

ラップで包んで冷蔵庫に入れると、チーズが風味を失って3,000円が無駄になります。
エポワスは、フランス・ブルゴーニュ地方のエポワス村を発祥とする、ウォッシュタイプチーズの代表格です。直径約10cm(はがきの短辺より少し小さいサイズ)の丸い木箱に入って販売され、表面はオレンジがかった色が特徴的です。ナポレオンが愛したチーズとして有名で、美食家ブリア・サヴァランには「チーズの王」と讃えられた歴史を持っています。
熟成期間は最低4週間で、表面をブルゴーニュ産の蒸留酒「マール」と塩水を混ぜたもので繰り返し洗いながら熟成させます。これが独特のオレンジ色と強い香りを生み出す秘密です。香りだけ聞くと敬遠しがちですが、中身はミルクの上品な甘みと濃厚なコクがあり、「香りと味のギャップ」がこのチーズの最大の魅力です。
チーズ専門店での値段は1ホール(250〜350g)でおよそ3,000〜4,000円。国産チーズに比べると高価ですが、正しい食べ方・保存方法を知れば1〜2週間かけて少しずつ楽しむことができます。まず基本を押さえれば、その価値を十分に感じられます。
参考:エポワスの基本情報と歴史的背景
ウォッシュチーズの最高峰「エポワス」とは – All About
エポワスを美味しく食べるうえで最も重要なのが、「温度」です。冷蔵庫から出したばかりのエポワスは、油脂が固まって風味が閉じている状態です。食べる30〜60分前に冷蔵庫から取り出して常温に戻すことで、香り成分が活性化し、中身がとろりとした食べ頃の状態になります。これが基本です。
切り方は、ホールケーキと同じように「中心から放射状」に切るのがおすすめです。こうすると、クリーミーな中心部分と少ししっかりした外側部分を一緒に楽しめます。目安は1〜2cm幅の扇形。厚すぎると重たく、薄すぎると風味が飛びやすいので、このくらいの厚みがちょうどよいです。
熟成がしっかり進んでトロトロになったものは、ナイフで切ろうとするとぐにゃっと形が崩れます。そのときはスプーンで中身をすくい取る方法が正解です。フォンデュのようにパンに直接つけながら楽しむと、濃厚さが引き立ちます。
外皮(オレンジ色の表皮)は食べても健康に害はありませんが、香りが最も強い部分です。香りが気になる場合は外皮を除いて中身だけを楽しむのも一つの方法で、それだけでも十分に満足できます。外皮も食べるかどうかは完全に好み次第です。
エポワスの塩気とコクは、甘みのある食材との相性が格別です。少量のはちみつをポタリとかけるだけで、チーズの塩味がぐっと和らぎ、食べやすくなります。はちみつは風味が強すぎないアカシアやれんげ蜂蜜が合わせやすく、アクセント程度に少量使うのがコツです。かけすぎると甘さが勝ってしまうため、ティースプーン1杯程度にとどめましょう。
ジャムならイチジクやベリー系の酸味があるものが相性よく、チーズボードに一緒に置いてもおしゃれです。
ワインとの組み合わせは、同郷のブルゴーニュワインが定番です。白ワインなら、シャルドネ系の果実味があるタイプ。赤なら、タンニンが強すぎないライトボディのピノ・ノワールが合います。スパークリングワインも非常におすすめで、泡が口の中をさっぱりリセットしてくれるため、次の一口がより美味しく感じられます。
意外性があるのが日本酒との組み合わせです。エポワスは日本酒にも合うと近年注目されていて、酸味のある純米酒や軽めの吟醸酒がよく合います。お米の甘みがチーズの塩気を和らげ、飲みやすくなります。いいことですね。
| 飲み物 | おすすめタイプ | 合わせ方のポイント |
|---|---|---|
| 白ワイン | シャルドネ・ソーヴィニヨン・ブラン | 樽香が控えめなものを選ぶ |
| 赤ワイン | ピノ・ノワール(ライトボディ) | タンニン強すぎはNG |
| スパークリング | シャンパーニュ・プロセッコ | 泡が口をリフレッシュ |
| 日本酒 | 純米酒・軽めの吟醸酒 | 酸味が強すぎないものを |
| ビール | ベルギースタイル・小麦系 | 香り控えめ・苦味少なめ |
参考:エポワスとワインのマリアージュ詳細
