千葉の海沿いの小さな居酒屋で、初めてなめろうを口にした時の衝撃は、今でも鮮明に覚えている。
当時、私はまだ20代前半で、好奇心旺盛な旅人だった。旅先で出会った地元の人との会話から、その土地の文化や食に触れるのが何よりも好きだった。
その日も、地元の漁師さんオススメの居酒屋で、海の幸を堪能していた。新鮮な刺身や焼き魚を味わっていると、店主が「これはぜひ試して欲しい」と、一皿の料理を差し出した。
それが、なめろうだった。
初めて目にするその料理は、見た目はまるで生の魚のミンチ。しかし、味噌と魚の香りが鼻孔をくすぐり、好奇心を刺激する。
恐る恐る口に運ぶと、予想を裏切る衝撃的な美味しさに、思わず目を丸くした。
新鮮な鯵の旨味と、薬味と味噌の風味が絶妙に調和し、今まで味わったことのないようなハーモニーを奏でている。
海の香りと、新鮮な鯵の甘み、そして薬味のピリッとした辛味が口いっぱいに広がり、五感を刺激する。
その美味しさに夢中になり、酒が進む。あっという間に一皿を平らげてしまった。
なめろうは、旅先での偶然の出会いから、私の人生に欠かせない料理となった。
今では、自分で鯵を捌いてなめろうを作るほどに大好きになった。
だけど、どうやってもあのとき食べたなめろうの味は出せなかった。新鮮な鯵を使わなければ、あの独特の風味と食感を生み出すことはできないのだ。
だからこそ、私は旅先で必ずと言っていいほど、地元の鯵を使ったなめろうを探す。
味付け
たたきは、味付けをせずにそのままたたいたものです。一方、なめろうは、たたきに加えて味噌、ネギ、大葉、しょうがなどの薬味を加えて味付けをします。
たたき具合
たたきは、刺身を包丁で粗くたたいたものです。一方、なめろうは、たたきと同程度の粗さからさらに細かくたたいて、ミンチ状にしたものもあります。
具体的には、たたきは、アジの刺身を包丁で粗くたたき、そのまま醤油をかけて食べます。なめろうは、アジの刺身を包丁で細かくたたき、味噌、ネギ、大葉、しょうがなどを加えてさらにたたき、ご飯のおかずやおつまみとして食べます。
どちらも、アジの旨味をしっかりと味わえる料理です。お好みの味付けやたたき具合で、
なお、地域によって、たたきとなめろうの違いは、細かく定義されている場合と、そこまで厳密に区別されていない場合があります。例えば、千葉県では、なめろうのことを「あじのたたき」と呼ぶことが多いようです。
青魚のなめろうは、脂ののりがよく、味噌との相性も抜群です。アジ、さんま、いわし、さばなどがよく使われます。
白身魚のなめろうは、青魚に比べると脂が少ないですが、さっぱりとした味わいを楽しむことができます。鯛、ブリ、サーモンなどがよく使われます。
貝類のなめろうは、独特の風味と食感が楽しめます。ホタテ、牡蠣、イカなどがよく使われます。
野菜のなめろうは、ヘルシーで食べやすいのが特徴です。アボカド、トマト、キャベツなどがよく使われます。
なめろうを作る際のポイントは、魚や貝類をしっかりと叩き、身をほぐすことです。また、味噌の量や味付けは、好みに合わせて調節してください。
以下に、なめろうの基本的なレシピをご紹介します。
【材料(2人分)】
【作り方】
アジの刺身は、3枚におろして細く切る。
ねぎ、大葉、生姜はみじん切りにする。
ボウルにアジ、みそ、ねぎ、大葉、生姜を入れて、しっかりと叩く。
器に盛り付けて、お好みでレモン汁やポン酢をかける。
このレシピを参考に、いろいろな魚や貝類でなめろうを作ってみてください。
材料(2人分)
作り方
アジは、包丁で粗めに切ります。
ボウルに1を入れ、しょうが、ねぎ、みそ、醤油を加えます。
包丁でよく叩きながら、なめらかになるまで混ぜ合わせます。
器に青じそを敷き、3を盛り付けます。
ポイント
アジは、冷蔵庫でしっかりと冷やしておくと、叩きやすくなります。
叩きすぎると、身が崩れてしまうので、注意しましょう。
みそや醤油の量はお好みで調整してください。
なめろうは、そのまま食べるのはもちろん、ご飯やお酒のおつまみにもおすすめです。
作り方
アジは三枚におろす。
大葉、ねぎ、しょうがはみじん切りにする。
ボウルにアジ、大葉、ねぎ、しょうがを入れて混ぜ合わせる。
器に盛り、しょうゆをかける。
ポイント
アジは新鮮なものを使うと、臭みがなく美味しく仕上がります。
アジの身は、1cm幅に切ることで、食べやすく、味も染み込みやすくなります。
大葉、ねぎ、しょうがは、好みで量を調整してください。
アジのたたきは、そのまま食べても美味しいですが、お好みでレモン汁やポン酢をかけても美味しくいただけます。また、ご飯に乗せて丼にしてもおすすめです。