

外皮を捨てると、リヴァロの旨みの9割を逃してしまいます。
チーズコーナーで思わず後ずさりしてしまうほど強い臭いを放つリヴァロ。その正体を知ると、少しだけ親しみがわいてきます。
リヴァロの臭いの源は、ブレヴィバクテリウム・リネンス菌(リネンス菌)という細菌です。この菌は、熟成中に塩水や地元特産のカルヴァドス(リンゴのブランデー)でチーズの表面を繰り返し洗う工程(ウォッシュ)によって繁殖します。菌が外皮のたんぱく質を分解することで、あの強烈な刺激臭が生まれるのです。
気になるのが「納豆菌と同じ仲間」という事実です。リネンス菌は枯草菌の一種で、納豆菌と同じグループに分類されます。つまり臭いのメカニズムは、納豆があの独特の香りを発するのと本質的に同じです。
一口に臭いといっても、表現は人によってさまざまです。「古漬けのような臭い」「クサヤに似た臭い」「沢庵を濃縮したような臭い」などと言われます。グルメ漫画『美味しんぼ』の第73巻にもリヴァロが登場し、あまりの臭さに登場人物がひっくり返るシーンが描かれているほどです。
ただ、ここが重要なポイントです。その強烈な臭いは外皮にほぼ集中しており、内側の中身は驚くほどマイルドなのです。
外皮と中身の違いをまとめると、次のようになります。
| 部位 | 臭い | 味・食感 |
|------|------|----------|
| 外皮(オレンジ色の表面) | 非常に強い刺激臭 | 少し苦みや塩気あり |
| 中身(クリーム色の内側) | ほぼ無臭〜ほんのり発酵香 | ねっとりクリーミー、濃厚なミルクの旨み |
つまり外見で判断しないのが原則です。臭いにビビって遠ざけていたなら、かなりもったいない話といえます。
オーダーチーズ:リヴァロAOPの詳細情報(産地・熟成期間・形状データ)
リヴァロが単なる「臭いチーズ」ではなく、フランス文化の一部として根付いてきた理由には、その長い歴史があります。
フランス北部ノルマンディー地方のリヴァロ村を発祥とするこのチーズ。記録によれば12世紀の修道院で作り始めたとされており、ノルマンディー地方のチーズの中では最も歴史が古い一品です。かつては「ノルマンディーの労働者の肉」と呼ばれ、栄養豊富な食料として庶民の食卓を支えていました。1880年代には年間2,200トンも生産されていたと記録が残っています。
そして見た目でもすぐにわかる特徴が、チーズの側面に巻かれた5本の帯です。もともとは葦の一種であるレーシュを使い、型崩れを防ぐために巻かれていました。その5本線がフランス軍の大佐(コロネル)の軍帽に似ていたことから、リヴァロは「コロネル(大佐)」という愛称で親しまれるようになったのです。現在は装飾目的で紙テープが使われることが多くなっています。
歴史の深みがありますね。
1975年にはAOP(EU統一の原産地名称保護)を取得。カルヴァドス東部からオルヌ県、ウール県の一部にまたがるオージュ地方の指定村落だけで作られた牛乳を原料とするものだけが「リヴァロ」と名乗れます。現在は5つの生産組合によって製造されており、年間生産量は約1,300トンほどとなっています。
サイズのバリエーションも豊富で、グラン・リヴァロ(重さ1,200〜1,500g)からプティ・リヴァロ(重さ200〜270g)まで4種類があります。家庭で試すなら、プティ・リヴァロ(直径8〜9.4cm)から始めるのがハードルが低くておすすめです。
雪印メグミルク チーズクラブ:リヴァロの詳細データ(熟成期間・形状・AOP情報)
「においが気になって食べられない」という気持ちはよくわかります。ただ、対処法を知っていれば、臭いを大幅に抑えながらリヴァロの美味しさを楽しめます。
まず最も手軽な方法が外皮を取り除くこと、これが基本です。包丁でオレンジ色の外皮を薄くそぎ落とすだけで、臭いの大部分がカットできます。中身だけを食べると、ミルクを凝縮したようなコクとクリーミーな甘みを感じることができます。
外皮を取り除く以外にも、いくつかの方法があります。
- 🗓️ 若い(製造日が新しい)ものを選ぶ:熟成が進むほど臭いは強くなります。製造日からあまり日にちが経っていないものを選べば、刺激臭が弱めです。食べごろは製造から5〜6週間後ですが、それより若いものなら臭いが穏やかです。
- 🌡️ 常温に戻す前に食べる:チーズは常温に戻すと香りが開きます。臭いを抑えたいなら、少し冷えた状態で食べるのも一手です。
- 🍞 無塩バターや蜂蜜と合わせる:中身をすくってバゲットや無塩バターと合わせると、臭いが和らぎ食べやすくなります。蜂蜜との組み合わせは甘みが臭いをマスキングしてくれます。
