

完熟トマトは必ず冷蔵庫に入れると、リコピンの吸収率が約3分の1に下がります。
麗夏トマト(れいかトマト)は、種苗大手「サカタのタネ」が1998年に開発した大玉トマトの品種です。正式名称はトマト「麗夏」で、農林水産大臣賞を受賞した実績を持ちます。これはかなりの権威ある評価ですね。
麗夏は「王様トマト」シリーズの一員でもあります。王様トマトとは、サカタのタネが開発した肉質のしっかりした品種を、畑で赤くなってから収穫(赤熟もぎり)した場合の青果物ブランドです。一般的な大玉トマトの多くは、まだ青みが残る状態で収穫して流通中に追熟させます。しかし麗夏は、畑で完全に赤く熟してから収穫しても割れにくい構造を持っているため、真の完熟状態で食卓に届けられます。
一玉の重さは平均220g前後で、はがきの横幅(10cm)よりやや大きい、ずっしりとした手ごたえの大玉です。表面はツヤツヤとした光沢があり、スーパーの店頭でも目を引く美しさが選ばれる理由のひとつとなっています。生産者の鷹見豪さんによると「思わず手に取られるお客様が多い」とのことで、見た目のインパクトは相当なものです。
つまり麗夏は、「農業試験の結果に裏付けられた品質」と「見た目の美しさ」を兼ね備えた品種だということですね。
麗夏最大の特徴は「極硬玉(ごくかただま)」と呼ばれる、果肉の硬さにあります。一般的なトマトよりもしっかりとした肉質で、カットしても形が崩れにくく、果汁が垂れにくいのが料理の際に大変扱いやすい点です。
この硬さがあるからこそ、他の大玉品種では難しい「赤熟もぎり」が実現できます。普通のトマトを赤く熟すまで畑に置いておくと、果実が割れたり柔らかくなりすぎたりして出荷できなくなることがほとんどです。ところが麗夏は、真っ赤に完熟した状態でも9割以上の果実が割れずに収穫できます。実際、岐阜県中津川市のJAひがしみので麗夏を栽培する農家では、従来品種で9月に裂果が多発し出荷不能になっていたものが、麗夏に替えてからロスなく出荷できるようになったと報告されています。
旨みの面でも、赤熟収穫の恩恵は大きいです。畑で完熟させることで糖度が十分に上がり、麗夏の平均糖度は8度以上とされています。これは一般的な大玉トマトの糖度4〜6度と比べると、明らかに高い数値です。消費者からは「爽やかな酸味がある」「昔ながらのトマトの味がする」という声が多く寄せられており、甘さだけでなく、適度な酸味と青みのある香りがバランスよく共存しています。これが麗夏ならではの食味です。
平均糖度8度以上が基本です。
麗夏が主婦にとって特にうれしい特徴は、日持ちのよさです。極硬玉という肉質のおかげで収穫後もしっかりとした状態を保てるため、市場では「棚持ちがよい」と高評価を受けています。
具体的な保存目安は以下の通りです。
| 保存方法 | 保存期間の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 常温(追熟・完熟前) | 3〜5日 | 直射日光・高温多湿を避けて風通しよく |
| 冷蔵(野菜室) | 1〜2週間 | ヘタを下向きにして通気性のある容器へ |
| 冷凍 | 2〜3ヶ月 | 密閉袋に入れ、ソースや煮込み料理に活用 |
ただし、リコピンの吸収率について知っておくと得をします。リコピンは加熱すると細胞壁が壊れ、生で食べるよりも体への吸収率が高まります。また、油と一緒に摂ることで吸収率がさらに上がります。麗夏をトマトソースやカレーに使う料理法は、健康面でも理にかなっているわけです。これは使えそうです。
一方で、完熟した麗夏を冷蔵庫に入れる場合は低温障害に注意が必要です。トマトは10℃以下になると甘みが落ちやすくなるため、野菜室(約7〜10℃)での保存が適切です。追熟が必要な段階のものは、冷蔵庫に入れず常温でゆっくり熟成させた方が糖度が上がり、よりおいしく食べられます。
麗夏トマトは初夏から秋にかけて、6月中旬から11月中旬ごろまでがおもな出荷シーズンです。夏秋トマトの代表品種として市場に流通しており、「王様トマト」のシールやラベルが貼られた状態で販売されていることが多いです。スーパーでは特に7月〜9月に多く見かけます。
おいしい麗夏を選ぶときは、以下のポイントに注目してください。
「王様トマト」のシールが貼られていれば、赤熟収穫の証明になります。スーパーで見かけたらシールをチェックするのを習慣にするとよいですね。
麗夏の肉質の硬さと果汁の少なさ(液だれしにくい特性)は、料理の幅を大きく広げます。果肉が崩れにくいので、厚切りにしてもサンドイッチの中でパンがべちゃっとならないのは大きなメリットですね。
まずはそのまま食べる「丸かじり」や「スライス」がおすすめです。完熟ならではの甘みと酸味が最もダイレクトに感じられます。サラダに使う場合もゴロゴロと大きめにカットしても形がしっかりキープされます。これが料理上手に見えるポイントです。
加熱料理での活用も麗夏は得意分野です。代表的なものをご紹介します。
リコピンを効率よく摂るためには、加熱+油が条件です。オリーブオイルで炒めたトマトソースは、リコピンの吸収率を生食の約3〜4倍高められるとされています。料理に取り入れるときに意識してみてください。
スーパーでよく見かける大玉トマトといえば「桃太郎」が長らく定番でしたが、麗夏はいまや大玉トマトのシェアで桃太郎を追い抜くほどの人気品種に成長しています。二つの品種は何が違うのでしょうか?
最も大きな違いは「収穫タイミング」です。桃太郎は青めのうちに収穫してから追熟させる「青もぎり収穫」が一般的です。これに対し麗夏は、畑で完全に赤く熟してから収穫する「赤熟もぎり」が可能な品種です。つまり麗夏の方がより完熟に近い状態で店頭に並ぶことになります。
味の傾向にも違いがあります。桃太郎は甘みが穏やかで食べやすいまろやかさが特徴です。一方の麗夏は、爽やかな酸味と青みのある香りがあり「昔ながらのトマトらしい味」と評されます。
| 比較項目 | 麗夏 | 桃太郎 |
|---|---|---|
| 収穫方法 | 赤熟もぎり(完熟収穫) | 青もぎり→追熟 |
| 糖度 | 平均8度以上 | 4〜6度程度 |
| 肉質 | 極硬玉・崩れにくい | やや柔らかめ |
| 味の傾向 | 酸味と旨みが濃い・昔ながら | まろやか・食べやすい |
| 裂果しにくさ | 非常に少ない | やや多め |
| 日持ち | 極めてよい(1〜2週間) | 普通(3〜7日) |
購入後すぐに食べるなら桃太郎の方がジューシーでやわらかく食べやすいという声もあります。ただし、まとめ買いして使いまわしたい、硬めの食感が好き、昔のトマトらしい濃い味が好きという方には麗夏が断然おすすめです。それぞれ違う魅力があるということですね。