

スリランカの屋台では、毎日夕方になると500ルピー(約200円)以下でコットゥロティが食べられます。
コットゥロティ(Kottu Roti)は、スリランカ全土の屋台や食堂で夕方から夜にかけて作られる、国民的なストリートフードです。「コットゥ」とはシンハラ語で「みじん切りにする」という意味を持ち、その名の通り薄焼きパンのロティを細かく刻んでから炒めるのが最大の特徴です。
もともとは、ロールスと呼ばれるスナック用のロティ生地を切り出した後に残る端切れを無駄なく使うために生まれた料理だったといわれています。つまり、食材を余すところなく使い切るという、スリランカの人々の知恵から生まれた料理なのです。意外な起源ですね。
コットゥロティの調理風景は、それ自体がひとつのパフォーマンスです。鉄板の上に刻まれたロティと野菜を広げ、コックさんが金属ヘラ2本を両手に持ち、リズミカルに「カンカン、チャキチャキ」と材料を刻み混ぜながら炒めていきます。この独特の調理音はスリランカの夜市の風物詩ともいえるほど有名で、音を聞いただけで「コットゥの屋台が近くにある」とわかるほどです。
スリランカ人にとってのコットゥロティは、日本でいえば「焼きそば」や「チャーハン」に近いポジションです。仕事帰りのサラリーマンが屋台に立ち寄り、学生が友人と集まって食べる。そんな日常の食べ物として深く根付いています。現地では「スリランカ人がレストランで必ず注文するもの」として、ライス&カレーと並ぶほどの人気を誇ります。
日本にもスリランカ料理店が増えており、東京・神奈川・大阪をはじめとする都市部では本場のコットゥロティを提供するお店も見つかります。食べたことがない方でも、「焼きそば感覚のスパイス炒め」と思えば親しみやすいはずです。
スリランカ料理・コットゥロティの本場情報はこちらが参考になります。
コットゥ・ロティの歴史・材料・作り方(Lakpura公式・日本語)
コットゥロティの主役は「ゴーダンバロティ」と呼ばれる薄焼きパンです。小麦粉を水や油と合わせてよくこね、クレープのように薄く伸ばして鉄板で焼いたパン生地で、もっちりとした食感が特徴です。本場では職人が生地を100回以上台に打ち付けてグルテンを引き出すため、伸びのある独特のもちもち感が生まれます。
このゴーダンバロティを一口大に刻み、キャベツ・にんじん・玉ねぎ・青ねぎなどの野菜と、卵・肉・魚などのタンパク源、そしてスパイスで炒め合わせればコットゥロティの完成です。仕上げに別添えのカレーソースを少しかけると、スパイスの風味がグッと増してさらに美味しくなります。
バリエーションが豊かなのもコットゥロティの魅力です。具材の種類で名前が変わります。
- チキンコットゥ:鶏肉を使った最もポピュラーなバージョン。柔らかいチキンとモチモチのロティの組み合わせが定番です。
- エッグコットゥ:卵だけを使ったシンプルなバージョン。スリランカのベジタリアンにも親しまれています。
- フィッシュコットゥ:島国スリランカならではの魚を使ったバージョン。ツナ缶で代用することも多いです。
- チーズコットゥ:近年人気が出てきた新しいバージョン。とろけるチーズを加えた濃厚な味わいが若者に人気です。
味わいについていうと、スパイスのピリっとした刺激と、ロティのモチモチ感、野菜のシャキシャキ感が重なり合った複雑な美味しさがあります。辛さはお店ごとに調整が利くため、辛いものが苦手な方でも安心です。日本人旅行者の多くが「思ったより食べやすい」「クセになる味」と感想を述べています。これは使えそうです。
スリランカ料理の専門店が公開している本格レシピも参考になります。
コットゥロティには複数のスパイスが使われますが、これらのスパイスはただ料理に風味を加えるだけでなく、様々な健康・美容効果をもたらすことが知られています。スリランカはアーユルヴェーダ(約5000年続く伝統医療)の本場でもあり、スパイスと健康の関係が深く根付いている文化です。
コットゥロティに欠かせない主なスパイスの効能は以下の通りです。
- ターメリック(ウコン):肝機能の強化、消化作用、新陳代謝の活性化。抗炎症・抗酸化作用で免疫力アップが期待できます。
- クミン:消化促進・解毒作用・生理不順の改善。腸内環境を整えるサポートをしてくれます。
- コリアンダー:消化促進・鎮静作用・美肌作用。肌荒れが気になる方にうれしい効果です。
- ブラックペッパー:食欲増進・便秘予防・感染症予防。血行を促進し、体を内側から温めます。
- カルダモン:疲労回復・整腸作用・精神安定。心身ともに疲れているときに取り入れたいスパイスです。
アーユルヴェーダでは、一食の中で「甘味・塩味・酸味・苦味・辛味・渋味」の6つの味をとることが健康な食事とされています。コットゥロティをカレーソースと合わせて食べることで、これに近い多彩な味わいを一度に摂取できるのも大きな特長です。