- 🍎 リンゴやチコリなどと組み合わせる:フルーツや野菜の爽やかさが、リヴァロの独特な風味と好相性です。スライスしたリンゴと一緒に食べると臭いが気になりにくくなります。
これは使えそうです。
ウォッシュタイプのチーズの教科書的な食べ方としては、スプーンで中身をすくってそのまま口に運ぶスタイルがあります。ただリヴァロの場合はクリーミーな中身をバゲットに塗る方法が最も試しやすく、初心者にも向いています。
また加熱してソースに使うという方法もあります。クリームソースに溶かすとチーズ独特の臭いが飛び、濃厚な旨みだけが残ります。グラタンやパスタに加えると風味豊かな仕上がりになります。外皮の臭いが苦手な人でも加熱調理なら取り入れやすいです。
オリーブオイルをひとまわし:リヴァロチーズの食べ方・楽しみ方の詳細解説
「ウォッシュチーズは全部同じくらい臭い」と思っていませんか?実はかなり個体差があります。
フランスには臭いチーズランキングというものが存在し、専門家が複数のチーズの臭いを評価しています。その結果によると、1位は「ヴィュー・ブーローニュ(7〜9週間熟成)」、2位が「ポン・レヴェック(6週間熟成)」、3位が「カマンベール(21日熟成)」とされています。リヴァロはこのランキングの上位に名を連ねるほどの臭さを持ちますが、一方で「ウォッシュタイプの中では比較的食べやすい部類」という評価もあります。
ノルマンディー三大チーズで臭いの強さを比較すると次のようになります。
| チーズ名 | 臭いの強さ | 中身のテクスチャ |
|----------|-----------|----------------|
| カマンベール | ★☆☆(弱め) | 白カビ系、まろやか |
| ポン・レヴェック | ★★☆(中程度) | 柔らかくしっとり |
| リヴァロ | ★★★(強め) | ねっとりクリーミー |
リヴァロが一番強烈なのは確かです。ただ、世界最強の臭いチーズといわれる「エポワス」や「ヴィュー・ブーローニュ」と比べると、まだ食べやすい位置づけにあります。
特筆すべきは、臭いの質の違いです。リヴァロの臭いは古漬けや沢庵にたとえられることが多く、言い換えれば日本人に馴染みのある発酵食品の香りに近いのです。納豆や沢庵が好きな人は、リヴァロの臭いにもそれほど抵抗を感じないケースが少なくありません。
意外ですね。
熟成期間による臭いの変化も知っておくと便利です。最低熟成期間はプティ・リヴァロで21日間、通常サイズのリヴァロで35日間とされています。それ以上熟成が進むと苦みと臭いが増すため、「5〜6週間が食べごろ」といわれています。購入するときは製造日の確認が重要です。
Le Comptoir:最も臭いチーズトップ10(フランス専門店監修)
「食べてみたいけど、近所のスーパーには売っていない」という声はとても多いです。実際、リヴァロは日本ではかなり入手難易度の高いチーズです。
カルディや成城石井での取り扱いは現在確認されておらず、一般的なスーパーの棚に並ぶことはまずありません。百貨店(大丸・東急など)のチーズ専門コーナーや、都市部のチーズ専門店では購入できる場合があります。ただし入荷状況にばらつきがあり、店頭で確実に手に入れるのは難しいのが実情です。
価格の目安として、100gあたり1,500円前後が相場となっています。通常サイズ(450〜500g)で約6,000〜7,000円ほどになる計算です。プティ・リヴァロ(200〜270g)であれば3,000〜4,000円前後で購入できます。
確実に入手するなら通販が現実的です。
| 購入先 | 目安価格(約200g) | 特徴 |
|--------|-----------|------|
| 楽天 | 約3,024円〜(送料990円〜) | 種類豊富で比較しやすい |
| Amazon | 約2,916円(送料1,210円) | 即納品が多い |
| Yahoo!ショッピング | 約3,344円(送料990円〜) | クーポン活用で安くなることも |
送料込みの最安値は楽天となるケースが多いようです。
保存方法にも注意が必要です。購入後は密閉容器か二重のラップで包み、チルド室(0〜4℃)で保管するのが原則です。強烈な臭いが冷蔵庫全体に広がらないよう、しっかりと密封することをおすすめします。においが染み出してくるほど強いので、密封しても臭いが気になるようなら保存容器を瓶やタッパーに変えましょう。
リヴァロは希少なチーズなので、手に入ったら大事に食べてください。
オーダーチーズ:チーズの皮は食べてもいいの?(外皮の扱いについての専門解説)

IGOR ゴルゴンゾーラ ピカンテ ダイス 170g×2個 イタリア産チーズ チーズ DOP認定 Soicouluer限定ポケットティッシュ