

いりこをだし専用に使っているなら、子どものカルシウムを毎日40%損しているかもしれません。
多くの保育園がおやつにいりこ(煮干し)を取り入れているのは、理由のない話ではありません。いりこはカタクチイワシを煮て干したもので、小さな体に凝縮された栄養素の密度が非常に高い食材です。
まず注目すべきがカルシウムです。いりこ100gあたりのカルシウム含有量は約2,200mgで、これは牛乳100ml(約110mg)の実に約22倍にあたります。「じゃあ毎日100g食べれば良い」というわけではありませんが、少量でも効率よく補給できるのが強みです。たとえば、小魚ナッツに入っているような5g分のいりこでも、牛乳100mlとほぼ同量の約110mgのカルシウムが摂れます。少量で補えるということですね。
カルシウムの吸収を助けるビタミンDも、いりこ100gあたり18.0μg含まれています。ビタミンDは水に溶けない性質があるため、だし汁からはほとんど摂れません。つまり、食べることで初めて吸収できる栄養素なのです。これは使えそうです。
さらに、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)という、子どもの脳の発達に深く関わるオメガ3系脂肪酸も豊富に含まれています。いりこ100gあたりDHAが約11.8g、EPAが約9.5g含まれており、1日の目標摂取量(DHA+EPAで1g以上)を少量でクリアできます。DHAは神経細胞の情報伝達をスムーズにし、記憶力や学習能力をサポートすることが研究でも示されています。
たんぱく質も見逃せません。いりこ100gあたりたんぱく質64.5gと、可食部の半分以上を占めています。これは皮膚・筋肉・ホルモンの材料となり、成長期の子どもには欠かせない栄養素です。
| 栄養素 | いりこ100gあたり | 牛乳100mlとの比較 |
|--------|----------------|-----------------|
| カルシウム | 2,200mg | 約22倍 |
| DHA | 約11.8g | 青魚のサバと同等 |
| たんぱく質 | 64.5g | 高タンパク食品トップクラス |
| ビタミンD | 18.0μg | だし汁では摂れない |
これだけの栄養素が詰まった食材を、保育園がおやつとして活用しない理由はありません。しかも価格が手頃で、調理も簡単。主婦にとっても嬉しい食材です。
参考:いりこの栄養素詳細(日本食品標準成分表2020年版を基にした解説)
煮干しをおやつとしてそのまま食べることをおすすめする3つ理由 | 小林食品株式会社
実際に保育園で提供されているいりこおやつは、どれも家庭で手軽に作れるものばかりです。難しい調理技術は必要なく、10〜15分あれば完成します。
保育園の調理師さんが実際に採用している方法です。フライパンや油を使わず、電子レンジ1台あれば完成します。
作り方はとても簡単です。いりこをポリ袋に入れて少し穴を開け、500Wで1分〜1分半加熱するだけです。加熱直後はふにゃっとしていますが、そのまま少し冷ますとパリっとした食感に変わります。冷めてからが本番ということですね。塩分のある普通のいりこで作れば味付けも不要なので、子どもへのおやつとして提供しやすいです。
② 武蔵野市保育園レシピ「煮干しごまチップ」
東京・武蔵野市の保育園が公開している、市の栄養士監修のレシピです。クックパッドで「煮干し」人気1位になったこともある人気レシピです。
材料(作りやすい量):食べる煮干し50g、白いりごま大さじ2、★水・砂糖・しょうゆ各大さじ1
1. 煮干しをフライパンに入れ、弱火でポキッと折れるくらいまで乾煎りする
2. ★の調味料を別のフライパンで中火にかけ、小さな泡がたくさん出てきたら①とごまを加えてからめる
3. クッキングシートの上に広げて冷まして完成
ポイントは「カラカラした音」がするまでしっかり煎ること。この音が食べ頃のサインです。甘辛で食べやすく、子どもたちに大人気です。
③ 楽天レシピ「子供・妊婦向けレンジで煮干しカリカリおやつ」
油を使わずに電子レンジで作れる甘辛おやつです。
材料:煮干し適量、みりん大さじ1、砂糖小さじ1、しょうゆ大さじ1/2
1. 平らな皿に煮干しを広げ、ラップなしで600W・1分半加熱
2. 深めの器に調味料を混ぜ、ラップなしで600W・1分加熱
3. 煮干しと調味料を合わせてからめ、クッキングシートに広げて冷ます
3つのレシピに共通するポイントは「しっかり冷ます」こと。冷ます時間をとることでカリカリ食感が生まれます。これが条件です。
参考:武蔵野市公式保育園レシピ(市の栄養士監修)
【保育園おやつ】煮干しごまチップ by 武蔵野市 | クックパッド
いりこをおやつとして子どもに与えるとき、年齢によって注意すべきポイントが変わります。一律に「何歳からOK」と判断せず、子どもの発達段階に合わせた対応が大切です。
1歳ごろから食べさせ始めることができます。ただし、乾燥したいりこはそのままだと硬くて喉に刺さる危険があります。この時期は必ず「粉末状にする」か「細かく割って小さくする」ことが前提です。煮干しをミキサーにかけてご飯のふりかけに混ぜる方法も実践されています。
