米油は危険言う理由は本当か3つの特徴

米油は危険言う理由は本当か3つの特徴

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米油は危険?

米油の危険性について知っておくべきこと
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抽出方法による違い

米油の抽出方法には「溶剤抽出法」と「圧搾法」があり、安全性に大きな違いがあります。

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危険と言われる理由

グリシジル脂肪酸エステルの含有や過去のカネミ油症事件が米油への不安を引き起こしています。

安全な米油の選び方

圧搾法で抽出された米油を選び、適切な保存方法で酸化を防ぐことが重要です。

米油は危険? カネミ油事件

「米油は危険」というキーワードがインターネット上で検索されることがありますが、これは誤った情報です。米油が危険視される主な原因は2つあります。

 

1つ目は、過去に発生した「カネミ油症事件」の影響です。1960年代に日本で起きたこの事件では、カネミ油という食用油に「アニリン」という有害物質が混入し、多くの人が健康被害を受けました。しかし、この事件は米油自体の問題ではなく、特定の製品における製造過程での汚染が原因でした。この事件をきっかけに、食品の安全性を確保するための法律や規制が強化され、現在の食用油の品質管理は厳しく行われています。

 

参考)カネミ油症について|「食品衛生の窓」東京都保健医療局

 

カネミ油事件は、昭和43年に起こりましたが、被害にあった人の救済の法律「カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律」ができたのが平成24年。遅すぎますよね…。

 

Youtubeに2019年に放映されたドキュメンタリー番組がありました。けっこうショッキングな映像なので、再生するときは注意してください。

 

 

2つ目は、米油の抽出方法に関する懸念です。一部の米油は「溶剤抽出法」という方法で製造されており、この過程で「ノルマルヘキサン」という溶剤が使用されます。この溶剤はガソリンにも含まれる成分であるため危険視されることがありますが、製造過程の最終段階で完全に除去されるため、製品には残留しません。

 

実際には、米油は豊富な栄養成分を含む安全な食用油であり、適切に製造・管理された米油を適量摂取する分には健康上の問題はありません。

 

米油の抽出方法による違いと安全性

米油の抽出方法には大きく分けて「溶剤抽出法」と「圧搾法」の2種類があり、この違いが安全性に関わる重要なポイントです。

 

溶剤抽出法
この方法では、米ぬかにノルマルヘキサンという化学溶剤をかけて油を抽出します。効率よく油を搾ることができるため、市場に流通している安価な米油の多くはこの方法で製造されています。抽出後は200℃以上の高温処理により溶剤を完全に蒸発させるため、理論上は製品に溶剤は残りません。しかし、この高温処理の過程で「グリシジル脂肪酸エステル」という物質が生成される可能性があります。

 

圧搾法
こちらは化学溶剤を使わず、米ぬかに物理的な圧力をかけて油を絞り出す伝統的な方法です。手間と時間がかかり、採れる油の量も少ないため価格は高くなりますが、自然の風味や栄養を保持し、化学物質による懸念がないという大きなメリットがあります。

 

最近では「蒸気精製法(スチームリファイニング法)」という新しい技術も登場しています。これは圧搾した後、高温・真空状態で蒸気を使って不純物を除去する方法で、化学溶剤を使わないノンケミカルな製法として注目されています。

 

安全性を重視するなら、化学溶剤を使用しない圧搾法や蒸気精製法で製造された米油を選ぶことをおすすめします。ただし、価格は溶剤抽出法の製品より高くなる傾向があります。

 

米油の製造に使われるノルマルヘキサン

米油には「圧搾抽出法」と「溶剤抽出法」の2つの抽出方法があります。

 

圧搾抽出法は米ぬかに圧力をかけて油を取り出す方法で、化学薬品を使わないため安全性が高いとされています。一方の溶剤抽出法は、n-ヘキサン(ノルマルヘキサン)という溶剤を使用して油を抽出します。この方法では多量の油を効率よく抽出できるため、製品価格が安く抑えられます。

 

ノルマルヘキサンの液体を飲み込むと、肺に吸い込んで化学性肺炎を起こすことがあります。
参考)職場のあんぜんサイト:化学物質:ノルマル‐ヘキサン

 

しかし、溶剤抽出法では複数回の加熱処理を行うため、ノルマルヘキサンはすべて除去されます。

 

とは言え!とは言えですよ、業者が手抜きしてノルマルヘキサンが残っちゃったらどうするの?いったん混ぜるんだから、なんかのはずみで残る可能性はあるでしょ!

