

タランティーノ映画は「暴力的だから敬遠している」と思っていると、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのような穏やかな傑作を見逃して損をします。
クエンティン・タランティーノは1963年生まれのアメリカ人監督で、1992年の『レザボア・ドッグス』でデビューしました。注目すべき点は、彼が高校を16歳で中退した後、映画学校にも通わず、ビデオショップの店員として働きながら独学で映画を学んだという異色の経歴を持つことです。映画マニアが積み重ねた「観る知識」だけを武器に、世界的な監督になったわけです。
監督作品は2019年の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』まで、長編9本。これがタランティーノ映画の「全一覧」です。
| 公開年 | タイトル | レーティング |
|--------|----------|-------------|
| 1992年 | レザボア・ドッグス | R18+ |
| 1994年 | パルプ・フィクション | R18+ |
| 1997年 | ジャッキー・ブラウン | R18+ |
| 2003年 | キル・ビル Vol.1 | R15+ |
| 2004年 | キル・ビル Vol.2 | G |
| 2007年 | デス・プルーフ in グラインドハウス | R15+ |
| 2009年 | イングロリアス・バスターズ | R15+ |
| 2012年 | ジャンゴ 繋がれざる者 | R15+ |
| 2015年 | ヘイトフル・エイト | R18+ |
| 2019年 | ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド | PG12 |
※キル・ビルは当初1本だった脚本を2部作に分割したため、Vol.1とVol.2を合わせて「1作」としてカウントするのが通例です。
タランティーノ自身は「10本撮ったら引退する」と長年公言していました。それが2019年の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で9作目とカウントされるため、世界中の映画ファンが「最後の1本」に注目し続けています。つまり最後の1本はまだ完成していないということですね。
これだけの情報を持っておくと、作品を観るときの解像度がグッと上がります。
参考:クエンティン・タランティーノのフィルモグラフィー全作品の詳細はこちら
クエンティン・タランティーノ - Wikipedia
タランティーノ映画を初めて観るとき、「どれから見ればいいの?」と迷う方はとても多いです。作品は基本的に独立しているので、どこから入っても物語はわかります。ただし、最初の選び方を間違えると「怖い・暴力的」という印象だけが残って、続きを観る気力をなくしてしまうことがあります。
それはもったいないですよね。
ステップ1:まず「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で雰囲気をつかむ
2019年公開のこの作品は、タランティーノ作品の中で最もドラマ寄り。レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが共演した、1960年代ハリウッドの黄昏を描いた作品で、指定もPG12です。暴力描写が苦手な方でも、キャラクターの魅力と時代の空気感を楽しめます。
ステップ2:次は「パルプ・フィクション」でタランティーノの真骨頂を体験する
1994年公開のこの作品がタランティーノを世界に知らしめた代表作です。3つの犯罪エピソードが時間軸を交錯させながら描かれます。カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞、アカデミー脚本賞受賞という輝かしい評価がある通り、セリフのセンス・音楽・映像すべてが独特です。「タランティーノらしさ」が全部詰まっています。
ステップ3:「イングロリアス・バスターズ」「キル・ビル」「ジャンゴ 繋がれざる者」へ
この3作品はそれぞれ、第二次世界大戦・復讐アクション・西部劇という全く異なるジャンルを扱っています。しかしいずれも、タランティーノ流の長い会話・痛快なリベンジ・独特のユーモアが貫かれています。これが基本です。
初心者にとって大切なのは「自分に合う入り口を選ぶこと」だけ覚えておけばOKです。
参考:タランティーノ映画のおすすめランキングと作品解説
タランティーノ映画のおすすめ人気ランキング - マイベスト
