
神戸市民生協とコープこうべは、どちらも関西地域で活動する生活協同組合ですが、その規模や歴史には大きな違いがあります。
コープこうべは1921年に神戸購買組合と灘購買組合として設立され、100年以上の歴史を持つ日本を代表する生協です。組合員数は約172万人(2023年3月時点)と非常に多く、日本の生協の中ではコープみらい、ユーコープ、コープさっぽろに次いで4番目の規模を誇ります。総事業高(売上高)でもコープさっぽろに匹敵する大規模な生活協同組合で、単一生協としては世界的に見ても最大クラスとされています。
一方、神戸市民生協という名称の生協は実際には存在せず、これは「よどがわ市民生協」(大阪よどがわ市民生協)と混同されていることが多いようです。よどがわ市民生協はコープきんきの一部であり、コープこうべほどの規模ではありません。
コープこうべの事業エリアは兵庫県全域、京都府京丹後市、大阪府北部(豊中市・箕面市・池田市・吹田市・茨木市・高槻市・摂津市・能勢町・豊能町・島本町・大阪市淀川3区)に及んでいます。店舗数は135店舗、協同購入センターは22カ所、その他にも食品工場や物流センターなど多数の事業所を持っています。
職員数もコープこうべは総合職員1,792人、専門職員934人、定時職員・学生臨時職員4,703人、特別専任職員266人、嘱託職員・シニアアルバイト1,577人と大規模な組織となっています。
神戸市民生協(よどがわ市民生協)とコープこうべの大きな違いの一つが、宅配サービスの料金体系です。
よどがわ市民生協の宅配料は基本的にコープこうべよりも安く設定されています。しかし、コープこうべは子育て世帯向けの割引が充実しているのが特徴です。特に6歳未満の子どもがいる家庭では、配達料が114円になるという大きな特典があります。
両生協の宅配料金を比較すると、以下のような違いがあります。
【コープこうべの宅配料金】
【よどがわ市民生協の宅配料金】
また、支払い方法にも違いがあります。京都生協(コープきんきの一部)ではクレジットカード支払いが可能ですが、コープこうべでは利用できない場合があります。毎月の生協での買い物が数万円になることを考えると、クレジットカード払いでポイントが貯まる点は大きなメリットと言えるでしょう。
神戸市民生協(よどがわ市民生協)とコープこうべでは、取り扱っている商品の種類や数にも違いがあります。
コープこうべは品揃えが非常に豊富で、食品カタログだけでも80ページほどあり、さらに「いつでもめ~む」という常時注文可能な商品カタログが42ページあります。一方、よどがわ市民生協のメインカタログは96ページと、一見するとコープこうべより多いように見えますが、コープこうべの「いつでもめ~む」を合わせると、総合的な品揃えはコープこうべの方が充実していると言えるでしょう。
また、それぞれの生協には独自の商品開発があります。
【コープこうべの独自商品】
【よどがわ市民生協(コープきんき)の独自商品】
両生協とも、コープのオリジナル商品を多く取り扱っていますが、生協独自の商品は当然ながらその生協に加入しないと購入できません。そのため、特定の商品にこだわりがある場合は、その商品を扱っている生協を選ぶ必要があります。
なお、どちらの生協も基本的な商品構成は「コープ商品+市販商品(スーパーでも見かける商品)+生協独自の商品」となっています。
生協選びの際に重要なポイントとなるのが、新規加入時の特典です。コープこうべとよどがわ市民生協(コープきんき)では、以下のような加入特典の違いがあります。
【コープこうべの加入特典】
【よどがわ市民生協の加入特典】
宅配料無料期間はほぼ同じですが、コープこうべの方がポイント特典が充実しています。特にWEB申し込みとアプリ利用を合わせると、最大3,500ポイント(3,500円相当)が獲得できるのは大きな魅力です。
支払い方法については、京都生協(コープきんき)ではクレジットカード払いが可能ですが、コープこうべでは基本的に口座引き落としとなります。毎月の生協での買い物が数万円になることを考えると、クレジットカード払いでポイントが貯まる点は大きなメリットと言えるでしょう。
出資金については、どちらの生協も加入時に必要で、金額は1,000円から5,000円程度です。出資金は脱退時に返還されるので、実質的な負担ではありません。
生協は単なる買い物の場ではなく、地域社会との関わりも重要な役割の一つです。特にコープこうべは長い歴史の中で、地域貢献や災害時の対応において大きな実績を持っています。
1995年の阪神・淡路大震災の際、コープこうべは甚大な被害を受けながらも、震災翌日から営業を再開し、安定した物資供給を行いました。これは「苦境で守った信頼」として高く評価されています。また、神戸市との間で「緊急物資協定」を結んでおり、災害時の物資供給体制が整備されています。
2024年3月には、神戸市とコープこうべが子育てしやすい環境づくりに向けた連携協定を締結し、「はじめておでかけギフト」という子育てグッズの配布事業を実施することが発表されました。これは神戸市在住の0歳児を対象に、コープこうべが提供する神戸市オリジナルの「赤ちゃんとのおでかけグッズ」を贈呈するという取り組みです。
コープこうべはこの他にも、「協同学苑」「ふるさと村」「フードプラン」などの事業を通じて、地域社会との連携を深めています。
よどがわ市民生協も地域貢献活動を行っていますが、コープこうべの長い歴史と大きな組織力を背景とした活動の規模や多様性には及ばない面があります。
災害時の対応力や地域との連携を重視する場合は、コープこうべの実績と体制は大きな安心材料となるでしょう。
神戸市民生協(よどがわ市民生協)とコープこうべ、どちらを選ぶべきか迷っている方に向けて、それぞれのメリットをまとめてみましょう。
【コープこうべを選ぶべき人】
【よどがわ市民生協を選ぶべき人】
実際には、お住まいの地域によって選択肢が限られる場合もあります。コープこうべとよどがわ市民生協(コープきんき)の両方が利用可能なエリアにお住まいの方は、ご自身のライフスタイルや優先事項に合わせて選ぶとよいでしょう。
また、両生協は基本的な商品構成や運営方針に大きな違いはなく、どちらもコープのオリジナル商品を多く取り扱っています。そのため、「コープの商品を購入したい」という基本的なニーズであれば、どちらの生協を選んでも大きな問題はありません。
最終的には、お試し期間を活用して実際に利用してみて、自分に合った生協を選ぶことをおすすめします。出資金は脱退時に返還されるので、試しに加入してみるのもよいでしょう。
以上、神戸市民生協(よどがわ市民生協)とコープこうべの違いについて詳しく解説しました。それぞれの特徴を理解し、ご自身のライフスタイルに合った生協選びの参考にしていただければ幸いです。
生協は単なる買い物の場ではなく、地域社会との関わりや、組合員同士の助け合いの精神を大切にする組織です。どちらの生協も、安全・安心な商品の提供と、豊かな暮らしづくりを目指しています。ぜひ、生協の活動に参加して、その魅力を体験してみてください。