

汗をかいてもヒアルロン酸より保湿効果が高まるって知ってましたか?
スイゼンジノリとは、熊本県・江津湖や福岡県・黄金川など九州のごく限られた地域にしか生息しない、日本固有のラン藻です。正式な学名は「Aphanothece sacrum」といい、オランダの植物学者スリンガーが発見した際、その美しい水環境に心を打たれ「Sacrum(ラテン語で"聖なる")」と名付けたほど、清澄な湧き水の中でしか生きられない希少な生物です。その発生地の一つである熊本市の出水神社境内は、1924年に国の天然記念物に指定されています。
江戸時代には細川藩(熊本)では「清水苔」、秋月藩(福岡)では「寿泉水苔」として幕府への献上品とされるほど珍重されていました。高級食材としての歴史も長く、現在も旅館や郷土料理店でよく見かけます。
このスイゼンジノリが美容界で大注目されるようになったのは2006年のこと。北陸先端科学技術大学院大学の研究者が、スイゼンジノリの抽出工程中の廃棄物から偶然にも高分子物質を発見しました。研究者がビーカーに水を注いで翌朝戻ると、透明なプルプルした物質がビーカーから溢れ出していたというエピソードは有名です。これが「サクラン(Sacran)」と命名される多糖体の発見でした。
つまり、これが基本です。スイゼンジノリが作る保護物質こそが、私たちの肌に恩恵をもたらす「サクラン」なのです。
サクランは平均分子量が約2,900万という、生物が作り出す多糖体の中では史上最大級の高分子です。この巨大な分子サイズが、化粧品としての優れた機能を生み出しています。化粧品の成分表示では「スイゼンジノリ多糖体」と記載され、慣用名として「サクラン」とも呼ばれます。現在は化粧品原料として、熊本県益城町や福岡県朝倉市の養殖場で安定的に生産されており、一般消費者も手に取れる価格帯の化粧品に配合されるようになっています。
参考:スイゼンジノリ多糖体の基本情報・配合目的・安全性の詳細は下記ページで確認できます。
化粧品成分オンライン「スイゼンジノリ多糖体の基本情報・配合目的・安全性」
「ヒアルロン酸配合」という言葉は化粧品売り場で至るところで目に入ります。ヒアルロン酸が保湿の"定番"と思っている方も多いのではないでしょうか。ところが、サクランはそのヒアルロン酸をはるかに凌駕する保水力を持っています。
北陸先端科学技術大学院大学などの研究グループが実施した保水性試験(改良型ティーパック法)の結果は非常に明確でした。純水に対する保水力では、ヒアルロン酸ナトリウムが自重の約1,200倍の水を保持するのに対し、スイゼンジノリ多糖体は自重の約6,100倍もの水を保持できることが確認されました。さらに注目すべきは生理食塩水(塩水)での数値です。ヒアルロン酸が約240倍であるのに対して、サクランは約2,400倍——つまり約10倍の差があります。
これは大きな意味があります。私たちの肌は常に汗(塩水に近い成分)に触れている状態です。純水での比較でも優秀ですが、肌の実際の環境に近い塩水でこそサクランの真価が発揮されるということですね。
さらにもう一つの特徴があります。サクランは1%水溶液の状態でヒアルロン酸ナトリウムの80倍、キサンタンガムの4倍のシュードプラスチック性(力を加えると粘度が下がる性質)を持っています。これは実際の使用感にも直結していて、塗布するときはとろりとなめらかに伸び、なじませるとさらりとした感触に変わる、という肌なじみのよさを実現しています。べたつかないのにしっかり潤うという、多くの女性が求める使用感がここから生まれています。
乾燥肌を自覚する35〜60歳の女性10名を対象にした実際のヒト使用試験でも、0.2%スイゼンジノリ多糖体溶液を塗布することで、ヒアルロン酸と比較して約20%の水分蒸散抑制効果が認められました。これは感覚的な話ではなく、科学的に測定された数値です。これは使えそうです。
参考:サクランの保水力に関する専門的な解説はこちら。
株式会社高研「化粧品事業 COLUMN 驚異の保水力『サクラン』」
スイゼンジノリ多糖体が化粧品に配合されると、肌の表面で含水ゲル状のシートが形成されます。このゲル状のシートは、いわば肌を包む「保護膜」として機能します。分子量2,900万という巨大サイズのため、皮膚の内側に吸収されず、肌表面にとどまって働くのが特徴です。これがバリア機能の核心です。
敏感肌やアトピー性皮膚炎(AD)の肌では、この皮膚バリア機能が低下しています。バリアが弱い肌は水分を保ちにくく、外部からの刺激(細菌、アレルゲン、刺激物質)が入り込みやすい状態になっています。スイゼンジノリ多糖体はこの弱ったバリアを外側から補う役割を果たすことが期待されています。熊本大学大学院薬学研究科の安全性試験でも、濃度0.25%以下では皮膚刺激性はほとんどなし、という結果が出ており、デリケートな肌にも使いやすい成分であることが確認されています。
