

スーパーで見かけるヒラタケを夏に採ったら、それは別のきのこかもしれません。
ウスヒラタケの発生時期は、5月ごろから始まり9月ごろまで続きます。特にピークとなるのは梅雨から初秋にかけての時期です。広葉樹(ブナやミズナラなど)の倒木や枯れ幹に、折り重なるように群生する姿が見られます。
多くの人が「きのこの季節は秋」と思いがちです。つまり、夏にきのこを山で見つけても「食べられるものはないだろう」と通りすぎてしまうかもしれません。しかし、ウスヒラタケはまさに夏が本番のきのこです。
ここで混乱しやすいのが、ヒラタケとの関係です。名前がよく似ているヒラタケは、晩秋から春にかけての寒い時期に発生します。真逆の季節と覚えておくとわかりやすいですね。
| きのこ | 主な発生時期 | 発生場所 | 傘の大きさ |
|---|---|---|---|
| ウスヒラタケ | 5〜9月(夏が旬) | 広葉樹の倒木・枯れ木 | 2〜8cm |
| ヒラタケ | 晩秋〜春(寒い時期) | 広葉樹の倒木・枯れ幹 | 5〜15cm |
傘の直径は2〜8cmと、きのこのなかでは平均的な大きさです。はがきの短辺(約14.8cm)を基準にすると、発生し始めの小さなものは2〜3cm、成長したものでも傘の横幅がはがきの半分程度というイメージです。
ウスヒラタケが生える時期は、山菜採りや渓流釣りの最盛期とほぼ重なります。山に入る機会がある人なら、別の目的で入った林でウスヒラタケに出会う可能性が十分あります。これは使えそうです。
また、ウスヒラタケは世界各地に分布しており、日本でも北海道から九州まで広く見られます。菌床栽培(おが粉などを使った人工栽培)も行われているため、スーパーでも秋以外に流通することがあります。旬は夏が原則です。
秋田の森づくり活動センター:ヒラタケ・ウスヒラタケの発生時期や採り方・調理法についての詳細情報
ウスヒラタケは成長段階によって見た目が変化するため、鮮度や食べごろを見極めることが大切です。発生直後の幼菌は淡灰褐色をしていますが、成長とともに白から淡黄色へと変化していきます。
ヒダの色が白いうちが旬です。古くなるにつれてヒダはクリーム色からレモン色になり、風味も落ちていきます。山や直売所で購入する際は、ヒダの色を必ずチェックしましょう。
鮮度のよいウスヒラタケを選ぶポイントをまとめます。
天然のウスヒラタケは夏の高温多湿な環境で発生します。そのため水分を大量に含んでいることが多く、採取後の鮮度低下が早い点に注意が必要です。8〜9月ごろの個体は特にべとつきやすいため、採取後はすぐに処理することが基本です。
夏場に山で採ったものは、常温放置は1〜2日が限界と考えてください。いいことですね、とは言えませんが、このリスクを知っておくだけで食中毒を防げます。採ったらその日のうちに冷蔵庫へ入れるか、調理してしまうのがベストです。
ウスヒラタケと形が似ている毒きのこが存在します。これは健康に直結する情報なので、しっかり押さえておきましょう。
特に注意が必要なのは以下の2種類です。
これらと確実に区別するためのポイントを覚えておきましょう。
スギヒラタケとの見分け方:生える木が違います。ウスヒラタケはブナ・ミズナラなどの広葉樹、スギヒラタケはスギ・マツなどの針葉樹に生えます。スギ林のなかで見つけた白いきのこには、特に注意が必要です。「広葉樹についているか」が最初の確認ポイントです。
ツキヨタケとの見分け方:最も確実な方法は、きのこを縦に割ってみることです。ツキヨタケは柄(軸)の部分に黒いシミがあります。ウスヒラタケやヒラタケには、割っても黒いシミがありません。またツキヨタケは柄の根元あたりにぐるっとツバがついていることも特徴のひとつです。
厳しいところですね。夏は暑くて判断が難しい場面もありますが、少しでも確証が持てない場合は食べないのが鉄則です。野生のきのこは「専門家に確認してから食べる」が原則です。
農林水産省や厚生労働省は「採らない・食べない・売らない・人にあげない」という4つの原則を示しています。特に、スギヒラタケについては腎機能が正常な人でも健康被害が出た事例があり、引き続き摂取を見合わせるよう呼びかけています。
農林水産省:スギヒラタケの特徴・危険性・ウスヒラタケとの違いについての公式情報
ウスヒラタケは鮮度が落ちやすいきのこです。冷蔵で3〜7日、冷凍で約1ヶ月が保存の目安なので、使い切れないと判断したら早めに冷凍保存に切り替えることをおすすめします。
基本の下処理の手順は以下のとおりです。きのこ類は水洗いすると旨みが逃げ、風味が落ちるため、原則として洗いません。
冷凍保存をするときは、下処理を済ませた状態でジッパー付き保存袋に平らに広げて入れ、できるだけ空気を抜いて密閉します。使うときは解凍せずそのまま料理に加えるのがコツです。解凍してから使うと水分が出て食感が落ちます。
ポイントはひとつです。「生のまま冷凍する」ことでビタミンDなどの栄養素も比較的保持できます。
冷蔵の場合は、新聞紙で包んでから野菜室に入れると湿度が調整されてカビの発生を抑えられます。パックのままの保存は、内側に水滴がたまりやすいため避けましょう。
なお、きのこを冷凍すると細胞壁が壊れ、解凍時に旨み成分が出やすくなるという側面もあります。煮物や味噌汁に使う場合は、冷凍したものの方がむしろ旨みが強く感じられることも。これは使えそうです。
管理栄養士監修:ウスヒラタケの賞味期限・保存方法・腐敗サインの見分け方
ウスヒラタケは香りが高く、味にクセがありません。肉質が柔らかで歯切れが良いのが特徴で、幅広い料理に使えます。ただし、ヒラタケと比べると個性が弱いため、他の食材と組み合わせると持ち味が活きやすいです。
おすすめの調理法はこちらです。
栄養面でも、ウスヒラタケは優秀な食材です。ヒラタケ類には以下の栄養素が含まれています。
また、コレステロールや血圧を下げる働き、抗酸化作用、抗腫瘍作用なども注目されています。低カロリーで栄養豊富な点は、日々の食事管理に気を遣う主婦にとってうれしい特徴です。
旬の時期(5〜9月)に採れたものを冷凍しておけば、秋以降も楽しめます。山菜とウスヒラタケを組み合わせた山の幸料理は、旬の食材をふんだんに活かした一品になります。旬に採って・旬に食べる、これが一番です。
秋田の森づくり活動センター:ウスヒラタケ料理(味噌汁・鍋物・炒め物・天ぷら・きのこ飯)の実例紹介