

かぼちゃの皮を捨てると、果肉の約3倍のβカロテンを丸ごと損しています。
九重栗(くじゅうくり)かぼちゃは、カネコ種苗株式会社が育成したF1品種で、2005年(平成17年)に商標登録されています。スーパーの野菜売り場でよく見かける黒皮の栗かぼちゃのひとつですが、形を見れば一目でわかります。
最大の見た目の特徴は、お尻の部分がとがったハート形のシルエットです。一般的な丸みのあるかぼちゃとは異なり、先端がきゅっとくびれたユニークなフォルムが目を引きます。はがきを縦にしたときの縦幅(約21cm)ほどの高さを持つ、甲高(こうだか)な果形で、重さは1.8〜2.0kg前後が標準です。
果皮は濃緑色で光沢があり、ちらし模様は入らず、細いストライプが数本走っています。市場では「黒王(こくおう)」などのブランド名でも販売されており、皮の黒々とした色合いが印象的です。
果肉を切ってみると、断面はただの黄色ではなく濃いオレンジ色をしています。これはβカロテンが豊富に含まれている証拠で、視覚的にも栄養の豊かさが伝わります。つまり断面の色が濃いほど、栄養価も期待できるということですね。
現在、「九重栗」の名称では本家「九重栗」のほかに「くじゅうくりEX」「九重栗イレブン」「白い九重栗」など複数のバリエーションが展開されています。市場に出回るものはすべて「九重栗」として扱われることが多く、どれもホクホク感と甘みが強いという共通の特長を持っています。
九重栗の公式品種情報(カネコ種苗株式会社)
品種の詳細スペック・果形・果重・肉質などの公式情報が確認できます。
九重栗かぼちゃが「ホクホク感がダントツ」と言われる理由は、極粉質(ごくこなしつ)という肉質にあります。加熱するとまるで粉をふいたように仕上がり、食べると口の中でほろほろとくずれるような食感が楽しめます。さつまいもを蒸したときのあの独特のホクホク感に近いイメージです。
ただし、この粉質の高さは煮物に使うときの注意点でもあります。デンプン質が多いため、加熱しすぎると煮崩れしやすいという一面があります。これが原因でかぼちゃの煮物がボロボロになってしまった経験がある方もいるかもしれません。煮物に使う際は、面取りをして鍋に皮目を下にして並べ、落とし蓋をして85〜90℃の弱火でじっくり煮るのが崩れにくくするコツです。
また、九重栗かぼちゃの甘みは収穫直後がピークではありません。収穫後しばらく置くことで、果肉の中のデンプンがゆっくりと糖に変化し、甘みが増していきます。これを「追熟(キュアリング)」と呼びます。
| 追熟の目安 | 保存場所 | 保存方法 |
|---|---|---|
| 2週間〜1ヶ月 | 風通しのよい日陰 | 10〜15℃、常温保存 |
実際に、生産者から出荷される九重栗かぼちゃも収穫後2週間〜1ヵ月の追熟を経てから店頭に並びます。買ってきたものをすぐに冷蔵庫へ入れてしまうと、追熟が止まって甘みが増えないままになってしまいます。追熟が基本です。
丸ごとの状態であれば、風通しのよい涼しい場所(10℃前後)に置いておくだけで1〜2ヶ月は保存できます。10月を過ぎると糖分がさらに増し、食感も粉質7割・粘質3割ほどになってより濃厚な甘みに変化するといわれています。
カボチャの追熟・保管方法(タキイ種苗公式Q&A)
追熟の仕組みと適切な保存温度について詳しく解説されています。
九重栗かぼちゃが主婦の方に注目される大きな理由のひとつが、栄養の豊かさです。果肉と外皮ともにビタミンC・E・βカロテン(ビタミンA)が豊富に含まれています。なかでも一般的な栗かぼちゃと比べてタンパク質・βカロテン・糖質などが3倍以上含まれるとする情報もあり、日常的に取り入れたい食材です。
βカロテンは体内でビタミンAに変換され、免疫力の維持・粘膜の健康保護・抗酸化作用(老化防止)などに働きかけます。ビタミンEは血行促進と冷え改善、ビタミンCはコラーゲン生成と美肌効果が期待できます。これは使えそうです。
注目したいのが皮の栄養です。かぼちゃの皮には果肉の約2〜3倍ものβカロテンが含まれています。普通のかぼちゃは皮が硬くて食べにくいため、むいてしまうご家庭が多いですよね。しかし九重栗かぼちゃは皮が薄くてやわらかく、加熱すると食べやすくなるので、皮ごと調理することで栄養を最大限に摂れるという大きな利点があります。
