

スポーツドリンクよりヨーグルト飲料のほうが体内に水分が長く留まります。
アイラン(Ayran)は、ヨーグルト・水・塩の3つだけで作るシンプルなヨーグルトドリンクです。トルコをはじめ、バルカン半島から中東・中央アジアまで広い地域で古くから愛飲されています。
日本の「飲むヨーグルト」とは根本的に異なります。日本のものは砂糖が入った甘いタイプが主流ですが、アイランはまったく甘さがなく、ほのかな塩味と乳酸の酸味が特徴です。つまり「甘いヨーグルト飲料」という先入観は通用しません。
歴史はとても古く、西暦552年〜745年ごろにはすでにトルコ周辺で飲まれていたという記録が残っています。これはちょうど奈良時代よりも前の話です。1400年以上もの間、人々に飲み継がれてきたことになります。
現在もトルコでは驚くほど日常的な飲み物で、ロカンタ(大衆食堂)やレストランはもちろん、マクドナルドやKFCでも標準メニューとして提供されています。トルコ航空の機内飲料にもラインナップされているほどです。
ヨーグルトという言葉自体がトルコ語(Yoğurt)に由来しており、トルコは「ヨーグルト発祥の地」とも呼ばれています。1人あたりのヨーグルト年間消費量は約35kgで世界第1位(日本の約12.9kgと比べると2.7倍以上)です。アイランはそんな国のソウルドリンクと言えます。
Wikipediaのアイラン解説ページ(歴史・地域ごとの呼称の違いなど)
アイランと見た目が似た飲み物に、インドの「ラッシー」があります。どちらもヨーグルトベースの白い飲み物ですが、両者の性格は大きく異なります。
| 比較ポイント | アイラン(トルコ) | ラッシー(インド) |
|---|---|---|
| 味付け | 塩のみ | 砂糖(甘口)または塩 |
| 原料 | ヨーグルト・水・塩 | ヨーグルト・牛乳・砂糖など |
| 飲む場面 | 食事中・日常的に | おやつ・食後など |
| 泡 | あり(よく撹拌する) | なし〜少し |
アイランはよく撹拌することで泡立てて提供するのが特徴です。特に北西トルコ風のアイランは泡が多く、グラスの縁から溢れそうになるほどモコモコに仕上げます。泡そのものを楽しむ文化があり、シンプルながら奥の深い飲み物です。
地域によってバリエーションも豊富です。水の代わりにきゅうりの汁やニンニクを入れたり、黒コショウやミントを加えたりする地域もあります。ブルガリアでは「アイリャン」と呼ばれ、ギリシャでは「アリアニ」と呼ばれています。これが基本です。
また、エスキシェヒル地方では「アトム(Atom)」と呼ばれるアレンジバージョンがあります。アイランを同量の炭酸水で割ってレモンを加えたもので、温泉施設(ハマム)での入浴後に飲まれる爽快感のある飲み物として地元に親しまれています。
アイランの主原料であるヨーグルトには、乳酸菌・タンパク質・カルシウム・ビタミン類が豊富に含まれています。これをドリンク形式にすることで、消化吸収がより早くなるのが特徴です。
腸内環境への働きかけは特に注目されています。乳酸菌が腸内の悪玉菌を抑制し、腸内フローラのバランスを整えることで、便秘の解消・肌荒れの予防・免疫力の向上といった効果が期待できます。腸と肌は密接につながっているので、腸活は美肌効果にも直結します。いいことですね。
さらに注目したいのが「水分保持力」です。「糖+電解質」のみを補給したグループと、「糖+電解質+乳タンパク」を補給したグループを比べると、後者のグループの方が運動後も体内の水分量が長時間保たれることが研究で明らかになっています(出典:Br J Nutr. 2011 Feb;105(3))。スポーツドリンクだけでは水分保持には不十分ということです。
ヨーグルトに含まれる「乳タンパク」のアミノ酸スコアはほぼ100で、これはタンパク質の品質を示す指標として最高値です。牛乳・ヨーグルト・チーズなど乳製品はほぼすべてがスコア100となっており、アイランは質の高いタンパク源でもあります。
体を整えるための飲み物として、トルコ現地では「体の中の毒を外に出す効果がある」とも言い伝えられています。これはもちろん科学的な表現ではありませんが、腸内環境を整えて老廃物の排出を助けるという働きを、経験として語り継いできたものと考えられています。
みんなのヨーグルトアカデミー「二季化する日本の熱中症対策にヨーグルト」(乳タンパクと水分保持に関する研究データ)
アイランが熱中症対策として優れている理由は、「水分・塩分・タンパク質」の3つを一度に補えるからです。夏の暑さで汗をかくと、水分だけでなくナトリウム(塩分)やカリウムなどのミネラルも同時に失われます。水だけを飲んでも電解質は補えません。