「エポワス」チーズの味、食べ方、値段|ワインとの相性 – おいしいカーナ
エポワスは温めることで風味ががらりと変わります。加熱するとシャープな香りが和らいでまろやかになり、チーズが苦手な家族でも食べやすくなる場合があります。これは使えそうです。
最も簡単な温め方は、木箱ごとオーブントースターに入れて150〜180℃で10〜15分ほど温める方法です。表面がふつふつと泡立ち、中身がとろとろに溶けたら食べ頃です。温めたエポワスにバゲットを切ったものをつけながら食べると、本場フランスのチーズフォンデュ風になり、見た目も豪華です。
パスタやリゾットへのアレンジも可能です。その場合は火を完全に止めてから最後に加えるのがポイントで、高温で加熱し続けると油分が分離してパサついてしまいます。少量ずつ加えてよく混ぜながら仕上げると、クリーミーなソースになります。
溶けすぎて油分が分離してしまったときは、生クリームを少量加えて低温でゆっくり混ぜ直すと乳化が戻ります。どうしても戻らない場合はパンにのせてトーストすると美味しくいただけます。料理アレンジを覚えておくと、熟成が進みすぎたものを無駄なく使い切ることもできます。
エポワスをラップだけで包んで保存している人は要注意です。伊勢丹新宿店のチーズ専門店「フロマジュリーHISADA」の店長によると、ナチュラルチーズをラップのみで保存するのは「石油臭が移る」「熟成の呼吸が妨げられる」の2つの理由でNGとされています。正しい保存方法を知れば、3,000〜4,000円のエポワスを最後まで美味しく食べきることができます。
正しい保存手順はシンプルです。まずオーブンシート(クッキングシート)でエポワスを木箱ごと覆い、その上からラップで包みます。さらにジッパー付き保存袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。野菜室は温度と湿度が安定しているため、チーズの熟成が均一に進みやすい環境です。
蒸れ防止のため、2日に1度はラップを開けて短時間空気に触れさせることも忘れずに。これを続けるだけで保存状態が大きく違ってきます。
保存中にアンモニア臭が強く感じられるようになったら、熟成が進みすぎているサインです。そのまま食べるより、白ワインと一緒に加熱してチーズフォンデュ風にすると香りが和らいで美味しく食べられます。熟成が進んだものも料理で活かせることを覚えておくと、捨てる前に一度試してみようという気持ちになれます。
参考:チーズの正しい保存方法(チーズ専門店監修)
ラップはNG!チーズの正しい保存法を専門店が解説 – FOODIE(伊勢丹)
エポワスは日本では輸入品がほとんどで、百貨店のチーズ専門コーナー、成城石井、カルディ、ネット通販などで購入できます。なかでも歴史あるベルトー社のエポワスは比較的流通量が多く、入手しやすいブランドです。
購入時に確認したいポイントが3つあります。まず表面の色です。若めのものは淡いベージュ〜オレンジ色で、熟成が進むと赤茶色に近くなります。初めて食べる場合は、表面がオレンジ色でツヤがあるものを選ぶと香りがやや穏やかで食べやすいです。次に外側をそっと押してみて、少し弾力がある程度なら若め、明らかに柔らかくトロトロなら熟成が進んでいる状態です。最後に賞味期限の余裕を確認します。余裕があるほど自宅でゆっくり熟成を楽しめます。
はじめての購入ではハーフカットより1ホールを選ぶのがおすすめです。ホール状態で熟成させるのが基本のため、切られた状態で売られているものは風味が飛びやすいことがあります。
ネット通販ではチルド配送で購入できるため、近くに専門店がない場合でも品質の良いものを手に入れやすいです。まずは1ホール購入して、熟成の変化を楽しみながら少しずつ食べていくのが、エポワス初心者にとって最もコストパフォーマンスの良い楽しみ方です。
参考:エポワスを含むウォッシュチーズの基本情報
エポワス|チーズ辞典 – 雪印メグミルク チーズクラブ

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