

コンタクトをつけたままのヒアルロン酸目薬で、角膜に傷がついて視力が落ちることがあります。
目が乾いたとき、コンタクトをつけたまま手軽に目薬をさしている方はとても多いです。特にヒアルロン酸入りの目薬は「保湿成分配合」という言葉に安心感を覚えますよね。ただ、ここに大きな落とし穴があります。
ヒアルロン酸という成分自体は、コンタクトレンズに悪影響を与えません。問題は目薬に一緒に入っている「防腐剤」の種類なのです。目薬を開封後1ヶ月程度使えるのは、この防腐剤のおかげです。
防腐剤として最もよく使われているのが「ベンザルコニウム塩化物(塩化ベンザルコニウム)」という成分で、眼科用薬剤の約70%に含まれているとも言われています。ソフトコンタクトレンズはスポンジのように水分を吸収しやすい構造になっているため、このベンザルコニウム塩化物を吸着しやすいのです。
つまり、ベンザルコニウム塩化物が角膜にずっと触れ続ける状態になります。
長期的にこの状態が続くと、角膜の表面(上皮細胞)が傷つき、「角膜障害」と呼ばれる状態を引き起こすリスクがあります。症状としては、目の痛みやゴロゴロ感、充血、視力のかすみなどが現れます。さらに重症化すると、視力が低下するケースもあるため、「目薬の成分くらいで大げさ」とは言えない問題です。
これは健康に直結するリスクです。
コンタクトレンズ装着中の点眼による問題は、主に以下の3つに整理できます。
磐田市立総合病院の薬局資料でも、「防腐剤を含まない人工涙液目薬以外はコンタクトレンズを外してから点眼してください」と明記されています。医療機関でも一貫して注意喚起されている事実だと覚えておいてください。
参考:コンタクトレンズと目薬の関係(磐田市立総合病院)
第3話 目薬とコンタクトレンズ | くすりの話 - 磐田市立総合病院
「コンタクトをしたままでも大丈夫な目薬もあるの?」という疑問は自然です。実は、コンタクトレンズの種類によって判断が分かれます。
まずは「ワンデー(1日使い捨て)タイプ」を使っている場合です。1日で使い捨てるため、防腐剤がレンズに蓄積するリスクが低く、多くの眼科医が「基本的には問題ない」という見解を示しています。ただし、眼科医によって意見が分かれるグレーゾーンでもあるため、心配な場合は担当医に確認するのが確実です。
次に「2週間交換タイプ」「1ヶ月タイプ」「ソフトコンタクト全般」を使っている場合は、注意が必要です。同じレンズを繰り返し使うため、防腐剤が少しずつ蓄積していきます。
防腐剤の種類で判断するなら、ベンザルコニウム塩化物が入っていない目薬はソフトコンタクトの上からでも使いやすいです。
ハードコンタクトレンズについては、ソフトコンタクトほど薬の成分を吸着しにくいため、装用したままでの点眼は一般的に問題ないとされています。ただし、眼科医の指示がない場合は防腐剤なしの人工涙液タイプを選ぶのが原則です。
コンタクトの種類をまとめると以下のようになります。
| コンタクトの種類 | 装用中の点眼 | 備考 |
|---|---|---|
| ワンデー(1日使い捨て) | 🟡 基本的にOK(要確認) | 防腐剤なし目薬が安心 |
| 2週間・1ヶ月ソフトコンタクト | 🔴 原則NG | 防腐剤が蓄積するリスクあり |
| ハードコンタクト | 🟢 基本的にOK | 防腐剤なし目薬が望ましい |
| カラーコンタクト | 🔴 NG(製品によって例外あり) | 成分がレンズを変色させる場合あり |
カラーコンタクトは特に注意が必要です。「ソフトコンタクトOK」と書かれていても、「カラーコンタクトを除く」と但し書きがある製品が多いです。箱や添付文書の記載を丁寧に確認することが基本です。
参考:コンタクトレンズ装用時の目薬の使い方と注意点(メニコン)
コンタクトレンズ装用中に点眼しない方がいい目薬がある!? 市販品の正しい選び方や使い方 | メニコン
「コンタクトを外して目薬をさせばいい」というのはわかっても、何分後に再装着すればいいのかで迷う方も多いです。手順を正確に知っておくと、毎日のケアがぐっとラクになります。
まず、点眼前に石けんで手をしっかり洗います。これは目薬のボトルを細菌で汚染しないための大切な下準備です。次にコンタクトを外し、下まぶたを軽く引いて1滴だけ点眼します。ボトルの先端がまつ毛や目に触れると雑菌が入るので要注意です。
点眼後は目を静かに閉じ、目頭(涙嚢部)を軽く押さえてください。こうすることで薬が鼻腔へ流れてしまうのを防ぎ、目の中での効果が高まります。眼球を直接押さないように気をつけることも大切です。
再装着の間隔はこれが条件です。
