

高級な枯節よりスーパーの荒節のほうが、料理によっては旨みが約1.5倍強く出ることがあります。
かつお節には大きく分けて「荒節(あらぶし)」と「枯節(かれぶし)」という2種類があります。どちらも同じカツオから作られますが、製造工程がまったく異なります。
荒節は、カツオの身を煮て、燻製(いぶし)にした段階でいったん完成させたものです。製造にかかる期間は約2〜3ヶ月で、スーパーに並ぶ一般的なかつお削り節のほとんどはこの荒節を薄く削ったものです。一方、枯節は荒節をさらにカビ付け・乾燥という工程を2〜5回繰り返した、いわばかつお節の最終形態です。
この違いが基本です。
カビ付けに使用されるのは「ユーロチウム属」などのカビで、このカビが節の中の余分な水分と脂肪分を食べながら分解します。その結果、枯節は荒節に比べて水分・脂質が大幅に減少し、重量は元のカツオの約20〜25%にまで凝縮されます。水500mlに対してかつお節を使う場合、荒節は15〜20g、本枯節は10〜12gでもしっかり出汁が出るほど、旨みの密度に差があります。
カビがうまみを作る、という点は意外ですね。
枯節の表面には灰色や白色のカビがついていますが、これは食べても安全な種類のカビです。このカビが節に含まれる脂質を分解することで、荒節には出せない上品でまろやかな風味が生まれます。また、カビが脂質を除去することで出汁が濁りにくくなり、澄んだきれいなお吸い物や茶碗蒸しを仕上げるのに向いています。
荒節と枯節の製造工程をまとめると、以下のようになります。
| 項目 | 荒節 | 枯節(本枯節) |
|------|------|-------------|
| カビ付け | なし | 2〜5回 |
| 製造期間 | 2〜3ヶ月 | 6ヶ月〜1年以上 |
| 水分量 | 約20〜25% | 約15%以下 |
| 価格目安 | 100g 約200〜400円 | 100g 約800〜2,000円以上 |
| 出汁の特徴 | 濃い・力強い | 上品・まろやか・澄んでいる |
荒節の出汁は「濃くて力強い」という表現がぴったりです。燻製による香ばしさや、脂質から来る濃厚さが特徴で、うどんのつゆ、みそ汁、煮物のベースなど、味がしっかりついた料理に向いています。
これは使えそうです。
具体的には、豚汁や筑前煮など素材の多い煮物は、荒節から引いた出汁のほうがコクが出て全体がまとまりやすいです。家庭で毎日使う出汁として考えると、荒節はコスパと風味のバランスに優れています。
一方、枯節の出汁は「繊細で透明感がある」という特徴があります。余分な脂質がほとんど除去されているため、出汁が濁りにくく、澄んだきれいな色に仕上がります。お吸い物や茶碗蒸し、京料理のような上品な料理には、枯節の出汁が欠かせません。
出汁の澄み具合と旨みの質が条件です。
また、風味の違いは「イノシン酸」の含有量にも関係します。イノシン酸はカツオ節の主な旨み成分ですが、枯節はカビが脂質とともに不純物を取り除くことでイノシン酸が際立って感じられます。荒節にもイノシン酸は含まれますが、脂質や燻製臭が一緒に出てくるため、旨みが「混ざった」印象になります。
つまり、旨みの量ではなく「旨みの純度」が違うということですね。
料理研究家の間では「みそ汁には荒節、お吸い物には枯節」という使い分けが長年の定番とされています。両方の特性を理解しておくと、同じ食材でも料理のクオリティを一段上げることができます。
スーパーで削り節を手に取っても「荒節なのか枯節なのか」は一見わかりにくいものです。見分けるポイントはパッケージの表示にあります。
まず確認するべきは「原材料名」の欄です。「かつお削り節(本枯節)」「本枯節削り節」と書かれていれば枯節を使った製品です。単に「かつお削り節」「かつおぶし」とだけ書かれているものは、ほとんどの場合が荒節を原料としています。
原材料名の確認、これが基本です。
次に「JAS規格のラベル」も参考になります。2017年に改正されたJAS規格では、かつお節の等級区分が整理され、本枯節はカビ付け回数によって「枯節」「本枯節」と区別されるようになっています。この規格に基づいた表示がある商品は信頼性が高いです。
価格も一つの目安になります。荒節の削り節は100g入りで200〜400円程度が相場ですが、本枯節の削り節になると同量で800円〜2,000円以上するものも珍しくありません。価格差が2〜5倍というのは、製造に要する時間と手間の差がそのまま反映されています。
厳しいところですね。
色や形にも若干の違いがあります。荒節の削り節は薄くて半透明に近いピンク〜茶色、枯節の削り節は少し厚みがあり色も濃い赤茶色をしていることが多いです。ただし削り方によって見た目が変わるため、外見だけでの判断は難しいので、やはりパッケージ表示を確認するのが確実です。
