

「地味なコガモのメスにも、実は翼に宝石のような緑色が隠れています。」
コガモは日本に飛来するカモ類の中で最も小さいカモで、全長は34〜38cmほどです。身近な目安として言うと、ドバト(カワラバト)よりもひと回り大きい程度のサイズ感です。「コガモ」という名前も、"小さい鴨"という意味から来ており、漢字で書くと「小鴨」であって「子鴨」ではありません。
メスの外見の最大の特徴は、全身が茶褐色〜黒褐色の地味な羽色をしていることです。頭から背中、腹部にかけて細かい斑模様が密集しており、一見するとマガモのメスやカルガモと見分けにくいことがあります。これは決して「見た目が手抜き」なのではなく、地上に巣を作るコガモのメスが、天敵の目から身を守るための重要な保護色です。
体の色と頭の色がほぼ同じで境目がはっきりしないのもメスの特徴です。クチバシは黒く、脚も黒っぽい灰褐色をしています。背中や肩羽の羽根1枚1枚をよく見ると、黒褐色の中心部に赤みがかった錆色の縁取りがあり、馬蹄形の紋様が入っているのがわかります。全体として地味ながらも、近くで観察すると繊細な模様の重なりが美しい鳥です。
つまり「地味」が正解です。
🔎 コガモの基本情報(Wikipediaより)
学名・分類・形態などの詳細はこちらを参照できます。
公園の池で複数のカモが泳いでいると、メス同士の見分けは初心者にはハードルが高く感じられます。しかし、コガモのメスには確実に使えるポイントが2つあります。
まず注目したいのがクチバシの形と色です。コガモのメスのクチバシは全体が黒色で、付け根の両側だけに薄い黄色みがあります。これはマガモのメスのオレンジ色のクチバシや、カルガモの橙黄色のクチバシとは明らかに異なる点です。クチバシが黒っぽければコガモのメスと判断してよいでしょう。
次に重要なのが翼鏡(よくきょう)です。これは翼を広げたときや飛ぶときに見える、次列風切羽の鮮やかな部分のことです。コガモのメス・オスとも、翼鏡は金属光沢のある緑色をしています。水面で羽繕いをしているときや、飛び立つ瞬間に、ぱっと鮮やかな緑が見えたらコガモです。普段は体を閉じているため見えませんが、チャンスがあれば必ず確認できます。これは使えそうです。
また、全体的なサイズの小ささも有効な判断材料です。マガモのメスと並ぶと、コガモのメスはひと回り以上小さく見えます。体がコンパクトで、頭がやや大きく見えるずんぐりとした体形も識別のヒントになります。
| 種類 | クチバシの色 | 翼鏡の色 | 体の大きさ |
|---|---|---|---|
| コガモ メス | 黒(付け根にわずかな黄み) | 緑色(金属光沢) | 小さい(34〜38cm) |
| マガモ メス | オレンジ色に黒斑 | 青紫〜緑色 | 大きい(約50〜65cm) |
| カルガモ | 橙黄色に黒先端 | 緑色 | やや大きい(約61cm) |
コガモのオスは「ピリリッ、ピリリッ」という、まるで小さな笛のような高い声で鳴きます。一方でメスは「クゥェッ、クゥェッ」という、やや低めでこもった声で鳴きます。マガモのメスのような大きな「グェ〜ッ」という声よりも控えめな印象です。
行動面では、コガモは他のカモ類と比べて警戒心が強いという特徴があります。人がある程度近づくと、素早く泳いで距離を置いたり、すぐに飛び立ってしまいます。これは群れでいるときも個々が常に周囲を警戒しているためです。
また、コガモは水面で採食するのが基本ですが、危険を感じたときや水中の餌を取るときに潜水することもあります。通常カモ類は潜水が苦手な「水面採食性」のグループに属しますが、コガモは緊急時に水中に潜って逃げるほどの身軽さを持っています。潜水が苦手なはずのコガモが水中に潜っていく様子は、観察者にとって意外な光景です。
採食は水草や藻類、イネ科の植物の種子などが中心で、クチバシを水底や岩に沿わせて食べます。浅瀬で逆立ちして水底の餌を取る姿も観察できます。行動としては数羽の小さな群れで行動することが多いです。
コガモの繁殖に関する生態は、メスの存在感が際立ちます。
日本では越冬の終盤である2〜3月頃にオスがメスに対して盛んに求愛ディスプレイを行い、つがいが形成されます。オスは首を伸び縮みさせたり、翼の緑色を見せるポーズをとったりして、1羽のメスの周囲を複数のオスが競い合いながら泳ぎ回ります。
その後、つがいは北へと移動して繁殖地へ向かいます。メスは草地の地上に浅い穴を掘って巣を作り、枯れ草や自分の羽毛を敷いて卵を産みます。産卵は1日1個ずつ行われ、平均8個(4月下旬〜7月上旬)が産み揃えられます。卵の大きさは約45×33mm、はがきの短辺(約148mm)の約1/4の長さほどのサイズです。
抱卵・子育てはすべてメスのみが行います。卵は約21〜23日で孵化し、生まれたヒナは「早成性」といって、生まれた直後から自分で歩いたり泳いだりできます。ヒナはメスの誘導のもと、孵化から26〜30日で独立します。この間、オスはすでに群れに戻っており育児には関わりません。メスが1羽で全部こなすということですね。
この繁殖スタイルはコガモだけでなく、多くのカモ類に共通するものです。メスの地味な褐色の羽色は、地上の巣で抱卵中に天敵に見つからないためのカムフラージュとして、極めて合理的な意味を持っています。
🔎 コガモの繁殖・生態の詳細はサントリー愛鳥活動で確認できます。
越冬地でつがいを形成し北へ渡る繁殖スタイルについて詳しく解説されています。
コガモは冬鳥として日本全国に飛来しますが、関東地方であれば9月頃から4月頃まで観察できます。都市部の公園の池や小河川でも見られるため、特別な装備がなくても日常のお散歩のついでに観察が楽しめる鳥です。
主婦の方が観察をスタートするなら、以下の点を意識してみてください。
また、コガモは渡りのタイミングで群れが大きくなる時期があります。11月前後は越冬地への移動の最中で、数十羽の群れがまとまって飛来することもあります。この時期に公園の池に行くと、マガモやカルガモに混じってコガモのメスが多数混在していることがあり、サイズ比較で見分ける絶好の機会です。
コガモのメスは決して地味なだけの鳥ではありません。飛び立つ瞬間に光る緑色の翼鏡、地上で黙々と卵を温める強さ、そして静かに水面を泳ぐ繊細な模様の羽色。「地味」と言われながら、実は多くの魅力を持った鳥です。ぜひ次の秋冬に近所の川や公園の池を訪ねて、コガモのメスを探してみてください。観察の楽しさが広がるはずです。
🔎 カモ類のメスの見分け方についての詳しい解説はこちら(日本野鳥の会関連)。
コガモを含む複数のカモのメスを比較しながら識別のコツを紹介しています。
冬の鳥見 充実計画 都市公園でも見られるカモ類の雌の識別(前編)
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