

下処理せずに冷凍したエビは、冷凍焼けで旨みが約40%失われることが分かっています。
バナメイエビの背わたは、エビの消化管にあたる部分です。長さにして約5〜8cm(ボールペンの軸くらいの長さ)の黒い筋が、エビの背中に沿って走っています。この背わたを残したまま調理すると、独特の苦みと臭みが料理全体に広がってしまいます。
背わたの取り方は大きく2通りあります。1つ目は「爪楊枝を使う方法」で、エビの背中の節と節の間(ちょうど真ん中あたり)に爪楊枝をそっと差し込み、背わたを引っかけてゆっくり引き出します。身を傷つけずに取れるので、形を崩したくないときに最適です。2つ目は「包丁で浅く切り込みを入れる方法」で、背中に2〜3mmほどの浅い切り込みを入れてから指で背わたをつまみ出す方法です。炒め物や揚げ物など、形を気にしない料理に向いています。
どちらの方法でも、背わたが途中で切れてしまうことがあります。そのときは焦らず、残りの部分を再度爪楊枝で引き出してください。完全に取り除くことが基本です。
冷凍する前の段階でしっかり背わたを取っておくと、解凍後の調理がとてもスムーズになります。調理直前に慌てて処理する手間がなくなるため、平日の夕食準備でも時短につながります。これは使えそうです。
背わたを取ったあとは、エビ表面の汚れと臭みを取り除く洗い作業が重要です。ここで使うのが「塩水洗い」と「片栗粉洗い」の2ステップです。
まず塩水洗いから行います。水200mlに対して塩小さじ1(約6g)を溶かした「3%濃度の塩水」を使います。この濃度は、海水の約1/1.2倍にあたる濃さです。エビをこの塩水に約1〜2分浸してから軽くもみ洗いすると、表面のぬめりや臭みの原因となるタンパク質の汚れが浮き出てきます。塩水洗いが原則です。
次に片栗粉洗いです。ボウルにエビを入れ、片栗粉を大さじ1〜2ほど加えて全体にまぶします。片栗粉が吸着剤の役割を果たし、臭みの元となる細かな汚れや粘液をからめ取ってくれます。軽くもんだあと、流水でしっかりすすいでください。
この2ステップを踏むかどうかで、冷凍後のエビの品質に大きな差が出ます。下処理が不十分だと、冷凍・解凍のサイクルで臭みが凝縮されて料理の味を落とす原因になります。
なお、殻付きのまま冷凍する場合も、塩水洗いは行っておくのが理想的です。殻の中にも汚れが入り込んでいるので、殻の隙間に水を通すようにしながら洗いましょう。洗い方が下処理の肝です。
洗い終わったバナメイエビは、しっかり水気を取ってから冷凍することが大切です。水分が残ったまま冷凍すると、エビ同士がくっついて固まってしまい、使いたい分だけ取り出すのが難しくなります。キッチンペーパーで1尾ずつ丁寧に水気を拭き取ることを心がけましょう。
冷凍保存の方法は2通りあります。
1つ目は「バラ凍結」する方法です。水気を拭き取ったエビをバットやトレーに重ならないよう並べ、一度冷凍庫で1〜2時間ほど凍らせてから保存袋に移します。こうすることで1尾ずつバラバラの状態で保存でき、使いたい分だけ取り出せるようになります。
2つ目は「塩水氷漬け冷凍」する方法です。保存袋にエビを入れ、3%の塩水を少量(エビが半分つかる程度)注いでから空気を抜いて密封し、冷凍します。エビが氷のバリアで覆われるため、冷凍焼けを防いで旨みをしっかり閉じ込められます。この方法は特に長期保存(2〜3週間)に向いています。
どちらの方法でも、保存袋の空気は必ず抜いてください。空気が残っていると酸化が進み、エビが変色・劣化しやすくなります。ジッパーを完全に閉める直前にストローなどで空気を吸い出すと、手軽に真空に近い状態にできます。空気抜きは必須です。
保存期間の目安は、正しく処理した場合で約3週間です。それ以上になると食感が落ちてくるため、購入日と冷凍日をマスキングテープに書いてバッグに貼っておくと管理しやすくなります。
せっかく丁寧に下処理・冷凍したエビも、解凍の仕方を間違えると食感が大きく損なわれます。冷凍エビの解凍は「低温でゆっくり」が鉄則です。
最もおすすめの方法は「冷蔵庫解凍」です。前日の夜に冷凍庫から冷蔵庫に移しておくだけで、翌日の料理に使えます。温度差が少なく、ドリップ(旨み成分を含む水分)が出にくいため、ぷりぷりの食感が保たれます。時間はかかりますが、これが最もエビにとって優しい方法です。
急いでいるときは「流水解凍」が次善策です。保存袋のままボウルに入れ、細い流水を当てながら10〜15分ほどで解凍できます。ただし直接水にさらすのではなく、必ず袋に入れたまま行ってください。裸のまま流水に当てると旨みが抜けてしまいます。
電子レンジの解凍機能を使うのは、バナメイエビには向いていません。加熱ムラが生じやすく、半解凍の部分と火が通ってしまった部分が混在して、食感がパサパサになりがちです。時間がないときでも、流水解凍を選ぶようにしましょう。
解凍後のエビは、できるだけその日中に使い切るのが理想です。再冷凍は品質を著しく落とすため、必要な分だけ解凍することが条件です。バラ凍結しておけば、少量ずつ取り出して使えるので無駄が出ません。
バナメイエビの下処理で出た「殻」と「尾」は、多くの家庭でそのまま捨てられています。しかし実は、殻と尾にはグルタミン酸・アスタキサンチンなどの旨み成分が豊富に含まれており、だしとして活用できます。捨てるのはもったいないですね。
殻と尾を活用する方法としておすすめなのが「エビだし」の作り方です。フライパンに殻と尾を並べ、から炒りして香ばしい香りが立ったら、水500mlを加えて弱火で10〜15分ほど煮出します。これでエビ風味の濃いだしが取れます。このだしは製氷皿で小分けにして冷凍しておくと、炒飯・リゾット・パスタなどに加えるだけで風味が格段にアップします。
下処理後のエビ本体の使い方としては、冷凍のまま調理できる料理を選ぶと便利です。冷凍エビをそのままフライパンに入れて炒める場合、半解凍の状態で投入するのが食感を守るコツです。完全に解凍してから炒めると水分が多く出て、炒め物がべちゃっとしてしまいます。半解凍が条件です。
また、バナメイエビは「殻付きで茹でる」と旨みが逃げにくい特徴があります。殻がバリアになって旨みを閉じ込めてくれるからです。ボイルして使う予定がある場合は、殻を付けたまま冷凍しておき、解凍後に茹でてから殻をむく方法も有効です。
下処理の手間を少しかけるだけで、食卓の満足度が大きく変わります。殻も捨てずに使えば食材費の節約にもつながります。バナメイエビの下処理と冷凍保存、ぜひ今日から実践してみてください。