分以上はNGです。
推奨される浸漬時間の目安は以下のとおりです。
なお、クレバードリッパーには「蒸らし」という工程は厳密には存在しません。一般的なペーパードリップでは最初に少量のお湯を注いで30秒蒸らす工程がありますが、クレバードリッパーはお湯を一度に全量注いで浸漬するスタイルです。
「蒸らし時間」という言葉で検索して来られた方は、この浸漬時間のことを指していることがほとんどです。蒸らしと浸漬は異なる工程です。
蒸らしと浸漬は別物です。
浸漬時間を安定させるためにはキッチンタイマーを使うことを強くおすすめします。スマートフォンのタイマー機能で十分です。毎回同じ時間・同じ手順で淹れることで、味のブレが最小限になります。これが安定したコーヒーを淹れる最短ルートです。
クレバードリッパーはコーヒー専用の器具ではありません。これは意外と知られていないポイントです。
浸漬抽出という仕組みは、茶葉やハーブを一定時間お湯に浸す「ティーポット」の動作に非常に近いです。そのためクレバードリッパーは紅茶・緑茶・ハーブティーの抽出にも活用できます。特に茶葉を使う場合、一般的なティーポットと違い、ペーパーフィルターが茶葉をしっかりこしてくれるのでカップに茶葉が入りません。
実際に紅茶を淹れる場合の目安は以下のとおりです。
ハーブティーの場合はドライハーブ2〜3gを200mlのお湯で5〜7分浸すと、成分がしっかり抽出されます。カモミールやペパーミントなど、香りを大切にしたいハーブは時間を短めにするのがポイントです。
この発想で使うと、クレバードリッパー1台でコーヒー・紅茶・ハーブティーを楽しめます。1台3役です。
コーヒーから紅茶に切り替える際は、ペーパーフィルターを新しいものに交換し、本体を中性洗剤でしっかり洗うことが重要です。コーヒーの油分が残っていると紅茶の香りを邪魔してしまいます。
なお、ルイボスティーのような粒が細かい茶葉はペーパーフィルターを通り抜けることがあるため、二重フィルターにするか、専用の細目フィルターを使うと安心です。
クレバードリッパーは構造がシンプルなため、お手入れも非常に簡単です。ただし、底部のシリコン製バルブには注意が必要です。
基本のお手入れは以下のとおりです。
シリコンバルブは消耗品です。長期間使用していると弾力が落ちてきて、カップに置いていない状態でもコーヒーが少し漏れ出すことがあります。これが起きたら交換のサインです。交換用バルブは単体で販売されており、価格は数百円程度です。バルブの交換は差し込み式で工具不要です。
バルブの劣化は見た目ではわかりにくいため、「なんとなく以前より味が薄い気がする」「底から少し染み出している」と感じたら早めに確認することをおすすめします。
コーヒーのオイル汚れが気になる場合は、週に1回程度、重曹を少量溶かしたぬるま湯に30分ほど浸け置きすると効果的です。ただし重曹はシリコンバルブへの影響を避けるため、バルブを外してから行うのが理想的です。
本体はポリプリピレン製(プラスチック)なので、落としても割れにくく耐久性は十分高いです。ただし電子レンジや直火への使用は不可ですので注意してください。
清潔に保つことが基本です。
参考:クレバードリッパーの公式製品情報・取扱説明書は輸入代理店のサイトで確認できます。
CLEVER COFFEE DRIPPER 公式サイト(製品仕様・交換パーツ情報)
上記は交換用バルブのサイズ確認やサイズ別の対応フィルター規格を調べる際に参考になります。
Amazon:クレバードリッパー関連商品・交換バルブ・専用フィルター一覧
交換バルブや対応サイズのペーパーフィルター(メリタ1×4など)をまとめて探す際に便利です。