皮を含めた栄養を逃さない調理のポイントは次の通りです。
- 🥬 皮ごと食べる:βカロテンが果肉の約2〜3倍含まれる皮を捨てない
- 🍳 油と一緒に調理する:βカロテンは脂溶性のため、油を使う炒め物・天ぷら・ソテーで吸収率がアップ
- ♨️ 電子レンジや蒸しを活用:茹でると水溶性のビタミンCが流れ出るため、蒸し調理がおすすめ
皮ごと食べられる、という点は九重栗かぼちゃならではの強みです。女性でもカットしやすい薄皮が、調理のストレスを大幅に減らしてくれます。
かぼちゃの栄養:種類ごとの違い(カゴメ株式会社)
皮・果肉・種それぞれの栄養素の違いが詳しく解説されています。
九重栗かぼちゃが市場に出回る旬の時期は、産地によって異なります。これを知っておくと、一番甘くておいしい時期に買いやすくなります。
まず千葉県産は春から夏にかけてが旬です。5月下旬〜7月にかけて収穫されるものが最も甘みが強いと言われており、夏の早い時期に店頭に並び始めます。千葉県は九重栗かぼちゃの主要産地のひとつで、コープデリなど生協でもたびたび取り上げられています。
北海道産は夏から秋にかけてが旬です。8月〜10月頃が収穫のピークで、寒暖差の大きい環境で育つため甘みが強く、でんぷん質が高くなる傾向があります。特に中富良野町・当麻町・剣淵町などが有名な産地です。北海道産は「黒王」などのブランド名で販売されることも多いです。
| 産地 | 旬の時期 | 特徴 |
|---|---|---|
| 千葉県 | 5月下旬〜7月 | 春作の甘み豊か |
| 北海道 | 9月中旬〜10月末 | 寒暖差でさらに濃厚 |
| 香川・宮崎など | 産地によって異なる | 全国に広がる品種 |
また、「九重栗イレブン」という改良品種は抑制栽培(夏以降に植える栽培方法)に適しており、10月〜12月まで出荷できるため、冬至のかぼちゃとして需要があります。「白い九重栗」はさらに日持ちがよく、冬場の市場にも出回ります。
産地直送のサービス(食べチョク・産直アウルなど)を活用すると、旬の時期に農家から直接取り寄せることができます。追熟の調整もしやすく、鮮度の良い状態で届くため甘みの最大値を楽しめます。
千葉県産九重栗かぼちゃの産直情報(コープデリ)
千葉県の生産者による栽培のこだわりや旬の情報が詳しく紹介されています。
九重栗かぼちゃの粉質の高さとやわらかい皮という特性を活かすには、調理法の選び方が大切です。料理によってベストな使い方が変わってきます。
煮物は定番ですが、前述の通り崩れやすいので注意が必要です。面取りをしてから皮目を下にして鍋に並べ、煮汁は少なめにして落とし蓋をするのが鉄則です。砂糖で30分ほど下漬けする方法もあり、浸透圧で水分が出て煮崩れを防ぎながらホクホク感をキープできます。煮崩れを防ぐだけで完成度が全然変わります。
天ぷら・ソテー・グリルは特におすすめです。高温の油で短時間調理することでホクっとした食感が引き出され、甘みが凝縮されます。さらに油を使う調理はβカロテンの吸収率を高めてくれるため、栄養面でも一石二鳥です。
スープ・ポタージュ・ケーキ・プリンなどのスイーツ系も相性抜群です。蒸してから潰したかぼちゃペーストは、甘みと粉質のなめらかさが活きて、市販品に近い仕上がりになります。少量の砂糖と生クリームで作る九重栗かぼちゃのケーキは、濃厚な甘みが楽しめます。
- 🍲 煮物:面取り+皮目下+弱火で煮崩れ防止
- 🍤 天ぷら・ソテー:βカロテン吸収率アップ、ホクホク感が強く出る
- 🥣 スープ・ポタージュ:蒸してからミキサーで。なめらか食感が出やすい
- 🎂 スイーツ(ケーキ・プリン):自然な甘みが砂糖の使用量を減らせる
ちなみに、皮が硬くて調理が億劫という方には電子レンジで2〜3分加熱してから包丁を入れると安全に切れます。手間が大幅に省けるので、ぜひ試してみてください。一口大にカットしてラップをかけ、レンジで5分加熱するだけで主菜の副菜にもなります。
電子レンジ加熱の際は、皮ごとそのまま使えるのが九重栗かぼちゃの強みです。普通のかぼちゃで皮をむく手間があった方は、切り替えるだけで時短になります。
農家おすすめの九重栗かぼちゃの食べ方(三栄アグリ公式)
レンジ蒸しやかぼちゃ団子など、農家が実践するシンプルなレシピが紹介されています。