また、最近では「混合削り節」といって、荒節と枯節をブレンドした製品も増えています。コストを抑えながら枯節の風味もプラスしている製品で、毎日使いにはコスパが良く、風味も十分なのでおすすめです。
荒節に向いている料理は、味が濃い目でコクを必要とするものです。みそ汁、豚汁、うどん・そばのつゆ、煮物、炊き込みご飯のだし汁などが代表的な用途です。これらの料理は出汁の色が多少濁っていても気にならず、むしろ荒節の力強い旨みがベースになることで全体の味が引き締まります。
荒節出汁の引き方は次の通りです。
荒節は沸騰後に入れるのが原則です。
枯節に向いている料理は、出汁の色と風味が直接仕上がりに影響する上品な料理です。お吸い物、茶碗蒸し、だし巻き卵、京風の煮物などが代表です。色が透き通った美しい出汁が必要な場合は、枯節一択と言っても過言ではありません。
枯節出汁の引き方は荒節よりやや丁寧に行います。
枯節は高温で長く煮出すと苦みや雑味が出ることがあるため、沸騰直前の温度で引くのが正しい方法です。日本料理の料亭では80〜85℃を守るために温度計を使うほど、温度管理が重視されています。
絶対に絞らない、これだけ覚えておけばOKです。
日常の料理では「荒節の出汁」を大量に引いて冷蔵保存(2〜3日以内)するのが時短になります。まとめ引きした出汁は製氷皿に入れて冷凍しておくと、1キューブ約大さじ1杯分として1ヶ月程度保存でき、忙しい日の料理に重宝します。
開封後の削り節は意外と品質が落ちやすく、正しく保存しないと風味が半減します。開封したらなるべく早く使い切るのが理想ですが、保存する場合は空気を抜いてチャック付き袋に入れ、冷蔵庫で保存するのが基本です。常温保存では湿気を吸って香りが飛び、カビが生えるリスクもあります。
冷蔵保存が原則です。
荒節の削り節は開封後2〜3週間以内、本枯節の削り節は開封後1ヶ月以内を目安に使い切るのが理想です。大袋でまとめ買いする場合は、使う分だけ小分けにして残りは冷凍保存するのがおすすめです。冷凍した削り節はそのまま凍ったまま使えるので、使い勝手も変わりません。
節(塊のまま)で購入する場合は、使う分だけその都度削るスタイルになります。本枯節の塊はカビが表面についていますが、使う直前に表面を固く絞った布巾で軽く拭き取れば問題ありません。塊のまま保存するときはラップで包んで冷蔵庫へ入れ、湿気を避けることが大切です。
節の塊を自宅で削るための道具として「かつお節削り器」があります。削りたての節は風味がまったく別物で、特に本枯節は削りたての香りと旨みがピークになります。1,000〜3,000円程度で購入できる家庭用削り器もあり、「特別な日のお吸い物だけ削りたてにする」という使い方も実践しやすいです。
削りたての違いは一度体験するとわかります。
また、かつお節を選ぶ際に「厚削り」「薄削り」という表記も確認するポイントです。薄削り(0.1〜0.2mm)は一般的なパック入り削り節で家庭用に最適、厚削り(0.3〜0.5mm以上)は長時間煮出してコクを出すラーメンや煮物のプロ向けです。厚削りは10〜15分以上じっくり煮出す必要があるため、使い方が変わります。
スーパーで購入する際は「薄削り=荒節」「厚削り=荒節または混合」が多いので、用途に合わせて選ぶのが賢い方法です。
本枯節の削り節は価格が高いですが、少量でしっかり出汁が出るため、使用量が少なくて済みます。100g 800円の本枯節を1回10gで使えば1袋で10回分、1回あたり80円です。100g 250円の荒節削り節を1回15gで使えば1袋で約6〜7回分、1回あたり約35〜40円です。1回の出費では荒節のほうが安いですが、出汁の質を比較した場合のコスパは枯節も十分検討に値します。
どちらが「得か」は用途次第ということですね。
日常のみそ汁には荒節、ここぞという場面のお吸い物や茶碗蒸しには枯節、という使い分けを一度決めてしまえば買い物もシンプルになります。両方を常備しておくのが、料理の幅を広げる一番の近道です。
かつお節の製造や品質基準についてより詳しく知りたい方は、農林水産省のJAS規格ページも参考になります。
農林水産省によるかつお節のJAS規格の詳細(製造方法・品質基準の公式情報)
農林水産省 JAS規格一覧(かつおのふし関連)
かつお節の製造工程・産地・歴史などの詳細な解説(日本かつお・まぐろ漁業協同組合)
日本かつお・まぐろ漁業協同組合 公式サイト

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