かまど調理器の選び方と美味しいご飯の炊き方や時短レシピを比較

かまど調理器の選び方と美味しいご飯の炊き方や時短レシピを比較

かまど調理器の魅力と使い方

この記事のポイント
🍚
美味しいご飯の秘密

かまど調理器ならではの、ふっくら甘いご飯が炊ける科学的な理由を解説します。

🍳
多彩な時短レシピ

炊飯だけでなく、煮物や蒸し料理など、毎日の料理が楽になる活用法をご紹介します。

長く使うためのお手入れ

初めて使う時の「目止め」から、日々のメンテナンス、カビ対策まで詳しく解説します。

かまど調理器の選び方!おすすめモデルを徹底比較

 

かまど調理器を選ぶ際には、いくつかのポイントを比較検討することが重要です 。特に人気が高いモデルとして、長谷園の「かまどさん電気」と、愛知ドビーの「バーミキュラ ライスポット」が挙げられますが、それぞれに特徴があります 。
まず大きな違いは、その加熱方式と鍋の素材です 。「かまどさん電気」は、伝統的な伊賀焼の土鍋をシーズヒーターで直接加熱する方式です 。これにより、本物のかまどで炊いたような、ふっくらとして甘みの強い、もちもちとした食感のご飯が楽しめます 。一方、「バーミキュラ ライスポット」は、鋳物ホーロー鍋をIHで加熱します 。熱伝導率の高い鋳物ホーロー鍋は、お米の一粒一粒に均一に熱を伝え、粒立ちが良くしっかりとした食感のご飯に炊き上がります 。
次に機能性です。「かまどさん電気」は美味しいご飯を炊くことに特化したシンプルな設計で、直感的に操作できるのが魅力です 。とにかく手軽に最高のご飯を味わいたい、という方には最適でしょう 。対して「バーミキュラ ライスポット」は、炊飯以外にも無水調理やロースト、煮込み料理など多彩な調理モードを備えており、料理の幅を広げたいと考えている方におすすめです 。
以下の表で、両者の主な違いをまとめました。

比較項目 かまどさん電気 バーミキュラ ライスポット
炊きあがりの食感 ふっくら、もちもち、甘みが強い 粒立ちが良く、しっかりとした食感
加熱方式 土鍋 × シーズヒーター 鋳物ホーロー鍋 × IH
機能性 炊飯に特化(シンプル) 多機能(無水調理、炒め物、低温調理など)
デザイン 伝統的な和のデザイン モダンでスタイリッシュ
炊飯容量 3合炊き 最大5合炊き(ミニは3合)
おすすめな人 シンプルに美味しいご飯を追求したい人 料理のレパートリーを広げたい人

このように、どちらの製品も一長一短があります。ご自身のライフスタイルや、食へのこだわり、キッチン全体のデザインなどを考慮して、最適な一台を選ぶことが、満足のいく「かまどライフ」への第一歩となるでしょう 。

かまど調理器で炊くご飯が格別に美味しい理由と炊き方のコツ

かまど調理器、特に土鍋で炊いたご飯はなぜ格別に美味しいのでしょうか。その秘密は、土鍋が持つ優れた「蓄熱性」と「遠赤外線効果」にあります 。
まず、土鍋は金属製の鍋に比べて非常にゆっくりと熱が伝わります 。この穏やかな加熱が、お米の芯までじっくりと熱を浸透させ、デンプンのα化(糊化)を促進します。これにより、お米本来の甘みと旨みが最大限に引き出されるのです 。さらに、一度温まると冷めにくい高い蓄熱性により、火から下ろした後も高温状態が続き、「蒸らし」の工程でご飯の甘みをさらに増す効果があります 。
もう一つの重要な要素が「遠赤外線効果」です 。土鍋を加熱すると、鍋本体や蓋から遠赤外線が放出されます 。この遠赤外線は、食材の表面だけでなく内部の水分に直接作用し、芯からふっくらと加熱することができます 。これは、炭火で焼いたお肉がジューシーで美味しいのと同じ原理です 。
美味しいご飯を炊くための具体的なコツは以下の通りです。