 

まあ、確かに可能性0とは言えないかも知れない。安全と言われても「なんか嫌だ」という気持ちは消せないですね。

 

そういう場合は「圧縮抽出法で作られた米油」を使えば安心です。

 

>>>圧縮抽出法で作った米油(楽天)

 

ただ、これ、溶剤抽出法で作った米油と比べると値段が2倍くらいになるんですね。

 

米油は、玄米100kgを原料として抽出法で米油を摂取すると、約1kgしかとれません。もともと高いので、少しでも安くするように溶剤を使うやりかたが編み出されたんですね。

 

関連)十六穀米のデメリット

 

値段か、安全か…うーん、悩ましい。

 

米油とグリシジル脂肪酸エステルのリスク

2024年7月、台湾へ輸出された日本の米油から台湾の基準値を超えるグリシジル脂肪酸エステルが検出され、全量が廃棄または積戻しになるという出来事がありました。これにより、米油の安全性に対する懸念が高まりました。

 

グリシジル脂肪酸エステルとは何でしょうか?これは油を200℃以上の高温で加熱した際に生成される可能性がある物質です。米油の製造過程、特に溶剤抽出法における精製・脱臭・抽出の工程で高温処理を行う際に発生することがあります。

 

このグリシジル脂肪酸エステル自体には特に毒性はありませんが、体内で消化する際に「グリシドール脂肪酸エステル」に変わる可能性があるとされています。グリシドール脂肪酸エステルは発がん性の疑いがあるとして議論されてきました。

 

しかし、国際がん研究機関(IARC)のハザード評価では、グリシドール脂肪酸エステルは「ヒトにおける発がん性については分類できない(Group3)」と評価されています。これはカフェイン、お茶、コレステロール、メラミン、サッカリンなどと同じ分類です。

 

また、日本の食品安全委員会は、日本で販売される植物油におけるグリシジル脂肪酸エステルの含有量は低く、「健康に影響するものではない」と結論付けています。これまでこれらが原因での健康被害の報告もありません。

 

重要なのは、グリシジル脂肪酸エステルは米油だけでなく、高温で加熱処理される多くの食用油や、トースト、グリル、焼き物、揚げ物、燻製された食品にも含まれる可能性があるという点です。日常的に摂取している多くの食品に含まれる可能性がある物質であり、米油だけを特別に避ける必要はないと考えられています。

 

米油の健康メリットと適切な使い方

米油は危険性ばかりが強調されがちですが、実は多くの健康メリットを持つ優れた食用油です。適切に選び、正しく使用することで、その恩恵を安全に享受することができます。

 

米油の健康メリット

  1. バランスの良い脂肪酸組成:米油はオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)とリノール酸(多価不飽和脂肪酸)をバランスよく含んでいます。
  2. 高い煙点:約232℃という高い煙点を持つため、高温調理にも適しています。油が煙点を超えると有害物質が発生するリスクが高まるため、高い煙点は安全な調理に貢献します。
  3. ビタミンEやγ-オリザノールの含有:これらの抗酸化成分が含まれており、体内の酸化ストレスを軽減する効果が期待できます。
  4. 軽い風味:クセが少なく、料理の味を邪魔しないため、様々な料理に活用できます。

適切な使い方のコツ

  1. 保存方法:米油は遮光性の高い容器に入れ、直射日光を避け、冷暗所で保存しましょう。開封後は早めに使い切ることをおすすめします。
  2. 適量使用:どんな油も過剰摂取は避け、適量を心がけましょう。
  3. 用途に合わせた使い分け:炒め物や揚げ物には米油、ドレッシングにはエキストラバージンオリーブオイルなど、料理に合わせて油を使い分けるのが理想的です。
  4. 加熱時間の管理:長時間の加熱は避け、必要以上に高温で調理しないようにしましょう。

米油を含む植物油は、体に必要な脂質を摂取する重要な供給源です。脳の65%は脂質でできており、細胞膜も脂質から構成されています。適切な油の摂取は健康維持に不可欠なのです。