また、スイゼンジノリ多糖体には抗炎症作用のあることも研究で報告されています。医療機関でも熱傷(やけど)やアトピー性皮膚炎の炎症ケアに活用されている事例があります。炎症を起こした肌でコラーゲンやエラスチンの産生を妨げる信号が出ることがあるため、抗炎症作用で炎症を鎮めることは、長期的な肌のハリ・弾力維持にも関係します。
さらに見逃せないのが、アンチポリューション効果です。花粉やPM2.5、ウイルスなど目に見えない外的ストレス因子が肌に付着することで、乾燥・肌荒れ・赤みが引き起こされることはよく知られています。サクランの高分子皮膜はこれらの微粒子が肌表面に付着するのを物理的に防ぐ効果があります。花粉シーズンや黄砂の多い時期に特に重宝する機能といえるでしょう。これが条件です——スイゼンジノリ多糖体を有効に活用できるのは、「外的刺激から肌を守りたい」と思うすべての方にとってです。
参考:サクランのバリア機能・アンチポリューション効果の詳細はこちら。
株式会社高研「サクラン|日本固有のラン藻類から発見されたバイオマス素材」
スイゼンジノリ配合化粧品を選ぶ際に、最も重要なのが「成分表示の読み方」です。日本の化粧品には全成分表示のルールがあり、配合量の多い成分から順に記載する義務があります(ただし配合量1%以下の成分については順不同)。これが原則です。
つまり成分表示の前の方に「スイゼンジノリ多糖体」という表記があるほど、その製品には多く配合されているということになります。一方、成分表示の末尾近くに記載されている場合は、1%以下の微量配合である可能性が高く、保湿効果を十分に感じられないケースもあります。
確認すべきポイントをまとめると、成分表示での「スイゼンジノリ多糖体」の位置、製品の推奨配合濃度(専門的には0.5〜1%程度が推奨)、さらに一緒に配合されている他の保湿成分(ヒアルロン酸、セラミド、グリセリンなど)との組み合わせ、の3点です。
スイゼンジノリ多糖体の安全性については複数の試験が実施されており、皮膚刺激性試験(SKINETHIC法)では刺激性なし、眼刺激性試験でも刺激性なし、感作性試験(h-CLAT法)では陰性、という結果が出ています。また10年以上の化粧品への使用実績があることも、安心して使える根拠の一つです。パッチテストでも陰性が確認されているため、敏感肌の方でも比較的取り入れやすい成分です。
製品の種類としては化粧水、ジェル、クリーム、美容液など様々な剤型があります。特に乾燥が気になる季節や、花粉・外出が多い日のスキンケアに取り入れるとその恩恵を実感しやすいでしょう。なお、スイゼンジノリ多糖体は増粘剤としての役割も持つため、化粧水のとろみ感を高める目的で配合されている場合もあります。配合目的を意識して成分表示を確認するひと手間が、賢い化粧品選びに直結します。
参考:化粧品成分の表示ルールや読み方について詳しく知りたい方はこちら。
化粧品成分の表示ルールから基本成分・チェックする際の注意点(OEM化粧品)
「汗をかいたら化粧水が流れてしまうのでは?」と思う方も多いのではないでしょうか。実はこれ、スイゼンジノリ多糖体(サクラン)においては逆のことが起きます。
先に説明したとおり、サクランは純水よりも生理食塩水(塩水)に対して高い保水力を発揮します。つまり汗をかくほど、サクランの保水力が高まるという性質があるのです。これは他の多くの保湿成分と異なる、サクランならではのメリットです。
多くの保湿成分は塩水(電解質溶液)中で保水力が低下する傾向がありますが、サクランは塩を加えると二重らせん構造を形成し、見かけの分子量が増大することで逆に粘度が上がります。意外ですね。これが、運動後や夏場の汗ばむ季節でも保湿力が持続する理由です。
この特性は、家事で動き回ることが多い主婦の方々にとって特に嬉しいポイントです。料理や掃除など体を動かす場面が多く、日中に汗をかきやすい生活環境でも、スイゼンジノリ配合化粧品は潤いをキープしやすいという利点があります。
さらに、スイゼンジノリ多糖体には肌のトーンアップ効果も報告されており、くすみが気になる方にも注目されています。研究段階では紫外線吸収物質「サクリピン」も同成分から発見されており(名城大学・2024年発表)、将来的にはUVケア分野への応用も期待されています。これはスイゼンジノリ化粧品のさらなる可能性を示す情報です。
スイゼンジノリ多糖体を配合した化粧品を試したい方は、まず化粧水やジェルなど比較的手に取りやすいアイテムから始めることをおすすめします。楽天市場やYahoo!ショッピングでも「スイゼンジノリ多糖体」「サクラン配合」で絞り込み検索が可能です。初めて使う際は少量を腕の内側でパッチテストを行ってから、顔への使用に切り替えるとより安心です。
参考:スイゼンジノリの生育環境や養殖の取り組みについての詳細はこちら。
SACRUM ALGAE(サクラムアルジェ)「スイゼンジノリ生育環境」

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