
イタドリとすかんぽの関係性について、多くの方が混乱しているのは無理もありません。実は地域によって呼び方が大きく異なるからです。
基本的に、「すかんぽ」はイタドリの地方名(方言)として使われることが多いです。特に東北地方ではイタドリを「スカンポ」と呼ぶ傾向があります。この名前の由来は、新芽を折るとポコンと音がすることと、食べると酸っぱい味がすることから来ています。また、葉がこすれるときの特有の音が名前の由来とも言われています。
一方で、「スイバ」という全く別の植物も「すかんぽ」と呼ばれる地域もあります。これは混乱の原因となっています。
イタドリの別名は地域によって様々で、以下のようなものがあります。
「イタドリ」という名前自体は、傷薬として若葉を揉んでつけると血が止まって痛みを和らげる効果があることから、「痛み取り」が転訛して名付けられたというのが通説です。平安時代初期の本草書『本草和名』(918年)にはすでにイタドリの名前が記されており、長い歴史を持つ植物であることがわかります。
イタドリとすかんぽが同じ植物の別名である場合、見た目の違いはありません。しかし、すかんぽがスイバを指す場合は、明確な違いがあります。ここでは、イタドリの特徴と、スイバ(すかんぽと呼ばれることもある植物)との違いを説明します。
【イタドリの特徴】
【スイバ(すかんぽと呼ばれることもある)の特徴】
イタドリは非常に繁殖力が強く、一度定着すると他の植物を駆逐してしまうほどです。そのため、「世界の侵略的外来種ワースト100」にも指定されているほどです。日本では山菜として親しまれていますが、海外では厄介な外来種として扱われていることは興味深い対比です。
イタドリは日本全国の野山に広く自生しています。北海道西部以南の日本中各地の山野や道端、土手などで見かけることができます。特に繁殖力が旺盛なため、商業的な栽培はほとんど行われておらず、自然に生えているものを採取して利用することが一般的です。
高知県では山菜として特に広く親しまれており、毎年春になると野菜の直売所などにたくさん並ぶそうです。また、和歌山県の西牟婁地方山間部でも産地として知られています。
収穫時期と旬については、イタドリの若い茎が出始めるのは桜が咲いた後で、タケノコと同じ頃からです。地方にもよりますが、主に4月から5月頃にかけてが収穫時期となります。和歌山県の資料によると、旬は4月とされています。
この時期に出てくる若芽はタケノコやアスパラガスのような形をしており、山菜として重宝されます。若芽を採り過ぎても、イタドリの強い生命力により翌年も同様に生えてくるため、持続可能な山菜と言えるでしょう。
生産量については、和歌山県の資料によると、平成25年度の生鮮品の生産量は1トンとされています。また、塩漬けした1次加工品も出荷されていますが、主に地元消費用に生産されているため、出荷量は限られています。
イタドリには様々な効能があり、古くから民間療法にも用いられてきました。その主な効能と栄養価について見ていきましょう。
【効能】
【栄養成分】
イタドリには以下の成分が含まれています。
これらの有機酸がイタドリ特有の酸味の源となっています。シュウ酸は多量に摂取すると腎臓結石の原因になることがあるため、食べ過ぎには注意が必要です。
また、イタドリの根には「レスベラトロール」という成分が含まれていることが知られています。この成分は赤ワインにも含まれる抗酸化物質で、健康効果が注目されています。
昔から山を歩いていて喉が渇いた時に、イタドリの茎を見つけてかじるという習慣があったようです。その爽やかな酸味が、疲れや喉の渇きを癒してくれたのでしょう。このように、イタドリは食用としてだけでなく、山での生活の知恵としても活用されてきました。
イタドリの若芽や若い茎は、様々な方法で調理して楽しむことができます。ここでは、伝統的な食べ方から現代的なアレンジまで、イタドリの美味しい食べ方をご紹介します。
【基本の下処理】
イタドリには酸味の元となるシュウ酸などの有機酸が含まれているため、調理前にはアク抜きが推奨されます。
【伝統的な食べ方】
【現代的なアレンジ】
和歌山県では、イタドリは「ごんぱち」「すかんぽ」「すっぽん」などと呼ばれ、地域によって調理方法や味付けにも特色があります。また、龍神村などの宿泊施設では山村料理として提供されているそうです。
筑波山麓の事例では、皮を剥いたイタドリを生のまま味噌をつけて食べる方法が紹介されています。サクッとした噛み心地で、豊かな水分と共に爽やかな酸っぱさが口に広がり、特にえぐみやしぶみもなく、お酒のおつまみとしても最高だとのことです。
イタドリ、すかんぽ、そしてギシギシの関係性について、多くの方が混乱しています。これらの植物は見た目や特徴が似ている部分もありますが、実は異なる植物です。ここでは、これらの関係性を明確にしていきます。
【イタドリ】
【スイバ(すかんぽと呼ばれることもある)】
【ギシギシ】
これらはすべてタデ科に属していますが、イタドリはソバカズラ属、スイバとギシギシはスイバ属と、属レベルで異なります。しかし、共通点として酸味があることから、地域によっては混同されたり、同じような呼び名で呼ばれたりすることがあります。
特に「すかんぽ」という呼び名は、地域によってイタドリを指すこともあれば、スイバを指すこともあります。これが混乱の大きな原因となっています。
また、葉の形状も見分けるポイントです。イタドリの葉は幅広で矢じり型(卵形から広卵形)ですが、スイバの葉は細めです。ギシギシはスイバに似ていますが、葉の付け根が尖っていないという特徴があります。
これらの植物はすべて食用として利用できますが、調理法や食べる部位が異なります。イタドリは主に若い茎を食べますが、スイバは若い葉を食べることが多いです。
童謡「すかんぽの咲くころ」(北原白秋作詞・山田耕作作曲)にも登場する「すかんぽ」は、地域によって異なる植物を指している可能性があり、興味深い文化的背景を持っています。
「♪ 土手のすかんぽ ジャワ更紗 昼はほたるがねんねする ♪」という歌詞からは、当時の日本の原風景が浮かび上がってきます。
以上のように、イタドリ、すかんぽ、ギシギシは似ている部分もありますが、それぞれ異なる植物であり、地域によって呼び名が異なることが、これらの植物を理解する上での重要なポイントです。