 

米油の選び方と3つの安全性チェックポイント

安全で高品質な米油を選ぶためには、以下の3つのチェックポイントを押さえておくことが重要です。

 

1. 抽出方法を確認する
米油の抽出方法は大きく「溶剤抽出法」と「圧搾法」に分かれます。安全性を重視するなら、化学溶剤を使用しない「圧搾法」で製造された米油を選びましょう。製品のパッケージや公式サイトに「圧搾法」「低温圧搾」「ノンケミカル」などの表記があるかチェックしてください。

 

最近では「蒸気精製法(スチームリファイニング法)」という新しい製法も登場しています。これも化学溶剤を使わない方法なので、安全性の面では良い選択肢です。

 

2. 品質と鮮度をチェック
高品質の米油は以下の特徴を持っています。

  • 透明で淡い金色をしている
  • 味が中立的
  • 濁りや沈殿物がない
  • 腐敗臭がしない

また、油は開封後から徐々に酸化が進むため、大容量のものよりも小さいサイズを選び、新鮮なうちに使い切ることをおすすめします。遮光性の高いボトルに入ったものを選ぶと、光による酸化を防ぐことができます。

 

3. メーカーの信頼性と情報開示
信頼できるメーカーの製品を選ぶことも重要です。製造プロセスや品質管理について積極的に情報を開示しているメーカーの製品は、安全性への配慮が高い傾向があります。

 

また、原材料の産地と製造地が明記されているかも確認しましょう。日本国内で製造されていても、原材料が輸入品である場合もあります。原材料の産地が明確に表示されている製品を選ぶことで、より安心して使用することができます。

 

最近では台湾での検査不合格の件を受けて、多くのメーカーがグリシジル脂肪酸エステルの低減に取り組んでいます。このような改善努力を行っているメーカーの製品を選ぶことも一つの方法です。

 

安全な米油を選ぶためには、価格だけでなく、これらのポイントを総合的に判断することが大切です。少し価格が高くても、安全性と品質を重視した選択をすることで、健康への投資となります。

 

「お金は投票権である。応援したい企業の商品を購入し、世の中ではメジャーだけれど、自分は受け入れ難い商品にはお金は使わない。」という考え方も参考になるでしょう。自分の価値観に合った製品を選ぶことが、より良い食品環境を作ることにつながります。

 

米油のトランス脂肪酸と体への影響

米油に含まれるトランス脂肪酸についても理解しておく必要があります。トランス脂肪酸は、米油の原料である米ぬかには含まれていませんが、製造工程で発生することがあります。

 

トランス脂肪酸が発生するのは、油を高温で加熱する過程においてです。米油の製造では、不純物を取り除く精製工程、匂いや雑味を取り除く脱臭工程、溶剤を蒸発させる抽出工程などで油を高温に熱するため、わずかながらトランス脂肪酸が生成されます。

 

トランス脂肪酸が健康に与える影響としては、以下のようなリスクが指摘されています。

  • 悪玉(LDL)コレステロールの増加と善玉(HDL)コレステロールの減少
  • 心血管疾患のリスク増加
  • 糖尿病や肥満のリスク
  • インスリン抵抗性の増加
  • 認知機能の低下

しかし、日本人のトランス脂肪酸の摂取量は諸外国と比較して少なく、米油に含まれるトランス脂肪酸の量も極端に多くはありません。日本の食品安全委員会によると、日本人の平均的な食生活におけるトランス脂肪酸の摂取量は健康に影響を与えるレベルではないとされています。

 

また、トランス脂肪酸は米油だけでなく、マーガリンや加工食品、ファストフードなどにも含まれています。これらの食品を頻繁に摂取する場合は、トランス脂肪酸の総摂取量に注意が必要です。

 

米油を選ぶ際には、可能であれば低温で抽出された製品を選ぶことで、トランス脂肪酸の含有量を抑えることができます。また、どんな油も過剰摂取は避け、様々な種類の油をバランスよく使い分けることが理想的です。

 

健康的な食生活においては、油の種類や製法にこだわるだけでなく、全体的な食事バランスを考慮することが重要です。米油は適切に選び、適量を使用すれば、安全で健康的な食用油の一つとして活用できます。