1歳〜5歳の乳幼児の場合、塩分摂取量の目安は1日3.0〜4.5g未満です。いりこ10g(食べやすい3〜4cmサイズで約10匹)の食塩相当量は約0.43gなので、他の食事の塩分も考慮しながら10g程度を目安にすると安心です。
2〜3歳ごろ(幼児食移行期)
前歯で噛みちぎる力が育ってきた時期です。小さめのいりこ(2〜3cm程度)なら、細かく割らずそのまま与え始めることができます。ただし必ず水分と一緒に用意しましょう。食べる前に水を飲ませてのどを潤しておくと、万一のときのリスクを大きく下げられます。
3歳以降(保育園の通常おやつ提供年齢)
多くの保育園で「食べるいりこ」の対象年齢としているのが3歳以降です。市販の「おやついりこ」の対象年齢に「3歳頃から」と記載されている商品も多くあります。市販品を選ぶ場合は、パッケージの対象年齢表示を確認することを習慣にしましょう。
「食べるいりこ」にするときの3つの注意点をまとめます。
- 🚰 水分を必ず用意する:食べる前にのどを潤す
- ✂️ 小さく割る:1〜2歳は必須、3歳以降も小さめが安心
- 👀 食べている最中は目を離さない:特に1〜2歳は要注意
食べる量の目安は、1回あたり5〜10g(10〜20匹程度)で十分です。これだけでカルシウム110〜220mg、DHA約750mg〜1,500mgが補給できます。
参考:乳幼児の食品による窒息事故防止について
食品による窒息 子どもを守るためにできること | 日本小児科学会
保育園がいりこをおやつとして取り入れる理由は、栄養補給だけではありません。「かみかみおやつ」として、子どもの顎と歯の発達を促す教育的な目的もあります。
現代の子どもたちは柔らかい食品を食べる機会が増えたことで、噛む回数が以前に比べて大幅に減っています。噛む回数が少ないと顎の筋肉が発達しにくく、歯並びに影響することも指摘されています。いりこは適度な硬さと繊維感があるため、自然と噛む回数が増える食材として歯科医からも注目されています。
噛むことで得られる効果は意外と多いです。唾液の分泌が増えることで虫歯菌の繁殖を抑え、顎の上下運動が脳に刺激を与えて集中力向上につながるとも言われています。「いりこを噛む」という行為自体が、子どもの発達に一役買っているということですね。
仙台市の子育てガイドでは「かみかみはとっても大切」として、噛む回数を増やす食育の重要性を説いています。そのなかで推奨されている食材のひとつが煮干しです。
一方で注意点もあります。硬すぎるものを無理に食べさせると、歯や顎に過剰な負担がかかる場合があります。いりこは乾煎りや電子レンジ加熱で適度に柔らかくしてから提供するのが、保育園でも実践されている方法です。硬さの調整が大切です。
おやつとしていりこを取り入れる際は、子どもが「楽しみながら噛む」状況を作ることがポイントです。甘辛の味付けは子どもたちに人気が高く、楽しく噛む習慣づくりに役立ちます。
参考:噛むことの大切さと食育について
とっておきの子育ての話(かみかみはとっても大切)| 仙台市
いりこおやつが子どもに良い食材であることは間違いありませんが、「塩分」については正しく理解しておく必要があります。知らずに多量に与えると、子どもの腎臓に負担をかける塩分過多になる可能性があるからです。
通常のいりこ(煮干し)の食塩相当量は100gあたり約4.2〜4.5gです。これは決して少ない量ではありません。子どものおやつに毎回30g以上与え続けると、食塩が1.3g以上になることもあります。1〜3歳の1日あたりの食塩摂取目標量は3.0g未満(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」より)なので、おやつだけでかなりの割合を占めてしまいます。塩分には注意が必要ということですね。
そこで活用したいのが「食塩無添加いりこ」や「無塩煮干し」です。通常の煮干しの塩分が4.2〜4.5g/100gなのに対し、食塩不使用のタイプは0.3〜3.0g/100g(製品により異なる)と大幅に少なくなります。特に1〜2歳の子どもに与える場合は、食塩不使用タイプを選ぶことをおすすめします。
また、家庭でいりこおやつを作る際に砂糖やしょうゆで味付けをする場合は、しょうゆの量を控えめにするだけで十分です。子ども向けの保育園レシピでは、しょうゆ大さじ1+水大さじ1で薄めるバランスが基本になっています。
市販品を選ぶポイントは3つです。
- 🏷️ 原材料欄を確認:「食塩不使用」または「食塩無添加」の表示があるものを選ぶ
- 🔢 栄養成分表示を見る:食塩相当量が1袋あたり0.5g以下が理想
- 👶 対象年齢の表示を確認:「3歳から」などの記載があるものは子どもの発達を考えた設計
「ヤマキ 食塩無添加食べる小魚」は塩を使わずに釜茹でしているため、塩分を気にする方にも使いやすい商品として知られています。子どもの健康を守りながら、いりこのメリットをしっかり活かすために塩分コントロールの視点は持っておきたいところです。
参考:食塩不使用煮干しと塩分について
食塩不使用煮干しと無塩煮干しで上手に減塩!| まいにち、おだし。

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