  • ① お米を研いで20分浸水させる
    お米を研いだ後、炊飯器に入れる水と同じ分量の水に20分間浸します 。これにより、お米の芯まで水分が浸透し、ふっくら炊き上がります。30分以上浸水させる場合は、ボウルなど別の容器で行いましょう 。
  • ② 蓋を正しくセットし、中強火にかける
    かまどさんのような二重蓋構造の場合、中の蓋と外の蓋の穴の位置が直角になるようにセットするのがポイントです 。火加減は「中強火」が基本 。炊飯量にもよりますが、2合なら約12分が目安です 。
  • ③ 蒸気が勢いよく出てから1〜2分待って火を止める
    蓋の穴から蒸気が勢いよく噴き出し始めてから、1〜2分待つのが火を止めるベストなタイミングです 。この少しの待ち時間がおこげを程よく作り出します。
  • ④ 火を止めてから20分間蒸らす
    火を止めたら、すぐに蓋を開けずにそのままの状態で20分間じっくりと蒸らします 。この蒸らし時間がお米の甘みを引き出し、余分な水分を飛ばしてくれます。

これらの手順を守ることで、誰でも簡単にお店の料亭のような、一粒一粒が輝く美味しいご飯を炊き上げることができます 。

かまど調理器はご飯だけじゃない!時短でおいしい驚きの活用レシピ

かまど調理器の魅力は、美味しいご飯が炊けることだけではありません。その優れた蓄熱性と密閉性を活かせば、煮物や蒸し料理など、様々なおかず作りにも大活躍し、日々の調理時間を短縮してくれます 。
例えば、長谷園の「かまどさん」には、蒸し料理に使える「陶製すのこ」が付属しているモデルがあります 。これを使えば、下段でスープを煮込みながら、上段で蒸し料理を同時に調理するといった「合わせ技」が可能です 。一例として、「玉ねぎスープ」と「肉巻きキャベツ蒸し」の同時調理レシピをご紹介します 。

  1. かまどさんに水、コンソメ、皮をむいた玉ねぎ、ベーコンを入れて火にかける 。
  2. 沸騰したら陶製すのこをセットし、その上に豚肉キャベツを巻いた「肉巻きキャベツ」を並べる 。
  3. 蓋をして、蓋の穴から蒸気が勢いよく出てきたら火を弱め、約4分蒸せば完成です 。

このように、一つの鍋で主菜と副菜が同時に作れるため、調理時間だけでなく洗い物も減らすことができ、まさに一石二鳥です 。
また、電気式の自動調理器であれば、火加減を自動でコントロールしてくれるため、さらに手軽に様々な料理が楽しめます 。例えば、以下のようなレシピもボタン一つで調理可能です。

  • さばのごまねぎみそ焼き: 面倒な火加減なしで、ふっくらと美味しい焼き魚が完成します 。
  • なすと根菜のパルミジャーナ: じっくり火を通すことで、野菜の甘みを最大限に引き出したイタリアン惣菜も得意です 。
  • りんごのガトーインビジブル: ケーキなどのスイーツ作りにも活用できます 。

さらに意外な活用法として、アウトドア用の「かまど」も存在します 。特許技術により800℃の高温燃焼を実現し、薪だけでなく竹や廃材なども燃料にできるモデルもあり、キャンプ料理の幅を大きく広げてくれます 。かまど調理器は、インドアからアウトドアまで、私たちの食生活を豊かにしてくれる万能調理器具なのです。

かまど調理器を長く使うためのお手入れ方法と焦げ付き対策

土鍋タイプのかまど調理器は、正しくお手入れをすることで、一生ものとして長く愛用することができます 。特に使い始めに行う「目止め」という作業は、ひび割れや匂い移りを防ぐために非常に重要です 。
🍚使い始めの「目止め」

土鍋の表面には目に見えない無数の細かい穴が開いています 。この穴をお米のでんぷん質で埋めるのが「目止め」です 。

  1. 土鍋を水洗いし、水気を拭き取ってから、鍋の8分目まで水を入れます 。
  2. 水量に対して5分の1程度のご飯(またはお米)を入れ、よくかき混ぜます 。
  3. 蓋をせずに弱火でゆっくりと加熱し、吹きこぼれないように注意しながら1時間ほど炊き込みます 。
  4. 火を止めて、おかゆが完全に冷めるまで(1時間以上)放置します。
  5. おかゆを取り出し、土鍋をきれいに水洗いして、水気を完全に拭き取ってから、風通しの良い場所で十分に乾燥させます 。

