

「天然由来だから安全」と思って毎日食べているアイスに、実は世界3機関が「ADI設定不要」と認めた添加物が入っています。
タラガムは、南米ペルーを原産とするマメ科の植物「タラ(学名:Caesalpinia spinosa)」の種子胚乳部分から作られる、水溶性の多糖類です。種子の内側のやわらかい部分(胚乳)をすりつぶして粉末にしたものがタラガムになります。
主成分は「ガラクトマンナン」という多糖類です。ガラクトースとマンノースという糖が3対1の比率で連なった構造をしており、同じガラクトマンナン系のグァーガムやローカストビーンガムの中間的な性質を持っています。冷水にもよく溶け、低濃度でも高い粘度を出せるのが大きな特徴です。
つまり植物由来の天然素材です。
タラガムは、アイスクリームやシャーベットの保形性向上、ゼリーの離水防止、グルテンフリーパンの保水性改善など、食感や品質を守るために使われます。食品業界では「増粘剤」「安定剤」「ゲル化剤」として幅広く採用されており、冷菓、調味料、ゼリー、プリン、飲料などで広く使われています。
これは使えそうです。
特に注目したいのが、タラガムは1%の水溶液にしたとき、粘度が5,000〜7,500mPa・sという高い粘り気を示すことです。これはハチミツを少し薄めたくらいのとろみのイメージに相当します。少量で十分な効果が出るため、食品メーカーがコストを抑えながら食感を整えるのに適した素材とされています。
参考:タラガム(スピノガム)の性状と使用例
扶桑化学工業株式会社 スピノガム®(タラガム)製品ページ
タラガムの安全性について、世界的な食品機関が複数の評価を行っています。その内容を知ることで、根拠のある判断ができます。
まず、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の合同専門家会議であるJECFAは、1987年の時点でタラガムについて「ADI(1日摂取許容量)を特定しない」と評価しました。これは「制限なく安全に摂れる」という意味ではなく、「通常の食品使用量では健康への懸念がないため、数値で上限を設ける必要がない」という意味です。
ADIが「設定不要」は高い評価です。
その後2017年には、欧州食品安全機関(EFSA)のANSパネルが改めてタラガムを再評価しました。この評価では、タラガムは腸でそのまま吸収されることはなく、腸内細菌によって発酵されると予測されること、また亜慢性試験・慢性試験・発がん性試験すべてにおいて、最大用量でも有害影響が報告されなかったことが確認されました。さらに、遺伝毒性に関する懸念もないと結論づけられています。
結論は「一般の人口集団に対する安全性の懸念はない」です。
さらにカナダ保健省(Health Canada)も2018年5月に、タラガムを乳化剤・ゲル化剤・安定剤・増粘剤として種々の食品に使用することを正式に認可しています。このように、世界の3つの主要な食品安全機関が、各々独立した評価によって同じ結論を出している点は非常に重要です。
参考:EFSA(欧州食品安全機関)によるタラガムの再評価に関する科学的意見書の概要(日本語)
食品安全委員会:食品添加物としてのタラガム(E417)の再評価に関する科学的意見書
タラガムについて調べると、「タラ」という言葉が入った別の成分が問題になった事例を見かけることがあります。これが「タラプロテインパウダー(タラ粉末)」と呼ばれる成分で、タラガムとはまったく別物です。混同しないことが大切です。
2022年、アメリカで「デイリーハーベスト社」の食品(レンズ豆とネギのクランブル)を食べた消費者から、消化器症状や肝機能異常の報告が相次ぎました。FDAに寄せられた報告は最終的に393件、入院患者は133人に上りました。この食品に使われていた成分として疑われたのが「タラプロテインパウダー」です。
これは痛いですね。
タラプロテインパウダーはタラの種子の「胚」の部分から作られるタンパク質素材で、ヒトの食品への使用歴がほとんどなく、安全性試験データも乏しい状態で使われていました。2024年5月、FDAはこのタラ粉末について「GRAS(一般的に安全と認められる)基準を満たさない未承認添加物」と正式に判断し、この成分を含む食品を安全でないとみなすという発表を行いました。
