

クロアナゴを正しく下処理しないと、せっかくの魚が台無しになります。
クロアナゴは、体長が1メートルを超えることも珍しくない大型のアナゴです。はがきの短辺が約10センチですから、クロアナゴの最大サイズはその10倍にもなる計算です。見た目のインパクトに圧倒される方も多いでしょう。
その大きさゆえに、「どうせ固くて食べにくいんだろう」と思われがちです。ところが、正しく調理すればクロアナゴはしっかりとした旨味を持つ食材になります。
マアナゴと比較すると、クロアナゴの肉質はやや粗く、脂の乗り方もマアナゴほど上品ではありません。マアナゴが「ふわとろ」と表現されるのに対し、クロアナゴは「しっかり系」の食感です。つまり、調理法の選び方が仕上がりを大きく左右します。
脂の量自体はむしろ多い部類に入るため、こってりとした味付けと相性が良い魚と言えます。醤油・みりん・砂糖を使った甘辛の蒲焼きだれとの組み合わせは、ご飯が進む仕上がりになります。
一方で、さっぱりとした塩焼きや天ぷらにするとクロアナゴ本来の旨味がダイレクトに感じられ、「こんなに美味しかったのか」と驚く方も少なくありません。意外ですね。
クロアナゴを美味しく食べるうえで、最大の壁となるのがぬめりと臭みの問題です。下処理が甘いと、せっかくの料理が生臭さに台無しになります。これは避けたいところです。
臭みの主な原因は、皮と表面のぬめりに含まれる粘液成分です。この粘液は細菌が繁殖しやすい環境をつくるため、鮮度が落ちると一気に臭いが強くなります。新鮮なものでも下処理をしないまま調理すると、後悔することになります。
家庭で行う基本の下処理は3ステップです。
下処理が終わった後は、できるだけ早めに調理することが大切です。下処理済みの状態で冷蔵保存する場合は、キッチンペーパーに包んでラップをし、2日以内に使い切ることが原則です。
この3ステップが基本です。一つ一つは難しくないので、ぜひ実践してみてください。
下処理をしっかり終えたクロアナゴは、いくつかの調理法でその旨味を最大限に引き出せます。それぞれの特徴を知ることで、家庭での料理の幅が一気に広がります。
① 天ぷら
クロアナゴの天ぷらは、サクサクの衣とジューシーな身のコントラストが絶品です。下処理済みのクロアナゴを5~8センチ程度(はがきの短辺の半分から同じくらい)にカットし、薄めの衣をつけて170℃の油でじっくり揚げます。
大型の個体はそのままだと火が通りにくいため、開いてから切り目を数か所入れておくのがポイントです。衣に少量のカレー粉を加えると、クロアナゴの脂っぽさが中和されて食べやすくなります。これは使えそうです。
② 蒲焼き
醤油・みりん・砂糖・酒を2:2:1:1の割合で合わせたたれで焼き上げる蒲焼きは、クロアナゴの脂と甘辛のたれが絶妙にマッチします。ご飯の上にのせるだけで、立派な一品になります。
市販のうなぎのたれを代用しても美味しく仕上がります。スーパーで手に入る商品として、「永谷園のうなぎのたれ」や「キッコーマンの蒲焼のたれ」などが使いやすいでしょう。たれの甘辛さがクロアナゴの旨味を底上げしてくれます。
③ 煮穴子
だし・醤油・みりん・砂糖を合わせた煮汁でじっくり煮含めた煮穴子は、家庭料理として非常に優秀な一品です。クロアナゴは煮ることで身がほぐれやすくなり、マアナゴよりも大きいぶんボリューム感もあります。
煮崩れを防ぐために、最初の5分は強火で表面を固めてから弱火にするのが基本です。崩れずに美味しく煮上がります。
クロアナゴは、マアナゴと比べてスーパーの店頭に並ぶ機会が少ない魚です。流通量がそれほど多くないため、一般の小売店では見かけにくい食材と言えます。
ただし、鮮魚専門店や大型の魚市場、あるいは漁港の直売所では手に入ることがあります。また、「Amazonフレッシュ」や「ふるさと納税の返礼品」として扱っている業者もあるため、オンラインで探してみる価値もあります。
購入時に鮮度を見極めるポイントは次の通りです。
冷凍品として販売されているクロアナゴも流通しており、冷凍の場合は解凍後すぐに下処理と調理を行うことが原則です。解凍を室温で行うと雑菌が繁殖しやすくなるため、冷蔵庫での低温解凍か、流水解凍をおすすめします。
新鮮なクロアナゴを手に入れたら、その日のうちに調理するのがベストです。鮮度が命です。
クロアナゴは食卓に上る機会こそ少ないものの、栄養面では非常に優秀な食材です。意外と知られていない事実として、クロアナゴにはビタミンAが豊富に含まれています。
ビタミンAは粘膜や皮膚の健康を維持するために不可欠な栄養素で、目の健康にも深く関わっています。文部科学省の食品成分データベースによると、アナゴ(蒸し)100gあたりのビタミンA含量は890μgRAEに達します。これは成人女性の1日推奨量(700μgRAE)を上回る量です。
また、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といったオメガ3系脂肪酸も豊富に含まれています。これらは血液をサラサラにする働きや、脳の機能維持に役立つと言われています。いいことですね。
さらに、クロアナゴにはコラーゲンが豊富に含まれているため、皮膚の弾力維持にも効果が期待できます。美容・健康の両面で注目の食材と言えます。
一点注意が必要なのは、ビタミンAの過剰摂取についてです。ビタミンAは脂溶性ビタミンのため、大量に摂取すると体内に蓄積されます。妊娠中の方は特に過剰摂取に注意が必要で、1日の上限量(3,000μgRAE)を超えないよう気をつける必要があります。ここだけは注意が必要です。
適切な量を食べる分には問題ありません。週に1~2回の頻度で取り入れると、バランス良く栄養を摂取できます。
クロアナゴを美味しく食べ切るためには、保存方法の知識も欠かせません。生のまま保存する場合と、調理後に保存する場合でそれぞれ注意点が異なります。
生の状態での保存
下処理を済ませた生のクロアナゴは、キッチンペーパーで水気をしっかり取り、ラップで密着させて包んだうえでジッパー付き保存袋に入れます。冷蔵の場合は2日以内、冷凍の場合は1か月を目安に使い切りましょう。
冷凍するときは、一回分ずつ小分けにしておくと使い勝手が良くなります。これは覚えておくと便利です。
調理後の保存
蒲焼きや煮穴子として調理したものは、冷蔵で3日、冷凍で3週間程度を目安にした保存が可能です。冷凍した煮穴子は、電子レンジで温めるだけで手軽に食べられるため、まとめて作っておくと平日の夕食の時短に繋がります。
お弁当のおかずとしても優秀で、冷めてもそれほど味が落ちないのがクロアナゴ料理の強みのひとつです。作り置き向きの食材ということですね。
冷凍した調理済みクロアナゴを再度温める際は、電子レンジよりもフライパンで軽く焼き直す方が、皮のパリッとした食感が戻って美味しくなります。少し手間をかけるだけで仕上がりがぐっと変わります。
保存方法を正しく把握しておくだけで、食材のロスが減り、食費の節約にもつながります。クロアナゴは単価がやや高めの食材であるため、無駄なく使い切ることが家計にとっても大切なポイントになります。

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