一般的なスポーツドリンク(500ml)に含まれる食塩相当量は約0.5gです。一方、アイランは塩とヨーグルトを合わせているため、水分補給と同時に塩分・タンパク質・乳酸菌もまとめて摂れます。しかも糖分が抑えられているので、カロリーが気になる方にも向いています。
また近年の日本では、春(4〜5月ごろ)や秋(10月ごろ)にも体が暑さに慣れていない状態で急に気温が上がる「二季化熱中症」が増加しています。2025年3月には夏日の日数が過去最高を記録し、4月半ばに熱中症で救急搬送される事例も出ていたと報告されています。季節を問わない熱中症対策が必要な時代です。
埼玉慈恵病院副院長・救急医の藤永剛先生によると、こうした「二季化熱中症」の予防には「水分補給」と「水分保持」の両方が欠かせないとのこと。水やお茶だけでは水分保持力が低く、乳タンパクを含む乳製品と組み合わせることが推奨されています。アイランはまさにその両方を同時に満たせる飲み物です。
夏バテの主な原因の一つに食欲減退があります。辛い料理や脂っこい料理と一緒にアイランを飲むと、ヨーグルトが辛味や脂っこさを和らげてくれるため食べやすくなります。食欲が落ちやすい夏に腸を整えながら食事の消化を助けるという、夏の強い味方です。
アイランは自宅で手軽に作れます。材料は基本3つだけです。
作り方は、材料をすべてボウルに入れて泡立て器でしっかり混ぜるだけです。ハンドブレンダーやミキサーを使うと泡がよく立ち、より本場の味に近づきます。氷を加えてよく冷やしてから飲むと、夏場は特においしく感じられます。
日本で使えるおすすめのヨーグルトは、明治ブルガリアヨーグルト(LB81プレーン)や雪印メグミルクのナチュレ恵など、無糖タイプのプレーンヨーグルトです。どちらもスーパーで手に入るため、特別な材料を探す必要はありません。
塩の量はかなり好みが出るポイントです。初めて飲む場合は少なめ(小さじ1/4程度)から始めて、慣れてきたら増やすのがおすすめです。少量のレモン汁を加えるとさっぱりして飲みやすくなります。ミントを数枚入れると見た目も華やかになりますね。
アレンジとして炭酸水で割った「アトム(Atom)」スタイルもあります。こちらはアイランと同量の無糖炭酸水を加えてレモンを絞るだけ。さらっとした口当たりになるので、ヨーグルトの酸味が少し苦手な方でも飲みやすくなります。
2人分の材料費はヨーグルト1パック(約100〜150円)と塩で約150〜200円程度です。市販のスポーツドリンクを買い続けることと比べると、コストをかなり抑えられます。
明治ブルガリアヨーグルト公式レシピ「塩味ヨーグルトドリンク(アイリャン)」
アイランを日常に取り入れやすいタイミングは複数あります。朝食時・昼食時・夏の外出前・運動後など、シーンを選ばずに飲めるのが強みです。
朝食にヨーグルトを食べるついでにアイランを作るのが最も続けやすい方法です。前日夜にヨーグルト・水・塩をボトルに入れておけば、翌朝よく振るだけで完成します。手間はほぼゼロです。
子どものお弁当と一緒に持たせる飲み物としても使えます。市販のスポーツドリンクは糖分が多く、水筒に入れると虫歯のリスクが気になるという声もあります。アイランは甘さがなく、乳酸菌・カルシウム・タンパク質が含まれているため、成長期の子どもへの水分補給としても理にかなっています。
家族の健康管理という観点でも活用の幅があります。食欲がない高齢の家族への栄養補給、便秘がちな家族の腸活サポート、夏場の運動後のリカバリーなど、一家の「お助けドリンク」として冷蔵庫に常備しておくと便利です。
毎日続けるためには飽きないアレンジが大切です。
最初はしょっぱさが気になって続けられないという方も多いです。これが条件です——「塩の量を自分で調整できる」というアイラン最大のメリットを活かして、まずはごく少量の塩(ひとつまみ)から試してみてください。3日もすれば口が慣れてきて、むしろ爽やかな塩気が心地よく感じられるようになります。
冷蔵庫で保存する場合は当日中を目安に飲み切るのが基本です。ヨーグルトと水を混ぜた後は時間とともに分離しやすいため、飲む直前によく振るかかき混ぜてから使ってください。
トルコ猫暮らし「ヨーグルトの効果抜群ドリンク!熱中症対策にも良いアイランの作り方」(現地在住者によるレシピと体験談)

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