全9作品(正確にはキル・ビル2部作合わせて)の見どころを順番に押さえておきましょう。知っておくと作品選びがぐっとラクになります。
🎬 レザボア・ドッグス(1992年)
強盗に失敗した6人の男たちが、倉庫の中でメンバーの中の「裏切り者」を探す密室劇。ほぼセリフだけで成立するハイテンションな会話劇が魅力で、タランティーノのスタイルの原点がここにあります。上映時間99分と短めなので観やすいです。
🎬 パルプ・フィクション(1994年)
ギャングの殺し屋・ボクサー・ギャングのボスの妻が絡み合う3つのエピソード。時系列をシャッフルした非線形な構成が革命的と評されました。サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・トラボルタ、ユマ・サーマン主演。上映時間154分。
🎬 ジャッキー・ブラウン(1997年)
小説「ラム・パンチ」を原作にした唯一の原作モノ。キャリアに行き詰まった中年スチュワーデスが武器密売人をだまして大金を手に入れようとするスリリングな物語です。タランティーノ作品の中でもっとも落ち着いたトーンで、女性が主役の作品という点でも異色の存在です。
🎬 キル・ビル Vol.1 & Vol.2(2003年・2004年)
結婚式の当日に元恋人のビルに殺されかけた女性暗殺者「ブライド」の壮絶な復讐劇。Vol.1は日本のアニメ風シーンや剣戟アクションが見もの。Vol.2はより人間ドラマ寄りです。日本映画・ブルース・リーへのオマージュが随所に散りばめられています。
🎬 デス・プルーフ in グラインドハウス(2007年)
スタントカーを使う連続殺人鬼と、女性グループの対決を描くカーアクション。B級映画へのオマージュ全開の作品で、タランティーノファンの中でも好き嫌いが分かれる一作です。
🎬 イングロリアス・バスターズ(2009年)
第二次世界大戦中のナチス占領下フランスが舞台。ユダヤ系部隊の兵士たちとユダヤ人少女が、ヒトラー暗殺を目論むというフィクション歴史劇です。ブラッド・ピット主演。タランティーノ本人が「自分の最高傑作」と語った作品です。
🎬 ジャンゴ 繋がれざる者(2012年)
1850年代のアメリカ南部が舞台。ドイツ人賞金稼ぎに解放された黒人奴隷ジャンゴが、妻を救い出すために戦う西部劇。レオナルド・ディカプリオが悪役を演じる怪演も話題になりました。アカデミー脚本賞受賞作品です。
🎬 ヘイトフル・エイト(2015年)
南北戦争後のワイオミング、吹雪の山小屋に8人の男女が閉じ込められる密室ミステリー。168分の大作で、70mmフィルムで撮影された壮大な映像美でも注目されました。
🎬 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年)
1969年のロサンゼルスを舞台に、斜陽のテレビ俳優と彼の元スタントマンの友情を描く作品。マーゴット・ロビーが演じる実在の女優シャロン・テートの姿も印象的です。
参考:タランティーノ監督作品の詳細な解説記事
クエンティン・タランティーノ監督の作品集!おすすめ映画9選 - ESQUIRE
タランティーノ映画の全一覧を把握したら、次に知っておくと格段に楽しくなる話があります。それが「タランティーノ・シネマティック・ユニバース」と呼ばれる、作品間のつながりです。
独立した作品に見えて、実はキャラクターや小道具が複数の映画をまたいで登場しているのです。意外ですね。
🔗 ヴィンセント・ベガとヴィック・ベガは兄弟
『パルプ・フィクション』の殺し屋ヴィンセントと、『レザボア・ドッグス』の殺し屋ヴィック(本名ヴィクター)。同じ「ベガ」という苗字を持つ二人は兄弟という設定です。元々タランティーノは同じ俳優(マイケル・マドセン)を両方に使う予定でしたが変更になり、「兄弟」という形でつなげたと言われています。
🔗 「レッドアップル」という架空のタバコが全作品に登場
パルプ・フィクション、キル・ビル、ジャンゴ、イングロリアス・バスターズなど、ほぼ全作品に「レッドアップル」という架空のタバコブランドのパッケージが登場します。よく目を凝らして観てみてください。これは使えそうです。
🔗 パルプ・フィクションのミアが語るドラマが、キル・ビルの原型
『パルプ・フィクション』の中でミア・ウォレスが「パイロット版に出たことがある」と語るドラマ「フォックス・フォース・ファイブ」。その設定が後の『キル・ビル』につながっているという説が有力です。
🔗 ビッグ・カフナ・バーガーという架空のファストフードも複数作品に登場
パルプ・フィクションの有名な「なんのハンバーガーだ?」シーンに出てくる「ビッグ・カフナ・バーガー」。これが『フロム・ダスク・ティル・ドーン』にも登場しています。架空のブランドが世界をつなぐ小道具になっているわけです。