スパイスが体に良いのは知っていますね。ただし、炒め油の量や塩分には注意が必要です。スリランカの屋台料理はヘルシーなイメージがありますが、調理に使う油や塩分量はお店によって異なります。家庭で作る際は油を控えめにしてオリーブオイルやごま油少量で炒めると、よりヘルシーに仕上がります。
スリランカカレーのスパイスと健康効果については、専門家による詳しい解説が参考になります。
ヘルシーで美容に良いスリランカカレーのすすめ(SpiceUp.lk)
「コットゥロティを家で作りたいけど、ゴーダンバロティなんて日本のスーパーで売ってないのでは?」と思った方も安心してください。市販の食材で十分に再現できます。
ゴーダンバロティの代用として最もおすすめなのが、市販のフラワートルティーヤ(メキシコ料理に使う薄焼き小麦粉パン)です。エスビー食品の公式レシピでも「手に入りやすいトルティーヤで作ります」と明記されているほど、定番の代用品となっています。直径20cmのトルティーヤを細切りにするだけで準備完了です。もちろん、インド料理店やアジア系スーパーで手に入るパラタ(インドの薄焼きパン)を使うとさらに本格的な仕上がりになります。
基本のコットゥロティ(2人分)の材料目安:
| 材料 | 分量 |
|------|------|
| フラワートルティーヤ(直径20cm) | 2枚 |
| 卵 | 2個 |
| キャベツ | 150g(葉3〜4枚ほど) |
| 玉ねぎ | 150g(中1個) |
| にんじん | 50g(中1/3本) |
| 長ねぎ | 50g |
| ツナ缶 or チキン | 100g |
| カレー粉 | 小さじ1〜1.5 |
| かつお節 | 3g |
| サラダ油 | 大さじ1 |
| 塩・こしょう | 適量 |
作り方のポイントは3つです:
1. ロティ(トルティーヤ)は細切りに:幅1cm程度の細切りにしておくと炒めやすく、食感もよく仕上がります。
2. 強火で一気に炒める:弱火でじっくり炒めると水分が出てベチャッとしてしまいます。フライパンをよく振りながら強火で短時間で炒め上げるのがコツです。
3. 最後にカレー粉と卵を加える:野菜と具材に火が通ったらカレー粉を加えて香りを出し、フライパンの端に具材を寄せて溶き卵を流し入れ、炒り卵状にしてから全体に混ぜます。
調理時間はおよそ20〜30分。エスビー食品のレシピによると1人分のエネルギーは約472kcalで、たんぱく質も22gほど含まれます。炭水化物・野菜・タンパク質がバランスよく含まれており、それ一品で栄養バランスの取れた一皿になるのも主婦にとってうれしいポイントです。つまり一皿で完結する料理です。
エスビー食品の公式サイトに、トルティーヤを使ったコットゥのレシピが掲載されています。
実はコットゥロティは、もともとが「食材の余り物を使い切るための料理」として生まれたことは前述しました。この発想は、日本の家庭における「冷蔵庫の残り物整理」にもそのまま活かせます。
クックパッドに投稿されているスリランカ人レシピ投稿者のコメントには、「お昼の残りのカレーと冷蔵庫にある野菜で簡単にできるので良く作ります」とあります。残りカレーを活用できるのが基本です。つまりコットゥロティは、昨日の残りカレーと冷蔵庫の半端野菜で作る「スリランカ版残り物チャーハン」ともいえる料理なのです。これはもったいない精神をもつ主婦にとって、知っていると確実に得する情報です。
活用のアイデアをいくつか挙げると、キャベツの外葉やにんじんのしっぽ部分といった普段捨てがちな野菜くずも、細切りにして炒めれば立派な具材になります。また、チキンカレーのルーが少し残っている場合、コットゥロティに混ぜ込むと本場スリランカに近い風味が生まれます。前日のカレーが活躍します。
さらに応用として、「残ったゆで卵を刻んで加える」「冷凍シーフードミックスを活用してシーフードコットゥにする」「豆腐を加えてたんぱく質を増やす」なども試してみてください。スパイスの風味さえ効かせれば、具材の組み合わせはかなり自由です。
コットゥロティはもともと残り物料理である、という視点で見ると食材費の節約にもつながります。カレー粉は100円台から購入でき、ツナ缶1缶100円前後と合わせても材料費を2人分300〜400円程度に抑えることが十分可能です。主食・おかずが一皿で完結するため、洗い物も少なく時短にもなります。忙しい平日の夕食にも取り入れやすい点が、主婦視点での最大のメリットといえるでしょう。
なお、より本格的な味を求める方はスリランカ専門の食材を取り扱うオンラインショップも活用できます。「トゥナパハ」(スリランカのカレーパウダー)を使うと、カレー粉だけでは出せない複雑なスパイスの層が加わり、一気に本場感が増します。
スリランカ料理の食材や本格スパイスは、こちらのサイトから購入できます。
コットゥ・ロティのレシピと材料(TIRAKITA・スリランカ食材専門店)