防腐剤が入った目薬(ヒアルロン酸ナトリウム点眼液など一般的なボトルタイプ)の場合は、点眼後5〜15分の間隔をあけてから再装着するのが目安とされています。参天製薬の公式Q&Aでも「5分以上あけることで薬剤は涙点から流れ出る」と説明されています。ゲル基剤のタイプは30〜60分が適当とされる場合もあります。
2種類以上の目薬を使う場合は、それぞれの点眼間隔も5分以上あけるのが原則です。先に点眼した薬が後の薬で洗い流されないようにするためです。これは多くのお母さんが見落としがちなポイントです。
参考:コンタクトレンズと点眼薬の再装着について(参天製薬)
よくあるご質問:コンタクトレンズに関して | 参天製薬日本サイト
「どの目薬を選べば安全なの?」というのが最も気になるところですよね。ここでは成分の視点から、コンタクトユーザーに適した目薬の選び方を整理します。
まず確認すべきポイントは「防腐剤なし(無添加)かどうか」です。ソフトコンタクトを使っている方は、パッケージに「防腐剤無添加」または「コンタクトレンズ装用中でも使用可」と書かれているものを選ぶのが安全です。
防腐剤なしの目薬は、1回使い切りのミニサイズのアンプルタイプが多いです。開封後に防腐剤がなくても細菌繁殖のリスクが低く、目にもコンタクトにも優しい設計になっています。使い捨てのため1本ずつコスト感はありますが、目の健康を守るコストとして考えると大きな出費ではありません。
ヒアルロン酸配合でコンタクト対応の目薬を選ぶ際の成分チェックポイントをまとめます。
一方で「市販のヒアルロン酸目薬ならドライアイに使える」と思いがちですが、注意点もあります。市販品のヒアルロン酸はあくまで「添加物」として配合されているケースが多く、主成分ではない場合がほとんどです。ヒアルロン酸が「有効成分」として配合されているのは基本的に眼科処方品です。
また、涙がほとんど出ないタイプの重度ドライアイにヒアルロン酸目薬を使うと、かえって逆効果になることもあります。ヒアルロン酸のトロミが目の表面にある残り少ない涙を奪ってしまうためです。これは意外ですね。
この場合は眼科受診が条件です。市販の目薬でなかなか改善しない場合は、眼科で処方される「ジクアス点眼液」(ムチン・水分分泌を促進する薬)や「ムコスタ点眼液」など、ドライアイの原因に合った薬を使うことが大切です。
参考:ヒアルロン酸点眼の逆効果ケースと処方薬の違い(川本眼科)
ヒアルロン酸の目薬 | 川本眼科(名古屋市南区)
ここまで読んで「防腐剤なしの目薬を選べばOK」と思った方も多いでしょう。それは正解なのですが、日常の細かい使い方に落とし穴が隠れています。これを知っているかどうかで、目の健康状態に差が出てきます。
まず「目薬を開封してから使い続けてよい期間」についてです。防腐剤あり目薬の場合、開封後の使用期限の目安は原則1ヶ月です。1滴さすたびに空気が容器に入り込み、少しずつ汚染リスクが高まります。防腐剤なし(使い切りアンプルタイプ)は1回で使い切るのが基本です。余った薬液はすぐに捨ててください。
次に「目薬の量は1滴で十分」という点も見落とされがちです。目に入れられる薬液量は約7μL(マイクロリットル)ほど。スポイト1滴分は約30〜50μLなので、1滴の半分以上はあふれ出てしまいます。2滴・3滴とさすのは薬の無駄になるだけでなく、あふれた薬液が皮膚に触れて接触性皮膚炎を引き起こす場合もあります。これは使えそうです。
保存方法も確認が必要です。目薬は基本的に常温保存でよいのですが、「10度以下で保存」と記載されているものは冷蔵庫での保管が必要です。また夏場の車内はご法度です。直射日光・高温の場所は薬液の変質につながります。色の変化・浮遊物・濁りが見られた場合は、使用期限内でも使用をやめてください。
さらに「ドライアイの目薬は1日何回まで」という点も意識したいところです。人工涙液タイプは1日7回程度、ヒアルロン酸配合タイプは1日5〜6回までが目安とされています。さし過ぎるとヒアルロン酸成分が目の下に溜まり、角膜表面への水分供給が逆に妨げられることがあります。
「とにかく乾いたらさせばいい」は正解ではありません。
最後に、コンタクト装用者は定期的な眼科受診も大切です。コンタクトレンズ装用者の約3割に角膜上皮障害があるという報告もあります。自覚症状がなくても、定期的に目の状態をチェックすることで、知らないうちに進行する角膜障害を早期発見できます。
目薬の選び方と使い方を一度見直し、毎日のコンタクトライフを安全に続けていきましょう。
参考:ドライアイ目薬の使用回数と注意点(名古屋市名東区 藤野眼科クリニック)
よくある目の病気「ドライアイ」 - 名古屋市名東区・千種区の眼科