この一手間で、鍋が丈夫になり、汚れや匂いがつきにくくなります 。
日常のお手入れとカビ対策

普段のお手入れで最も大切なのは「急激な温度変化を避けること」と「使用後の十分な乾燥」です 。

  • 洗浄: 鍋が完全に冷めてから洗ってください。熱いまま水につけると、温度差でひび割れの原因になります。洗剤を使った後は、洗剤が残らないようによくすすぎましょう。
  • 乾燥: 洗った後は、底面を上にして風通しの良い場所でしっかりと自然乾燥させることがカビを防ぐ最大のポイントです 。乾燥が不十分なまま収納すると、カビや臭いの原因になります 。
  • 保管: 長期間使わない場合は、新聞紙などに包んで湿気の少ない場所に保管すると、余分な湿気を吸収してくれるため効果的です 。

🍳焦げ付いてしまったら

万が一、鍋を焦がしてしまった場合でも、慌てる必要はありません。ひどい焦げ付きには、重曹を使うのが効果的です 。

  1. 土鍋の8分目まで水を入れ、重曹を小さじ1杯ほど加えます 。※入れすぎに注意。
  2. 10〜15分ほど煮立たせた後、火を止めてしばらく放置します 。
  3. 焦げがふやけてきたら、スポンジなどで優しくこすり落とします。

土鍋は少し手間がかかるように感じるかもしれませんが、愛情をかけてお手入れをすることで、より一層美味しく、そして長く料理のパートナーとして活躍してくれるでしょう 。
より詳しい目止めの方法については、以下のリンクも参考にしてください。


ご飯の土鍋に欠かせない「目止め」の方法とコツ

かまど調理器の遠赤外線効果は本当?他の調理器具との科学的な違い

「土鍋で調理すると遠赤外線効果で美味しくなる」という言葉をよく耳にしますが、これは科学的にも根拠のある事実です 。では、遠赤外線とは一体何で、他の調理器具と何が違うのでしょうか。
🔥遠赤外線の正体とその働き

遠赤外線は、電磁波の一種です 。物質は2.5~30μm(マイクロメートル)の波長を持つ電磁波をよく吸収する性質があり、この波長域が遠赤外線にあたります 。土鍋や炭などを加熱すると、この遠赤外線が大量に放射されます 。放射された遠赤外線が食材に当たると、そのエネルギーは食材の表面だけでなく、内部にある水分子の振動を活発にします 。これにより、食材が内側から温められ、芯まで均一に、そしてふっくらと加熱されるのです 。
🍲土鍋と金属鍋の決定的な違い

金属製の鍋(アルミニウムやステンレスなど)と土鍋の最も大きな違いは、熱の伝わり方と保温性にあります。

  • 熱伝導率: 金属は熱伝導率が非常に高く、火にかけるとすぐに熱が鍋全体に伝わります。これは炒め物など、素早く高温で調理したい場合に有利です。一方、土は熱伝導率が低く、ゆっくりと時間をかけて熱が伝わります 。この穏やかな加熱が、煮崩れを防ぎ、食材の旨みをじっくりと引き出す煮込み料理や炊飯に適しているのです。
  • 保温性(蓄熱性): 土鍋、特に伊賀焼に使われるような多孔質(ポーラス)な土は、内部にたくさんの空気を含むため、一度温まると非常に冷めにくいという特徴があります 。この高い蓄熱性により、火から下ろした後も鍋の中は高温に保たれ、余熱でじっくりと食材に火を通す「余熱調理」が可能になります 。これにより、味を染み込ませたり、肉を柔らかくしたりする効果が高まります。
  • 遠赤外線放射量: 金属も加熱すれば赤外線を放射しますが、土鍋(セラミック)は黒体放射に近い性質を持つため、同じ温度でもより効率的に多くの遠赤外線を放射します。これが、土鍋調理が食材の芯から美味しく仕上げる大きな要因となっています 。

以下の表は、調理器具による熱の伝わり方の違いをまとめたものです。

土鍋 金属鍋(アルミ・ステンレス)
熱の伝わり方 ゆっくり、穏やか 速い、直接的
主な加熱方法 対流熱+輻射熱(遠赤外線) 伝導熱+対流熱
保温性(蓄熱性) 非常に高い 低い
得意な料理 炊飯、煮込み料理、鍋料理 炒め物、湯沸かし

結論として、かまど調理器(土鍋)の美味しさは、単なるイメージではなく、「穏やかな熱伝導」「高い蓄熱性による余熱調理」、そして「豊富な遠赤外線による内部加熱」という科学的な裏付けに基づいています 。この違いを理解することで、日々の料理がさらに奥深く、楽しいものになるでしょう。
遠赤外線の効果について、さらに専門的な解説は下記のリンクが参考になります。


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