これらの「仕掛け」に気づきながら観ると、1本の映画が何倍も面白くなります。タランティーノ映画は「一度見ればわかる」のではなく、「繰り返し観るほどに発見がある」作品群なのです。つまり家族が寝た後のひとり時間を使って何度でも楽しめます。
参考:タランティーノ映画の作品間リンクをすべてまとめた詳細記事
タランティーノ映画の裏設定「作品間リンク」まとめ - sapporo-posse.com
タランティーノ映画の一覧を把握したら、実際にどこで観られるかが気になるところです。忙しい日常の中で映画を楽しむには、サブスクの使い方を知っておくと時間とお金を無駄にしません。
📺 Amazon Prime Video
『パルプ・フィクション』『キル・ビル Vol.1&Vol.2』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』などが配信されており、プライム会員特典で見放題になることもあります。月額600円のプライム会員になると動画配信も含まれているため、コストパフォーマンスが高いです。
📺 U-NEXT
タランティーノ作品の配信数が多く、『ジャッキー・ブラウン』『ヘイトフル・エイト』なども網羅しています。月額2,189円(税込)と少し割高に感じるかもしれませんが、毎月1,200円分のポイントが付与されるため、実質的な負担は抑えられます。
📺 Hulu・Netflix
作品によって配信の有無が異なります。特定の作品を目的に加入する前に、公式サイトで配信状況を確認するのが確実です。
重要なのは、サブスクの配信ラインナップは頻繁に変わるという点です。「いつでも観られる」と思って後回しにしているうちに配信終了になるケースがあります。観たい作品を見つけたら、その月のうちに視聴することをおすすめします。
手順としては、まずどのサービスに今どの作品があるかを「JustWatch」というサイトで一括検索するのが便利です。タイトルを入力すると、配信しているサービスと視聴方法(見放題・レンタルなど)が一目でわかります。検索するだけで終わる、シンプルなステップです。
参考:タランティーノ映画の配信状況の最新チェックはこちら
JustWatch - 映画・ドラマの配信サービス一覧検索
タランティーノが監督として語られることがほとんどですが、実は彼の最大の才能は「脚本家」としての力にあります。これはあまり知られていない視点です。
アカデミー賞での受賞歴を見ると、それが一目瞭然です。タランティーノは監督賞ではなく、脚本賞を2回受賞しています。具体的には、パルプ・フィクション(1994年)とジャンゴ 繋がれざる者(2012年)での受賞です。カンヌ国際映画祭のパルム・ドール受賞も、1994年のパルプ・フィクションです。
彼が映画学校を出ていないのに、なぜこれほど脚本が書けるのか。答えは「読書量」と「映画の観本数」にあります。ビデオショップ店員時代に、1日に何本もの映画を観続け、好きなセリフや構成を徹底的に自分の中に取り込んでいきました。参考にした映画は日本映画・香港映画・イタリアのマカロニウエスタン・フランスのヌーベルバーグなど、ジャンルを超えた多様なものです。
タランティーノ映画の会話が「なぜこんなに面白いのか」というと、それは脚本段階で異常なほどの時間とエネルギーをかけているからです。登場人物たちが映画の本筋と無関係な話をダラダラと喋り続けるシーンは、一見無駄に見えて実はキャラクターを立体的に見せる技術です。
監督作品9本すべての脚本を自分で書いている監督は、ハリウッドでも珍しい存在です。これが原則です。
さらに面白いのは、タランティーノが他の監督のために書いた脚本が複数存在することです。『トゥルー・ロマンス』(1993年・トニー・スコット監督)と、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(1994年・オリバー・ストーン監督)は、タランティーノの脚本・原案を別の監督が撮った作品です。タランティーノ映画のエッセンスを楽しんだ後は、これらの「脚本だけタランティーノ」の作品も観てみると、また違う発見があります。
タランティーノ映画を「暴力映画」として見るか、「会話劇の傑作集」として見るかは、視点次第です。脚本家としての才能に注目すると、同じ作品がまるで違って見えてきます。
参考:タランティーノの脚本家としての側面と評価について
タランティーノ監督、引退宣言の意外な理由は? - 映画.com

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