一方で、タラガムはタラの種子の「胚乳」部分から作られる多糖類であり、製法がまったく異なります。タラガムには長年にわたる食品添加物としての使用実績があり、国際的な規格も定められています。日本の食品安全委員会の関連情報でも、「食品添加物のタラガムはタラプロテインパウダーとは製法が異なり、定められた規格があり、安全性を評価されて使われていて特に問題はない」と明記されています。
「タラ」という名前だけで判断しないことが基本です。
参考:タラガムとタラプロテインパウダーの違いについて解説した専門家記事
FOOCOM.NET:米国の食品の被害事例—小林製薬の紅麹製品と比べると(前)
スーパーで食品を手に取ったとき、原材料欄に「タラガム」という名前を見つけることはほとんどありません。実際には「増粘多糖類」という一括表示の中に含まれているケースが多いため、知らずに毎日摂取していることが多いのです。
意外ですね。
食品表示法のルールでは、2種類以上の多糖類を増粘安定剤の目的で組み合わせて使用した場合、「増粘多糖類」という一括表示が認められています。そのため「タラガム」という具体的な名称が表示に現れないことがあります。一方、1種類だけ使われている場合、または「ゲル化剤」「糊料」として使われる場合は「増粘剤(タラガム)」「安定剤(タラガム)」のように物質名が表示されます。
以下のような表示パターンが主に見られます。
| 表示例 | 意味 |
|---|---|
| 増粘剤(タラガム) | タラガム単独を増粘目的で使用 |
| 安定剤(タラガム) | タラガム単独を安定目的で使用 |
| 増粘多糖類 | 複数の多糖類(タラガムを含む可能性あり)を組み合わせて使用 |
食品ラベルを見るとき、「増粘多糖類」と書いてあればその中にタラガムが使われている可能性があります。具体的に何が入っているか知りたい場合は、メーカーの問い合わせ窓口に確認するのが確実です。一方で、JECFA・EFSA・カナダ保健省の評価からも分かるように、通常の食品利用量においては安全上の問題はないとされているため、「増粘多糖類」という表示があっても過度に心配する必要はありません。
ラベルの読み方を知っておくと安心です。
参考:増粘多糖類の食品表示ルールをわかりやすく解説
多糖類.com:多糖類の決まり事~食品表示法について その4 増粘多糖類の範囲は?
タラガムは国際的に安全性が認められた食品添加物ですが、いくつかの点を知っておくと、より安心して食品を選ぶ判断ができます。
まず、タラガムを含む増粘多糖類は水溶性食物繊維として機能します。つまり、腸内環境に作用する可能性があるということです。通常の食品に含まれている量であれば問題ありませんが、水溶性食物繊維を大量に摂取した場合、お腹がゆるくなることがあります。特定の健康食品や介護用とろみ剤などを多用している場合は、意識しておくとよいでしょう。
大量摂取だけは注意が必要です。
次に、増粘多糖類の一部にはアレルギー反応を引き起こす可能性があるものも報告されています。ただし、タラガム単独でアレルギーが確認された事例は現時点では非常まれです。過去に特定のガム系添加物(グァーガムなど)でアレルギー症状が出たことがある場合は、念のため主治医に相談してください。
また、タラガムはキサンタンガムやカラギーナンと組み合わせると相乗的に粘度が高まる特性があります。加工食品を多く食べている場合、複数の増粘多糖類を同時に摂取しているケースが多いです。組み合わせによって食感が大きく変わるため、食品メーカーが意図的に組み合わせを設計しているのが一般的です。これ自体に問題はなく、使用量は各国の安全基準に沿って管理されています。
「普通に食べている分には問題ない」が結論です。
食品添加物全般の安全評価の仕組みを理解したい場合は、消費者庁の食品添加物に関する情報ページを参照するのが信頼性の高い情報源です。毎日の買い物でラベルを確認する習慣をつけることで、食品選びの精度が上がります。
| チェックポイント | 内容 |
|---|---|
| ⚠️ 大量摂取 | 水溶性食物繊維として機能するため、大量摂取は腹部不調の原因になる場合がある |
| ⚠️ アレルギー体質 | ガム系添加物にアレルギーがある場合は念のため確認を |
| ✅ 通常使用量 | 食品に含まれる通常量では、国際機関による評価でも問題なし |
| ✅ 発がん性 | EFSAの試験で発がん性・遺伝毒性いずれも懸念なしと確認 |
参考:増粘多糖類の注意点と安全性をわかりやすく解説
コープ自然派:食品添加物の増粘多糖類とは?注意点や安全性、デメリット

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